こんにちは、母さんのレビュー・感想・評価
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温かさと瑞々しさ
正直、見るつもりのなかった一本。
寅さんシリーズ、映画「学校」シリーズのファンとしては最近の山田洋次作品に物足りなさを感じていたから。さすがに歳をとって守りに入ってしまったのかな、と。今回は大女優、吉永小百合礼賛映画なのかな、と。
それが映画評論家、秋山登氏絶賛の評を読み、映画館へ。
見事に裏切られた。
山田洋次監督、健在!
秋山登氏の言う「古き良き時代への郷愁がほのかに香り、芸も品もあって、爽やかに私たちの心を和ませる。」 まったくもって同感。
吉永小百合はやはり吉永小百合。艶やかな存在感を放つ。息子の大泉洋をはじめ、中心にいる人も、それを囲む人もそれぞれに美しい。一人として監督の温かな眼差しが注がれない人がいない。
寅さんもそうだった。脇役の1人に至るまで丁寧に、愛ある描き方をされ、嘲笑、蔑みが一切ない。「こんにちは、母さん」もその世界だった。
有名俳優の演技はもちろんのこと、とくにホームレスの男性イノさんを演じる田中泯が素晴らしい。吉永小百合と同い年、78才。戦争の記憶を今も引きずるイノさんに託した監督の深い想いが伝わってくる。
良い作品に出会えて幸せ。
吉永小百合と大泉洋が…新鮮!
これまでの吉永小百合+山田洋次監督による母シリーズ3弾…。
吉永小百合と大泉洋の親子が…新鮮でやり取りがコメディっぽく面白く最高でした。永野芽郁がすごく可愛かったです。
天才!!山田洋次監督、もう一度観たい作品
山田洋次監督って本当に天才だと思う。
どこにでもある普通の日常を、どうしてあれ程までに笑いと涙を誘えるのだろうといつも思う。
映像や、演出、俳優さんたちの演技力はもちろんなのだけど、本作を改めて観て思ったのだが、山田洋次監督って「詩人としても天才」なのですね。
また、本作は「男はつらいよ」でもお馴染みの朝原雄三さんとの共同での脚本なのですね。
ここから少しネタバレ。
主人公の昭夫(大泉洋さん)の母である福江(吉永小百合さん)が、思いを寄せている牧師(寺尾聡さん)にひどいことを言うときの吉永小百合さんの怒った顔がスンゴイ可愛い!!
孫の舞(永野芽郁さん)が福江に「先生に言ったの?好きだって」といったときに、「言ってもらうまで待つの」というときの吉永小百合さんがスンゴイ可愛い!!
先生との失恋の後に、家でお酒を飲んでいるときの吉永小百合さんがスンゴイ可愛い!!
また牧師さんが軽トラで駅まで?空港まで?送ってもらうときのボランティア仲間に送ってもらうときのやり取りがちょっと涙ウルっと来ました。
「男はつらいよ」ファンの私としては、北山雅康さんや神戸浩さんが出ていたのは嬉しいですね。
今日も山田映画で、癒されました(^^)
下町風情
「男はつらいよ」の現代版という感じでしょうか。以前、柴又を散策したことがありますが、向島もそれに似て、昭和な感じがいいですね。令和の時代だって人情はある、そんな山田洋次監督の矜持が感じられました。吉永小百合さんも美しければ、寺尾聰さんもカッコイイ!あんな老人になりたいなって憧れてしまうような作品でした。「男はつらいよ」では、車寅次郞と渥美清が自分の中で完全に一人の人物になっていますが(笑)、今作の大泉洋もそんな感じがしました。大泉さんの役は寅さんではなく、博に近いのかな~。寅さん的なところは宮藤官九郎が担っていたような…。当て書きされてたのかもしれませんが、まんま大泉洋でした。そういう意味では、YOUさんもそのまんまでしたね(笑)。
これぞ松竹映画だね
何気ない日常を巧みに切り取り、そこに息吹を感じさせる。昔ながらの松竹映画を見せてもらいました。好かったです。
生きることの悩ましさが感じ取れる、誰にでもある心の機微を笑いのオブラートに包んで表現しているところは最高ですね。
山田洋次はやっぱりさすがでした。
弱くて、脆くて、崩れやすい人間に寄り添う目線を見失ってない。
令和の時代に古臭い人情喜劇なんか見せられてもなあ〜と思って公開されても暫く足が映画館に向かなかったのですが、鑑賞したところ、ちらほら令和の会社の所作に違和感は感じたもののそれを覆すだけの人の心の襞を一枚一枚ていねいに剥ぎ取りながら魅せるのは、いやぁ、あっぱれ!!
