ウィッチのレビュー・感想・評価

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ウィッチ

劇場公開日 2017年7月22日
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かつて明確に語られることが少なかった"魔女の作られ方"

16世紀のアメリカ東海岸に入植した敬虔なキリスト教信者一家の自給自足生活を活写するために、色彩を落とし、縦横が近い独特のアスペクト比を用いたビジュアルが、まず、強烈。視覚ばかりではない。子供の失踪によって一家の信仰と信頼が脆くも崩れ去っていくプロセスは、特に、長女に魔女の気配を感じ取って以降、誰も静止できないカオスとなって観客をも巻き込んでいく。宗教、歴史、ミステリー、オカルト、スプラッタ等々、あらゆる要素を孕みつつこの映画が行き着く先は、かつて明確に語られることが少なかった"魔女の作られ方"。猜疑心が家族を内側から滅ぼしていく様子は、さらに傷ましい後味を残すのだが。

MP
MPさん / 2017年7月28日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い
  • 鑑賞方法:試写会
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年間ベスト3に入る映画

何故この映画がメジャー系の映画館で上映されなかったのが不思議でならない。

ミニシアターで限られた人だけが鑑賞できた?のは、残念でならないという気持ちと鑑賞できた幸運に感謝。

この映画の世界観にどっぷり浸かって、また楽しみたい、二度目の鑑賞をすることに決めました。

今年見た映画の中でベスト3に確実に入る映画でした。

みゃん
みゃんさん / 2017年9月18日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  怖い 知的
  • 鑑賞方法:映画館
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これはすごい・・

見て驚いた。だってこれ、5年とかに一本レベルの傑作じゃね?少なくとも年間ベストに入っても全くおかしくない出来。これが長編デビューとは思えない監督の力量に驚く。ほとんど家と森という空間しか使っていないにもかかわらず、緊張感は全く最後まで途切れない。ろうそくの火を使った照明は絵画的でどの画面を切り取っても象徴的な美しい絵になっている。音楽にしろ、呪術的なコーラスと音響の組み合わせで非常に凝ったものだった。

編集も本当に見事。例えば、親父がインディアンと母親の大事な銀のコップを勝手に交換してしまったという話の直後、娘が鶏が産んだばかりの卵を取っているシーンが次に来ることで「盗みの罪」が強調される。。このようによく見ると様々なシーンの切り替わりで、前のシーンとの繋がりがほのめかされるような編集を意図的にしている。

そしてキャスティングも完璧。主役の女の子の存在感はもちろん、神経質で醜い母親が美貌を持つ娘に対する偏見や、双子兄弟の金切り声から感じられる何か普通じゃなさ。。父親の威厳ある風貌と声があるからこそ、彼が狼狽する時に事の異常さがより引き立つ。

キューブリックのシャイニング同様、超自然現象が起こるのはごく一部のシーンだけで、実は恐怖で心理的に病んだ人たちが生み出している幻覚という解釈で見れなくもない。つまり、自然や病気が人間の手に負えない時代だったからこそ、その恐怖に対する想像力が魔女や悪魔といった形となったとも解釈できる(途中までは・・。)そのバランスが物語が絵空事になりすぎないシリアスな空気を作り出していると思う。(ちなみにこの映画実はシャイニングとの共通点が色々あるように思う。先程述べた、双子、隔離された場所にいる家族、魔女の誘惑、インディアンの呪い等々。。)

ホラー映画というジャンルを普段頻繁に見るわけではないけど、これは明らかにレベルが違う。陳腐なシーンが全くない。エクソシストやシャイニングと比較しても勝るとも劣らない高級感。この監督が次に何を撮るのか、非常に気になる。

moviebuff
moviebuffさん / 2017年9月2日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  怖い 知的
  • 鑑賞方法:-
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血生臭くてセクシャルなホラー ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

