劇場公開日 2017年9月29日

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「上司が理解者で良かった」ドリーム みうらさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5上司が理解者で良かった

2017年10月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

全てが上手くいきすぎて、しかも実話と言うのだから日常をただダラダラこなして行く私たちに、働くための勇気をくれないわけがない。

物語のテーマとして黒人差別や、女性蔑視を含んでいるのは見て分かりますが、何よりも彼女たちのたくましさ、パワフルさに元気をもらいました。
とにかく、どんな差別があってもめげない。今では信じられないような差別が当たり前にある世の中は、扱ってるテーマと合わさって、さながらディストピアとなった近未来のアメリカを見ているかのよう。
トイレは別、水飲みも別、図書館もバスも、働く服装、、、挙げればキリがないくらいの差別が描かれます。

そんな世の中でたくましく生きる主演の3人の、何と強いことか。差別のシーンもたくさんありますが、それ以上に彼女たちが笑って幸せに包まれてるシーンが
多く、観ていて元気をもらいます。
挫けた後には必ず笑いあい、仲間と助け合う。
大きな夢を持って仕事をするって素敵なことだなと感じました。

また、サクセスストーリーとしても分かりやすく、みながそれぞれの夢を最後には叶えて行くのが気持ちいい。
メアリーが判事に詰め寄るシーンや、ドロシーがミッチェルに管理職の仕事を与えるシーンは胸がすっきりします。

加えて、本作は嫌味なく、白人が柔軟性のないバカのように描かれていたのにも好感がもてます。IBMを調達したはいいけど、ドアから入らず、入り口をぶっ壊したり、機密資料をマジックで塗りつぶすも透かして見られるという失態など、その都度ウィットに効いた会話が続き劇場内も温まっていました。

そして、ケビンコスナー演じるハリソンが良き理解者なのがいい!
登場とともに熱く宇宙論を語り、既存の概念にとらわれず、能力を重視する。切り捨てがちのやり方は見せ方によっては嫌な奴にも見えますが、ハリソンもまた夢を求める1人でしかありません。
キャサリンを認め、黒人を認めるのはこれから先のアメリカ社会を見据えているのでしょう。
トイレの区別をなくすのは誰もがウルってくるところでしょう。
トイレで40分かかるのを指摘されたシーンの後、コーヒーポッドのラベルを剥がして噛んだ後のガムと同じように捨てるのもかっこいい。

余計な雑念を無くして最初から最後まで気持ちよく見れた傑作だと思います。

みうら