告白(2010)のレビュー・感想・評価
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想像したやつじゃなかった
想像をかなり超えた話だった。
面白いんだけどもう少しそういう事態になる流れに説得力ある設定があったらよかったかなー。
なんか全て偶然の産物みたいだったし。偶然なのかな?
淡々として怖く、スリリングな群像劇
原作未読・予告動画なども一切見ておらず、完全に事前知識が無い状態で視聴しました。
まず最初に言っておくと、この映画は本当に面白かったです。淡々としているのに全くダレることなく素晴らしい映画でした。
松たか子演じる女性教師森口が自分の娘を殺害した生徒二人に対して復讐を行なうという、いわゆる復讐もの(リベンジもの)の作品です。他の復讐ものは復讐を達成しての爽快感を感じられたり、逆に「復讐なんて良くないよ」という教訓が含まれる作品が多いのですが、この作品はどちらにも当てはまりません。女性教師の復讐が淡々と進み、色んな人たちを巻き込んで話がどんどん悪い方向に進んでいくのをただ見せられる作品です。そこには爽快感も教訓もありません。
元々の原作が良いのかそれとも脚本の力なのか、淡々と進むストーリーにもかかわらず途中で飽きることなく最後まで釘付けになって視聴してしまいました。
役者陣の演技も素晴らしく、特に主演の松たか子は淡々と喋るだけなのに鳥肌が立つほどの怖さが伝わってきます。木村佳乃・岡田将生の演技もキャラに合っていましたし、子役陣も本当に素晴らしかった。
「イヤミスの女王」と呼ばれるほど、後味の悪い嫌~な作品を得意とする湊かなえが原作ということで、この映画も後味の悪さが濃縮されたような内容になっています。私はこの上なく楽しめましたが、もしかしたら見る人を選ぶ映画かも知れません。
パチン!ドカン!な~んてね♪
桜宮正義という著名な教育者を父に持つ愛美。彼が海外での素行がたたりHIVに感染していて、悠子には感染しなかったものの、愛美はHIV感染者となっていたのだ。そんな弱者を実験材料としてびっくり財布で過失致死においやったのだ。そして、悠子の告白は、二人の牛乳にHIVの血液を混入させたと・・・
山本美月(橋本愛)、犯人直樹の母親下村優子(木村)の告白へと続く。新学期になると寺田良輝(岡田)が担任となるが、相変わらず平気な顔をして登校してくる渡辺修哉(西井幸人)と対照的に、直樹(藤原薫)は登校拒否して引きこもり生活に入っていた。修哉は人殺しとしてクラス全員からいじめに遭うが新しい熱血担任は全く知らないままだ・・・
やがて追い詰められたように直樹は争いの後に母親を刺し殺してしまうが、精神的に追い詰めたのも全ては森口悠子が寺田を使って仕組んだこと。美月は修哉の唯一の理解者だったのだが、少年法で守られていることをはじめとして、自分を捨てた母親に認めてもらいたいがために科学の猛勉強、そして殺人者の道を行こうとする彼と恋仲になる・・・が、修哉は単なる暇つぶしだと強がり、結局は美月を殺してしまう。さらに夏休みが終わる直前、爆弾を作り、作文コンテストで優勝したスピーチのため始業式の壇上で全校生徒を巻き添えに自殺するつもりだった。しかし、彼の作っていたウェブサイトを見ていた森口が逆に復讐を成し遂げるのだ・・・
単純に考えれば松たか子演ずる復讐劇なのだが、自分は直接手を下すこともなく、じわりじわりと追い詰めていくのがミソ。特にクラスメート全員を使っていじめに仕向けるとか、引きこもりの子に熱血教師を向かわせるとか、本当に復讐したかったのは母親木村佳乃なんだろうけど、それ以上の効果が出てた。「命の重さ」とか「少年法」にもからめ、抑揚もなく淡々と語る松たか子の怖さが伝わってくるのだ。「パチンと弾ける」「なーんてね」と来て、最後には「ドカーン」というセリフが印象に残る。
演壇の下に隠した爆弾は森口が修哉の母親の研究室に持っていったのだが、はたして爆発は本当にしたのだろうか?と疑問が残る。もし爆発させたのなら、自らも罪をかぶることになる森口。修哉には美月殺しという事実があるので、復讐としてはそれだけで十分なはずだからだ。ラストでは、体育館で電話をかけながら森口が現れるので、ドカンという音は聞けないだろうしね(笑)
ものすごい
ある先輩から、「気持ちよい映画ではないけれど、映画好きなら観ておかないと」と言われて観たのですが、観た甲斐がありました。先輩、ありがとう!
娘を事故?で失った中学教師が、自らの教え子に犯人がいると判断して、教え子たちに責任をとらせる話。
湊かなえの原作は、「いやミス」と称されるだけあって、引き込まれてしまうが、読後感はどんより。その雰囲気を、見事に監督と主演の松たか子が映画化。本屋大賞を受賞した原作と並び立つ傑作映画となっています。
映画で知った方は原作も、原作で読んだ方はぜひ映画も、と両方おススメできる数少ない存在です!
