劇場公開日 2024年4月26日

悪は存在しないのレビュー・感想・評価

全168件中、1~20件目を表示

4.0気づきや思索をもたらすストーリーテリング

2024年4月30日
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鑑賞方法:試写会

人間とは不可思議な存在だ。こういう人物だろうと把握した次の瞬間、全く違う顔を覗かせることも多い。判で押したような悪人や善人は少なくとも本作には存在しないのだ。そもそもメインの父娘からして、どんな過去を持ってこの地へやってきたのか曖昧で、だからこそ我々は表情や言葉、調度品から懸命に理解しようとする。と同時に、グランピング場建設のためにやってきた男女にしても、車内のダイアローグで切々と胸の内を語り、最初の印象は刻々と覆っていく。人間とはかくも面白い生き物であり、変容の中にこそ本質があるのかもしれない。一方で、本作には自然環境や未来への視座も盛り込まれている。上から下へ流れるのは、水のみならず、時間も同じ。子供ら世代に豊かな環境を残せるか否かは今を生きる大人たちに委ねられた課題でもある。斬新なストーリーテリングでナチュラルな気づきや思索をもたらす作品として、ラストの謎も含めて、胸に深く刻まれた。

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牛津厚信

3.5悪意はなくとも、悪いことは起こる

2024年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

自然環境と開発、地元民とよそ者、野生動物と人間、消える子と探す親といった題材は、最近日本で公開されたものでは「ヨーロッパ新世紀」「理想郷」、少し前では「ラブレス」など外国映画でも時折描かれてきたものであり、問題意識と物語類型が国境を越えて共有されていることの表れだろうか。

映像は美しい。が、いくつかの長回しは冗長に感じられた。音楽家の石橋英子からライブ演奏時に流す映像を依頼されて企画が始まった映画であることと関係があるかもしれない。

ラスト近く、娘が置かれた状況を目にして、父親はある行動に出る。あの展開は、保護者としてのリアリティーよりも劇的効果が優先された純然たるフィクションだと感じた。ラストのインパクトを高く評価する向きも当然あるだろう。だが評者は、グランピング場計画をめぐるリアルな対立を興味深く追っていただけに、「えっ、それで終わらせちゃうの」と、何やら梯子を外されたような思いがしたのだった。

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高森 郁哉

4.0正直なところ見る人を選ぶ作品。ただ、流石のリアリティーで、ベネチア国際映画祭の銀獅子賞(審査員大賞)受賞は納得の佳作。

2024年4月26日
PCから投稿

ベネチア国際映画祭やカンヌ国際映画、ベルリン国際映画祭の世界3大映画祭の受賞作は、見てみると割と「?」な映画が多い印象です。
本作も正直なところ、冒頭からイメージビデオのようで、「うわ~、これハズレの作品か」と思いながら見ていました。
ただ、濱口竜介監督の前作「偶然と想像」は脚本が面白く、本作をスルーするわけにもいかず見ていましたが、まさに会話劇となる説明会のシーンで盛り上がり、その後の展開も興味深く見ることができました。
セリフも素人のような感じが多く有名俳優もいない状態で、よくぞここまで作り込んだリアリティーを構築できたなと感心しました。
そもそもが音楽ライブ用の映像を制作するだけのはずが、緻密な構成によって106分の長編映画になったのも興味深いです。
まさに脚本と映像の両面で存在感を放ち、2023年・第80回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)を受賞したのも納得できる作品です。

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細野真宏

4.0心を揺さぶる物語 確かにそうなのですが…

2024年5月21日
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鑑賞方法:映画館

知的

難しい

面白かった。心を揺さぶられました。確かに無関係ではいられないような気にもなってきました。でも、この感情はどこからくるのでしょうか?

