ホドロフスキー新作「エンドレス・ポエトリー」主演アダン、偉大な父との現場、自身のキャリア語る
2017年11月17日 17:00

[映画.com ニュース] 「エル・トポ」「ホーリー・マウンテン」などでカルト的人気を誇る鬼才アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝的作品「リアリティのダンス」の続編にして最新作「エンドレス・ポエトリー」が11月18日公開する。主人公の青年アレハンドロを演じた、監督の末の息子アダン・ホドロフスキーが来日し、作品や自身のキャリアを語った。
今作では、家族揃って故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住したアレハンドロ青年が、詩人エンリケ・リンやニカノール・パラら、若きアーティストと出会い、自分が囚われていた現実から解放される様を描く。
「私はメキシコで暮らしていますが、父から電話がかかってきて、『(リアリティのダンスの)続編を作ろうと考えている、お前が主役をやるか? 出来ると思うか?』という質問に『できる』と答えました。『それでこそ私の息子』と喜び、すぐに決まりました。これまで兄弟はすべて主役を務めていますが、兄たちは既に50代なので、今度は一番若い私の番になったのです」
「もちろんありました。父のこれまでの監督としてのキャリアをすべて背負っているということがわかったので、もし自分がよく演じられなかったら、父親のキャリアも、全部傷つけてしまうことになると思ったので、かなりのプレッシャーがありました」
「いえ、父は全くコンテは描きません。撮影の前日に、次の日に何をするかというのを考えて、それで当日にカメラ位置を決めて、後は即興で撮影します。とても早いです。あまり知られていませんが、父は映画監督になる前には演劇の演出を100作品くらい手掛けているので、その経験を生かしています」
「インタビューで、ドイルがホドロフスキーと一緒に仕事をしたいといっているのを知り、馬が合ったので決まったそうです。父とは良い関係でしたが、実は最後の1週間は、少しこじれたんです。色に関して意見が食い違ったようです。ドイル自身のイメージがあったようですが、父は自分のイメージを突き通し、色を修正しました。私とは良い関係でしたが、船頭がふたりという状況です。ふたりとも名声があって、アレハンドロは監督ですし、ドイルにはドイルの言い分があるので、困難もあったようです」
「自分でも驚きましたがとても好きでした。編集して、最後にひとつの作品になったとき、アレハンドロの宇宙が全部出ており、その才能を改めて思い知りました。色や音、すべてが全部完成した段階で、まさかこんな風に仕上がるとは思わなかったです。『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』の時代、そこから22年を経て『リアリティのダンス』で戻ってきました。父は22年の間に40冊のコミックを描き、そこから物語を語ることを学びました。ですので、ホドロフスキーの映画には、2つの世界があると思います」
「この続編で、フランスに行って、シュールレアリストたち、マルセル・マルソーとの出会い、その後にメキシコとヒーラーとの出会いを描くようです。父はもうすぐ脚本を書くと言っていて、今は自分の自伝を振り返り、どんな登場人物がいたのかをすべてメモにして、それがまとまったら書き始めるとのこと。そこからは1カ月で完成するでしょう」
「もちろん、反抗期はありましたが、自分の考えが確立されたとき、その思いはやはり父親に戻りました。芸術以外の他の職業について一度も考えたことはありません。生まれたときからアーティストになると思っていました。小さなときから、何千冊の本、何百本の映画に囲まれて育っていますし、そういった中で父親が幸せそうな生活を送り、情熱があるのを見て、芸術=幸せだと教えられたように感じたので、他のものになろうとは一切思いませんでした」
「『サンタ・サングレ 聖なる血』に出て以来、映画の世界に魅了され、監督になりたいと思い、19歳の時に初めての短編を作りました。映画は完全芸術だと思うのです。演じること、音、照明、物語、脚本、映像とすべての芸術の要素がそれが、完全に表現できるのが私は映画だと思うのです。今、脚本を書いており、長編の準備をしています。シネフィルですので、これまで良い作品もそうでないものもたくさん見てきました。父以外の監督ではルイス・ブニュエル、エリア・カザン、フェデリコ・フェリーニ、チャップリン、バスターキートン、ポール・トーマス・アンダーソンらに影響を受けています」
「麻薬の密輸のせいでしょうか、幸か不幸か資金のたくさんある国です(笑)。お金がふんだんにまわっていると、投資をしたいという考えが来るようで、どこから来たお金かわかりませんが、なぜかみんな映画を作っています。伝統のあるとても良い映画学校があり、特にメキシコ人の撮影監督は優秀です。1回ビデオを作ろうと、ルベツキに声をかけたら、既にスコセッシの『沈黙』の撮影に入っていました。これからも自分が撮るとしたら、メキシコ人の撮影監督とスタッフでやりたいです」
「エンドレス・ポエトリー」は、11月18日から東京・新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、UPLINKほか全国順次公開。
(C)2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE photo:(C)Pascale Montandon-Jodorowsky
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