ロスチャイルド
解説
「千両長者」のジョージ・アーリスの20世紀映画社入社第1回主演映画で、ジョージ・ヘンバート・ウェストリー原作の舞台劇に基づいて、「坊やはおやすみ」「ママはパパが好き」のナナリ・ジョンスンが脚色し、「失恋相談欄」「ボクは芸人」のアルフレッド・ワーカーが監督に当たり、「新世紀」のペヴァレル・マーレーが撮影した。助演者は「キャラバン」「餓ゆるアメリカ」のローレッタ・ヤング、「今日限りの命」「カンターの闘牛師」のロバート・ヤング、「ミイラ再生」「魔の家(1932)」のボリス・カーロフを始め、「クリスチナ女王」のアーサー・バイロン、ヘレン・ウェストリー、レジナルド・オーウェン、フローレンス・アーリス、アラン・モーブレイ等である。
1934年製作/アメリカ
原題または英題:The House of Rothschild
ストーリー
1780年、プロシアの首都フランフフォルトの一角に塀を張り巡らせられた区域があった。それはイタリア人居住区だ。一般市民から隔離されたイタリア人は法外な重税を課せられ、土地私有を始め、あらゆる自由人としての権利を拒まれていた。マイヤー・ロスチャイルドは迫害の中に財を蓄え、イタリア全民族のために時を待っていたが不幸病床の人となった。その臨終の床に、ネーサン、アムシェル、ソロモン、カール、ジェイムズの5人の息子を集めて「金こそはイタリアを救う唯一の武器だ」と訓柄、5人に成人の後各々欧州5カ国に銀行を開くよう言わしめた。国から国への現金輸送の危険はこれによって救われるという目論見だった。それから32年経って、ネーサンはロンドンに、アムシェルは故郷フランクフォルト、ソロモンは維納、ジェイムズはパリ、カールはナポリに各々銀行を開いて、全欧の金融を一手にロスチャイルド家が握ってしまっていた。ネーサン派ウェリントンと親交があった。そしてネーサンの娘ジュリーはウェリントンの副官フィッツロイ大尉といつしか恋を語らう間になっていた。時、折しもナポレオンが兵を起こした。連合軍はロスチャイルド家に金融を仰ぎ奈軍を金融封鎖してしまい、ついに敗退せしめた。戦後疲幣その極みに達したフランスはよく外貨を募った。勿論金融はロスチャイルド家が一手に引き受けるものと確信していたネーサンだった。所が以外、外債は同じロンドンのベアリングの手に落ちた。その裏にはプロシアのレドランツ伯がいた。伯は全欧の金融がイタリア人によって牛耳られるのを嫌ったのだ。ロスチャイルドはイタリア人なるがゆえに手を引かされたのだった。復讐を誓ったネーサンは新公債を売出しを妨害すべく政府の公債をドンドン売っていった。ついにベアリングは破産のうきめを見そうになった。レドランツもやむなく兜を脱いだ。新公債はロスチャイルド家の手に落ちた。レドランツはその犬糞的報復手段として全欧にイタリア人排撃の火の手をあげた。その最高潮時に、ナポレオンは再び帰国して兵を挙げた。連合軍はどうしてもロスチャイルドに金融を仰がねばならなかった。ロスチャイルド家は、だが動かなかった。5人の兄弟はフランクフォルトに集まり連合軍に資金融通を拒絶せんとした。だがネーサンのみは1人それに反対した。イタリア人の迫害問題よりも全欧州の平和を彼は願っていたのだ。ついにロスチャイルド家はイタリア人の自由問題を条件として連合軍の金融を計った。連合軍の勝利、イタリア人の解放、ジュリーとフィッツロイの愛の勝利。ネーサンが英宮廷に招かれての栄誉。ネーサンに微笑んで行った「威厳をもって商売し、威厳をもって生活し、威厳をもって世界を歩む」と。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アルフレッド・ワーカー
- 脚本
- ナナリー・ジョンソン
- 原作
- ジョージ・ヘンバート・ウェストリー
- 撮影
- J・ペバレル・マーレイ
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Mayer_Rothschildジョージ・アーリス
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Nafnan_Rothschildジョージ・アーリス
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Ledrantzボリス・カーロフ
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Julie_Rothschildロレッタ・ヤング
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Captain_Fitzroyロバート・ヤング
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Duke_of_WellingtonC・オーブリー・スミス
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Baringアーサー・バイロン
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Gudala_Rothschildヘレン・ウェストリー
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Herriesレジナルド・オーウェン
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Nathan's_Wifフローレンス・アーリス
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Metternichアラン・モーブレイ
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BowerthHohmes Herbert
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Solomonポール・ハーベイ
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Amschelアイヴァン・F・シンプソン
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Carlノエル・マディソン
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Jamesマレイ・キンネル
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Talleyrandジョージ・レナヴェント
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Prussian_Officerオスカー・アッフェル
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Prince_Regentラムスデン・ヘイア
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Prime_Ministerギルバート・エメリー
受賞歴
第7回 アカデミー賞(1935年)
ノミネート
作品賞 |
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