夢売るふたり

劇場公開日:

夢売るふたり

解説

「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督がオリジナル脚本で描く長編第4作。料理人の貫也と妻の里子は東京の片隅で小料理屋を営んでいたが、調理場からの失火が原因で店が全焼。すべてを失ってしまう。絶望して酒びたりの日々を送っていた貴也はある日、店の常連客だった玲子と再会。酔った勢いで一夜をともにする。そのことを知った里子は、夫を女たちの心の隙に忍び込ませて金を騙し取る結婚詐欺を思いつき、店の再開資金を得るため、夫婦は共謀して詐欺を働く。しかし嘘で塗り固められた2人は、次第に歯車が狂い始めていき……。主演は「告白」の松たか子と「なくもんか」の阿部サダヲ。

2012年製作/137分/R15+/日本
配給:アスミック・エース
劇場公開日:2012年9月8日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第36回 日本アカデミー賞(2013年)

ノミネート

優秀主演女優賞 松たか子
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(C)2012「夢売るふたり」製作委員会

映画レビュー

3.0人生という物語を引き受ける覚悟

2012年9月17日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

読後感ならぬ観後感の悪さなら、西川作品の右に出るものはまずない。中でも、本作はピカイチ。「もやもや」どころか「どす黒い」。土と水のはずなのに、洗っても洗っても落ちない、まっ黒な泥を思わせる。穏やかな秋晴れの日に観たものの、帰り道はそんな現実が余りに遠く思えた。 とにかく、妻・里子を演じる松たか子が凄い。火攻め・水攻めだけでも凄いが、鮮やかな足さばきまで飛び出し、ゾクッとする。終盤に至っては、八百屋お七が登りつめて火で狂ったように、里子は水に狂い、泥にまみれて一瞬のうちに落下する。 夫婦を取り巻く人々が(物語への必要性はさておき)ぞくぞくと登場する中、鈴木沙羽は一番の「いい役どころ」かもしれない。酸いも甘いも噛み分けた大人として、夢売るふたりとこの物語に、あたたかな光を投げ掛ける。一方、田中麗奈が演じる女は、ありがちな位置づけで薄っぺらく、少々もったいない気がした。 そして、この映画の隠れた主役は、自転車だと思う。正確に言えば、自転車の二人乗り。それは、まっすぐで儚い「幸せ」の象徴だ。本当のところ、二人乗りは、さほど便利でも快適でもない。そもそも法律では禁じられており、堂々とはできないこと。(交番に近づくと、ぱっと飛び降りる里子がいじらしい。)それでも、身体を寄せあい、よたよたと進む自転車は、確かで満ち足りたぬくもりがある。不倫相手、若い夫婦、たまたま知り合った男女、親子…そして、自分の記憶の中の二人乗り。もう、私は二人乗りすることはないかもしれないな。ふと、そんなことまで思った。 個人的に惜しい気がするのは、時に饒舌過ぎるセリフが入るところだ。所作や視線、表情のみで語られるシーンが圧倒的に素晴らしいだけに、残念。特に複数のシーンに連なるモノローグは、画とのバランスを欠くように感じた。言葉に頼らずとも、映像だけで十分に語り尽くせたのではないだろうか。 また、観る者によって感じ方は極端に異なりそうだが、私には、監督の同性=女たちへの視線が、得てして(男たちへ以上に)やさしく、ともすると甘く映った。深追いしたら、もっとどす黒く、救いのない物語になったはず。そこが覚悟の足りなさ、という気がする。すっきりしない、とらえどころがない結末は、西川作品の持ち味のひとつだろう。とはいえ、作り手・語り手として、もう少し物語を引き受ける気概がほしい。作り手が、あるひとつの結末を提示したとしても、受け手が得る、他の可能性への創造力は奪われないはず。そんな豊かさを秘めた物語だと思う。

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cma

3.5西川美和の世界観、松たか子×阿部サダヲの演技合戦に浸りきる

2021年5月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

西川美和監督のオリジナル脚本による長編第4作は、松たか子と阿部サダヲが夫婦役で共演。 西川監督は一貫して「嘘」をテーマに掲げながら映画を撮っていた時代の1本(「すばらしき世界」で嘘をつけない不器用な男が主人公)。これはもう、松と阿部の演技合戦を心行くまで堪能して西川ワールドに浸りきる…というのが正解な作品。 騙される女たちも個性派が揃い、田中麗奈、鈴木砂羽、木村多江らが嬉々とした面持ちで西川組の世界観を生きている。香川照之、笑福亭鶴瓶まで出演しており、非常に贅沢な作品である。

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大塚史貴

4.0

2024年12月18日
iPhoneアプリから投稿

里子が本当に欲しかったのは、愛だったんだろうなぁ。

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みのすけ

3.5ひょんなことから結婚詐欺に目覚めた夫婦。阿部サダヲが?と思ったりも...

2024年11月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

ひょんなことから結婚詐欺に目覚めた夫婦。阿部サダヲが?と思ったりもしたが、現実の結婚詐欺もそんなもんのようだ(笑) 騙し、騙され、それぞれの人間模様の描き方が素晴らしい。不自然さは感じられない。 さてどうなるのだろうで終了。西川監督作品ではいつも通り、考察花盛り(笑)

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はむひろみ