流浪の月のレビュー・感想・評価
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広瀬すずがすごい!!
本屋大賞を獲った原作もリアルタイムで読了して、素晴らしい小説だと思いました。
映画化されると知ったとき、主人公に広瀬すずがキャスティングされていて少し不安を覚えました。松坂桃李はめちゃくちゃ好きだけど、広瀬すずはそんなに演技がうまいという印象がなく、この主人公の繊細な心情を表現できるのかと思ったからです。
しかし、この映画での広瀬すずはすごい!まさに迫真の演技で、彼女の演技の中でも最高のレベルなのではないかと思いました!
「流浪の月」の広瀬すず、本当にすごいです!!
二人だけの秘密
この物語の背景にあるのは、世の中に、
①家族からの性暴力に苦しむ人がいる。そしてそれは人に言いにくい。(言えない。)
②性犯罪の加害者、被害者、双方に向けられる世間の目。(実際、性犯罪は再犯率が高い。)
という現実です。
この暗く重い物語の中で主人公を支えているのは「二人だけの秘密」です。
・子供だったサラサ(広瀬すず)は、自分の秘密をフミ(松坂桃李)に話した。フミは黙って受け入れた。①に耐えられたのは、その存在ですね。
・一方フミが自分の秘密をサラサに話したのは、再会後の最後の最後でした。
そしてサラサもそれを受け入れた。ここで「二人だけの秘密を共有」できたのです。
そうして②にさらされても「二人で流浪する覚悟」ができた。
「月」は、暗い空の中に1点明かりを放つ「秘密を共有し理解し合える存在」の象徴ですね。
・・・・飽きないで見られましたが、難しい映画でした。レビューを書き終えるまで評価点さえ決められませんでした。
とりあえず亮にリンゴ剥いてあげたい
更紗ちゃん、文といる時はほんとに自然で楽しそう。それ以外では生き苦しそう。その演技が上手だなと思いました。この中では1番強い気がする。
文は、これ原作読まないとちゃんと分かんないけれど、病気によるコンプレックスがあったから同じ様な子供(更紗)と居て楽だったのかな?それともそれプラス小さい子が好きなのか?どっちかによって少し見方が変わるけど。前者なら凄く理解出来るし、後者だとしても人に言えない性癖を持ってしまうことは、自分を認められず辛いもの。
亮はまつ毛が長い顔がいい…笑
亮は、かわいそうで凄く良かったです。んー、このまま過去に囚われたままでもいいし、誰かが救い出してもいい。
1番弱いのは亮なんだよね。りんご剥きながらの心配してくれてるの?は捨てられた子犬みたいで可愛かったですね。この役凄く横浜さんあってたなと。凄い美形の方が似合うと思うのでこういう役は。
2人は一生行為をしないんじゃないかな。でもそんな事しなくても心の底から繋がってる2人だと思うので、薄暗い光の中2人で漂って行くのではないでしょうか。そうすることで文も自分を愛せるようになれたらいいな。
落ち込みたいあなたへ
何か主要キャスト揃って闇抱えてて、丁度気分的に落ち込みたかったんでズドーンと奈落の底に突き落とされていい感じ?でしたw
ただ、結局フミはロリなのか?成長止まった(マイクロ的な?)なのかがよく分からんかったが更紗的にはそーゆー関係は苦手だから丁度良かったってことなんかな?趣里の娘はどーなった?とかモヤモヤした。
ハマる人にはハマるでしょう
女流作家×韓国監督
好きな人は絶賛でしょう。
あまり好みではなかったのですが俳優陣の演技に引きこまれていました。でもなんにも心に残ってない。
この組み合わせがお好きな人はどうぞ。
恋愛って幸せは人それぞれ
誰でも隠したいことはある・・・・(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪
広瀬すずさん松坂桃李さんの演技にぐいぐい引き込まれた。
小説もなんも前知識入れないで鑑賞したが愛よりも切ない物語だった。
お互いの利害が一致しての恋愛?とか勝手に思いながら鑑賞していたが・・・・。
映像も暗い場面が多いのでぜひ映画館で見てほしいと思った。
松坂桃李さんってこの映画のために痩せたの??俳優さんってすごいなぁそこも見どころです。
ひとつの愛のカタチ
わかる気がします…
こんな風に簡単に言うべきじゃ無いのかも
知れないけど、この2人の愛のカタチを
理解したいです
彼氏、彼女をパートナーと呼ぶ世の中で、
少女と青年
母親と息子
幼児と紳士
お互いが求め合い
セックス等を対価としない愛のカタチ
皆言葉として表す事が無いだけで
沢山有るのでは無いでしょうか…
間違った性癖のように、一括りには出来ないような
気がしました
でも、当事者の身内になったら理解するのは、時間がかかるのかもしれませんね
何事も否定的にならずじっくりじっくり、その人の立場に立って、人の話を聞く様にしたいと思いました
役者さんの演技を見ようと思った。
原作がどうなってるのかわからんけど、
最後のショックなネタバレで、オイオイ、
て思ってしまった。
まあ、途中でもう、演技を、見る映画として見てたから
それなりによかったと思う。
だって、最初の犯行の年齢と、後の年齢が
よくわからないし、あんな喫茶店経営出来るのか?
