「チベット映画特集」岩佐寿弥監督、ダライ・ラマ14世との面会を語る
2012年6月20日 20:13

[映画.com ニュース] 6歳でチベットからインドへ亡命した少年の3年間を追った、岩佐寿弥監督のドキュメンタリー「オロ」の公開を記念した「オロを知るためのチベット映画特集」で6月20日、岩佐監督がティーチインを行った。
この日、岩佐監督のチベットドキュメンタリー第1作「モゥモ チェンガ」が公開された。モゥモチェンガ(満月の意)という名を持つおばあさんのネパールの難民キャンプでの生活と、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世に拝謁するためインドのダラムサラへ向かう旅を記録した作品だ。
岩佐監督は「チベット仏教が柱になって、心のひだまで貫かれた生活を送っている。ヒマラヤの向こうから難民として外国にやってきて、それにもかかわらず彼らは自分たちの文化を抱きしめながら生活しています」と、帰国の見通しが立たないという厳しい状況に置かれながらも、篤い信仰心を持ち続けるチベット難民の生活を説明する。
岩佐監督の熱い思いが、本作製作前にチベット亡命政府議員との出会いにつながり、ダライ・ラマ14世との面会が実現した。「背後にテレビ局や新聞社を背負っているわけでもなく、どこの組織にも所属しない、チベットの映画を撮りたいただ一人の男に1時間取ってくれたことに不思議な感覚があった。面会の交渉をしている人がたくさんいるにもかかわらず、本当に一生懸命になっている人を選んでくれている。その選択の基準がすごいと思った」と述懐する。
そして、「面会前にはある程度緊張があったのですが、姿が見えたらフワーッと緊張がとけました。威圧感がなく、存在だけで相手の緊張を解く力を持っていらっしゃる」と対面時の印象を話し、「どんな質問をしても正直に、誠実に答えてくださる方。20世紀の傑出した人物の一人であると直接会って確信しました」と語った。
チベットに対して何をしたらよいかという問いには、岩佐監督の友人のチベット人女性の「(なにをすべきかよりも)チベットに関心を持ってください。できれば好きになってください」という言葉を紹介し、「チベットに関心を深めていただければ、何をしたらよいか自分の答えとして出てくると思います」と呼びかけた。
チベットに関連する作品12本を一挙公開する今回の特集上映は、チベット本土に住む人々、ネパールやインドへ亡命した難民など、国境を越えて生きる人々の姿を描いた作品を集めた。「オロを知るためのチベット映画特集」はオーディトリウム渋谷で22日まで。「オロ」は6月30日から渋谷ユーロスペースほかで公開。
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