同じニューイングランドの魔女裁判を描いた映画に『クルーシブル』があるけど、この映画は『クルーシブル』のように人の疑心暗鬼だけで事件が起きるわけではなく、実際に魔女の存在を描き村から孤立した家族を襲っているホラー映画だった。
悪魔の呪い系のホラーは、悪魔のバックグラウンドが全く見えなくて、下手すると陳腐なホラーに見えてくるからそんなに食い入ることはなかったけど、この映画は魔女の存在も描きつつ家族の対立も描いていたりするので、どことなく食い入ってしまったけど、とにかく気持ちが悪い。
やたらと血生臭かったり、魔女が妖艶に長男を誘惑して生気吸い始めたら急にしわくちゃになったりとか、演出が気持ち悪い。
悪すぎて、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よりも不気味だった。
他の方もレビューで触れていたけど、原題が『VVITCH』で、冒頭にタイトルが出てきたときはビッチ?と間違えて読んでしまった。(あのビッチはbitchだけど…)
結局悪魔と契約した長女が最後、裸で踊って魔女の一員になってしまうことにかけていたりするのかな?とか色々考えてしまいました( ̄▽ ̄;)
アスペクト比が4:3のスタンダードサイズだったけど、変に画面の狭さを感じさせないで自然を不気味に撮ったやり方は圧巻だった。
なぜテレビでもビスタになっていっているこのご時世でスタンダードで撮ったのか、その理由も気になる。

由良
由良さん / 2017年9月2日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 悲しい
  • 鑑賞方法:映画館
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魔女になる ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

魔女は何かのメタファーなのかと思っていたが、ほんとに魔女になってしまった。あの時代に女性が自由に生きていくには魔女になるしかなかったのかもしれない。サバトも楽しそうだったし。
少なくともあの家族は辛い。双子がうるさくてさっさと魔女に食べられればいいのにとイライラした。結局どこいったのかな。
真実を突きつける女、性的魅力のある女は魔女なのだろう。
古い英語で話しているようで、英語がわかればまた雰囲気も違いそう。

yukikotto
yukikottoさん / 2017年9月2日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:-
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淡々と怖い

始まって早々にハッピーエンドを微塵も感じさせない雰囲気がすごい。
宗教観の違いから共感しづらいところもありましたが、彼らの中で信仰は生活の一部になっているのだなと思うと納得するところも多々ありました。
アニヤ・テイラーが気になって見た映画でしたが、この夏の〆に不気味な余韻を残してくれてよかったです。

Miomie
Miomieさん / 2017年8月27日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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暗い雰囲気が期待をあおります

魔女、どんな魔女か?と期待を込めて・・・・
信仰が厚すぎると悪魔を呼び寄せるのか?
信仰に違いがあっても良いのでは?
勿論、信仰が無くても良い。
そんな世界にはならないな・・・・
結局魔女は居るのですな。

シネパラ
シネパラさん / 2017年8月26日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
  • 鑑賞方法:映画館
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ホラー+宗教=社会派!の秀作。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

『ザ・ウィッチ(2015)』
原題  The VVitch: A New-England Folktale
※公開前にアップしようと思ってたのに遅くなってしまいました。
※後半ネタバレあります。
※長文です(笑)

(あらすじ)
1960年、ニューイングランド。宗教上のちょっとした意見の違いから、村を追放された敬虔なクリスチャン一家。その長女トマシン(アニャ・テイラー=ジョイ)は、子守の最中に末っ子の赤ちゃんを誘拐されてしまう。そこから一家は恐怖に支配され、トマシンを魔女だと思い込むようになる。

魔女裁判:セイラム事件で有名なニューイングランドには、多くの魔女伝説が残っています。
本作のサブタイトルにもある ”A New-England Folktale(ニューイングランドの民話)” を読んでみると、魔女が生まれた過程が詳しく書いてありました。
ニューイングランドは「巡礼者の始祖」ピルグリム・ファーザーズを乗せた、”メイフラワー号”が辿り着いた場所です。
つまり信仰の自由を求めた清教徒達が、辿り着いて住み着いた場所なのです。

しかし自由を求めた代償は大きく、彼らは長く厳しい冬と、原住民との戦いに明け暮れるこことなります。
厳しい最初の冬は、彼らの半数を死に追いやったようです。
そんな厳しい生活の中で、彼らは支え合って励まし合って生活したか?
答えはNOです。
本作にも出てくるように、宗教上の意見の違いで追放し、ちょっとでも変わった容姿や、言動をすると、それだけで迫害されました。
他人と違っていることは、この時代は悪だったようです。

