第9地区のレビュー・感想・評価
全185件中、1~20件目を表示
前代未聞な傑作SFの影にあの名匠の支えあり
始まりは6分の短編だった。それもピーター・ジャクソン指揮下で企画されていた「Halo」映画化が頓挫した末、せっかくだからこのメンバーで何か撮ろうという流れで俎上に上ったのがこの短編の長編化だったというから驚きだ。ビジネスも映画も失敗をバネにして這い上がるところでこそ大きなチャンスが得られるのかもしれない。
特殊造形やVFXにおいてもジャクソン率いるWETAワークショップやWETAデジタルの技術力を取り入れて作り出された、この全く新しいドキュメンタリー・タッチのSFアクション。冒頭で様々な記録(風の)映像を駆使しながら宇宙船の到来や難民の受け入れ、スラムの形成、住民との軋轢などをスピーディーに織り成していくクレバーな構成も、ジャクソンによる指南を柔軟に取り入れた結果なのだとか。本作に関して彼の名が取りざたされることは稀だが、超大作を手がけた名匠と新進気鋭の若者による師弟コラボレーションこそが真の推進力となりこの傑作が生み落とされたのだ。
SF、エンタメとしては超1流。差別が描き切れず含意は少し物足りない。
SFとしては非常に面白いです。ちょっと「謎液」設定が好都合すぎる気もしますが、それ以外はストーリー、発想、設定、映像などすべて高水準の映画でした。
1人の男と1人のエイリアンの出会いがストーリーの中心になり、ヒューマンドラマを展開します。そのドラマの中、エイリアンの生態や科学水準は語られるというよりもストーリーで読み取れます。非常によく練られた脚本だったと思います。ラストシーンもなかなか内面描写が直接的じゃなくて、じんわり感情にくるような秀逸な終わり方でした。
ただし、です。ヨハネスブルクということはアパルトヘイト、つまり黒人差別のアナロジーという読み取り方をすることができると思いますが、そこのメッセージが中途半端でした。舞台設定、話の要素にとどまっていたかな。そこを期待していた分、ちょっとがっかり感があります。
その点では日本のアニメの類似作「ニーアアンダー7」はこんなに暴力的ではないですが、よほど深い話でした。エンタメ、エイリアンもののSFとしては超1流ですが、含意が少し物足りないかなあ…
ドキュメンタリー風に展開される映画
さまざまな人のインタービューの様子、常にテレビで報道しているかのような作り込みにドキュメンタリーの感覚を持たせてくれる。エイリアンお断りの標識、スラム地区とまるでアパレルヘイトの黒人分離かのようにエイリアンを扱い、当時の社会問題を間接的に伝えてくれる映画
初めは気持ち悪い存在だと思っていたエイリアンに、自分が成りエイリアン親子と関わっていくにつれ、家族を思う気持ちや死んでいった仲間に胸を痛める様子の”人間らしさ”に触れていき次第に変化する主人公の行動が印象的でした
まさかの宇宙人びいき
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある時UFOがやって来て、地球上空で立ち往生する。
人間が行って突入し、そこで海老みたいな多くの宇宙人と遭遇する。
宇宙人達が攻撃的でなかった事もあり、平和的に保護する形となった。
そして第九地区という地域に住まわせた。海老たちは地球語を話せた。
こうした共存の中、一部の人間は宇宙人の持つ武器に目をつけていた。
政府だか企業だか忘れたが、抜擢された主人公が第九地区を訪れる。
20年以上経ち、海老の数が増え過ぎたので、移住を依頼するためだった。
その時主人公は、海老たちが隠し持っていた謎の黒い液体を見つける。
何かと思っていじっていると体にかかり、手が宇宙人のそれになった。
上述のように一部の人間は宇宙人の強力な武器に興味を持っていたのだが、
DNAの関係で彼らにしか使えないということがわかっていた。
が、今の主人公は人間と海老のDNAの中間の形になっている。ってことは・・・
政府だか会社だか知らんけど、強制的に主人公を監禁して研究対象とした。
主人公の命などどうでも良かった。まさしく人体実験である。
何とか逃げ出した主人公だが指名手配され、行くところもなく海老のもとへ。
そしてそこで、海老たちが密かに帰還計画を立てていたことを知る。
また黒い液体があれば主人公の手も戻るし、海老たちも帰還できる事も知る。
