小さな約束

劇場公開日:

解説

幼いいとこ同志とその祖母の愛を、フランスの美しい田園風景を背景に描く、ジャン・クロード・ブリアリの監督第一回作品。製作は俳優のジャック・シャリエ、脚本はブリアリとエリック・オリビアが共同執筆。撮影はアラン・ドローブ、音楽はジャン・ジャック・デボウが各々担当し、演出補佐として「いとこ同志」でブリアリと組んだクロード・シャブロール監督が当っている。出演はフレデリック少年、ロール・ジャンソン、ヴァランティーヌ・テシエ、クロード・ドーファンなど。

1972年製作/フランス
原題:Eglantine
配給:東京第一フィルム
劇場公開日:1973年4月14日

ストーリー

その日、フランスの片田舎にある寄宿学校の中は、生徒たちの歓声でわきたっていた。今日は二学期の終業式で、明日から待ちに待った夏休みに入るのである。生徒たちはそれぞれの楽しい計画を胸に秘め、帰宅の準備をしていた。ところが、レオポル(フレデリック)だけは、一人浮かぬ顔をしていた。それもその筈、彼の成績は前学期はビリ、今学期も二十四人中、二十二番というありさまで、本来なら夏休み返上で補習を受けなければならないところを、彼の祖母(V・テシエ)のたっての望みで辛うじて帰ることができたからだ。宝物のチェロを大切そうに抱えたレオポルは、校門で待っていた馬車を見つけ、御者のギョームの横に座った。馬車は美しい森を抜け、懐かしい我家に向った。家に着いたレオポルは、両親と顔を合わせることを気まずく思っていたが、運よく二人とも祖母と一緒に外出中だった。彼はまっ先に従妹のポーリン(L・ジャンソン)のいる庭へとんでいった。二人の姉と遊んでいたポーリンもレオポルの姿を見ると駆け寄ってきた。二人は、祖母が帰宅する前に、彼女の大好きな野バラを飾っておこうと、中庭へ野バラをつみにいった。レオポルが祖母と顔を合わせたのはその晩のことだった。翌日、祖母はレオポルとポーリンを連れて、森へピクニックにでかけた。祖母は久しぶりに家に帰ってきたレオポルのために、いろいろな計画を立て、二人も祖母と遊ぶ毎日をこのうえなく楽しみにしていた。そんな祖母への感謝をこめて、幼い二人はささやかなコンサートを開き、レオポルのチェロとポーリンのピアノによる二重奏を披露した。数日後、レオポルとポーリンは祖母に連れられて市場にでかけた。祖母がレオポルに新しい帽子を買ってくれるというのだ。彼に合いそうな帽子を探しまわった末、しゃれた鳥打帽を買うことに決めた。家に戻ると、ポーリンも買ったばかりのその帽子をほしがったが、祖母に買ってもらった大切な鳥打帽子をレオポルは手放そうとしなかった。そのかわり、彼は小さなレディに宝石を贈ろうと、伯母の宝石箱から指輪を一つ盗んだ。ところが彼はポーリンの誕生日のパーティの席で指輪をおとしてしまい、皆に知れわたってしまった。しょんぼりするレオポルに、ポーリンはチョコレートケーキを贈って慰めるのだった。夏休みも終りに近づいたある日、祖母のボーイフレンドのクレマン(C・ドーファン)がパリからやってきた、その夜、クレマンはパリみやげの新しいダンスを披露したり、パリの話をしたりして、皆を喜ばせ、祖母もピアノを弾いたり踊ったり、何歳も若返った様子だった。やがて、長いようで短かい夏休みも終りを告げレオポルは一人淋しく寄宿学校へ帰らなければならなかった。それからしばらくたって、レオポルが授業を受けているとき、彼は校長に呼びだされた。それは、思いもよらない知らせだった。夏休みあんなに元気だった祖母が、秋の訪れと共に突然逝ってしまったというのだ。レオポルは迎えの馬車に乗って家に帰った。彼は大人たちが止めるのも聞かず、祖母の眠るベッドにかけ寄った。祖母はまるで眠っているようにやすらかな顔をしていた。幼いレオポルとポーリンにとって更に悲しいことには、祖母の死によって、今まで一緒に暮らしてきた二つの家族が別れなければならなくなったことだった。しかし、二人は、大人になったらまたこの家に帰ってこようとかたく約束した。翌朝、朝もやにつつまれた祖母の墓の前に、生前、彼女が愛した野バラで作った花束をささげ、彼女が好きだったチェロを弾くレオポルの姿があった。

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