彼らは古くからの迷信や前兆、予兆、に"絶対的な”信仰を持っていたので、空を読んだり、見慣れない現象で未来を決めつけました。
でも、その予想があたらず、不運に見舞われた時には、それは誰か……、つまり”魔女”のせいにしました。
魔女は、隣の気に入らないおばさんだったり、近所の綺麗なお姉さんだったり。告発する人の気分次第です。
厳しい生活の中で、いつ不幸に見舞われるか分からない恐怖、不安が、互いに告発しあう閉鎖的な村社会の中で、大きく膨らむ。
多くの魔女裁判は、このような鬱積した生活環境から生まれました。

本作ではこのようなお話が、まるでゴヤの黒い絵のように、禍々しく、美しく、描かれていました。
(以下ネタバレ)












トマシンは魔女と疑われ、結果的に家族を失い、森へ向かいます。そこしか行き場がないように。そこには、血まみれで狂ったように踊る全裸の女性達がいます。
トマシン。英語表記はThomasinです。
キリスト12使徒の一人、トーマスと、sin(宗教的な意味での罪・原罪)が合わさっています。
このトーマスさん、調べてみると面白いですよ。

「なぜ疑うのか」
映画『哭声/コクソン』でも、ラストでそんな台詞がありましたね。
あ、次は『哭声/コクソン(2016)』の感想書きます!
そして考えるのです。

9.11以降、なぜテロは増え続けるのか。
魔女はきっと、作られるのです。

さとちゃ
さとちゃさん / 2017年8月26日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  -
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悲惨

神に必死に祈るが助けが全く受けられなく、むしろその希望を逆なでするように恐ろしい出来事が起きる。
魔女や魔術が現実に存在するのだとすると、すがる先は神や天使しかないのであり、助けがない以上孤立してひたすら恐怖におののき続けるしかない。
神は何故助けてくれないのか?祈り方が間違っているのか?今までの行いが悪かったのか?必死に自己を見直しひれ伏しても応えにたどり着かない。

neko4253801
neko4253801さん / 2017年8月18日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  怖い
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超一流

派手さは無いがホラーとしては、エクソシスト以来の映画として超一流の映画ですな。

KAWASHIMA NOBUHUDE
KAWASHIMA NOBUHUDEさん / 2017年8月18日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
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魔女?

結局よくわからない感じ。疑心暗鬼からの幻想を魔女と表現かな。

ともや
ともやさん / 2017年8月17日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
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見せ方はうまい ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

恐怖映画はやっぱりはっきり見せないのが視覚的にいいね。不気味さが伝わってきた。魔女の存在を明確にするかどうかは難しいね。夢か現実かという展開が緊張感や恐怖を生むから、ラストのオチは微妙。

ドラゴンミズホ
ドラゴンミズホさん / 2017年8月14日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  怖い
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トマシンをひたすら応援

アメリカ開拓時代、入植者の森への恐怖はやはり相当なものだったろう。暗くてどこまでどこまでも広がっていて何が出てくるかわからない。その恐怖に加えて、成長して別のなにかに変わっていく少女への恐怖、少女自身のとまどいなどをこれほどなく表現しきっている。そのふたつの恐怖が魔女というテーマに集約されて、うまーく観客を恐怖に突き落とす。それにしても、もと少女としては早く家族がばらばらになってしまえと思ってしまう。はやく主人公トマシンを自由に!と物語上逆なことを望んでしまう。そんな不思議な映画。

しんば
しんばさん / 2017年8月13日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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音響と画面が、暗い

スプリットのアニャティラージョイが、美しいね。
ニューイングランドの魔女伝説の民謡やお話からヒントを得た作品。田舎でいろんな不幸があると、疑心暗鬼で他人のせいにしたくなるんやな。魔女やってするんやろな。お父さん頼りないし、オカンは、じゃかあしい。

大阪ぶたまん
大阪ぶたまんさん / 2017年8月11日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
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魔女映画

期待しすぎてあんまり?的な
魔女?的な所があったのか?
よくわからなかった
結局、誰が魔女?魔女の存在がちらほら的だけど
謎のまま。

て言うか隣に座ってる人が怪しすぎて
集中できんかったしキモかった。!

rose☆skull
rose☆skullさん / 2017年8月11日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
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「ウィッチ」の沼に否応無しにハマっていく