そこで1人の海老と共に人間の研究所に忍び込み、奪還に成功。
第九地区には軍が乗り込んで来たが、海老兵器を使える主人公が迎え撃った。
そして仲間の海老を救い、宇宙船へと送り出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とにかく海老は善良。平和的で義理堅く、無欲。徳が高い。
対照的に、人間の愚かさがクローズアップされまくってる映画。
表向きは保護しながらも、裏ではその武器を奪おうとする汚らしさ。
名目上は共存でも、相手が抵抗しないとわかるとすぐに増長する愚かさ。
でもそれが人間であり、もしこれが現実でもこんな感じになりそう。
権力を持った人間というものは、自分より弱いと思った者を支配したがる。
地球上では動植物がその対象だし、一般市民だって権力者に支配されている。
主人公は急に権力を持ち増長した、支配したがる存在の象徴として描かれる。
人間の醜い部分を全て演じ切る役と思っても良いと思う。
主人公は最初は海老に対して完全に上から目線の態度だった。
だが梯子を外されて危機に陥ると、一転して海老を頼る。
それを許容する海老、という構図。
主人公は海老と協力関係になった中でも裏切るようなマネをするし、
海老がいよいよ殺されそうになった段階でも一度は見捨てる有様。
その後ようやく思い直して助けたんやが、これもある程度打算的。
だって海老の圧倒的な装備を身につけた、ある程度安全な状態での話やもん。
それだけの装備がありながら一度は見捨てるって事の方が身勝手過ぎ。
最後はよくわからない終わり方をした。
海老らは一部が帰還しただけで残りは地球に残って繁殖した。何故?
続編への布石なのか?
宇宙人ものは多く見て来たが、大体は地球を侵略して来るのに、
この映画では地球人側が一方的に悪として描かれてた。
宇宙人側に味方しながら見る作品は始めてやし、新鮮だった。
人間の身勝手さに対する警鐘を鳴らす作品である。
改めて自分のあり方を見つめなおすべきだと思った。
まぁまぁ面白い。ただ体調がいい時に観てください
レンタルしているDVDを早く消化せねばと、病み上がりに視聴しましたが、これは体調の悪い時に観るべきではなかった映画でした。
ところどころ気持ち悪いといったらなんのって。
エイリアンを害虫扱いし小馬鹿にしていた職員が自分がエイリアンに感染してしまうという何とも皮肉な流れ。
それがまたストーリー自体は面白い。
エイリアンからしたら迫害されてたまったもんじゃない話だが、そもそも素行も悪く好戦的で友好的ではないのに地球に勝手に来る方が悪い。
ただでさえ人間が受けつけない見た目をしているのに、そりゃ物を盗んだり自分の利益のために人を56してはヘイトも向くだろう。
[疑問点: 1]
何を言ってるのかも分からんエイリアン語をなぜ人間が理解できる?なぜ意思疎通ができる?エイリアン側もネイティブスピードで話す英語を完全に理解できてるのがすごい。(基礎知識がある地球人なら20年も住めば習得できるのは何となくは分かるが…映画にそこまでつっこむべきではないが)
[疑問点: 2]
エイリアンに感染した原因が司令船を起動させるための燃料がかかったことによってだが、そもそもそこらへんの原理がちょっと曖昧だったと思う。なぜ宇宙船の燃料で?エイリアンの血がかかるとかなら何となくは分かるが。
「故郷の惑星には帰るんじゃない。俺たちはこのテントに住むんだよ」というシーンには考えさせられるものがあった。
この映画はアパルトヘイトが背景にあるらしいが、やはり差別というものは人間の本質にありなかなか切っても切り離せない問題なのだと思う。
肝心の黒い液体を取り戻したシーンではさっさと逃げればいいものを、仲間をやられた姿にボーと立ち尽くすクリストファーには(さっさと動け!ノロマが!)と苛立ちを覚えた。
賢いのかバカなのか分からん。
気のせいなのかもしれんが、だんだんとストレスからか、ヴィカスに10円ハゲが出来ていて細かいところまで作り込んでるなぁと思った。主人公の顔の表情もすごく良い。
腕を治すのに3年かかると言われて怒ったヴィカスがクリストファーを急に殴りだし置いてきぼりにして、勝手に乗って指令船を起動させた時には、血も涙もなくて主人公の性格がヤバすぎて空いた口が塞がらなかった。
こりゃエイリアンも人間とは信頼関係も築けないだろう。