とか、バカラのグラスもらったの?買ったの?
わからんだらけだから。
ずっと、最初の誘拐の時に、実際に強◯な事?は
やっていないと思われる描写だったけど、
あれだから、やってないってのは確実になった。
サラサちゃんが、もし、何にもされてないって言って、
自分から付いてったとしても、いろいろ検査されるわけで、
あー、やってないってわかる。
まあ、いとこに、何されたかは、わからん。
男だって、調べてられるから、あっ、こんな病気だってわかるから、
罪になったとしても、誘拐の方だけ。
実家も裕福みたいだから、何もあんな木造の物置で監視しなくてもなー。とか。
でも、桃李も、スズも、流星も、頑張ってたし、
多部ちゃんもよかった。スズは、だんだん姉に似てきた。
あの街角ダイアリーから観てるもんからしたら、
ちょっとショックだったけどさー。
社会派というより文芸作品かな
まず、広瀬すずちゃんの彫刻の様な美しい顔立ち、目力が、感情表現を増幅させていた。
テレビインタビューで、自信のなさを吐露されていたが、そんな内省的な彼女だからこそ、この役を好演できたとも思う。
松坂桃李くんは普段の飄々とした奥ゆかしいイメージと違って、役作りも作品選びもストイックですね。本当にカメレオンだし、これから長きにわたって映画界を牽引するんだろうなぁと確信。
横浜流星くんも、どうしようもない感じがダダ漏れで素晴らしかった。新境地開拓。
原作未読ですが、私はこの映画は映画で1つの作品として受け止められました。
文は人格形成にも影響を及ぼす性的疾患を抱えながら、母親から真の愛情を受けられず、闇を抱え続けている。更紗も母親に捨てられ性的虐待のトラウマを抱える。亮も複雑な家庭環境で育ち、DV気質に。それぞれが内面に負のマグマを持ちながら、安息を求めている。ある意味とても純粋な彼らに対し、強権力バリバリの警察や暴力的なSNS、マスコミは違う次元で必要悪として描かれる。正直、あまりに世界が違うため、混乱した。文芸作品の中に薄汚い現実世界の暗部が乱入してきた感じ。
陳腐な表現だが、人間の魂は分かり合える相手を探すもので、それは年齢性別等を超越することも、ままあり、そんな多様性をみんなが理解できれば、人間はもっと幸せになれるってことかな。
映像もとても美しくて、李監督とホン撮影監督の相性の良さを感じた。
備忘録のつもりが、レビュー長、、、
「かわいそうなんかじゃない」
タイトルは胸に響くセリフでしたが、敢えて本作の内容には触れずにレビューさせて頂きます。
本作品は李監督ならではの、言葉に形容し難い各々が抱える孤独な空気感が儚くも寂しげに、よく描かれています。
描ききらないことの美学がひしひしと伝わる一方、やや観る側に委ねすぎているようにも感じました。
『流浪の月』というタイトルをもっとこの作品の核として、描いて欲しかったです。ですがラストシーンは雲の間から「月」のもつ暖かさが垣間見えたかのようにも思えました。
この作品を映像化するのは相当難しいことと思われますが、それぞれが深く考えたくなるような、味わいのある作品ではありました。
悍ましくも美しい純愛物語
2022年映画館鑑賞22作品目
6月6日(月)イオンシネマ石巻
原作未読
監督は『69 sixty nine』『フラガール』『悪人』『許されざる者 (2013)』『怒り』の李相日
雨が降る公園でベンチに座っていた少女時代の更紗は文という男に傘を差され声をかけられた
更紗は「家に帰りたくない」という
両親に捨てられ母方の叔母の家に住むことになったが中2の従兄弟に毎日のように性的悪戯をされるという
文はそれならばうちに来ればいいと意気投合した2人は同棲生活を始める
それを世間一般は誘拐と呼ぶ
楽しい毎日だったが当然のことながら長続きはせず文は逮捕され更紗は保護の名の元に引き離される
「ロリコン誘拐犯佐伯文」「洗脳された可哀想な更紗ちゃん」
それから15年後おとなになった更紗は職場の同僚と珈琲店に入るとそこの店主は文だった
更紗は1人で何度も通うようになり馴染みの客になる
なにかと更紗を束縛する彼氏は文と会うことに反対し激しい暴力を加える
血塗れになって逃亡した更紗は文の元でまた一緒に暮らすことになる
