この空の花 長岡花火物語

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劇場公開日:

解説・あらすじ

2004年の新潟県中越地震から復興をとげ、11年の東日本大震災発生時には被災者をいち早く受け入れた新潟・長岡市を舞台に、ひとりの女性新聞記者がさまざまな人と出会い、不思議な体験を重ねていく姿を大林宣彦監督が描く。11年夏、熊本・天草の地方紙記者の玲子が新潟・長岡を訪れる。目的は、中越地震を乗り越え復興し、東日本大震災の被災者をいち早く受け入れた同地を取材すること。そして、長年音信不通だった元恋人からの「長岡の花火を見てほしい」という便りに心ひかれたためだった。

2011年製作/160分/G/日本
配給:PSC、TMエンタテインメント
劇場公開日:2012年5月12日

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(C)「長岡映画」製作委員会・PSC All rights reserved.

映画レビュー

5.0一輪車の水平運動と花火の垂直運動

2024年4月19日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

大林宣彦監督戦争三部作第一作。

凄い…。傑作です。

序盤の説明描写が怒濤すぎて、早送りでみているのか確認するほどでした。

本作は、新聞記者の玲子が、元恋人の手紙に呼ばれて、長岡を訪ねる劇映画ではある。しかし長岡で実際にあった空襲や災害、模擬原爆、戦争経験者/の語りも記録されている。そのため劇と記録の区分は溶け合って、真実だけが現れている。

それも時空間が縦横無尽に往来しているからだろう。過去ー現在ー未来の単線的な時間軸は、登場人物の花や戦争という〈出来事〉によって複線的になる。
戦争ーそもそも〈出来事〉ーとは単なる過去のことではなく、現在によって語り直し、未来においても語ろうとする運動の中で、常に生起し続けることである。その運動を記録するのが映画だと私は思う。

また空間について言えば、長岡での出来事でありながら、熊本の天草、長崎、広島、福島の郡山がつながっていく。そのつながりは戦争や核、災害の記憶によるものだ。

「想像力でみえるようになる」
それはフィクションの力だと思う。戦争は終わらずとも、〈私〉の経験と1945年や長岡に生きた人の経験を同一して語ることはできないし、してもいけない。けれどその断絶を悲観するのではなく、フィクションによって、想像力でみえるように、つなげることは私たちにできることだと思う。

合成で打ち上がる花火。花火が爆弾と地続きであること、その背後にある記憶や経験。それらは、想像力がなければみることができない。

一輪車の水平運動と花火の垂直運動。心と関係性と出来事の運動。私も運動を美しく記録したい。

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まぬままおま

4.0まだ戦争には間に合う? でもウクライナは間に合わなかった

2025年3月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

大林監督戦争三部作
この空の花 長岡花火物(2011年本作)、
『野のなななのか』(2014年)、『花筐/HANAGATAMI』(2017年)

まだ戦争には間に合う?
でもウクライナは間に合わなかった

今日は2025年3月11日です
東日本大震災から14年経ちました

全く普通の劇映画とは異なりま

かと言ってドキュメンタリーでもなく、大量の互いに関係する情報をコラージュしていくなかにごくごくわずかな劇映画が接着剤として存在するというものです
まるで山下清画伯の切り絵のように

心から観て良かったと思える傑作です
大林宣彦監督にしかなし得ない映画作品です
コラージュの切り貼りのリズムは心地良いほどの鮮やかさです
大林宣彦監督のそうした手法の最高峰にある重要な作品だと思います
かといって大林宣彦監督作品を初めて観るという方にはお勧めしません
これが大林宣彦監督のすべてではありません
まず尾道3部作などの有名作品をご覧になられてあらかた見尽くしたあとの最後にご覧になられるべき作品だと思います

まだ戦争には間に合う?
でもウクライナは間に合わなかった
戦争は嫌だと強く思っていても、勝手に攻め込んでくるなら私達はどうしたらいいのでしょうか?
まだ戦争には間に合う?
でもウクライナは間に合わなかった
非戦の誓いを建てたからといっても相手は相手の都合や利害や自分勝手な理屈で動くのです
理屈も道理も、話し合いも外交も
通じない相手が本当にいることを私たちは知りました
そして助けてくれると信じていた国際社会も無力だったことも
西部劇のように正義の保安官は現れず、それどころか逆に保安官は悪漢とグルであったことも知りました

日本も間に合わなかったという羽目になるのでしょうか?
私たちは花を守ることができるのでしょうか?

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あき240

全てが繋がる

2024年8月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 大林宣彦監督らしく、長崎と長岡・原爆と花火・空襲と東北大震災・1945年と2011年・演劇とドキュメンタリーが、おもちゃ箱をひっくり返した様に散りばめられ、何故か一輪車が度々往来する奔放な作品です。大林作品では、その奔放さに置いてけぼり感を覚える事もあるのですが、本作ではそれらが大絵巻の様に見事に繋がり、「戦争の愚かさ許すまじ」の背骨が強く貫かれていました。そして終盤、スクリーンの花火を観ながら涙ぐんでしまいました。

 2020年に亡くなった大林監督が、晩年に戦争をテーマとした作品を撮り続けた意味を今こそ見つめ直さねばなりません。

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La Strada

3.5想像力

2024年7月15日
iPhoneアプリから投稿

朗読なのか舞台演劇なのか映画なのか映像表現なのか、直接的な表現もよくわからないのも、たくさんたくさん、切り絵のように貼り付けられ、鮮やかな花と闇をも描きだす。
経験がないだけに想像力はそれでも足りない自らを戒め、せめてとるべき立場を見失わない者でありたいと願う。
さて、結局なぜ彼の元を去ったのか?雨が痛い。

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Kj

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