最後は身体を張って守ってくれたとはいえ、こんな薄情な人間の身体を治すためにわざわざまた危険を冒してまで再び地球に戻ってくるメリットは一つもない。
クリストファーは故郷で平和に暮らしていることでしょう。(たぶん)
意図せずコメディのよう
とある惑星からやってきた宇宙飛行船がアフリカの上空に停滞して、エイリアンたちが地球の限られた地区に住む。管理された地区。そこはスラム街と化した。エイリアンを強制移住させようと、管理会社の管理職が出向いていって、エイリアンのエキス?に感染する。
左腕がエイリアンのようになり、さらにエイリアンのように変化していく様は、「ザ・フライ」を彷彿させた。エイリアンを酷く扱い、駆逐していくような管理会社。スラム街に居座るギャング。そうした三つ巴の紛争、銃の撃ち合いが続く。最後はモビルスーツみたいなロボットのようなものが出てきて、、あまりに現実感がなく、意図せずのコメディのよう。深く考えれば、異質なものとの共生、排斥ということなのだろうが。
CGすごいし面白かった。
まずこの作品がひと昔前だと言うのに驚いた。最初は取材っぽい撮り方でテンポよく見れる。ただグロ耐性ない人にはキツイ描写の連続😱
確かに主人公は人間的に残念な部分あるけど、個人主義な国ってこんな感じなんかなと。それもあってあんまり感情移入なくサクッと見れる。
エイリアンもそこまで脅威って訳でもなく共存(隔離)生活してたってのも他作品と違うところかな。
エイリアンへの扱いが動物か虫レベルだなと感じた。アパルトヘイトを参考にしてたのなら納得。
どうなるのか気になる展開で最後まで楽しんで見れた。主観では納得行く結末ではなかったけど作品としてはよくできてると思います。
多様性が問われる2020年代の今こそ観るべき作品である
もう13年も前の作品なのか。古臭さはまったくない。今の世の中にある差別問題や多様性がテーマになっていて、時代を先取りしていたんだなと改めて気づいた。
エイリアンを通して描かれる差別と暴力。
予告を見てから鑑賞。
なんとなく、昔見た V の印象が強かったが、全然違う話だった。
見た目に反して (優れた武器を持っていても) 相手を攻撃することなく、
異なる星の生物であることをわきまえ、なるべく、平和に接しようとする姿勢。
どんな粗末な扱いを受けても、バランスを重んじて、生きていく生物。
その一方で、見た目に反して、自分達だけが優れた生物だと思い込み、
非武装な相手に武器を向け、暴言を吐き、感情のまま、相手を殺す。
抵抗しない相手を「下」と考え「モノ」として扱い、実験材料とすることもある。
徹頭徹尾、上から目線の生物。
物語の中では、終始、この違いについて、感じさせる描写がある。
本当の意味で「汚い」のは、どちらのだろう。と考えてしまう。
「心理的な優位性」がもたらす「差別」が存在することを改めて感じざるを得ない。
主人公が自分のために助けてくれた相手を裏切るところがあり、
「人」の強欲さというか、追い込まれたときの人は試される。ということも感じさせる。
ラストのあのワンカット。あえて、何も触れられなかったが、
彼は己の運命を受け入れ、できることを精一杯やっているのだと思いたい。
そして、明日から何か1つでも良いので、善いことをしよう。
少しでも、良い生物でいられるよう行動しよう。と思ってしまう。
中途半端に終わる
ドキュメンタリー風のストーリー。
自己中心的すぎる主人公に少しイライラする。
最後のシーンで「そうなったのか…」となる展開があるが、それ以降どうなったのかよく分からない中途半端なところで終わる。
奥さんは主人公のヴィカスを愛しているようだったが、特に手助けしたりはしないところは残念。
まあ、よかった、
予備知識なく見たけど、ドキュメンタリーチックな映像で話もおもしろく興味深く見られた。
でも、主人公の捜査官?は、序盤、せめてエイリアンのとこに立ち入るのにマスクや手袋などはしていくべきだろう、と。(笑)
エイリアンと言葉も通じてるのが不思議でもあり(笑)、まあ、そこは突っ込まないでおこう。
グロテクスなとこもありつつ、ストーリーはわかるし、「どの人物がどういう立場」ってのもわかって最後までしっかり見られた。
多少長く感じながらも、感傷的、せつない部分もあれど、総じて「まあ、よかった」かな、と。
人間の身勝手さと悪いところが色濃く表現されている。 けれどもストー...