まず1番に印象的かつこの映画の特筆すべき点であるのが音響効果。主に劇伴と環境音による映画の雰囲気、世界観作りにとても効果的に貢献してるなと思った。流すタイミングも含めてとても演出によって曖昧でありながらメリハリのある感じに計算されているなと。

物語は村離れの森の近くで自炊生活を始めた家族が宗教への信仰心と、それとは別の家族自身に対する感情の両立に苦しめられていく様がこっちから見ていてと見苦しい程丁寧に描かれていた。
主軸である長女役の女優の存在感は凄いが、もう1人、威厳があるのは声だけで、自らの宗教観と家族の生活に上手く折り合いを付けれず、有事の対応に後手になり最悪の結果を引き起こす(ある意味ではコイツが悪魔の化身だと個人的に思っている)父親を演じきった俳優さんも素晴らしいと思った。

観る前にいくつか聞いた前評判の中でキューブリックの「シャイニング」に近しい部分があるという論評があったが、なる程、隔離された環境、登場人物たちの内面に惨たらしく入り込む恐怖演出、突如挿入される脅かし音など共通またはそれを彷彿とさせる所はあると思った。
間違いなく上質かつ心を抉るホラー映画である事は間違いないので今夏に1回は魔女の虜になってみるのもいいかもしれない。

Il
Ilさん / 2017年8月10日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  -
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見ている映像は正しいのか、そうで無いのか、あやふやになっていく ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

面白かったです。
中心の登場人物である一つの家族は、皆がお互いを愛して、敬虔で、思いやりがあるのに、末っ子が行方不明になってから、ボタンを掛け違えてしまった様にどんどんすれ違い疑い合い、最後の悲惨な結末まで転げ落ちて行くのが見事でした。終盤の、何が本当で何が嘘か、見ている映像は本当に起こったことなのか分からなくなっていくのが、コクソンみたいだと思いました。
悲惨な状況に追い込まれて行くのに、悲壮な雰囲気もスリラーな空気も無いので、映画としてはとても見易いです。
魔女の疑いをかけられた長女が、最後は安住の地を求めて本当に魔女になってしまうのが悲しいけれど状況を考えたら納得。中世ではこんな人もいたのでしょうね。

あんこ
あんこさん / 2017年8月10日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  -
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信仰と本能、抑圧と解放。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

1630年のアメリカ・ニューイングランド地方。
宗教観の相違から集落を追放され、人里離れた森の近くで
新生活を始めた清教徒の家族が、赤ん坊の失踪を
きっかけに、森に棲む魔女の恐怖にさらされるという物語。

いやはや、おっそろしい映画でした。
冒頭のヴァイオリンとコーラスの不穏な響きから怖いし、
赤ん坊の末路には序盤から背筋が凍る。そこから先も、
暗く冷え冷えとした色彩の映像と、淡々と底無し沼に
沈むかのようにずるりずるり悪化していく展開が恐ろしい。
灰色の空、青黒い森林、洞窟の暗黒、
鴉のついばみ、白山羊の赤い乳、黒山羊の金の眼、
双子の無邪気な悪意、徐々に精神を病んでいく母、
ケイレヴとトマシンの狂気じみた恍惚のおぞましさ……。

...

僕はキリスト教の考え方に詳しくはないので、
本作のテーマ云々を考察することは難しいが、
えもいわれぬ恐ろしさと共に感じたのは、
盲目的に何かを信仰することの危うさだ。

あの父親はとにかく厳格だったというか、己の信仰を
頑ななまでに実践し、それを家族にも課していた。
ことあるごとに子供達に罪悪について説いて聞かせ、
神への畏れや罪悪感で彼らを律しようとしていた。

だが、たとえ罪悪だと言われても、嘘をついたり情欲に
駆られたり怠けたい遊びたいと考えてしまうのが人間。
トマシンやケイレヴのような多感な時期の少年/少女
であれば、その教えに反感を抱き始めても当然だ。

ケイレヴは「罪をあがなう暇もなく死んだ幼子は
地獄行きなのか」と不安と疑問を抱いていたし、
トマシンに至っては家族、特に父母への不信感と
怒りを徐々に露わにしていった。
母はトマシンの勤労をひとかけらも信用して見せず、
父は「嘘は罪悪」と言いながら銀食器の件で嘘をついた。
彼は家族の前でトマシンを悪者にしただけではなく、
金策に失敗して娘の奉公の話を出したことになる。

