「神様なんかくそくらえ」監督&キャストが明かす製作経緯
2014年10月30日 16:30
[映画.com ニュース] 米ニューヨーク・マンハッタンでジャンキーとして生きる若者たちの姿を生々しいリアリズムで描きだした、ジョシュア&ベニー・サフディ兄弟の「神様なんかくそくらえ」は、ヒロイン役のアリエル・ホームズ自身の体験をもとにしている。インディーズの次代を背負う兄弟と、ホームズ、共演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズに話を聞いた。(取材・構成/稲田隆紀)
――この作品を作ることになったきっかけは、アリエルとの出会いからはじまったとコメントされていますが、具体的に教えてください。
ベニー・サフディ監督(以下、ベニー):ジョシュアがニューヨーク47丁目のダイヤモンド地区で別の作品のリサーチをした帰りに、地下鉄でアリエルに出会いました。何度も会ううちに、彼女のライフスタイルが分かり、本にしてみないかと彼女に伝えました。それを読んだ時に、これこそ映画にするべきだと思いました。
――アリエルがまとめたものは実際に本になったのでしょうか?
アリエル・ホームズ(以下、アリエル):いえ、まだなっていません。きっと本になるとは思いますが。
――この作品で描かれていることは事実に即している、彼女の日々の生活のなかの一端が描かれているわけですね。
ベニー:感情的な意味では正確なのですが、その感情を表すために起こった出来事は少し変えています。
アリエル:自分の人生の舞台版だと、私は思っています。
――脚本を書かれるにあたって、映画にしていく上で心がけたこと何ですか?
ジョシュア・サフディ監督(以下、ジョシュア):アリエルの視点に興味を持ちました。彼女が書いたものを読み進めていくうちに、いちばん興味を持ったのは登場人物でした。ジュウジュウ、オカマのマイク、髭のマイク、洞窟人など、まるでイソップの童話やオデッセイのように時空を自由に飛んでいる感じがしました。本のなかでは時間は凄く濃密な概念として存在し、キャラクターが濃密な時間のなかを生きています。彼女の世界をもっと知りたいと思いながら脚本を進めました。
ベニー:こういうテーマで描かれた本や映画はあるのですが、こうした視点はなかったのでそれが凄く新鮮でした。
――ご兄弟で監督をされていますが、演出の仕方はどのように行っているのですか?
ベニー:その場その場で分けて行っています。演出の仕方は俳優に聞いてみてください。
アリエル:意図は明確に伝え、後は自由に演技をさせてくれます。
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(以下、ケイレブ):演技をみて、ジョシュアとベニーが注文する場合もあるし、自分のアイディアが認められたこともありました。ふたりの意見が食い違うこともありましたが混乱はしませんでした。
ジョシュア:技術的なことでいえば、私が撮影まわり、ベニーはサウンドまわりを担当しました。俳優の指示に関しては、その場の雰囲気に合わせて、それぞれが行います。
――ケイレブは作品にどのように参加したのですか?
ジョシュア:キャスティングディレクターに提案されました。彼は非常に誠実なアプローチをするし、役柄に没頭していくタイプでリサーチもする。アリエルと一緒に選んだのですが、最高の選択でした。
――これまで「ビザンチウム」をはじめ、様々な作品に出演されていますが、この作品ではどんな感想をお持ちになりましたか?
ケイレブ:今までやってきた作品のなかで最も危険な映画です。こういう作品に出る機会がなかったのでラッキーでした。現場で臨機応変に撮影し、スタッフ、キャスト全員と仲良くなりました。こういう撮影は二度と味わえないでしょう。
――監督に対してはどのような印象を持ちましたか?
ケイレブ:最初にジョシュアと話をした時、僕たちが探しているものは似ているなと思いました。リアルで、すごくダークなものを探している。ベニーと話をしていても、この素材の何に惹かれるか、何を避けたいかという考えが同じで信頼できるなと思いました。信頼できるということは、自分の仕事がしっかりできるということです。
――アリエルにうかがいます。自分の人生を再現するということは、どういう感じですか?
アリエル:シュールな気分になる時もあれば、凄く自然に感じる時もありました。撮影時はあのライフスタイルのままで、自分の軌跡を再現しているなかで新しいものをつくる感覚でした。完成作を何度か観ていくうちに、自分の人生に新しい視点が生まれたように思えます。
――冨田勲の音楽はなぜ使用したのですか?
ジョシュア:友人であり、いっしょに脚本、編集を行っているロナルド・ブロンスタインが冨田勲の音楽を聴いていて、6、7年前に教えてくれました。今回の音楽はロマンティックなオペラ、エイリアン用のロマンティックなオペラにしたいと思ったので冨田勲の音楽にマッチすると思いました。ドビュッシーやバッハを電子音楽的に解釈し直すのは、今回の映画にぴったりだと思いました。
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