ところがそれを世間は許さなかった
ネット民にマスコミに警察
彼らの歪んだ正義感と悍ましい偏見そして嫌がらせは2人を悲劇へと導く
だがかえってそれが2人の絆をより強くすることになる
1人じゃないから
明日はどこへ行こう
結局のところマイクロペニスの男と幼い頃に性虐待を受けた女の純愛物語である
少なくとも僕は純愛とみた
2人とも所謂セックスレスなわけだがだからこそ純愛が成立するのかもしれない
たけしも志村もコントで男女の仲はセックス次第と言ったがたしかにそうかもしれないがそれだけではあるまい
原作者はBL作家らしいがそれを知るとなるほどそれらしい視点の作品と言える
マイクロペニスについての詳細を書くと削除されそうなので興味があるなら各自でネットなどを利用して調べてほしい
濡れ場と暴力シーンがエグすぎる
広瀬すずのオッパイが露わになるのではと期待と不安が入り混じったが杞憂に終わった
亮の更紗に対するDVに至っては惨すぎてとてもじゃないが見てられない
李相日監督の良いところはCGを使わないところだろう
生の人間と人間のぶつかり合いで勝負する
それには役者に対して高い演技力が求められ執拗なまでに妥協を許さない
脚本とかカメラ割とか原作との相違点とかそんなもんは二の次で役者の芝居が一番重要だと断言する自分にとっては彼の作品はわりと相性が良い
松坂桃李はいつもの松坂桃李でこういう引き出しがあってそれを出したまで
だけど広瀬すず横浜流星多部未華子趣里の4人は明らかに李相日の演技指導が功を奏したのか過去と比べて断然良かった
趣里はあのキャラがハマっていたしあゆみが文を問い詰めるシーンでの泣きじゃくる多部未華子は心を打った
広瀬すずは明らかに姉と違う方向に行っているようで李相日監督の次回作に出演するとしたら全裸披露か拷問を受け殺されてバラバラにされる役とかではないかと
そして誰よりも驚いたのは横浜流星の芝居だ
彼がこんなに旨い役者だとは知らなかった
名前と見た目がかっこいいだけのイケメンだと評価していたがあまりにも見くびっていた
亮の更紗に対する怒りや束縛や暴力に幼少の頃に経験した深い悲しみが透けて見える芝居を彼はやってのけた
少なくとも僕はそれを感じた
更紗を追いかけ包丁で刺すのかと思いきや自傷し救急車に運ばれる不条理もなんとなくだがわかるような気がした
更紗を拒否した亮は全てを諦めそして悟ったのかもしれない
ただ唯一苦言を呈するならどうせならもっと激しく広瀬すずのオッパイを揉んでほしかった
『侍ジャイアンツ』の番場蛮が分身魔球を投げる時のように握りつぶすような感覚で「痛い!」と声をが出るくらいに荒々しく
松坂桃李が薄暗い部屋で全裸になり振り返ったのでダメダメと思いつつも「どうせボカシが入るでしょ」と高を括っていたがよくよく見ると「ん!?」
娼年を演じた松坂桃李らしからぬお弁当に思わず入れたいポークビッツのよう
昔8時だよ全員集合前半のコントで家族旅行だったときに子ども役のカトちゃんが帽子を被るのを忘れて取りに行ったら今度は下半身丸出しでやってくるというのがあったけどそれと同じやつだろう
松坂桃李もいろいろとやらされるね
日本の俳優に乾杯
李相日監督に乾杯
日本映画万歳
可哀想じゃないヒロイン家内更紗に広瀬すず
更紗の幼少期に白鳥玉季
引きこもり気味で虚無的な佐伯文に松坂桃李
猟奇的な更紗な彼氏・中瀬亮に横浜流星
桃李のカノジョ谷あゆみ多部未華子
更紗が勤めるファミレスの同僚・安西佳菜子に趣里
更紗が暫く預かることになった佳菜子の娘・安西梨花に増田光桜
更紗が勤めるファミレスの店長・湯村に三浦貴大
文の母・佐伯音葉に内田也哉子
文の珈琲店の下の階でアンティークショップを営む阿方に柄本明
物語の構成に難あり
冒頭、ブランコの軋む音、少女の顔のアップ、ゆっくりパンして公園内にいる男、静かに音楽が入り、少女の読む本に雨粒がかかる、という流れはとても映画的で風格もあり、これは面白そう、と期待をそそられる。
しかし、物語が段々と進んでいくにつれ、期待したほどのめり込めなくなっていく。
原作未読なのでわからないが、物語構成は、原作に忠実なのだろうか、映画オリジナルなのだろうか?
