落下の解剖学のレビュー・感想・評価
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「真実」は時に虚構を事実にする。
真実は時に真実でないし、真実である必要もない。という事を酷く痛感します。
我々は人間として生きる上で、自分を取り巻く世界を自分の中に構築しますよね。それは自分にとって真実ですが、自分以外の人間にとっては真実ではないこともしばしばあります。それを酷く実感させられました。
最終証言は果たして真実だったのか。
被疑者サンドラが言い渡された判決は果たして真実に迫れていたのか。
「真実」とは一体なんなのか。を、考えさせられる作品でした。
それはさておきスワン・アルローの顔が良すぎて惚れ惚れしながら見てました。津田健次郎さんに似てません?
自分の心持ちで如何様にも捉えられる「真実」達。スッキリとしない展開...
自分の心持ちで如何様にも捉えられる「真実」達。スッキリとしない展開と劇場を出た後もずっとずっと残る「これで良かったのか?」感。その辺りも含め ◎な作品でした。
マジックショーのようだった。
ただただ芝居の技術の高さを楽しむ作品。
スタニスラフスキーはもちろん、
ステラ・アドラー方式の、
お互いの関係性の中で、
芝居をビルドアップしていく中でちょっとした仕草、表情を複数重ねて試行錯誤して取捨選択していくような、
訓練を受けた人たちの、
マジックショーのようだった。
状況を客観的に話す芝居、
客観的から主観が入ってくる芝居、
感情的な芝居、
それぞれ相手の芝居によってシフトチェンジ、減速加速、出力高低、すべてコントロールしている。
小説家同士、その内容と現実、
録音部分の構成等、
シナリオでもうまい部分もあるが、それらのセリフのキャッチボールが素晴らしい。
欧米複数国で、
オーディションを行なった事があるが、毎回、技術の引き出しの多さに驚く。
ロゴス(論理)、エトス(倫理)、パトス(情熱)、同じシナリオでも、
それぞれの違う伝え方、
論理だけでは人は動かない、
倫理が無ければ観客は納得しない、
情熱との按分の割合、センス、
そんな技術に関して、芝居の技術に関して、youtubeで話してます。
スヌープ・ドギー・ドッグまで、いい芝居していた。
圧倒的有利な状況
2024年劇場鑑賞48本目。
妻と夫しかいなかった家のバルコニーから夫が転落し、死亡。警察は当初事故と他殺の両方から調べていたが、他殺と断定して起訴するというもの。
しかし、こういう法廷ものって主人公が圧倒的に不利で、最後大逆転、みたいなのがセオリーなのですが今作は検察がかなり無理な主張をしており、法廷のハラハラみたいなのはないです。
この映画の前にもう一本観る予定で、一本目と1時間半あったので車でアラームかけて寝ていたら3時間半寝てて二本目見逃してしまったのですが、それでも眠くなるこの作品でした。
事故か他殺か・・・
人里離れた雪山の山荘で、視覚に障がいのある11歳の息子が、血を流して倒れていた父親を発見し、息子の叫び声を聞いた母親が救助を要請したが、父親はすでに亡くなっていた。当初は事故による転落死と思われたが、前日に夫婦ゲンカをしていたことなど不審な点があり、妻で作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられた。自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていくなかで、息子の証言が・・・さて真相は、事故死か自殺か他殺か、てな話。
なかなか奥深くて見応えあった。法廷でフランス語で質問され英語で答えるのは面白かった。
夫婦や家族の内情が法廷で明らかになるのはやれんなぁ、とも感じだが。
同じような仕事をして、妻の方が才能が有るとわかった夫は嫉妬するのだろう、とも思った。
裁判で勝っても得るものはない、という発言が有ったが、確かに、負けると失うものが多いが、勝っても得るもののない裁判ってあるよな、なんて妙に納得した。
邦題はフランス語の直訳なんだろうけど、こんな高尚なよくわからない邦題じゃあ、とっつきにくい気がする。
余白
新宿ピカデリーで鑑賞。
月曜の夜にも関わらず8割くらい入っていたような。
予告編が面白そうだったので鑑賞。
ちょっと思ってたのと違ってたかも。
手持ちカメラぐらぐら、
ギューんとフォーカスが印象的。
是枝監督が日本人キャストでリメイクしたら
どうなるかしらと想像。
終盤の夫婦喧嘩シーンが地獄!