家族間の不和は、魔女に襲撃のチャンスを与えた。
むしろ魔女たちはそれを狙っていたのだろう。
一家に魔女の襲撃を防ぐ手があったかは分からないが、
少なくともあの父親が家族に律した信仰――ここでは
いっそ価値観や教育と言い換えても良い――は、事態を
悪くする方向にしか作用していなかったように思える。
彼は頑なにならずもっと早く集落の誰かに助けを
乞うべきだったし、家族の意見や自分の気持ちに
もっと慎重に耳を傾けるべきだった。

仮に神の教えとやらが完璧でも、それを伝承する
人間自体は不完全なわけで、そこには矛盾や恣意や
邪心が介入して当然だ。個人の解釈差だって出る。
それを鵜呑みにしたり他者に押し付けてばかりは
危険だし不和を生むばかりだと、個人的には思う。

...

女性映画としての側面についても触れる。

冒頭からトマシンは、集落を追放される事への驚きと
不安を隠し切れていない。序盤の神への告解でも
彼女の無邪気で奔放な心根が垣間見え、他の家族
と彼女の感覚には隔たりがある事が分かる。

皮肉な話、家族が存在する間、トマシンは
決して本来の自分として振る舞えなかった。
しかし、家族が消え失せた事で、ついに彼女は
自身を解放できた。なんて陰鬱なハッピーエンド。

きっと魔女たちは初めからトマシンが“同類”だ
と踏んでいたのだろう。彼女らはトマシンを
家族から孤立させ、その精神に限界まで圧を掛け、
最後の最後に爆発させたのだ。
欲望の赴くまま赤ん坊や幼い子供にまで手をつける
魔女たちはもちろん邪悪だが、トマシンの末路を
そのまま当てはめるなら、彼女らもまた強力に
抑圧された精神がマイナスへ極端に振れ切った者達、
その時代の女性に対する抑圧的な価値観が発端で
生まれた、忌むべき存在だったのだろうか。

...

ひとつの価値観や生き方に囚われ続けること。
その価値観や生き方を他者にまで強制すること。
ともすれば信仰・信念が陥ってしまうそんな負の
側面の恐ろしさをまざまざと見せつけられた気分。
ええもう、秀作ホラーだと思います。

にしても、前評判通りアニヤ・テイラー=ジョイは見事だが、
ケイレヴを演じた演じたハーヴェイ・スクリムショウ君も
負けず劣らずの熱演。名前覚えといた方が良さそう。

<2017.07.26鑑賞>
.
.
.
.
余談1:
原題『THE VVITCH』は
なぜ『W』ではなく『V』2つなんだろうか。
・V≒5人の子供なら、VV≒相反する子供達、
 悪魔に魅入られて変貌した子供達のこと?
・VITCH≒BITCH(売女)=母親視点でのトマシン?
・VVであの家族が手を繋いで神に祈る姿を模した?
・単純に、当時そんな表記があったとか?
謎やねえ。

余談2:
本作、鑑賞時点では新宿でしか上映してなかったので
静岡在住の自分は鑑賞を諦めていたのだが、たまたま
近くへの出張が重なって夜に観に行くことができた。イェイ。
しかし、元は鹿児島のド田舎出身の自分には、
深夜の新宿はまるで迷路のようで怖い怖い。
あれえどこ行っても同じ風景に見えるよ怖い怖い。
森で迷子のケイレヴ気分。

浮遊きびなご
浮遊きびなごさん / 2017年8月7日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 難しい
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戯曲?

104本目。
イラッとする。
2週続けての残業。
なんだよ、このシフト。
家着いたのが昼前。
観たいのは、あの2作。
うまく時間が合う!
でもね、うん今週は流れが悪い。
色々あって今作。
気分転換向きの作品ではないけど。
お父さんの演技が芝居くさいし、セリフ回しとかも舞台っぽいから、そう思ったけど違うみたい。
まあでも、どうなんだろう?
時代、信仰心とか考えれば、そうなんだろうと思うけど、面倒臭い時代だよね。
でも魔女の概念って何なんだろう?

