落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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他人様の夫婦の痴話喧嘩は見たくない…
期待が大きかったからなのか、なんだか
あまり、入り込めなかった…。
これ、どちらもちょっと苦手な夫婦。
子どもが一人になるのは、
イヤだから奧さん無罪になって欲しいとは思っていたけど、
自殺だとしても、奧さんにも何かしら非がある気がしてスッキリせず、
喧嘩の時の最初の私は冷静よ的な感じであしらいつつのあの責め方はイヤだな。
夫も夫で、奧さん責める内容がどんどん変わっていって、
これじゃ、小説上手く書けないでしょー。
で、セックスのことまで言われたら、
ハァ?!ってなるわな、とか思いつつ、
結局、何を解剖したかったんだ?
夫婦の痴話喧嘩か???
ずーっと、マリコ(沢口靖子)さんならどう解決する?!
って考えていたよ。
珍しいくらい非常に教育的な映画
ここまでまっすぐ青少年の成長に向かい合った映画は、昨今多くないと思う。
ほとんど状況証拠しかない状態で進行する裁判の鍵を握るのは、第一発見者の視覚障害の子供。
事故により視力が低下して以来引っ込み思案になった繊細な彼を守るのは、心の病を抱えた父と傍らの犬だけ。
彼の目線でそれまで隠されていた家庭の真実を明らかにしていく裁判は、子供から大人へなるための通過儀礼である。
最後の証人として自ら選んだ「真実」を話し裁判の趨勢を決めるのは、大人として人生を選択した証に他ならない。終盤、それまで抱きしめられていた母親を逆に抱きしめるのは成長と精神的別離を表している。
ラストシーンで母親へ犬が寄り添うるのは、独り立ちした子供をそれまで守っていた守護者=天使が一人になった母親の保護者となる、カトリック的な演出だろうか。
アメリカンニューシネマ以前、1950年代のようなテーマに対し非常にまっすぐな佳作。その割に説教臭くなく順当に面白いのは、演出の優秀さや脇を支えるキャラクターによるものだろう。序盤のタルイ展開に耐えられるなら、ご家族で鑑賞するのにもおすすめ
ミステリーと思う事勿れ、
まさか裁判映画だったとは、
ともあれ長いけれども常に状況証拠と曖昧な真実とを行ったり来たりでハラハラする展開だった。
文化人同士の夫婦が子供を持つ事以前に夫婦とは、人同士とは、複雑な感情をまさに解剖し自分の真実に辿る軌跡を見せてもらった。
時には選ばなきゃならない決断がある。
心を解剖、裁く
落下した父親はもう何も言わない。
人の感情は日々変化する、家族夫婦であればなおのこと、
感情に任せて放つ言葉の元には何があるのか…
我が耳で、この応酬を冷静な時に聴くと心に色々な生き物が潜んでいたことを思い知る。
しかし法廷で検事や証人にその生き物を引っ張り出されたら苦い思いも加わってしまうだろうな。
良く感情に溺れずに答弁したのだから小説家としての力量がわかる。
その力を持ったのが女性だったから検事から執拗に責められたように見えた。
子ども(息子)の存在はもちろん大きい。
ジェンダー
特に女性視点では必ず子どもが引き合いに出される。
「マリッジストーリー」のニコール(スカーレットヨハンソン)
「オッペンハイマー」の妻キティ
「小説家の妻」?妻
みんなジェンダーで搾取される立場が女性だったけれども逆だったから、興味深かった。
サンドラ役のザンドラ・ヒューラー
トニエルドマンから大好きな役者
🐶ワンちゃんにも楽しめた。
夫婦の口論で「裁くな!」ってシーンが良かったというか、肝に銘じたいと思った。
この言葉がかなり自分にも響いてきた。
#落下の解剖学
#ザンドラヒューラー
#刈谷日劇
#映画
真実に辿り着くために暴かれる不必要な真実
結論をぼやかしたまま終わる、もやっとする系のストーリーかと思わせる雰囲気で始まるが、結論はちゃんと出る。そこに行き着くまでの紆余曲折が丁寧に描かれ、その秀逸な描写に没入しつつ、色んなことを考えさせられる。結論が出たといっても、やったかやってないか、の真実はもはや問題ではなくなる。
人が死ぬ、そして、そこに不可解があると、故人も周囲の人間も、こんなにも残酷に扱われるのか。せめて子どもだけは傷つけることなく、真実を追うことはできないものか。始終、頭の中はぐるぐるするけれど、後味は悪くない、中身のある映画だった。
