ノスフェラトゥ

劇場公開日:

ノスフェラトゥ

解説

22年にムルナウが発表したブラム・ストーカー原作の小説の映画化のリメイクで、悪の象徴で災禍をもたらすドラキュラ伯爵の孤独な宿命を描く恐怖映画。製作・脚本・監督は「緑のアリの夢見るところ」のヴェルナー・ヘルツォーク、撮影はヨルク・シュミット・ライトヴァイン、音楽はポポル・ヴー、メイクアップは麗子クルックとドミニク・コラダンが担当。出演はクラウス・キンスキーほか。

1978年製作/西ドイツ・フランス合作
原題:Nosferatu-Phantom der Nacht
配給:シネマテン=パルコ
劇場公開日:1985年12月14日

ストーリー

中世ドイツのブレーメンに住む不動産業者ジョナサン・ハーカー(ブルーノ・ガンツ)は、トランシルヴァニアのドラキュラ伯爵から新しい邸を買いたいという求めに応じて長い旅に出た。黒海近くのドラキュラ邸まで4週間もかかるというこの旅に、妻のルーシー(イザベル・アジャーニ)は不安を抱いた。しかし、大金が入りルーシーのために新しい家を買うことができると、ジョナサンは勇んで出かけた。旅の途中、彼は宿の主人に「ドラキュラ邸には悪霊が潜んでおり二度と生きて帰った人はいない」と不吉なことを言われた。どの馬車も、ドラキュラ邸に行くと言うと断られ、ジョナサンは徒歩で旅を続けた。やがて通りかかった馬車に乗ってやっと辿りついたドラキュラ邸では、伯爵(クラウス・キンスキー)が、丁重なもてなしで彼を迎えた。白面で血の気のない不気味な面相の伯爵は、爪も異様に長く、囁くような声でジョナサンに接した。夜中、パンを切ろうとして指を切ったジョナサンに、血を吸ってあげると言う伯爵。その頃、家ではルーシーが悪夢にうなされていた。伯爵は契約書にサインするが、その時、ジョナサンが持っているペンダントに入った美しいルーシーの写真に魅了された。伯爵はルーシーへの燃えるような愛と情熱にとりつかれたのだ。数日過ごすうちに、伯爵の態度に不審を抱いたジョナサンは、その夜、伯爵に襲われ血を吸われる。一方ルーシーは急性の熱病に冒され夢遊病者のように町をさまよっていた。伯爵は棺にネズミをつめこみ自分もそこに横たわって帆船に積みこませ、黒海に乗り出した。ジョナサンはその姿を目撃し後を追った。帆船ではネズミがはびこり、船員らが次々に疫病にかかって死んでしまう。船長を含めて全員が息絶えた。町はネズミに溢れ、ペストが広まった。ジョナサンもルーシーを守ろうと、ブレーメンに急ぐが、すでに彼は脳がおかしくなっており、いざルーシーに会っても正体がわからなくなっていた。鏡の前に立つルーシーのもとにドラキュラがやって来た。棺の中にあったジョナサンの日記でドラキュラの存在を知っていたルーシーは、すべてを悟った。彼女は吸血鬼のことが明記されている本でドラキュラを滅ぼす方法を知った。ドラキュラは十字架を恐れ、聖餅をきらい、淑女が鶏鳴を聞く朝までおびきよせ、朝日を浴びせると死ぬという。町に死人の棺の列が続いた。ルーシーは自分が犠牲になることを決心した。ある夜、ルーシーはドラキュラを寝室に迎えた。ドラキュラに愛撫されながら朝を必死に待つルーシー。やがて、鶏の鳴く声がした。朝日を浴びて倒れるドラキュラ。ドラキュラの死体を発見した医師は、十字架のクイを打った。その時ジョナサンは、新しいドラキュラとなって甦るのだった--。

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(C)Werner Herzog Film

映画レビュー

4.0ドラキュラ映画らしい

2023年9月19日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

30年ぶり?いやもっと前だったかも。
懐かしく鑑賞して来ました。
観客も50代以上の人ばかりだったような。
もう雰囲気がドラキュラ映画らしさを醸し出しています。
イザベル アジャーニも綺麗だし目の保養です。
カミーユクローデルのイザベルも大好きでした。
あの頃はイザベルに夢中でしたね!
たしかエビスガーデンシネマで鑑賞したような気がします。

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しろっこ

4.0この作品は魅せますね。 美的感覚といい、間の取りかたといい、ゾクっ...

2018年10月10日
PCから投稿

この作品は魅せますね。
美的感覚といい、間の取りかたといい、ゾクっと作品に入って行きます。
伯爵として威厳を備えたドラキュラのその表情がみごとに切ない。
これは鑑賞するに値する1本。

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miharyi

4.5妖怪ノスフェラトゥ。いびつな魅力がある作品

2018年4月7日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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凪

3.5怪演

2014年7月15日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

吸血鬼映画の元祖と言われる1922年のドイツ映画「吸血鬼ノスフェラトゥ」をリメイクした1979年の西ドイツ映画。
ストーリーは、オリジナルやブラム・ストーカーの原作を忠実にベースにしているものの、鬼才ヴェルナー・ヘルツォークが手掛けると、怪奇映画も格調高い作品になるものだ。

前半は、これ怪奇映画なの?と思うくらい詩的な映像が延々と映し出される。
音楽も含め、テレンス・マリックの「ツリー・オブ・ライフ」を思い出したが、ヘルツォークの映像美が冴える。

中盤、いよいよドラキュラ伯爵登場。
ドラキュラと言うと、ベラ・ルゴシやクリストファー・リーが有名だが、不気味さでは本作のクラウス・キンスキーには適わない。
元々“怪優”として名高いキンスキーだが、その怪優ぶりを存分に発揮。尋常じゃないくらいハマっている。もう怪人物にしか見えない。
“怪演”という言葉もこの為にある。
ドラキュラの下僕の男も、終始狂ったように笑い続けるキ○ガイ演技。

終盤、ヒロインのイザベル・アジャーニの首にドラキュラが噛み付くシーンは、一転してエロティズムが漂う。

ゾクゾクするほど怖い作品ではないが、怪奇と耽美の映像世界。
ヘルツォークの作品の中でも取っ付き易い作品だと思う。

余談だが…
「吸血鬼ノスフェラトゥ」に出演していた吸血鬼役の俳優は本物の吸血鬼だった…というユニークな題材の「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」もあった。
ウィレム・デフォーがこれまたハマり役!

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近大
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