人間の身勝手さと悪いところが色濃く表現されている。
けれどもストーリーや設定はこれまでにないものがあり、新鮮でおもしろい。
斬新な作品です。
どういう立場で観ればいいのかな?
映画としてはテンポが凄く早いし、娯楽性も高いし、設定は奇抜なのにリアリズム満点だし、なかなかの作品です。
ただ、やり過ぎ感高い宇宙人がグロテスクな割には、メッセージ性も含まれているので、おバカなドタバタアクションとして笑い飛ばせばいいのか、シリアスにとらえるべきなのか迷います。
アパルトヘイトの実際の事件をモデルにしているらしいけど、南アフリカ人じゃないとそこはわかりません。戦闘シーンは中東戦争ぽくて、かかる音楽も何やらコーランみたようなアレンジで、更に錯乱します。後引くような、夢に観そうな独特の味わいがあります。南アが舞台の映画って殆ど日本ではお目にかからないので、町の雰囲気も珍しいですね。
圧倒的な大きさに驚かされます。
内容は突如、南アフリカ🇿🇦の都市ヨハネスブルク上空に巨大なUFOが飛来した所から物語が始まる。降下してきた異星人👽と先住民族との軋轢の物語。最近連載が終了した。デデデデッドデストラクション浅野いにお著作漫画が好きで酷くインスパイアされた映画を閲覧。好きな言葉は、『我が惑星は…』自分達の星が何らかの理由で住めなくなって、仕方なく地球に移住する姿は切なくなりました。南アフリカの人種隔離制作は当然の事ながら、映像的なインパクトは素晴らしい。巨大浮遊物物は『メッセージ』『未知との遭遇』など色々ありますが驚きました。やはり画面からはみ出して見えて来る様な映像表現は、映画の良さを伝えてくれます。出落ち感は否めない内容の浅いものですが、只デッカい物が好きなのかもしれません。同じ監督で『チャッピー』2015年も観たことありますが『第九地区』の方がテーマ性がハッキリされていて楽しかったです。最後のゴミ置き場で鉄の花を作るシーンは、続くでもなく終わるでもなく溶け込んで始末する姿は面白かった。同じ監督作品でテイストは似ていますがクリエイティブに生きる事は残酷だなぁと思いながら作品を鑑賞しました。
面白過ぎる。 サイエンスフィクションとして考えない事にする。所詮、...
面白過ぎる。
サイエンスフィクションとして考えない事にする。所詮、ありえない話だから。
アパルトヘイトがあった南アフリカのヨハネスブルグが舞台って事がみそかなぁ。
ゲットー(アパルトヘイト)は存在し続け、主人公や地球の未来がどうなるのか。何と絶望的。
CGが使われ過ぎているが、傑作な物語だと感じた。
まず序盤の勢いから苦手な雰囲気で不安を感じたが、それが当たってしま...
まず序盤の勢いから苦手な雰囲気で不安を感じたが、それが当たってしまった。終盤までどうしてもやっつけ感が拭えない。登場人物も好きになれない人が多く、救いはエビのクリストファーだけ。続編ありきだとしても見るのがキツい。
セリフもかなり一辺倒で面白味はなく、人情味ある人もいない。主人公?のヴィカスもある意味人間らしいが、生々しくて映画としては共感しづらい。
差別行為への皮肉と考えれば、深く思うこともあるが、個人的にはそれ以上に設定やストーリーの甘さが気になってしまった。
ただ好きな人や刺さる人は多くいるだろうなと思う作品。
全185件中、1~20件目を表示