映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

「寄生獣」山崎貴監督、染谷将太らが最初に直面した最大のハードル

2014年11月27日 13:00

リンクをコピーしました。
「寄生獣」でより強固な絆を 構築した山崎貴監督と染谷将太
「寄生獣」でより強固な絆を 構築した山崎貴監督と染谷将太

[映画.com ニュース] 累計発行部数1300万部を誇る岩明均氏の伝説的な漫画「寄生獣」が、山崎貴監督、染谷将太主演で映画化決定と本サイトが報じたのは、2013年11月20日。原作の連載が「月刊アフタヌーン」で始まってから20年以上が経過していたが、原作ファンのみならず映画ファンは、上を下への大騒ぎとなった。あれからちょうど1年。約5カ月間の撮影を踏破し、10月下旬に完成した前編「寄生獣」は、第27回東京国際映画祭のクロージング作品としてワールドプレミア上映され、公開を待つばかり。紛れもなく今作の立役者といえる山崎監督と染谷に話を聞いた。(取材・文/編集部、写真/江藤海彦)

2005年に米ニューライン・シネマにわたった原作権が、契約期間終了に伴い13年に日本へ“戻って”きたことを知った山崎監督は、自らの手で映画化することを切望した。数十社による争奪戦の末、東宝が映画化権を取得した「寄生獣」は、正体不明の生物「パラサイト」が鼻や耳から人間の頭に侵入、脳に寄生して全身を支配してしまうという設定。染谷扮する主人公の泉新一は、右腕に寄生した「ミギー」との共生を余儀なくされ、ほかの寄生獣たちとの戦いや別れという数奇な運命をたどることになる。

前作「永遠の0」を興行収入87億4000万円と大ヒットさせたほか、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどで知られてきた山崎監督だけに、次回作として「寄生獣」の名が浮上した際、意外に思った人は少なくないだろう。だが、クランクイン前の段階で「『寄生獣』みたいな描写がすごく好きなんですよ。これまではファミリー向けの大作をつくるうえで抑えていましたが、実は大好き。僕はダークな人間なんですよ」と語り、待ち受ける困難を前に喜びを隠せずにいたことが印象深い。

それだけに、「全編を通じて意識したことは『単純なエンタテインメントにならないといいな』ということでした。パッと見はクリーチャー化したものが人間を襲うという、ある種、俗な映画なわけです。入口がすごく入りやすいし、面白そうな映画だなと思ってもらえるはずなんです。そこからお客さんを、どこまで連れて行くことができるかが問題だと思っていました」と先を見据えながら製作準備に突入した。ただ、山崎監督にはある確信があった。「原作を読み直してみて、今こそ語られるべき題材だなと思ったし、作品の裏に隠されたテーマは大きい。比較的軽い気持ちで入ってきてくれた方々を最終的にどこへ連れて行けるのかを考えたとき、僕はすごい力を持っている原作を裏切らないようにしなければ……、という点について気をつけて作ったつもりなんです」。

一方の染谷は、「演じ手として最初に思ったことは、『寄生獣』という題材があって、それを山崎さんが監督をされる……、これは大船に乗ったつもりでやろうと思いましたね」と笑う。山崎監督とは、「ALWAYS 三丁目の夕日’64」「永遠の0」、さらに今作でも主題歌を手がける「BUMP OF CHICKEN」の楽曲をもとに製作されたショートムービー「Good Luck」と3度タッグを組んでいる。だからこそ、「ちゃんとしたテーマが根底に流れているものを山崎監督が撮られたとき、決して説教くさくないんですよ。映画としてしっかりと楽しめて、それでいて見終わったあとにちゃんとテーマが余韻として残る。これを両立することって、実はすごく難しいことだと思うんですよね」と全幅の信頼を寄せる。横で聞いていた山崎監督は、照れ隠しのつもりか「ただ、言うことがムチャクチャでハードルが高いんだよな」と笑い飛ばしてしまうところからも、2人の絆の深さが垣間見える。