あと何本見れるかわかりませんが山田洋次の次回作、期待してます。
現実だったら大変だけれど
映画っていいですね
もう実現できない事を疑似体験させてくれる
母親を早くなくした
だから娘がいる50の息子が母親と話すなんて体験は、とても心地いいんです
しっかり家族している
娘との会話にしてもそう
働き出した上、実家に住むんだったら少しは家にお金を入れなさいと行ったんですが、全く守らないので勘当してます
たったの2万円ですよ
もちろん、家計も助かりますが、社会人として自覚してほしいんですよ
血の繋がりとか、あまり重視しないんで、生き方の合わない人間に用はない
いつ出ていってもかまわない
自分の人生から抹消することにしている
だから、何やかや言いながら繋がっている家族にはあこがれる
ただ、老人の恋愛については冒険しませんね
だから、山田洋次とも言えるけど
少数より多数が要求する生き方だから、安心感があるんでしょう
僕は不満ですけどね
家なんか放り出してついて行けばいいのに
愛より自分の存在意義が勝るなんて古すぎますよね
結末はある意味清々しいですが、これが現実だったら大変ですよね
大会社で部長をやっていたといっても、人事ですよ
スキルも何も無い50歳の男にそうそう仕事はありませんよね
永野芽郁は山田洋次に気に入られたようです
山田ファミリー入りですね
気になったのは、彼女のファッション
身体の線の見えるニットにジーンズ
まるで色鉛筆みたいなんだけど
流行ってるのかな?
このあたりは、田舎者のオッサンにはさっぱりわかりません
よくわからないけど、昭和っぽく、ほっこり
大泉洋と永野芽衣が観たく、鑑賞。
そして、大女優吉永小百合の映画、初めて観た汗
なんとも若々しい。。。
そして、あの歳で恋愛か、素敵です。
私は大泉洋の年代に近いので、自分の母を思い出しながら鑑賞。
あ、母は健在です笑
ただ、遠方に住んでいるため、コロナ禍は一度も会っておらず。
大都会東京、高層ビルの会社を描いたかと思えば、
下町の昔ながらの風景を描いてみたり。
何が言いたいのかさっぱりわからなかったけど、ほっこり。
寅さん、観たことないけど、こういう世界観なのかな。。。
間違いなくオススメ! 母親とその息子が織り成す人間模様が良かったです。
足袋屋を営む母親、そして家業を継がず大企業の人事部長になった息子の周辺の人間模様が、巧に描かれていました。
「こんにちは、母さん」というタイトルは、大人しい控えめな印象ですが、ほのぼのとした人間味のある、暖かな内容の映画として、私には秀逸な出来映えだと思いました。
名匠・山田洋次監督、そして、吉永小百合さん、大泉洋さん、寺尾聰さんなど、実力派の俳優陣が勢揃いし、とても見応えが有りました。
また、音楽は千住明さんが手がけ、妹の千住真理子さんによる名器ストラディバリウスのヴァイオリン演奏が、この作品に華を添えています。
エンディングに流れる、打ち上げ花火も、とても美しいです。
「最近は、中身の無い、つまらない映画が量産されるようになった」と思い、映画館から遠ざかっている方は、是非この作品を観て、映画の良さを実感して欲しいと思いました。
庶民を描き続けてきた山田監督の「下町」へのノスタルジーであり、レクイエムです。
■先ずは語らしてくれぇ~(^^ゞ
懐かしい『寅さん』の世界が帰ってきました。
「男はつらいよ」から変わらぬ下町の人情描写も、今やファンタジーめいてしまいましたが、ある種の理想郷として羨ましいものです。そして、作り込んだセットといいメリハリを利かせた演出といい、なくしてほしくない日本映画の粋が凝らされているのが本作です。
下町とは元々、城下町のことだという説があります。しかし、今では「庶民が暮らす町」との意味で使われています。そのイメージを作り上げた一人が山田洋次監督といっていいでしょう。山田監督は、庶民の町としてある意味ユートピア的な「下町」を描き続けてきました。新作の舞台も、隅田川沿いの「下町」です。東京スカイツリーがそびえ立つ東京・向島です。
そして 日本の監督で《品格》といえば、まず山田監督があげられることでしょう。なにより芸術家を気取らないし、職人ぶるより観客の視線を忘れない監督さんです。
