誘惑のアフロディーテ

劇場公開日:

解説

可愛い養子の実の母親探しが、思わぬ騒動へと発展してしまう様を描いたロマンチック・コメディ。監督・脚本・主演は「ブロードウェイと銃弾」のウディ・アレン。製作は「アニー・ホール」以来の全作を手掛けるロバート・グリーンハット、エグゼクティヴ・プロデューサーはジーン・ドゥーマニアンとJ・E・ボーケア、共同製作・プロダクション・マネージャーはヘレン・ロビン、撮影は「ハンナとその姉妹」以来アレン作品のほとんどを手掛ける名匠カルロ・ディ・パルマ、美術は「ラジオ・デイズ」以降全作を手掛けるサント・ロカスト、衣裳はそのロカストの助手を経て「ブロードウェイのダニー・ローズ」以降全作を手掛けるジェフリー・カーランド、編集は「マンハッタン」以来の常連スーザン・E・モースで、アレン作品の常連スタッフが集結。共演は「フランケンシュタイン」のヘレナ・ボナム・カーター、本作でアカデミー助演女優賞を受賞して一躍注目を集めた「クイズ・ショウ」のミラ・ソルヴィーノ、「愛のめぐりあい」のピーター・ウェラー、久々の映画復帰となった「ライムライト」などの名女優クレア・ブルーム、「アマデウス」のF・マーレー・エイブラハム、「陽のあたる教室」のオリンピア・デュカキス、「ブロードウェイと銃弾」のジャック・ウォーデンほか。音楽監修とオリジナル演奏はディック・ハイマンとそのオーケストラ、コーラスが担当。

1995年製作/95分/アメリカ
原題:Mighty Aphrodyte
配給:松竹富士(アミューズ=松竹提供)
劇場公開日:1996年12月14日

ストーリー

コロスの長(F・マーレー・エイブラハム)がレニー・ワインリブの悲劇の開幕を告げる。レニー(ウディ・アレン)はスポーツ・ライター、妻アマンダ(ヘレナ・ボナム・カーター)との間に子供はいない。アマンダが彼の反対を無視して養子をもらってしまうと、レニーは子供をマックスと名付け、アマンダの母(クレア・ブルーム)も驚く徹底した親馬鹿ぶりを発揮した。マックスは利発でハンサムで性格も最高の子供に育った。画廊につとめるアマンダに独立話が持ち上がり、後援者のジェリー・ベンダー(ピーター・ウェラー)と彼女の仲が気になるレニーは気まずい思いをする。彼はマックスの親は遺伝からいってさぞ理想的な人物のはずだという思い込みに取りつかれる。コロスは父を殺し、母と枕を交わしたオイディプス(ジェフリー・カーランド)の悲劇になぞらえて彼の軽率を警告する(かくして精神分析という産業が生まれた、とコロスは言う)が、レニーは好奇心を抑えきれずその母の消息を尋ねる。果して相手はなんと娼婦のリンダ・アッシュ(ミラ・ソルヴィーノ)。話をするだけのつもりだったレニーはすっかり彼女に圧倒され、なぜか彼女が忘れられず、彼女のアパートに通い、やがて親しい友人で相談相手になってしまう。リンダは女優志望だというが、出演はポルノ映画ばかり、ところが彼女はそれを何とも思っていない。レニーはバスケットボールの試合のキップをエサにリンダを娼婦の元締めから解放してやり、ボクサーの卵でタマネギ農家出身の純朴なケヴィン(マイケル・ラパポート)とお見合いまで設定、二人は恋に落ちる。一方レニーは浮浪者に扮した盲目予言者テレシウス(ジャック・ウォーデン)に、アマンダがジェリーの愛人になったと告げられる。レニーとアマンダは別居する。ケヴィンはリンダが娼婦だと知って怒って田舎に帰ってしまった。レニーは失恋したリンダを訪ね、ついに彼女と寝てしまうが、そのとき突然アマンダへの愛を自覚する。その頃アマンダも突然自分が愛しているのはジェリーではなくレニーだと気がつく。かくして夫婦は元のサヤに収まる。リンダはケヴィンの田舎を訪ねるが、追い返される。ところが帰り道、コロスが「ところで、デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)と言えば」と呟くと、突然彼女の目の前にヘリコプターが不時着。彼女はパイロットを車で送ってやる。彼は寛大な男で、彼女の過去を笑い飛ばして彼女と結婚した。そこへ予言者テレシアスが登場、秘められた意外な事実を明かす。実はリンダはレニーとの一度のセックスで妊娠した。彼女はその子を夫の子として出産していた。ある秋の午後、大きな玩具店でマックスを連れたレニーと、娘を乳母車に乗せたリンダがばたり出会った。二人はお互いに、相手が連れているのが自分の子だとは気づかないまま、挨拶を交わして別れていった。コロスは人生悲劇ばかりではないが、妙なことはいっぱいあると結論づけ、ミュージカル・ナンバー『When You're Smiling』を歌い、踊り始める。