リラックスした面持ちの染谷の口調は、いつになく滑らかだ。「役者って主観的になりがち。主観的なことって比較的、映画のためになっていないことが多いんですが、監督はそれをちゃんと正してくださる。舵取りをすごく冷静にされる方なので、シーンの意図、セリフの意図だけでなく、細かく見た意図、大きく引いた時の意図が明確に伝わってくるんです。ただ、その意図っていうのは、確かにハードルがとても高いんですよ(笑)」。

染谷扮する新一の右手に寄生するミギーの描写しかり、映画を完成させるに当たって製作陣が取り組むべきポイントで最も大きかったのは、「PG12」(映画倫理委員会が定めた規定のひとつで、12歳未満の年少者の観覧には親または保護者の助言・指導が必要)の限界だ。山崎監督が「最初にPG12というくくりが僕らの前にそびえ立っていたので、許される範囲でどこまでいくのか。PG12の限界点を探るっていう作業を始めた」と話すように、プロデューサー陣がコンテやシナリオ持参で映倫に通い、「この表現は大丈夫か?」「これはどうやったらPG12におさめてもらえる?」など質問攻めにするなど、妥協は一切見られなかった。

「PG12について、かなり詳しくなりましたよ。人体損壊の瞬間は見せてはいけないとか、体から離れていれば大丈夫とか、いろんな決まり事があったので、最も過激なPG12を目指しました。ただ、ことさら残酷なシーンを見せたいわけじゃないんですよ。ただこれは地球という野生の王国で捕食に関するシーン。人間が天敵と出会ったときにどうなるかという実験の映画でもあるので、ドライに見せたかったんですよ。『ナショナルジオグラフィック』でライオンがインパラを食べるシーンって残酷だけど、野性の営みじゃないですか。その営みが、人間の世界を舞台にしたときにどうなるかを撮りたかったんです」。

山崎貴 の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

止められるか、俺たちを

止められるか、俺たちを NEW

2012年に逝去した若松孝二監督が代表を務めていた若松プロダクションが、若松監督の死から6年ぶりに再始動して製作した一作。1969年を時代背景に、何者かになることを夢みて若松プロダクションの門を叩いた少女・吉積めぐみの目を通し、若松孝二ら映画人たちが駆け抜けた時代や彼らの生き様を描いた。門脇むぎが主人公となる助監督の吉積めぐみを演じ、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」など若松監督作に出演してきた井浦新が、若き日の若松孝二役を務めた。そのほか、山本浩司が演じる足立正生、岡部尚が演じる沖島勲など、若松プロのメンバーである実在の映画人たちが多数登場する。監督は若松プロ出身で、「孤狼の血」「サニー 32」など話題作を送り出している白石和彌。

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

青春ジャック 止められるか、俺たちを2 NEW

若松孝二監督が代表を務めた若松プロダクションの黎明期を描いた映画「止められるか、俺たちを」の続編で、若松監督が名古屋に作ったミニシアター「シネマスコーレ」を舞台に描いた青春群像劇。 熱くなることがカッコ悪いと思われるようになった1980年代。ビデオの普及によって人々の映画館離れが進む中、若松孝二はそんな時代に逆行するように名古屋にミニシアター「シネマスコーレ」を立ち上げる。支配人に抜てきされたのは、結婚を機に東京の文芸坐を辞めて地元名古屋でビデオカメラのセールスマンをしていた木全純治で、木全は若松に振り回されながらも持ち前の明るさで経済的危機を乗り越えていく。そんなシネマスコーレには、金本法子、井上淳一ら映画に人生をジャックされた若者たちが吸い寄せられてくる。 前作に続いて井浦新が若松孝二を演じ、木全役を東出昌大、金本役を芋生悠、井上役を杉田雷麟が務める。前作で脚本を担当した井上淳一が監督・脚本を手がけ、自身の経験をもとに撮りあげた。