松たか子の怪演にはものすごい迫力がありますが、周囲もなんだかうまいとか下手とかではなく、この映画の雰囲気を構成するパーツにぴったりハマっている感じ。監督が上手だったのだろう。
冒頭に書いた先輩の言葉「気持ちよい映画ではないけれど、映画好きなら観ておかないと」が全てなので、決して気持ちよい映画を想定して観られることがありませぬように。
その後、今度は宮部みゆきの傑作「ソロモンの偽証」前後編一気見で、再び同様の感動に出会うのであった。
分かっていても報われなくて余韻が悪い
あまりに報われない話
ハッピーエンドを求める映画ではないのはわかっているが、とにかく報われない
先生も死んだ子も殺した少年二人も殺された女の子も、みんなどん底に落ちる
そんな話
エイズに限らず、色々なことに過剰に反応する子供たちはリアリティがあった
最後までドキドキさせてくれるが、余韻が悪い作品
うそでしょ??
くそつまらん過ぎでしょ どうしたみんな??
なんでこんな映画が5とか4なのかがわからない
過大評価過ぎて笑っちゃう
撮り方も観にくいし音楽とか効果音とかそれに頼ってる感があって才能??そんなんじゃないでしょ
最後まで観ると時間の無駄だと思い途中で断念しました
数日間余韻が残るほどの衝撃作
なんで上映していた時に観なかったんだろう…と思うほどの仕上がりだった。
湊かなえさんの作品は何冊か読んでいて、どれも面白いのはわかっていたけれど、告白はまだ読んでいなかった。今回、Amazonプライムでなんとなく視聴して、釘付け。面白くなかったら止めよう…くらいの勢いだったけど、最後は床に正座?してガン見してしまった。
松たか子。こんなに演技うまいのか…マジで感動した。
松たか子は、女教師森口役。淡々と、自分の娘が、自分が担任だったクラスの生徒A,Bに殺されたことを告白し、「夫のエイズの血液を2人の牛乳に混ぜた」と話し、教師をやめる。
Aはお母さんに振り向いて欲しかっただけ。BはAと仲良くなりたかっただけ。2人とも、誰かに振り向いてほしくて、命の重みも理解していなくて、至ってしまった殺人。
「殺人をするつもりだったのに出来なかったAと、するつもりなかったのにしてしまったB(実際にはその瞬間芽生えたけれど)」
実際にありそうな、リアリティがある動機と行動だった。
Bはエイズになることを恐れて、そして命の重みを知り、狂ってしまう。Aは対局。自分に降りかかる問題はなんとも思わない。むしろ母親に知ってもらえるチャンスだと感じる。
最後、Aは一番自分を分かってくれる同級生の女の子を殺してしまい、そして、一番大切だった自分の母親を、森口の計らいによって、お手製の爆弾で自らスイッチを押して殺したことを知る。初めて見せるAの悲壮感。
そこへ森口が登場し、「なぜ関係のない人たちを、母親に知ってもらうために、自分と巻き添えで殺そうとするの?貴方が見てもらいたいのは母親でしょう?なら、その相手を殺しなさい。」と、淡々と言う姿が、本当に怖かった。
命の重さはすべて等しいのだ。なのに、それを人は忘れがち。それをここまで痛烈に感じさせるやり方があるだろうか。
大切な人を失うことが、どれだけ重たいか、なのに人々は命の重みを忘れてきていないか?世の中に問いかけ、優しい人がここまで変わると言う怖さを見せられた作品だった。
罪と罰を考える凄絶な授業
DVDで鑑賞。
原作は既読。
生徒に娘を殺害された女教師の仕掛ける、凄絶な復讐劇。誠に教師らしい方法で増長したクソガキどもをコテンパンに…
偉そぶって周りを見下していても所詮は子供。周到に見えて浅はかこの上無いのでまんまと地獄へ突き落とされました。
痛快さを伴いつつ、なんとも後味の悪い結末でした。
中島哲也監督はスパルタ演出で有名だそうですが、その甲斐あってか、松たか子などの大人の俳優たちも、橋本愛をはじめとする若手俳優たちも、ポテンシャルを限界突破した迫真の演技を披露しており、迫力に圧倒されました。特に木村佳乃演じる母親がえげつない狂気。その末路も衝撃的でした。
観終わって決していい気分になる作品ではありませんが、この後味の悪さが何故かクセになる。不思議とまた観たくなってしまう。とてつもない中毒性を持った作品だと思いました。
※修正(2024/04/26)
映像美だけではない
犯人が序盤から分かっている中で進んでいくタイプの作品。自分で推理しながら見たい人にはお勧めできない。めちゃくちゃ退屈に感じるかもしれないから。
犯人が誰なのか分かっているからこそ、こいつはどういう奴でバックボーンはどうなってるんだと興味をそそる。
中島監督は、家庭不和や偽善、虚飾、そして人の心の機微をとても丁寧に描く方ですね。
とりわけ「親がこんな感じだったら子どもはこうなるから!」的な、大人としてのモラルや、子を成したことによる人間的成長がなければ物事は繋がっていかないのだということを突き付けてくるようなテーマがお得意なのかなと感じました。(つい昨日「来る」も観てきましたが、そちらにもそういう要素がかなりあったので)