これは、その山田監督の最新作です。今月13日で満92歳、これが監督作90本目という。そんな老大家が、このような巧緻で瑞々しい作品を手掛けるとはただただ感嘆するしかありません。
■ストーリー
主人公の昭夫(大泉洋)は、丸の内にある大企業の人事部長。同期の友人がリストラされると知りながらどうにもできず、会社勤めがほとほと嫌になっています。妻とは離婚協議中で、家を出てひとり暮らし。大学生の娘(永野芽郁)との関係もうまくいっていません。
ある日、昭夫は向島の実家を訪ねます。そこには母の福江(吉永小百合)が、細々と足袋店を営みながらひとりで住んでいました。ところが福江は以前と違い、髪を染めておしゃれをしていました。恋愛までしているようなのです。
時が止まったような福江の店には、様々な人々が集まってきます。ホームレスを支援するボランティア団体の仲間たち。そのグループのまとめ役の牧師、荻生(寺尾聰)がそのお相手。昭夫は母親の変わりように大慌てです・
実家には、他に昭夫の娘で大学生の舞(永野芽郁)が、家出して福江の元に身を寄せにやってきます。さらには、リストラを宣告された会社の同期まで、昭夫に文句を言いにやって来てひと暴れするのです。
■解説
『男はつらいよ』を彷彿させるドタバタ劇を、山田監督は江戸落語のようににぎやかに、テンポよく語かけてくる本作は、寅さんファンとして凄く心地いいものでした。
日本の母親を山田監督が描くのはこれで三作目。下町の人情を背景に福江の恋模様を描くコメディーですが、それだけではありません。山田監督は現代社会に強いまなざしを向けて、企業の非情さや働くことの意義、老いの不安、戦争の傷痕まで織り込んだのです。
・福江と教会の牧師との高齢者の恋と下町情緒
メインとなるのは、ぎこちなくお互いを思いやる福江と教会の牧師との高齢者の恋。切々と描かれます。そして寅さんが福江に乗り移ったかのような、恋の結末。山田監督ならではですね。
そんな福江の日常を描く下町情緒にも抜かりがありません。例えば、鍵をかけずに留守にした福江の家に、ボランティア仲間が勝手に上がり込み、お茶を飲んでいたりするのは下町ならではでしょう。
そこかしこのユーモアの程もいいです。俳優の扱いもうまいものです。昭夫が重役に“啖呵”を切るくだりの、大泉のなんとかっこいいことでしょうか。福江が荻生に告白めいたことをほのめかして“冗談よ”と言う場面の、吉永のなんとかわいいことでしょう!
・人員削減に悩む息子~大きな組織の非情
つぎの要素としては人事部長という立場と友情の板挟みとなる昭夫の苦悩が描かれます。昭夫は、会社では人員削減の責任者として悩んでいました。そこに学生時代からの親友で同期入社の木部(宮藤官九郎)も対象となっていることが判明し、木部からから何とかならないのかとにじり寄られるのです。
昭夫は、人事部長として人を切る側となります。しかし福江はこう言うのです。「切られるほうが良かった」。息子は「切る」仕事に疑問を抱きはじめます。母に近寄ったかに見えますが、そうではありません。
この件で、山田監督の演出のいいところは、リストラを大企業の横暴と断罪しないことです。ひたすら昭夫を悩ませ、人を切る側の辛さを滲ませることで、大きな組織の非情を観客に感じ取らせようとするのです。
・母と息子の関係性
さらに全体を通じて描かれるのが、一人前に社会人となった息子と、年老いた母の関係性です。
人の生き方とは何か。90歳を超えた山田監督は、これまで長きにわたって、そのことを描き続けてきました。本作は、そこから一歩も二歩も踏み出しています。母と息子の関係性の中に、ちょっとした距離があるのです。うまくかみ合わない、修復されたように見えて、そうはならないのです。象徴的なシーンは、後半の酔った母が本音をぶちまけるところ。昭夫は深く考えず、微妙な態度を見せます。グサッとくるシーンです。
またリストラのことでどうにもならず追い込まれていた昭夫に、「ここは母さんの出番だね!」と福江が立ちあがるところでは、たとえ何歳になっても、母親は母親なんだと思わせれてくれました。