美男も美女も登場しない。舞台の田舎町の登場人物全員が、どこにでもいそうな人たちばかりで、演技はとっても自然で、観ている自分自身が映像の町に溶け込んでしまう感じがした。本来異物であるはずの、グランピング建設の説明会の男女社員でさえ、最初こそ異物感はあったものの、やがて見た目も、思考も、感情の動きさえどこにでもいそうな善良な日本人代表みたいになってしまい、普通に感情移入できてしまう。そうい観点から考えると無関係ではいられないし、心を揺さぶられる物語となるのである。

ところがである。初めから、控えめな異彩を放って若干分かりにくい感を出していた、主人公なのだが、最後の場面で物凄い異彩を放ち、観客はまったく感情移入できなくなる。なんだよと言って倒れた、グランピング説明の男性社員のように。

監督のインタビューに自然災害は最悪のできごとだが、自然災害を人は悪とは呼ばないという意味の話があった。そうであるなら、悪は存在しないとは正鵠を突いた題名ということになる。自然を陶冶し、人間に落とし込むとこの映画のような表現になるのだろうと、私は強いて解釈し、もやもや感を残して、寝ることにする。

明日の朝には忘れていることを節に願うのみである。もやもや…

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うさぎさん

3.0税金に頼る事業の胡散臭さ

2024年5月21日
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鑑賞方法:映画館

単純

ここの解説を読んだが、逆説的と書いてて笑った。逆説ではない。作中鹿の話が出てくる。追いやられた鹿は何処へ行く?都会の人間は「どこかへ行く」と無責任だ。ここが本質なんだと思う。彼は悪人ではないが、それを悪い事とも思ってない。鹿は比喩であって何にでも当てはまるだろう。日本人をないがしろにした移民問題や、自民党の裏金だってそうだ。
補助金目当てのグランピングにしたって、去年から問題になっている東京都のいわゆるColabo問題と一緒で当事者(映画では村人、Colabo問題では貧困女性自身)は関係なく税金目当ての事業にすぎない。電気代の再エネ賦課金の値段を上げるためのメガソーラーにしたって自然破壊をしているだけだ。でもそこに悪があるわけではない。ただの利己主義だ。個人の価値観、多様性なんて言ってる人で、そのことに疑問を挟むと反発する人達が一番やっかいなのだ。

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シャムシュローシェ

3.5昨晩食べた食事がまだ胃の中に残っているようなもやもや感。

2024年5月21日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

難しい

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レント

5.0いろんな感情が揺さぶられる

2024年5月20日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

心に、頭に、刻まれる映画。
言葉で上手く表現出来ない。
でも、独りよがりでも内向きでもない。
世界に向けて語られてると思うから。

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アメリカの友人

2.0物語りきる撮り手の責任。

2024年5月20日
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広げた風呂敷を畳む責任が撮り手にはある。
畳まず寧ろ尚広げて幕、なんて。
序盤から読めない展開で、
遂に意外なキャラに焦点が当たり、これは!と乗った。
中盤の薪のシーンのアレで突如幕なら傑作だったろう。
以後全部不要。
繰り返す。
注目の監督よ、物語りきる責任の再考を。

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きねまっきい

5.0なぜ殺したか?

2024年5月19日
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マル

3.5面白いけど分からない

2024年5月19日
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鑑賞方法:映画館

東京近郊の山間部にある町が舞台。
始まって暫くは美しい自然の中の生活が淡々と描かれる。ちょっと退屈になってきた頃に、山にキャンプ場を作る計画を企業が持ってきて話が動き始める。
計画通りにキャンプ場を作りたい企業と、不安にかられる町の住人、間に立たされる担当の社員2人。
ここからの展開が面白い。特に会話が秀悦だ。また、少し間延びした感じの編集が不安感や不信感を増していく。
展開や人物像が多層的になって、惹きつけられていく。
しかし、訪れるラストシーン。その意味が僕には分からなかった。良い悪い訳ではなく、自分の理解できる範疇を超えてしまった。意味が知りたい。興味が尽きない。
それも含めて、かなり面白かった一本。

森に見られてるって事か…?