余白たっぷりのラストでしたよ。
脚本合戦
作家夫婦の旦那が山の上の自宅で転落死し、妻による殺害か、自殺かを問う裁判になる話。
雪山の自宅で作家として働く妻と、作家兼教師として働く夫という夫婦の夫が転落死し、当時視覚障害のある息子は犬と散歩中、自宅には妻と夫だけという状況から裁判になっていく。
ダニエルの証言に繋がる部分はまあわかるけれど、客観的なことや状況証拠に繋がるものを議論する訳じゃなく、主観的に殺人の動機と自殺の動機とどっちがより有意かを問うディベート大会を長々とみせられている様に感じてしまいダルかったし、これって判決に影響あったんですか?動機がより有意な方がギルティですか?という感じ。
そして結果は……だけれど、そもそも判決に影響する議論は最初だけで、判断できずに放置だし。
ということは見るべきはそこではないということで、だとしたらそれらをもっと簡潔にして100分ぐらいで収めて欲しいもんだ。
自殺か他殺か、それはどっちでもいい
夫婦のあり方、息子の選択、全てがオープンになる法廷で家族を丸裸にする。
当然仕方ないにしても、なんて残酷なんだ。
途中で裁判長に進行に差し支えるから、出席を拒否を進められる息子。自分はもう傷ついているから大丈夫、自分で判断したいと出席する。
強い子だよ…。その後に出てくる録音記録や検察側の誘導尋問が息子に刺さりまくっているのが見えて辛い。
息子が示した主張の切実さは、私は傍聴席や陪審員のように固唾を呑んで見守りました。思い出しても涙が出そうだ。
あと犬ね。最高だったな。
話題作という事で
落下の謎を解剖していくのかと思って観ていたら全く別物でした。法廷劇と夫婦間の泥沼を解剖する作品で全くスッキリせず。視覚障害のある少年を見事に演じた子役の演技力に救われたので良かったですが。
真相は謎めいたままか?
22
ストレス感じたらあなたの負け
仕事でインタビューを受けている。
夫が家中に響き渡るくらいの大音量で音楽を流す。
ハゲチクリンの検察官にいら立ちを覚えたので、わたしの負け。
(映画作った人の勝ち)
そして、夫婦の職業、目が見えない息子、フランスの田舎の山荘に住むようになった経緯など、物語の背景が分かってくると面白くなったのでさらにわたしの負け。
(映画作った人の勝ち)
法廷でサンドラ・フラーが、フランス語から英語に切り替えて話す場面からギアが上がり、夫婦喧嘩のところで加速する。
今年映画館で観た本数は8本目だけど、「カラオケ行こ!」以来の当たり映画でした。
っぷはっ~!!!
忠犬
感想やら考察やらを書き始めたキリがなさそうな,考えさせる映画。
ミステリーでも法廷ものでもなく,家族や夫婦の本質に迫るような怪作で,圧巻は夫婦喧嘩シーンか。
不仲の原因になりそうな材料を巧く盛り込みながらあくまで知的な装いを崩さない演出と中弛みしない演技力が凄い。逆に,論点ズレまくって感情的に罵り合って発散することで維持されている夫婦・家族ってきっと多いんだろうな,と思うと空恐ろしい。
真相は誰にもわからないが,明らかになっている事実のみに基づいて何とか折り合いをつけなければならない,というのが法曹の因果な責務なんだなぁ。
タイトルなし
予告だと完全犯罪サスペンスかと思い込んでた。日本の非人格的な法廷と異なり、いろいろ民度が違う。それでも検事のクソ解釈は最低だった。
夫婦の喧嘩のシーンは圧巻だし、夫が壊れていく様子が徐々に明らかになる。
この映画の主人公は子どもだ。一人になりたいとしたのは、自分で考えようとしたから。素晴らしい。確かに彼を保護しようとしても、ネットの言説は溢れている。すべてを聞き、知らなかった親の真実を知り、父と母の間で引き裂かれながら、彼は自立していく。
裁判の夜、母に会うのが怖かったのはそのせいだ。明らかに二人の関係性は変わる。
私自身も彼が本を出せなかった同様のシチュエーションを経験したので、見るのが苦しかった。
彼女のほうが自由奔放に見えるかもしれないけれど、こんな山奥に、しかも彼の故郷についてきた彼女の適応力と優しさのほうに、私は想像が及ぶ。彼女の言葉は攻撃的に見えても、彼の真実を言い当ててるだけ、迫力がある。これだけ苦しんでたんだから、もう少し優しくできなかったかとも思わないことはないけど、こんなふうにしか断ち切れなかったのだろう。時間をシェアするという方法ではなくて、彼のやり方を拒否するという形でしか、突きつけられないのも、もともと彼のほうが先生だかで優位にあったからでもあるかも。向き合わないという彼の言葉への反応が一瞬、彼女のわがままに見えても、それ自体が男の暴力なのだということが少しずつわかる。そして、子どもが遡及的に父の言葉を理解するくだりは素晴らしい。目が見えてなくても真実が見えている。
スクリーンの中で小説を読んでいるみたい