映画を見た人はご自身のことを振り返るのではないでしょうか。母と息子の双方にまたがって、ご自身の生き方を痛切に思われることでしょう。受け止め方は年齢、性別によって違います。心が引き裂かれる人もでてきましょう。わたしも、そうでした。わが母のことをよく分かっていませんでした。それは正直辛いことに感じたものの、映画を見る幸福がはここにあると思います。
映画が終わった帰りの道すがらも涙が止まりませんでした。映画に関連して、近年亡くなった自分の母のことを思い出したからです。もっと多くの人が本作に接してほしいものです。
・滲ませる現代社会に強いまなざし
山田監督の作品には、社会的な問題点を間接的に浮かび上がらせる演出に長けています。例えば本作でも、お上の世話になりたくないと生活保護を断るホームレスに、庶民の意地とプライドを語らせます。もはや町からは消えた東京大空襲の記憶を、唐突によみがえらせたりもします。
それでも表向きはあくまで人情コメディーの領域をちゃんと守っているのです。しかしどこか不穏な空気が漂っています。
・「下町」へのレクイエム
昭夫は「下町」から隅田川という「境界」を渡り、出世しましたが、庶民の心情を捨てきれていませんでした。エリートの世界になじめず帰ってくるのです。福江の足袋店を映し出す映像は、端正で美しいのですが陰りがあります。セットは生活感を見事に表現しているのに現実感が薄いのです。
そこにたたずむ母も、スターのオーラをまとう吉永が演じていることもあり、過去の亡霊のようです。終盤、福江は老いへの不安を延々と語ります。消えゆく「下町」の運命を嘆くように。
庶民が「持たざる者」であるなら、今や東京で暮らすのは難しいことでしょう。「下町」は失われつつある記憶の風景なのです。しかし、分断の時代にわたとたちが帰る場所は、そこしかないのではないでしょうか。
これは庶民を描き続けてきた山田監督の「下町」へのノスタルジーであり、レクイエムでなのです。
■感想
吉永が「どっこいしょ」と立ち上がるなど、端々におばあちゃんらしさも漂う役を演じて好感です。ラストの晴れやかな笑顔にサユリストもご満悦では。山田監督もいわばサユリストのひとり。成島監督でさえ、主演する吉永に忖度する映像を見せつけたものですが、本作でもどこか吉永への配慮を感じるものがありました。息子の葛藤や対応には現実感が薄く、なんでそうなるかと疑問符の連打。
また祖母の引き立て役でしかない孫娘にも一波乱ほしかったです。
可もなく不可もなく…
何か事件が起きるわけでもなく、下町のある家族の日常を淡々と綴った内容。
ある意味、予定調和といえば予定調和だが、それ以上でもそれ以下でもない。
最終的に何を伝えたかったのかもよく分からなかった…
試写会だから観たけど、お金を払って観るかと言われたらそれはないかな。
スカイツリーと屋形船
東京在住の方々には、やはり『スカイツリー』と『屋形船』には並々ならぬ思い入れがあるのでしょうか。本作なかでは「乗れなかった屋形船」「遊びに行けるスカイツリー」と今昔対極のように年代分けがされているのが印象的でした。そして片や恋人ができ、片や離婚し職も失う… 昭和と平成の差もあるのでしょうか。
ただ、ラストはお互いの世代を越えてみんなで江戸から続く花火を楽しんでメデタシメデタシと爽やかな締めでした。時代は続いていくのだよ。
牧師の荻生さんが福江さんに気持ちを打ち明けようとしたとき本編で初めて「母さん」のフルネームが出てきて「やっぱり荻生さん意識していたんだねぇ」と思うと共にそれにより母さん(福江さん)が一人の恋する女性に変わっていくところは粋で素敵でした。
そうですね最近はどこも『粋』が少ないですかね。
鑑賞後はスッキリした気持ちで劇場をあとにすることができました。
濃い味の映画もいいけれどたまには良い素材で作ったお茶漬けなんかもサラサラ食べるの感じもいいのかもと思いました(こればかりでは飽きますけれども…)
今回いちばん印象に残ったのは『田中泯』さんの軽やかでいて力強い演技でした。橋の上での昭夫とのやり取りは引き込まれました。
さっぱりしたキャラの役者さんたちの中でひときわ異彩を放っておられ、今回イチのお気に入りでした。格好良かったです!