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命

エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 NEW

19世紀イタリアで、カトリック教会が権力の強化のために7歳になる少年エドガルド・モルターラを両親のもとから連れ去り、世界で論争を巻き起こした史実をもとに描いたドラマ。 1858年、ボローニャのユダヤ人街に暮らすモルターラ家に、時の教皇ピウス9世の命を受けた兵士たちが押し入り、何者かにカトリックの洗礼を受けたとされるモルターラ家の7歳になる息子エドガルドを連れ去ってしまう。教会の法に則れば、洗礼を受けたエドガルドをキリスト教徒でない両親が育てることはできないからだ。息子を取り戻そうとする奮闘する両親は、世論や国際的なユダヤ人社会の支えも得るが、教会とローマ教皇は揺らぎつつある権力を強化するために、エドガルドの返還に決して応じようとはせず……。 監督・脚本は、「甘き人生」「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」「シチリアーノ 裏切りの美学」などで知られるイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ。教皇ピウス9世役はベロッキオ監督の「愛の勝利を ムッソリーニを愛した女」にも出演したパオロ・ピエロボン。2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

コカイン・ブライド

コカイン・ブライド NEW

娘・ダーシャの将来のため、暴力的な夫から逃れようとマッチング・サイトに登録したニーナは、アメリカで暮らす裕福な引退した外科医・カールと出会う。すぐさまロシアからアメリカへと渡った親子は、ささやかな結婚式を行い、幸せな生活を楽しみにしていた。しかし、結婚式の直後から、ニーナとダーシャに不可解な現象が次々と降りかかる。頼りにしていたニーナの親戚は結婚式の帰路で事故死し、ダーシャは屋敷の中で女の幽霊を見るようになる。そんななか、ニーナはカールがコカインを吸っているところを見てしまう。ダーシャの将来を考えやりきれなくなったニーナは、人里離れた屋敷から出ていくことを決意するが…。

キャンディ・ウィッチ

キャンディ・ウィッチ NEW

現世に残る死者の声を聞く能力者のリースとその相棒兼恋人のキャットは、霊障に悩む人々からの依頼を受け、心霊現象の調査と除霊を行っている。ある夜、ルースという女性から「キャンディ・ウィッチに苦しめられている」と連絡を受けたリースは、キャットと共にヘザーの家を訪れる。お菓子の杖で子供を襲うキャンディ・ウィッチの正体は、かつて町の子供たちを虐待し苦しめた邪悪な乳母の悪霊だという。しかし、調査を進めるにつれ、キャンディ・ウィッチの呪いに隠された町の暗部が明らかになっていく。果たしてリースは、この悪霊の殺戮を阻止し、町にはびこる邪悪な呪いを解くことができるのか?

蒲団

蒲団 NEW

文豪・田山花袋が明治40年に発表した代表作で、日本の私小説の出発点とも言われる「蒲団」を原案に描いた人間ドラマ。物語の舞台を明治から現代の令和に、主人公を小説家から脚本家に置き換えて映画化した。 仕事への情熱を失い、妻のまどかとの関係も冷え切っていた脚本家の竹中時雄は、彼の作品のファンで脚本家を目指しているという若い女性・横山芳美に弟子入りを懇願され、彼女と師弟関係を結ぶ。一緒に仕事をするうちに芳美に物書きとしてのセンスを認め、同時に彼女に対して恋愛感情を抱くようになる時雄。芳美とともにいることで自身も納得する文章が書けるようになり、公私ともに充実していくが、芳美の恋人が上京してくるという話を聞き、嫉妬心と焦燥感に駆られる。 監督は「テイクオーバーゾーン」の山嵜晋平、脚本は「戦争と一人の女」「花腐し」などで共同脚本を手がけた中野太。主人公の時雄役を斉藤陽一郎が務め、芳子役は「ベイビーわるきゅーれ」の秋谷百音、まどか役は片岡礼子がそれぞれ演じた。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る