これは観た人それぞれに違った感想を持つのだろうな、そんな風に感じられる「行間を読む」ような、まるで小説の文章をなぞり想像を膨らませる作業を映像で見せられているみたいな感覚に陥りました。
もしかすると、冒頭のダニエルが息絶えたヴィンセントの近くに立ちすくむシーンすら事実ではないのかも?なんてスクリーンを後にするときでさえ心は乱れました。
法廷のシーンは話が逸れてしまいがちで、それが主人公たちの過去を紐解く鍵にはなるのですが、やや冗長かなとも思えました。
それにしても検察側のキャラは国は違えど似たような描き方になるのですね。
見ごたえありました。
人間心理の解剖学‼️❓
少年の心、魂に寄り添い、切なくとも、苦しくて。
さすが、今年最高の脚本と演技です。
裁判の進行と、会話劇、何も浮き沈みの無い展開。
もはや、真実などなんて思う。
でも、最後に、帰宅が怖い、で、二人の罪の深さに慄く。
いろんなことが心に深く刺さりました。
冤罪の生まれ方、罪人が推定無罪で放任される姿、陪審員裁判の功罪、家庭内暴力に苦しめられる男、愛のある暴力妻、盲目の少年が愛を求める姿。
私が少年でも同じ方向性を求めただろうが、これほど冷静に、冷徹に、こなせたとは思えない。
今年、最高の、シナリオと演技でした、是非。
サスペンス風の法廷劇と家族のドラマ
予告編はサスペンス・ミステリー的な感じで宣伝してるけど、それで結末を期待すると足元をすくわれる。
率直に言って、「裁判の結末なんて」「事実なんて」どうでもいいというのがこの作品のゴールであると言ってもいい。
法廷劇ってヤツは、勝ったか負けたかが物語の結末において重要な要素であるはずなのに、そもそも刑事事件において「勝ったか負けたか」なんて、たいした意味はないんだということに気付く。
そう。
その後も続く日常においては「勝ったからナニ?」なのである。
「負けないこと」にしか意味はないのだ。
むしろ「事実に基づく正しい判決なんて誰も期待していない」のは、我々観客が「おいおい、まだ俺たちをびつさせるどんでん返しがあるんだろ?」と思いながら迎えたラストを期待していたことで、ハッとさせられる。
あ、あの野次馬メディアと俺たち同じじゃん。
「お前達観客が欲しいのは、事実や
正しさではなく、より刺激的な結末なんだろ?」
ただ、それだけだと物語としてはただの肩透かし。
次々に明かされる証拠によって容疑者が二転三転する様なサスペンスに見せかけて、実は用意されたゴールはそんな場所ではない。
この作品はちゃんと家族や夫婦、そして法廷制度やその意義についてのメッセージを投げ掛けて来ていることに、後で気付くんだ。
法廷では本来大きな武器になるはずの「言葉」、それなのにその言葉の意味の曖昧さに自らの人生を委ねなくてはならない脆弱性。
さらには母国語で話すことができない不安。
大事なことは「事実かどうか」や「客観性」ではなく「陪審員たちを納得させるだけの説得力の有無」のみ。
決して主人公の女性は、そういう意味での「清廉潔白」な人物ではない。
エゴと欲望にまみれた俗人。
でも、だからこそ我々は身近に感じることができる。
「あれ、あなたですよ。」
「どーします?」
…たださぁ。
やっぱりエンタメ風味でお客さん誘ってる分、評価は高くならないよね。
描きたかったものは…
数々の賞を受賞、ノミネートで期待値が高かった作品。ミステリーかサスペンスか…むむ、気をつけて、これはフランス映画!
いつもならその言葉にならない感情を映像ににじませるフランス作品を楽しむが、これはちょっと違う。最初の5分で英語なんだ…と思ったが個人的に、最初のシーンで音にストレスを感じ、その後も噛み合わない会話や議論にモヤモヤ、イライラ、ストレスを感じるシーンが多かった。落とし所はどこになるのか…と考えながら見るようになり、まさかとは思ったけど…やはり最後までストレスは解消されず。裁判の運び方や、激しい夫婦の口論も含めてネチッこい議論にストレスが募る。裁判さえ感情的に進められる感じが、複雑と言うより、不快とさえ感じる話の運び。夫婦のことはその夫婦にしか分からない、ってことならばここまでストレス与える話にする必要はないのでは。その個々の感情と価値観をぶつけ合う議論の流れを堪能する作品なのか?
最愛の息子を傷つけるかたちとなり、旦那を亡くし、自分の過去の不貞も暴露されつつ強くあろうとする主人公は立派。作品はともかく、複雑な心情を演じきった主演女優の演技はお見事だった。長かった、そして疲れた。
真実の真実は?
やはり証拠不十分で予想通りの結末でしたね。しかしそれだけならつまらんが検察側と弁護士側の息詰まる攻防がお見事でした。
この映画の場合、検察側が敵になるんだか嫌な感じの検察じゃ無かったなあ。
真実はハッキリしない終わり方だったが見応えあり。
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