娘を死に追いやられた森口の復讐が根底にありながら、様々な精神的問題を抱えた登場人物たちがそれぞれ自滅に近い形で崩壊していくような流れですが、かなり残虐なシーンが多い中、とにかく役者陣の顔の綺麗さと、血飛沫などを含めた「液体」の美しさは見惚れてしまうほど見事で、あれはもうアートの域だと思いました。
木村佳乃さんと橋本愛ちゃん、本当にスーパー美人ですね。
オチで森口が発する「なーんてね」の取り方で、この作品が何を伝えたいのか、大分意見の分かれるところだと思います。
森口が、爆弾を母親の職場に置いてきたのよという報告自体が狂言だったとすると、「まさか、そんなことするわけないじゃん。騙されて泣き叫んでやんの」の「なーんちゃって」にも取れますし(実際、あの場面で渡辺の母を殺させても娘が戻ってくるわけではないし、そもそも、一旦解体して再度修復するというほどの知識や経験が森口にあるという明確な描写はないと思うので)
違う解釈としては
「あなたのような、脳味噌の作りが異常な人間には、そもそも『更正』なんて出来るわけないんだよ」「あんたはそのまま異常者であり、これからだってたいした意味もなく人を殺すし、少年法が適用されなくなった時に人生も終わるんだよ」
的な、人間としての死刑宣告を意味する、おちょくるような諦めのような「なーんてね」とも取れますね。
だからこその、あの森口の泣き笑いの表情かなとも。どうしたって家族は帰ってこない、その虚しさの境地を表現した台詞と泣き笑い。
ミヅホと渡辺の青春シーンをフィルム的なノスタルジー感溢れる映像で表現しているのも、夢想的で美しい。渡辺にとっては暇つぶしでも、ミヅホは渡辺を憎からず思っていたはずなのに。
クライマックスの逆再生シーンは正に圧巻。
でもあれは流れ的に考えて、どう考えても渡辺の妄想、願望ですね。やっぱり母は自分のことを愛していた。自分の載っている新聞記事を読んで涙を流してるんだ!という類の、母親というものへの限りない憧憬。
見て良かった。
考えさせられます。
私も家庭不和の中で育ちましたから、余計に。
これが中島ワールドか。
「来る」を観たとき、なんて酷い作品だと思いました。「告白」も、単純に原作を読んでいたので避けてましたが、観てみたら中島監督でした。感想は、同じです笑
彼は、原作をぶち壊して己の興味を観客に押し付ける身勝手な監督です。それが吉と出るか凶と出るかは、観る人次第。
だから、感性の合うひとには受けるんでしょうけど、僕は拒否反応しか出ません。何故これがヒットしたのか。ただの昔の橋本愛がかわいいだけの映画。
精神的グロ、だが見入ってしまった
少年犯罪、殺人、集団心理、いじめ、様々な人間の醜さ、心の醜さ、やるせなさ等々、精神的グロを含む映画。
特に序盤、趣味の悪い描き方をしているので、人によっては最低レベルの評価になるかも。
発端となった事件が松たか子のモノローグのような形で描かれ、事件の全容が明かされたかのように見えたところで、本当の物語がはじまる。
事件の「その後」そして、モノローグにはなかった「事実」が視点を変えつつ明らかになっていく。
個人的に、同じく精神的グロ映画であるソロモンの偽証は受け入れられなかったが、こちらは引き込まれていった。
精神的にくる内容もありながらも、きちんと物語になっているからだろうか。
あるいは被害を受ける人のほとんどが”そうなっても仕方ない人物”だからなのかも。
ニュースなどで報じられる少年犯罪は結局「意味不明」で済まされることが多い。
この映画ではその裏を描いているし、そこには少年のバックボーンだけでなく、大人からの影響も描かれているのが面白い。
遊戯王という漫画では男親が異常性を持つ様が描かれているのだが、この映画では逆に女親(あるいは女性の大人)がそういう役目を担っているのも興味深く感じた。
序盤の単なる趣味の悪い演出(その演出をしようとすること自体が趣味悪い)と、終盤の逆回しシーンはいらなかったんじゃないだろうか。
被害者遺族の本心
原作は読んでおらず、映画だけだけど被害者遺族が本当はどうしたいかの本音の部分が描かれてる。
憎くてどうにもならないほどの苦しみの底に広がる無。無。無。またやってくる憎しみと苛立ちと苦しみと後悔。そしてまた無。無。無。永遠に終わらない痛みの中で加害者が死んでも、加害者の大事なものを壊しても変わることのないループ。
素晴らしい作品だと思う。本も読みたくなった。
後半からの盛り上がりがすごい
前半の教室での一人語りが冗長気味で少々退屈ですが、それも後半から畳み掛けるように繰り広げられる復讐劇への布石でした。
音楽も映像もよく計算されて、静かな迫力を堪能しました。
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