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映画レビュー

3.5ウディ・アレン式ギリシャ喜劇…邦題は外してるけど…

2023年4月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

①70年代後半~80年代はベルイマンを意識していたように思うのだが、本作はフェリーニ・タッチ?
②映画がコロスの登場シーンから始まった時は?という感じだったが、今回はギリシャ悲劇/喜劇がベースになっていることをコロスに進行役を務めさせることで問わず語りに言いたかったのかな。
でも、その趣向が正しかったかどうかは最後まで疑問で、それで点数を少なくしてます。
③ギリシャ悲劇と言えば、親子・夫婦・恋人たちが、運命の皮肉に翻弄されて、親殺し・子殺し・近親相姦・嫉妬・復讐といった悪業の数々を複雑な関係の中で繰り広げるという話が多い。
本作でも、ウディ・アレン扮するレニーが半ば強迫観念的に養子の実母探しを始めたことから、親子・夫婦・男女の関係がねじれ始めるが、ねじれた挙げ句ハッピーエンドになるという皮肉な展開になる。
コロスのリーダーが言う通り、“人生は皮肉に溢れている。奇想天外で悲しくすばらしい”という台詞がピッタリ。
④ウディ・アレンの映画は、これまで登場人物一人一人の内面を掘り下げるような映画が多かったが、本作ではその掘り下げが浅くなっているようだ(表面だけなぞっているという意味ではない)。
個人個人に光を当てるより群像劇にして、人間と人間社会の有り様を俯瞰的に描く作風への転換点かな?

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もーさん

3.5時代

2020年5月23日
Androidアプリから投稿

1995年のコメディ映画で 2020年現在でも違和感はない
アレンとミア・ファローが養子を受け入れた過程も彷彿とさせる… と思ったが…

養子の実母の職業が… という話で 彼女を演じるソルヴィーノはチャーミング
その肢体は女神のよう
(彼女の衣装とインテリアのチョイスも笑える)

ただ、アレンの現状、ミアとの3人の子供(養子2 実子1)も交えた騒動を考えると 今は素直に笑えない
おまけに 実子は「シナトラの子かも?」というファローの爆弾発言も…
(彼女にも問題が… )

アレンの映画は海外興行成績の方が良い
アメリカのある狭い地域、そこの人々とその文化を描き続けたもので
国内では またマンハッタン周辺なのか、またユダヤのインテリ自慢なのか、またまた美女とアレンの絡みを見せられるのか… 〈またかよ!〉という思いなのかもしれない
アメリカは広い

ハリウッドとアレンが親しくないことが語られているが、映画にはプロパガンダ的要素があり、両者が共に〈ユダヤ悲哀史観〉を宣伝していることも否めない
(あんなに 金儲けしてるのにね)

これを再見して 時代が完全に変わってしまったことを知ることになった

ハリウッドもアレンも以前のように(ゼウスのように)人々を掌握することは出来ないだろう

アレンが娼婦の元締め(モラン)に締め上げられる場面で 遠景で彼の友人(ポール・ハーマン)が見事なカード捌きを見せている

アレンがカードマジックに傾倒し その第一歩がマジシャンだったことを思い出した

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jarinkochie

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