#悪は存在しない

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naichin

4.0悪は存在しない

2024年5月19日
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最初30分くらい退屈だったが、登場人物の会話が始まり、引き込まれたところで突然終わった。解釈は見る人に委ねるのかもしれないが、もう少しだけわかりやすいとありがたかった。皆さんのラストの解釈を調べながら帰るという…それ以外は印象的なシーンも多いし、樹木を通して人を見る場面や、水に写る風景などが美しく、こういう作品は評価が高いだろうなと納得の映画でした。

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しなもん

4.0長野県水挽町。 自然豊かな小さな町。 小学生の娘・花(西川玲)とふ...

2024年5月19日
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りゃんひさ

4.5とても、哲学的な映画で、この映画を観た人と話してみたくなる。

2024年5月19日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

難しい

ミニシアターで鑑賞、珍しく20代、30代の若い人が多くて、場内いつになく活気を感じました。

「ドライブ・マイ・カー」は、村上春樹さん原作にしてはとても分かりやすい、観やすい映画でした。
この映画も、不穏なものを感じながらも、出だしから流れに乗って、没入できました。
で、ラスト。
日本映画での置いてきぼりは、なかなかなかったので、おー、私は、巧さんのこと何もわかっていなかったのね、と衝撃を受けました。

いやいや、でも、巧さん。
父親として見た時、たいがいにせーよと思うこと、花ちゃんにめちゃめちゃしてますよ。
自然の使者のような顔して、他者を断罪していいのか?レベルの。

もし、これがSF映画で、実は巧さん、アンドロイドでしたーというオチがあった方が、私は救われた気がします。
巧さんのような、問答無用で異なる価値観の人を排除する人間が増えていくなら、私は自分を表現することが怖くなります。
けれど、同時に、その中でも、自分らしく生きていきたいなと強く思いました。

この映画を観た後、ロビーで15分ほど、隣席の大学生と感想を共有しました。
私のザワザワした気持ちも落ち着きました。
濱口監督の作品をいくつか勧められたので、それらを今度観ようと思います。

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のりたまちび

3.0悪は存在しない

2024年5月19日
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鑑賞方法:映画館

難しい

ラストシーンが意味不明。どう解釈したらいいのか? 映画みてしばらくたっても、心に残るというのか? 忘れられないというのか? こんな映画はあまりない。何だったー そしてすっきりしない
映像は美しく、詩的ではありました。

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Yumeko

4.0濱口監督作品は難解そのものだ!余韻だ!

2024年5月17日
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楽しい

知的

難しい

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鹿ちゃん

3.5何だったのか?

2024年5月17日
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鑑賞者に疑問を投げかける映画が良いのか悪いのかはわからない。自分たち夫婦で色々議論したので、良い映画なんだと思う。

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hanataro2

4.5人間は悪には足りえない

2024年5月17日
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em2

4.0みな死ぬまで生きていく

2024年5月17日
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鑑賞方法:映画館

花は生きていた。高橋も生きている。だが母(妻)はいない。
薄暮のような夜明けのようなあのシーンは、すべて巧の、後(のち)の夢である。
ゆらゆらと立ち上り循環する水のように、
時間はかならずしも一直線に流れるわけではない。
矢負いの巧・花親子の傷を癒すバランサーは意外に黛さんかもしれず、
たとえば5年後、あのベランダで、いっしょに夕日をみているかもしれない。
ああ、観賞後数日してようやく回せましたよ私のカメラ……おいっ 濱口さんっ!

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azumi

4.5とても面白かったです

2024年5月17日
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問題のラストをどう捉えるか、人それぞれ違っているでしょう。

私は、希望が欲しい気もしつつ、感じ方としては『怪物』と同じで悲しい最後です。

淡々として見えていましたが、巧の抱えていた闇は想像以上に大きかったのではないかな、と思いました。

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ほりもぐ

2.0衝撃!、どっちなの?

2024年5月16日
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怖い

単純

難しい

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だるまん