告白 インタビュー: 中島哲也監督が「告白」で得た演出の妙技

ホーム > 作品情報 > 映画「告白」 > インタビュー > 中島哲也監督が「告白」で得た演出の妙技
メニュー

告白

劇場公開日 2010年6月5日
2010年6月7日更新
画像1

中島哲也監督が「告白」で得た演出の妙技

2009年の本屋大賞に輝き、現在までに累計発行部数235万部(文庫含む)を誇る湊かなえのベストセラー小説を、松たか子主演で映画化した「告白」。メガホンをとったのは、「下妻物語」「嫌われ松子の一生」などで天才肌の演出手腕を発揮してきた中島哲也監督だ。ひとり娘を亡くした中学校教師の「娘はこのクラスの生徒に殺された」という告白をきっかけに、殺人事件にかかわった登場人物たちの心のやみに迫りながら命の尊さを問いかける問題作が、どのように出来上がっていったのかを中島監督が語った。(取材・文:編集部)

■置き去りにされる原作のエンディングに感銘

生徒に娘を殺された女教師、後任の熱血教師、過保護すぎる犯人の母親、そして犯人2人を含む37人の生徒……。告白という独自の切り口が話題を呼んだ原作を、中島監督は書店で偶然手にし、引き込まれていった。「湊さんなりに色々と葛藤(かっとう)を抱えて“書かされている”という感じで書いているところに好感が持てました。そして読後、読んだ人間が色々なことを考えなくちゃいけないくらい置き去りにされていくエンディングにも感銘を受けました。だから、映画化して結論を出すというより、僕が小説を読んだときと同じように、お客さんの中に重いものが残るような作品にできればいいなと思いましたね」

原作者の湊が描き出した世界観に最大限の敬意を表し、中島監督は過去の作品群に見られた華美な演出表現を封印する。「登場人物のことを考えたら、今までやってきた方法論は邪魔になる気がしました。ちょっと物足りないくらいにシンプルな映像で、とにかくそこに出てくる人間たちを見つめるしかないっていう状況を作ったほうが、最終的にお客さんの心に残るものは多いだろうという気がしましたから」。そして、主人公・森口悠子を演じた松たか子には、「中学生たちをボコボコにしてやってくれ」という熱い手紙を送り快諾を取り付けた。

中島監督は、森口を冷酷無比な復讐(ふくしゅう)鬼としてとらえられてしまうことに危ぐした。だからこそ、松に望んだことはただひとつ「人間でいること」だった。「人間のやることなので、冷酷を装いクールに振舞っていたって、その端々に感情って宿ると思うんですよ。感情が高ぶっているからこそ、わざとクールにしゃべる。その微妙な差ってお芝居をするうえですごく難しいじゃないですか。森口をモンスターではなく人間として見せてほしい。それを表現できる女優さんというのは、あの年代では松さんしかいないと思ったんです」

■松たか子はそら恐ろしい女優

松は目で、背中で、見る者に饒舌(じょうぜつ)に語りかけ、中島監督の期待を上回る演技を披露した。撮影中も、難解な役どころを演じることに苦心している様子は一切見られなかったそうで「そら恐ろしい女優だと思いました。ひと言伝えるだけで演技がパッと変わるんですから。前の芝居にこだわらない。つまり、理屈で考えない人だと思うんです。1テイク目でいい芝居をしていても、ちょっと変えてみましょうかと言えば、パッと変わって全然違う切り口の芝居をする。それが逆に面白くてテイクを重ねたくらいですから」と振り返る。

しかし、松の演技を見て、不安を感じることもあったという。「これ以上できないなというところを全く感じさせないんですよ。そうなると逆に、本当に松たか子の100%を引き出せているんだろうか? と不安になりますよね。彼女の演技には満足しているけれど、『この人、オレに演出家としての技量がもっとあれば、もっとすごい演技ができるんじゃないか』と感じさせるくらいに、素晴らしい女優だと思いました」

