許されざる者

劇場公開日:

許されざる者

解説

クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、「フラガール」「悪人」の李相日監督のメガホンで日本映画としてリメイク。江戸幕府崩壊後の明治初期、北海道開拓時代の歴史の中で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられていた男が、再び戦いに身を投じていく姿を描く。幕府の命の下、幾多の志士を斬りまくり、恐れられた釜田十兵衛は、幕府崩壊後いつしか姿を消し、人里離れた場所で静かに暮らしていた。やがて月日は流れ、妻に先立たれた十兵衛は、貧困の末に再び刀を手にすることになる。主人公・十兵衛役で渡辺謙が主演し、柄本明、佐藤浩市らが共演。

2013年製作/135分/PG12/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2013年9月13日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第37回 日本アカデミー賞(2014年)

ノミネート

優秀主演男優賞 渡辺謙
新人俳優賞 忽那汐里
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映画レビュー

4.0李相日の粘り強い演出に瞠目した、晩秋の大雪山

2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー作品賞、監督賞ほか4部門を受賞した傑作西部劇「許されざる者」(1992)を、李相日監督のメガホンで日本映画としてリメイクした意欲作。

渡辺謙、柄本明、佐藤浩市、柳楽優弥、忽那汐里らが出演した今作の舞台は、江戸幕府崩壊後の明治初期。北海道開拓時代の歴史の中で、かつて「人斬り十兵衛」と恐れられていた男が、再び戦いに身を投じていく姿を描いている。

撮影が行われていた北海道・大雪山を訪れたのは2012年10月下旬。冬眠前のクマが活発化する時期だからと、首に鈴をつけて現場までの山を登った。コメントを取っては待機場所まで移動する…の繰り返しで、現場まで1日4往復したことが今は信じられない。夜になると雨、風が強くなり、傘など役に立たない。ダウンジャケットの下にノートとICレコーダーだけ忍ばせ、真っ暗でぬかるんだ山道を、同業他社の記者の背中を頼りにひたすら歩いた。
23時近く、到着を待ち構えていた渡辺謙がニヤリとして言い放った。
「いいかい、みんな、許されざる者っていうのは、こういう道しか歩くことが許されないんだよ」。

見事なまでの追体験。タイトルの意味を本当の意味で知った瞬間であった。

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大塚史貴

3.5非常に上手い邦画化だけど勿体なさもある

2024年2月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

楽しい

イーストウッド監督の同名作をリメイクした作品。
上記に対して非常に敬意を感じる映画で、多少の変更はあるものの実に丁寧な、そして見事な邦画化だと思いました。

ただクライマックスはもっと激しさとカッコ良さが欲しかった。
ここまでドラマを盛り上げてラスト20分へと繋げたのだから。

ハリウッド版と同様に「人はどこまで許されるのか、一体誰が本当に許されない者なのか」というテーマを忠実に推し出してくれているので、ドラマは非常に面白い。
佐藤浩市のカリスマ性ある警官も見事。

なのでどうしても“堕ちすぎた”主役に目がいってしまう、少し勿体ない印象の映画でした。

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びぃあぃじぃ

4.0三船・用心棒の様に、ぼろぼろになっても不死鳥のように息を吹き返し、 かって知ったる拳銃の腕前が蘇える。さあ、おたちあい。

2022年12月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

『今度という今度は許せねー』
かっては泣く子も黙る殺し屋だったウイル・マニーは
二人の幼子を養う苦しい生活の中、
レディーを切り刻んだ男を殺る賞金稼ぎに踏み切るが、
不覚にも悪保安官につかまり
再起不能なほどいたぶられる。

1880年。赤々と空を染めるワイオミングの夕焼け。
11年前までは鉄道を爆破し、
女子供を殺すなんて朝飯前のだった悪ガキ・マニーは
クローディア・マニーと知り合って
ウイスキーと悪とは縁を切った田舎暮しをしていた。

3年前に最愛の妻に先立たれ、病気の豚を飼う生活は楽ではない。
銃も使えず馬にも乗れなくなってしまった初老のダメ男が、
子供のために金がほしいと賞金稼ぎに手を出したあげく、
僚友ネッドが悪徳保安官に陰湿なリンチで殺された上
道路にさらし者にされて怒りが爆発する。
絶っていたウイスキーを浴び、スコフィールド握って悪に立ち向った。

三船・用心棒の様に、ぼろぼろになっても不死鳥のように息を吹き返し、
かって知ったる拳銃の腕前が蘇える。さあ、おたちあい。

思いを遂げならず者の街を脱出する時の台詞がいい。

『撃つなら撃ってみろ。お前らの家族や子孫も、皆殺しにしてやるからな』

家で待つ子供のことを心配しながら、
一方で、どうなってもいいと投げやりになった殺し屋の顔が覗いて
悲しくて切ない西部劇だった。

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ezu

5.0神のいない日本という土地だからこそ

2020年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

荒涼として、救いのまるで見当たらない枯れた土地の哀しさと虚しさと一抹の儚さ美しさを、これでもかと表現できたのが、この映画の最大の功績でしょう。

旧幕府軍の一員として多くの敵を斬った男。
もしも勝ちいくさだったなら大英雄として祭られていたはずの人斬り十兵衛ですが、新政府軍の追手を逃れ、すべてを捨て、酒も絶ち、悔悟の念とともに、若くして逝去した妻の思いを抱きながら、忘れ形見の子供二人とともに荒れ地に命を埋める覚悟を固めています。

そこにかつての戦友が現れ、それでも天国にいる亡き妻への操を貫き続ける主人公ですが、ついに最後の最後に亡き妻との誓いを破って濁り酒を口にし、封印していた人斬りを復活させてしまうのです。

その哀しさ。

子供たちの元に戻るのが十兵衛ではなく、アイヌの青年と、顔を切られた不幸な少女であることも、十兵衛自身は子供たちの前からも姿を消してしまうということにも、許されざる者というタイトルの業の深さなど、考えさせられる映画でした。

善とは何か。悪とは何か。
神のいないこの日本という土地でこそ、タイトルの「許されざる者」という言葉の意味が、深く深く観る側に問われるのです。

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