最後に、こういう作品は当分出てこないのかなと少しばかり思いさみしくもなりました。
それぞれに頑張って、苦労があって、でも幸せ
山田洋次監督の作品は、どうしても見たい。吉永小百合さんもそうだ。となると、それだけで見てしまう。大泉洋さんは何をしてても笑えるツボがある。
山田監督に家族を描かせたら、問題が起きるけれど平和的に解決する。いや、解決なんてその人の気持ち次第だということに気づいてしまう。泣き、笑い、あっという間に終わってしまった。
人事部長職を捨て、この後どうするまでは描かれなてないが、人生は自由でいいんだと後を押してくれているようだ。
素晴らしかったです^_^
御年92歳の山田洋次監督。最初に拝見したのが子どもの時見た半世紀前の作品「家族」でしたが、その後も一貫して市井に生きる人々の泣き笑いを濃密に描かれていたように思います。しかし描き方は多分その時々の最新の技術やテーマを貪欲に取り入れていて、作品に新しいいのちを吹き込んでいるように思いました。
例えば、昭夫が働く丸の内の巨大なビルを捉えるシーン。無数のしかし整然と並ぶひとつひとつの窓は、高密度映像で映写されていて、手でひとつひとつ触れられるような感触でした。巨大な組織の中で組織の論理として動かざるを得ない昭夫の様子を象徴する映像で見事でした。
また、夕方暗くなってきた部屋で、電気も付けずに福江がお酒を飲んでいるシーン。畳を僅かに照らすばら色の光や夕陽に照らされて燃えるように輝く庭の菊の黄色が、歴史ある下町の温かな雰囲気をよく象徴し、それが福江の心を静かに包んでいるようで、とても美しいと思いました。あの色は10年前には出せなかったのではと思います。
ちなみに、永遠の清純派が高齢にして恋をする役を演じる。そんなのあり?と思ってしまいますが、でも御年78歳にしてはあまりに美しい吉永小百合という大女優を前にすると「すみません」と頭を垂れるしかありません。
「貞女二夫を見ること果たして敗徳ならば、貞男(ていだん)もまた二婦を見るべからず。彼に厳にして此に寛なり、偏頗(へんぱ)の甚だしきものと云うべし。」(「福翁百話」)。福沢諭吉が100年以上前に女性の再婚について触れたエッセイの一部です。山田洋次監督が「未亡人」という言葉が大嫌いと仰っているのを、キネマ旬報の特集で読みましたが、多分同じ趣旨だと思いました。「やもめ」は男女とも使いますが、「未だ亡くなってない人」は男性には使いませんからね。希有の存在である吉永小百合という奇跡のような大女優を得て表現したかったのは、男性も女性も年齢にかかわらず、自分の感情に嘘をついて生きるのはやめ人間らしく生きようよということだったのかもしれないと思いました。これはジェンダーや多様性という今日的なテーマでもあるよなと思った次第です。
何はともあれ、素晴らしい作品でした。
「日本映画」の香り…
この情景を観られるのも、もう最後かもしれない。
東京の下町で、人情を感じる。悲しい出来事でも、辛い出来事でも、そんな日常を喜劇として魅せてくれる。
令和版「東京家族」のようだった。
永野芽郁の初登場シーン、可愛すぎて悶絶した。
心が温まりました
映画の宣伝を見て、見てみようかなーと思って見ました。
大泉さんと吉永さんが親子ってどうなの?と思ってたけど、素晴らしかった‼️
2人の自然な空気感がとってもよかった。
なんでお母さんに、こんにちはなんだろうかと思ったけど、なるほどね。
私は家に帰るとただいまというから、こんにちはというのは違和感だったけど、結婚して離れていたらまた違うのかな?
さすが大泉さん、なんでもないようなことでクスッと笑えたし、官九郎さんのダメ親父っぷりも、わかるなーって。女性の肩触るのもセクハラですよ?w
逆によく人事でそれが問題にならなかったですね(笑)
めいちゃんのピンクの髪とか赤い服がめっちゃ似合ってて、かわいかった!花柄のワンピースもよかったですね。反発しながらもお手伝いはちゃんとしてるところとかも、いい家庭に育ったのかなと見えるところでもありました。
吉永さんの着物姿も美しかった!