それはまた、空気の読めない後任の教師を演じた岡田将生しかり、現実を見ようとしない犯人の母親に扮した木村佳乃しかり。今回は、これまで以上に俳優陣に依存して“撮らされている”感じがしたといい、「俳優さんの芝居をまず見つめ、受け止め、それに刺激を受けてさらに演出の手を加え……、こういう撮り方のほうが全然幸せだなと思いましたね。現場では演出家がなるべくしゃしゃり出ないほうが絶対にいいんだと。自分が演出をしなくてもいいように、どれだけ俳優さんに任せて演じてもらうかを考えるほうが、映画は面白くなるんだと気づかされましたね」と話し、屈託なく笑った。

関連コンテンツ

関連ニュース

関連ニュース

映画評論

これは復讐譚ではなく、命の尊さを過激に教え諭す残酷寓話である
映画評論

プロットだけを追えば救いようのないサスペンスに思える。しかし学校という現代社会の雛形と向き合う子供と大人は知っている。少年に愛娘を殺められ報復を企てる女教師、罪を犯した我が子を庇う母、自己中心的な熱血教師――彼らが繰り広げる絶望の連鎖...映画評論

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

五月みどりの かまきり夫人の告白[DVD] 22年目の告白-私が殺人犯です- ブルーレイ&DVDセット[Blu-ray/ブルーレイ] マリリン・モンロー 最後の告白[DVD] デジモンアドベンチャー tri. 第3章「告白」[DVD]
五月みどりの かまきり夫人の告白[DVD] 22年目の告白-私が殺人犯です- ブルーレイ&DVDセット[Blu-ray/ブルーレイ] マリリン・モンロー 最後の告白[DVD] デジモンアドベンチャー tri. 第3章「告白」[DVD]
発売日:2015年7月8日 最安価格: ¥2,237 発売日:2017年10月4日 最安価格: ¥3,188 発売日:2013年6月14日 最安価格: ¥2,165 発売日:2016年11月2日 最安価格: ¥5,594
Powered by 価格.com

映画レビュー

平均評価
3.8 3.8 (全187件)
  • ちょっと独特過ぎたかな。 サイコ的、サスペンス的なストーリーを際立たせる音楽、演出が意図的に使われることが多いんだが、今回に関してはあまり好きではなかったかな。 正直、結末も納得行かず、じゃあどうすべきだったの?となっ... ...続きを読む

    静か 静かさん  2017年12月16日 02:03  評価:0.5
    このレビューに共感した/1
  • 演出の良さと役者の演技が圧巻 凄い映画だ。終始暗い重苦しさがある。少年法に守られた少年たちに、どうすれば復讐できるのか。命をどう思うのか。誰かのは軽んじ、また誰かのは重じる。グロいのが苦手な人はご注意を。 ...続きを読む

    アンブレラ アンブレラさん  2017年11月19日 00:43  評価:5.0
    このレビューに共感した/0人
  • 最高 主人公の淡々とした語り口に、妙に引き込まれる感覚を覚えました。 無駄のないストーリー構成でとても私の好みの映画でした。 だんだんと真実が明らかになっていくのが面白かったです。 とにかく最高でした。 ...続きを読む

    プリマベーラ プリマベーラさん  2017年10月23日 14:44  評価:4.5
    このレビューに共感した/0人
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

最新のインタビュー

  • インタビュー 悪と仮面のルール 玉木宏×新木優子“刹那”に刻んだ究極の愛、そして結実した“最高の価値”
  • インタビュー 戦狼 ウルフ・オブ・ウォー アジア歴代No.1ヒット作を生み出した男、ウー・ジンの「命を使って飯を食う」覚悟
  • インタビュー 嘘八百 中井貴一&佐々木蔵之介&友近“全員主役”になって作り上げた味わい深いコメディ
インタビューの一覧を見る
Jobnavi