15年前の事件当時と現在を行ったり来たりするのは題材上当然だが、もう少し事件当時をじっくり描いてくれた方が、登場人物に感情移入しやすかったのではないか。後半になってくると、イメージショットの挿入も含めて、ちょっと支離滅裂な感じすらした。
一番弱いなと思ったのは、文が更紗を連れて帰り、世話をしたのはなぜか、という肝心な部分が描かれていないこと。後から、母親との葛藤や身体上の秘密が明かされるが、後付けの感じで、率直に「それじゃないだろ」と思ってしまった。
李相日監督の持ち味は、物語を多面的に語り、脇の登場人物も丁寧に扱うところだと思っているので、今回は全体として主人公に寄り過ぎていて、勝手が違ったようだ。
DV男役の横浜流星はすごく良かった。登場したところから、これは何かあるなと思わせる。少女時代の更紗役の白鳥玉季は、唇のあたりとか広瀬すずにそっくり。これからの活躍を大いに期待したい。多部未華子、三浦貴大、柄本明といったいい役者も使っていたが、あまり見せ場がなかったのは残念。
まさに心が流浪します。
原作既読。
原作も、全ての言葉に意味があるので、150分にまとめるのは凄く苦労したと思う。
だからこそ、全てのシーンが愛おしい。
全てのキャストの心情が、映像・音楽・言葉・表情に現れている。
その中でも、やはり 目。眼。
圧倒された。
原作未読の方には、少々難解かも。
ぜひ、原作読んで欲しい。
そして、二人の真実(特に文)に涙して欲しい。
この世の中には知らない事がたくさんある事に衝撃です。
最後に少しだけ光があった。
二人のささやかな未来を祈りたい。
結局どっち?
見応えのある作品だった。
横浜流星というイケメン俳優が気持ち悪く見える演技がすごい。枝豆の殻を机にそのまま置くとか帰ってきてすぐパンツを脱ぐところがリアル。
誘拐犯とその被害者と広告では言ってたけどこれは性をテーマにした話だったと思う。
文は結局ロリコンだったのか、それとも病気を隠すためにロリコンのふりをしていたのか議論が分かれると思うが私はロリコンであったと思う。最後の食事シーンで更紗の唇に触れる描写がそうなのかな、と。あと安西さんの娘にも入れ込んでたこと。安西さんの娘が連れていかれるシーンで必死に抵抗してたけどそこまで仲良かったか?って疑問に思ってしまった。毒親の元に返したくないということなのかもしれないがそこが違和感。あと、ロリコンって大人に拒絶されることで純粋無垢な子供を好きになる人もいるからそれで言うと納得がいく。
同居してた義母の息子から性暴力を受け、性嫌悪に陥ってた更紗という設定だったが、公園で見知らぬ男に声をかけられてついて行ったり、その後も彼氏作ってたり、結局男がいなきゃ生きていけないタイプか?と思ってしまったが、精神的に抱えてる女性はこういうタイプが多い。
最後の病気を告白するシーンがいまいち分からなかった。文が服を脱ぐ描写があったのだが、画面暗いしよく見えなくて「どういうこと?」ってモヤモヤが残る。あれは性器がない?のか極端に小さい?って認識で合ってるのだろうか。
キャストは、白鳥玉季さんが広瀬すずにそっくりで子供時代を演じるのは適役だったし、白鳥さんの子供らしさと大人びた達観さがある演技がすごい。可愛すぎて本物に狙われちゃったらどうしようって勝手に心配になりました。
更紗の健全さ