ひで
ひでさん / 2017年8月5日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  -
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魔法少女になりたいんです!!2016年全米を騒がせたVVなホラーをおっさんはこう見た! ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

魔女の作り方については、なにも決して新しいモノではなく、特に君たちのよく知っている作品としては、「魔法少女まどかマギカ 新編 叛逆の物語」というのもあるので、そのことについては触れない。

それら、えてして共通して言えるのは、悪魔とは結果として「そっと手を差し伸べる救済者」の存在と描かれている点である。

2016年全米を騒がせた本作だが、公開する劇場は新宿武蔵野館のみ。ある意味、悪魔の巣窟だが、実際そういう客層だったので、それはそれで楽しく鑑賞。

その意味では、魔女、と聞くとニヤニヤする君たちはぜひ観に行ったほうがイイ。

「ウィッチ」




1630年、ニューイングランド。ウィリアムとキャサリンの夫婦は、敬けんなキリスト教生活を送るために5人の子どもたちと森の近くにある荒地へとやって来た。しかし、赤ん坊のサムが何者かに連れ去られ、行方不明となってしまう。家族が悲しみに沈む中、父ウィリアムは、娘のトマシンが魔女ではないかとの疑いを抱き、疑心暗鬼となった家族は、狂気の淵へと転がり落ちていく。

というのが、映画コムの紹介するストーリー。

しかし村を出た理由は怪しい。村の連中と対立しただけで、当時、セイレムの魔女裁判、という背景もあり、近辺のニューイングランドでもそのようなことはあったという前提でいうと、彼らは魔女だと、疑われていた可能性もあるし、魔女裁判にうんざりし、村を出た、ということかもしれない。

いずれにせよ、ここでは彼の「強い思い(こみ)」のみが語られるだけだ。

本作、よくキューブリックの「シャイニング」に似ている、という意見もあるが、「シャイニング」とは逆である。「シャイニング」はもともと狂った主人公が、そういう環境で、「目覚めた」だけであり、オカルトチックな描写はあっても、根本は彼自身の行動原理によるものであり、心霊現象は彼の妄想といってもいいようにできている。第一、キューブリックはオカルトを信じていない。

一方、本作ははっきりと、ルシファーと魔女の存在を描いている。

当時の人間としては、「黒山羊はルシファー」と知っていると思われるのだが、なぜ飼っていたのか、までは描かれていない。つまり、本作は、敬けんな信者が堕ちる話ではなく、敬けんであると思い込んでいる「すでに堕ちてた家族」の話とも取れるわけだ。

父親は薪割しかしないダメ親父。この親父の最期は、必要以上に割られた薪に埋もれて死ぬところは、本作の唯一の笑いどころ。だが彼にしてみれば、「自分のした仕事に埋もれる」という結果。

母親はまるで母親の役割をしない。この母親の最期は、最初に失った赤子が戻ってきたという幻覚を悪魔に魅せられ、カラスに乳首をつつかれる。だが、彼女にしてみれば、赤子に乳を吸わせているのである。

長男は、主人公である姉の胸元に欲情。結果、爆乳の魔女に誘われ、死の接吻を受け、素っ裸で恍惚とした表情で死ぬ。そう、彼もまた爆乳に抱かれ、キリストに赦しを得たという幻覚を見て死ぬ、という己の欲求を満した死。

双子の兄弟は、純粋無垢ゆえの残酷。それは常に現実からの逃避。黒山羊ルシファーとの会話を経て、魔女にいけにえとして宙に連れ去られる。

そんな家族の長女は

「悪魔からいかにスカウトされるか?」から、「いかに悪魔にスカウトしてもらうか?」に変わる。

みんな狂っていくのではなく、信仰に「狂っていた」結果、「幸福な」落としどころに落ち着くのである。

追記1

原題 VVITCH

タイトルがW(ダブリュー)ではなくVV(ヴイ)。

「V」は「ピースサイン」「ヴイ」「5」

一体なにを示すのでしょうね。魔法少女になりたければ、調べてみるといい。

追記2

セイレム魔女裁判については、映画「クルーシブル」という超傑作があるよ。そっちのほうが「ホラー」。

本作の森にいたのは、ウィノナか?(ただし爆乳ではなく、老婆の方)

しんざん
しんざんさん / 2017年8月5日 / PCから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  -
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