母親の恋となると、子供としては複雑かも、、。
でもアイドルの追っかけとかで生きる楽しみになるならいいかなーとは思う。
ラストの2人の親子の感じが、決して幸福ではないけど不幸でもなくていいなーって思いました。
最初の方で大泉さんが言ってたセリフでとてもいい言葉があったんだけど、、忘れてしまいました。゚(゚´Д`゚)゚。
あと見ていたら、酸辣湯麺とお煎餅がめっちゃ食べたくなりました(笑)
人間味を感じた
山田洋次監督作品は詳しくはないけれど、いつもなんか、こう、人間味溢れるものばかりのような気がする。
会社という組織に苦しむ姿はまるで自分のようで泣けてきたなぁ……
そんなしがらみから抜け出たいといつも思っている自分だけど、映画観て、もうちょいがんばるかなぁ……と思ったのでした。
嫌な組織の中でも私は人間味溢れる管理職でいよう!と思ったのでした。
何が言いたいのかわからないけど、わりと好きです
このお話を通じて何を伝えたいのかは、よくわかりません。
お母さんの家に出入りする近所の人達や、牧師さんに名刺を渡したときの反応からすると、主人公は本当に有名な大企業に勤めているのでしょう。
で、人事部長をやっていて、同じ会社に勤める友達をリストラしなければいけないので苦しんだというのですね。
それも、友達は入社以前からの付き合いで、大学生の頃には友達から頼まれてラブレターを代筆をして、それが結婚までしているのだから、そういう一番照れくさい相談事をされるような親友だったのでしょう。
奥さんとは半年前から別居中で、娘は母親が「お父さんと同じくらいのいい会社に就職しなさい」などといって将来の夢とか自分自身の望む将来に興味を持ってもくれないので家を飛び出しておばあちゃんの家に居候。
お母さんはホームレス支援のボランティア団体の活動に打ち込みつつも、息子である主人公が50歳近いというとおそらく70代や80歳くらいの高齢だろうに、死別した元夫を大切に思いながらも、残った人生を幸せに生きようとしている。
登場人物の多くが、普通に現実であり得る範囲程度で色々な悩みや思いを抱えているのは、物語の舞台としては親しみを感じるものでした。
お話を通して主人公が何か成長したとか、世界が救われたとか、よくある物語にありそうな、物語を通じて何か変わったものっていうのがわかりにくいお話でした。
だって、親友を助けたのと引き換えに主人公自身がクビになったけど、その理由がわかりません。
よくあるのは、その決断に至らしめるような、価値観に影響を与えるような出来事が描かれることでしょうが、半分呆けて戦時中の話をしてくるおじいさんと会ったり、別居中の妻から離婚を切り出されたり、一見関係のなさそうなことしか起こっていません。
日常の中で、特に大きな何かが起こったわけではないけれど、自分自身の中にあった経験なのか性格なのか、何らかの要因で親友を助けて、元々性格に合っていなかった人事部長の仕事を自分の意思で手放して無職になった。
失業したけれど精神的なストレスからは解放されてどこか晴れやかっていう、ハッピーエンドではない結末です。
映画のために作ったドラマというより、ありふれた中年サラリーマンの人生の一部をそのまま切り取ってドラマにしたような、あまりドラマチックではないドラマだと感じました。
でも、だからこそ難しいことを考えずにダラダラ観られます。
「この映画のここが好きだ」というような明確さはないんだけど、なんとなく親しみを感じて、わりと好きになれるお話でした。
みんな心があたたかい「山田洋次」の作品。
山田洋次監督の作品は人間関係の勉強になる。普段はこんな態度を取っているが、本心は別の所にあったり、思っていることがそのまま正直に表れてしまったりいろいろな人を観察することができる。主人公の昭夫と福江の母子の心理状態も見れば見るほど面白い。大会社の部長という役割を演じ続ける昭夫は母には素のままで遠慮がない。福江は出世した息子を立てながらも、こちらも遠慮がない。それは社会での役割りを離れれば、いくつになってもすぐに母子の関係に戻れるということだろう。昭夫は会社や家庭での悩みを持ち込んで母に甘える気持ちがあったろうに、母はボランティアでホームレスの支援に忙しくて十分な相手ができず、少し淋しい気持ちを持ったようだ。母に好きな男性がいると知って猛反発するのも、大げさな演技で笑えるがいつまでも自分にとっては母のままであってほしいという気持ちの表れだろう。ラストの花火のシーンで昭夫の誕生時の気持ちが母から語られるが、なるほど母の子に対する思いというのはこういうものだと気づかされる。吉永小百合が演じると、何か特別に美しいものに感じてしまう。
昭夫の娘である舞がとてもいい効果になっている。母と息子だけだと単調な話になりがちだが、いいアクセントを与えている。舞が祖母の恋を心から応援する姿は可愛らしいが、女同士、祖母と孫という関係性だからこそできるのだろう。
舞も自分の生き方に悩みを抱えて家出をする。昭夫の友人木部もリストラされる不満を見当違いと分かって昭夫にぶつける。ホームレスのイノさんも戦争以来人知れぬ悩みを持ち続けているようだ。誰もが人生を精一杯生きていて、心があたたかい。そんな人ばかりだから山田洋次の映画は広く愛されるのだろう。
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