”怒り”や”悪人”の監督作品と言う事で、期待に違わず重厚で見応えのある作品でした。この監督は俳優に究極の演技を求めますが、今回も広瀬すずと横浜流星が秀逸。松坂桃李は特殊な設定の難しい役で、共感が得られ難い損な役柄でした。登場人物の多くに心の傷を抱える人がいる中、更紗(広瀬すず)の、すなおでけなげな姿は、この映画の中の唯一の救いでした。自分を苦しめる亮(横浜流星)が自殺を図った時も助けますが、亮はこの時、更紗が手を握ってくれた事で、自らの愚かさに気づき、そして救われます。たぶん、この自殺は亮の狂言で、愚かにも更紗を取り戻そうと(或いは試そうと)したのですが、更紗が(母親やこれまでの恋人と違って)自分を見捨てなかった事に、彼は救われたのだと思います(むしろ思いたい)。次第に内面の屈折した姿があらわになり、壊れていく横浜流星の演技は素晴らしい。対照的に更紗は子供の頃のトラウマを抱えながらも、屈折することなく、文(松坂桃李)への謝罪の念を抱きながら、(こんな自分を愛してくれる)亮にも感謝し、しかも、自分の気持ちにも素直で、(文の隣に越してくるほどの)行動力もある健全な姿で描かれます。すがすがしさまで感じられる姿です。自分は周りが思っているほど不幸ではないと言えるほどまっすぐな性格です。過去の事件では更紗のこの明るさが文の救いだったのでしょう。しかし亮にとっては更紗は当初屈折した者同士、むしろ彼女の方が闇が深く、それを見下す事で自分の闇を隠蔽出来たはずなのに、次第に気付いていく更紗の健全さの前には自らの愚かさが際立っていき、亮はそれに耐えられず病んでいくことになるのです。 そんな明るく素直な更紗も過去の文との事件を経て、どこかで全てを諦めているような陰も加わってしまった。この辺の描き方や演技はとても微妙で繊細です。一方、文のトラウマはロリコンではなく病的不能と、それにより母親に受け入れられなかった事にありました。それが最後に明かされますが、ここは、かなり特殊な設定で、しかも唐突感を否めず、感情移入し難い部分でした。ここをもっと丁寧に描いていたならば、全体のバランスが良くなった気がします。彼にとっては母に拒絶された病的不能の方がロリコンよりも大きな問題で、それを隠す為にロリコンを装っていたのでした。文が別れ際に恋人(多部未華子)からロリコンが理由で自分と出来なかったのか、と尋ねられ、そうだと露悪的に嘘をつく場面、彼女から恨まれ結果傷付ける事にもなるのですが、ここは解釈の難しところ。
文と更紗は、過去同様本人達の意図しないまま周囲から誤解され続け社会から隔絶していきます。このレビューでも言及されてた近松の道行を彷彿とさせます。最後に文が更紗に不能を告白して、お互いをわかりあい、他人には理解しがたい二人だけの世界に入って行くのです。道行は心中で終わりますが、文と更紗は何処かへ”流れて”やり直そうとする(そう提案するのは更紗で、やはりポジティブです) そして、やはり、過去のこの監督の作品同様、二人は最後には救われたのだと思います。
あとこの映画は韓国の著名な撮影監督を起用しています。凝った構図や美しいショットが多用されていています。映像芸術としては優れたものとなっていますが、その分難解さが増し、テーマが分かりずらくなったような気がします。
なにこれ?(変な意味ではなく)
幸せそうなカップルが実はそうではなかったこと、死んでも知られたくないことがあること、過去と現在が行ったり来たりで、エアコンが効いて快適なはずの映画館の中で、1時間程経ったくらいで汗が出てきた。立っていたとしたらしゃがみ込むような気分が悪くなる錯覚に陥った。この映画は150分あり2時間過ぎたあたりから「どういう結末を迎えるのか!?」という思いと「早く終わってくれ」という思いが入り交じって汗がふき出てきた。賛否両論あると思うが、私は、この映画は観ることを勧めるのを躊躇してしまう。観た人と意見を交わしてみたい映画でした。
全486件中、141~160件目を表示