う~ん、不完全燃焼。
始まりから終わりまでこれといって驚くような展開もなく終始同じようなトーンで物語が進んでいく感じだった。最初から最後まで穏やかな波のような。
これが“2時間40分”という比較的長い作品だったので尚のこと個人的には“つまらなかった”というのが正直な感想。
推理小説のような文字だけがずらりと並ぶ文庫本のようなものを好んで読む人に合うような作品といったイメージ。
ザンドラ・ヒュラー素晴らしい
ヒュラーは「ありがとう、トニ・エルドマン」で知り、その後「希望の灯り」「恋人はアンドロイド」といい俳優だなと思っていた。だからこの映画で彼女がまさに適役の主役を堂々と演じたことが嬉しい。彼女も映画も監督も高く評価されたことが本当に嬉しい。
パートナーなり人生の伴侶との暮らしの中で日々互いに使う言語は、二人の共通母語=同一の母語か、各自が一番使いこなせる同一の外国語 (この映画では英語だった)がいいと私は思う。自分の母語を相手に押しつけるのは嫌だし、相手の母語を自信なく不安げに使うのも嫌だ。愛する、喧嘩する、馬鹿話をして笑う、相談するなどなど、とにかく言語が二人の間で機能しなければ嫌だ。外国語で話さなければならない裁判に出廷するなんてどんなに大変だろう。それでもすぐに同時通訳にスイッチできる仕組み(用意)がフランスにあることをこの映画で知った。日本の裁判所はどうなんだろう。
最後の最後まで、エンドロールが完全に終了して明かりがつくまでこの映画はどう終わるのかわからずドキドキが止まらなかった。知的で挑戦的、とてもいい映画だった。監督の視線や頭の中、今まで彼女が生きてきた中で何を言われ聞き考えてきたのかとてもよくわかる気がした。
おまけ
夫婦喧嘩のやりとりを相手の承諾得ずに録音するのは最低ではないでしょうか?と思う一方で、人々とのやりとりからヒントを得て小説書くのかなあ~、いやらしいなあ~、なんてことも思いました
大人のサスペンス
あまり事前に情報を入れず予告のみ観てから鑑賞した。
最近、裏があるドラマや映画を見過ぎて、非常識な奇想天外のトリック?大ドンデン返し?などと探りながら観たが、
予想を良い意味で裏切られた真面目な大人の法廷サスペンスで見応えがあった。
最近観た『変な家』とは対照的でとても面白かった。
目が離せない、興味深い
これは答えの出ないミステリー。
妻も息子も、確たる場所に立っていない。
死者である夫も。
それを切り取りこねくり回す、部外者が理解する為に…
犯罪ではない日常で、同様なやりきれなさは溢れてる。
ほんのり『シャイニング』風味
雪深く人里離れた場所で何やら血腥い事件が起こる。夫婦の不和、創作スランプ、訳あり気味の重めボブカットの少年(息子)…私はずっとスタンリー・キューブリックの『シャイニング』の既視感を感じていた。全然違う作品ではあるけど…。息子の名前、ダニエルとダニーだし。これ偶然じゃないよね?
観る前の期待値が高すぎたせいか、私的にはイマイチだった。端的に言えば好みじゃない。そもそもこういう全体的に薄暗くて見ていてモヤモヤするタイプのフランス映画が好きではない。(好きなフランス映画も勿論あるけど)
ミステリーとして見ればツッコミどころは多々あるし出てくるキャラクターに共感は出来ない。唯一の癒やしはワンちゃん(演技がすごい)だけど…ワンちゃんに対してあの仕打ちもなぁ〜…
既婚者にとってはあるある、みたいな場面もあって、うん、リアルだよなぁ…会話劇としては秀逸なんだけどなぁ…なんだろ…
単純に長いんだよな。面白くないわけではないけど。とにかく長い。せめてもう30分短くしてほしかった。この長さにする理由はあったのだろうけど。
あと弁護士役の人、美形で無駄に色気があったけど、色気出すシーンはいらなかったなぁーーー。そのへんもリアルなのかなぁ…
同じフレンチアルプスを舞台にした夫婦のドロドロを楽しむ『フレンチアルプスで起きたこと』という映画が私は大好きなのだけど、この『落下の解剖学』の監督さんもお好きだそう。少し意識したのだろうか。
前者はブラックコメディ寄りで笑えたし好きだった。
あまりに内容が現実的で私にとっては直視するのが辛い問題でもあったので、ユーモアが一切ないモヤモヤしか残らないのが嫌だったのかも。
現実もモヤモヤを抱えて生きていくしかないもんね。あー嫌だ!
