渡辺謙が森山未來が妻夫木聡が!日本映画界を代表するオールスターキャスト、李相日監督「怒り」に結集
2015年8月20日 05:00
[映画.com ニュース] 吉田修一氏の問題作を李相日監督が映画化する「怒り」に、日本映画界を代表するオールスターキャストが結集していることがわかった。8月8日にクランクインしており、渡辺謙をはじめ森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、ピエール瀧、三浦貴大、高畑充希、原日出子、池脇千鶴、宮崎あおい、妻夫木聡が並々ならぬ闘志を胸に秘め、自らの出番を待ち構えている。
李監督が吉田氏の著作を映画化するのは、「悪人」に続き2度目。「人間の本質は善と悪」をテーマに描かれた同作は、興行収入約19億8000万円の大ヒットを飾ったほか、妻夫木と深津絵里が賞レースを席巻した。今回は、「怒り」という血文字を残したまま未解決となった殺人事件から生まれた疑念が日本中に広まり、人々の“信じたい”気持ちに歪みを与えていくさまを、3組の登場人物の群像劇として描く。
物語は千葉、東京、沖縄でつむがれていく。「許されざる者」に続き李監督と2度目のタッグとなる渡辺が演じるのは、千葉の漁港に勤務する槙洋平。娘の愛子(宮崎)が漁港で働き始めた田代哲也(松山)と交際するようになり、幸せを願う一方で、前歴不詳の田代の過去を信用できずに苦悩するという役どころに対し、「人を信じるということがこんなにも難しく脆いものなのかという、今回もハードな話です。心してかかっていきたいと思っています。お手やわらかに。無理だと思いますけど」とコメントを寄せている。
渡辺とともに千葉パートに挑む宮崎と松山は、ともに李組初参戦。「愛子という、今までに出会ったことのない役を頂きました。李監督の現場はハードだと聞いていますが、素晴らしいスタッフ、役者の方たちとお芝居ができる時間を楽しみたいと思います」(宮崎)、「田代という役は自分とはかけ離れた役で正直どう演じればいいのか見えてきませんが、監督と共演者の皆さんとじっくり田代の怒りを見つけていければと思っています」(松山)。
東京パートでは、大手広告代理店で働く藤田優馬(妻夫木)と、偶然出会って同居を始める住所不定の大西直人(綾野)が軸を担う。優馬は直人に心を開いていく反面、直人の日中の不審な行動に疑いを抱くようになる。妻夫木は原作を読み、心を鷲づかみにされたといい「心から優馬という役を演じたいと思いました。この思いは『悪人』以来です。そして、その役を演じることの奇跡。この奇跡を真実に変えるべく、全身全霊尽くしたいと思います」と意欲十分だ。
沖縄では、母と引っ越してきた小宮山泉(広瀬)が離島を散策していると、ひとりでサバイバル生活をおくる田中信吾(森山)と出会う。気兼ねなく話ができる田中に心を開いていく泉だが、同級生の辰哉と訪れた那覇で事件に巻き込まれてしまう。自責の念にかられた辰哉は田中に思いを打ち明けて心が救われるが、実は田中が事件を目撃していたことを知り、やりきれない思いが心を満たしていく。
泉役の広瀬は、「原作を読んで初めて自分から『この役やりたい』と思い、オーディションに臨んだ作品でした。この作品に参加させて頂けることが決まって、李監督のもと『泉』を演じられることを幸せに思います。スタートに立つ前からたくさん悩んでいますが、一生懸命頑張ります」と告白。一方、信吾に息吹を注ぐ森山は、“痛み”や“怒り”について「理解しようなどというおごりは持たず、ただ静かに隣に寄り添いながら、不器用な『怒り』を一緒に昇華させていければ、なあんてことを今は考えています」と明かした。
メガホンをとる李監督は、「『本気で何かを伝えたい。本気で何かに怒っている』。でも、その感情を容易に他人に見せることは出来ません。バカにされるのが怖いから。そうして、本気が目に見えなくなるほど、人を信じる事は難しく、疑う事は簡単になってしまいます。この作品は、人を信じるため、何より自分自身を信じるための力になれるよう、取り組みたいと思っています」と誓っている。
なお、泉の同級生・辰哉役は、1200人が参加したオーディションを勝ち抜いた新人の佐久本宝が大抜てきされた。また、ピエールと三浦は犯人を追う刑事の南條邦久と北見壮介、高畑は直人と会っているところを優馬に目撃される薫、原は優馬の母・貴子、池脇は愛子の友人・明日香に扮する。撮影は、10月中旬にクランクアップを予定。「怒り」は、2016年秋に全国で公開。
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