それは勝利ではなく。
どんな家族にもそれぞれの秘密があり、
どんな人も完全に相手を理解することはできない。
それでも私たちは日々を暮らしている。
最後の主人公の、裁判に対してのセリフにすべてが込められていたように思う。
原因を明らかにするために、他者に問題解決を依頼するという行為は、
人を疲弊させ、罪そのものよりも深い傷を残すのかもしれない。
事実とは…1つじゃないのかも
とても地味な映画です。法廷サスペンス!という捉え方がいいのかも🤔
流行作家のサンドラは教師の夫と目の不自由な11歳の息子と暮らしています。ある日、息子が愛犬との散歩から帰って来ると、家の前で、血を流して息絶えている父親を発見します。
転落死?警察は他殺の可能性を見出だします。容疑者は妻のサンドラ。
捜査で色々な事実が見つかります。裁判でも新たな証言が現れます。鍵を握っているのは目の不自由な息子。母親が裁判で追い詰められる姿から目を逸らさず、涙をこらえながら傍聴を続ける息子。そして証言台へ。
1つの証拠も検察側と弁護側では全く逆の解釈になる。そして、それぞれの解釈に科学的根拠がある。「推定」に対抗するための「推定」。「推論」を真っ向から否定するために作られた「推論」。お互いが近づこうとしているのは「事実と思われること」に過ぎない。本当の事実とは?
それでも判決は出る。判決は本当に事実を反映しているのか?全てが疑わしいままである。誰も納得はしていない…しかし…裁定は下され、日常に戻る。
やるせない気持ちになる、そして脳みそが疲れる映画でした😅でも…カンヌでパルムドールを取るだけのものはありますぞ。是非観てください😊
人物に寄った丁寧な展開
臨場感が印象的
そこに自分も存在するような
音、息づかい
夫婦のささくれだった小さな痛みの重なりは
どこも同じなのだと
変な安堵感を感じた
見事なセリフの熱量
久しぶりに
ほんとに半世紀ぶりに
映画を楽しみたいと選んだ作品
正解だった
また、映画館に通い始めよう
ん?
個人的にはそーでもなかったかな。特に中盤(録音の再現ドラマ辺り)までは、イライラするわりに何も進まないので冗長に感じてしまった。良く作られているな、とは思ったんですけども(何様??苦笑)。
ある意味全てがネタバレになり得るので割愛しますが、思いの外長く感じる上に思いの外イライラさせられる物語なので、これからの方々は充分に休息を摂ってからの鑑賞をオススメ致します。変にドラマチックではなく、「現実の法廷ってこういうものだよね」な結末は、好み云々は置いておいてお見事だと思いました。
ユーチューブの
ネタみたいなお話(ユーチューブでは暴れて逮捕位)で睡魔との闘いに負けそうでした。
事件の真相どうのより、法廷での証言が生々しくて興味深い。周りの目の中喋らされると、思ってもいなかった事がポロッと出て来たり、興奮してペラペラして来たり、「英語ダメ!フランス語で」もキツそう。ドイツ語だと反感でも買うんですかね。
スヌープってなんで名付けたの? 大きなイヌは素晴らしいが、目が青くてちょっと怖い。
他人を見る目を一番持っているのは…
「他人のことを先入観で決めつけてはいけない」
とよく言われますが、
登場人物たちが様々なことを証言するたびに、
主人公に対する観る側の感じ方が
最後までぐらぐらと揺さぶられる作品でした。
さすがはアカデミー脚本賞を受賞した
重厚なストーリー展開。
もしかしたら、
他人を見る目を一番持っているのは、
最初と最後のシーンで象徴的な演技をする
犬のスヌープかもしれない、
と思ってしまいました(^^;
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