スキャンダル 愛の罠

劇場公開日:

解説

現代のパリを舞台に、ひとりの女の心のうちに蠢めくセックスへの凄絶な妄執と、愛情から淫靡な復讐へと展開していく錯綜した心理を強烈なエロティシズムと冷徹なリアリズムで描く。製作はエットーレ・スパニョーロ、監督は「さらば美しき人」のジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ。フランチェスコ・バリッリの原作に基づいてアルベルト・シルヴェストリとコンチャ・オンブリア、ルチオ・フルチが脚本化。撮影はファン・アモロスとハンス・ブルマン、音楽はエンニオ・モリコーネが担当。出演はラウラ・アントネッリ、トニー・ムサンテ、フロリンダ・ボルカンなど。

1985年製作/イタリア
原題:La Gabbia
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:1985年9月21日

ストーリー

パリでトップクラスの広告代理店を経営するマイケル(トニー・ムサンテ)は恋人のヘレン(フロリンダ・ボルカン)のアパートを出る時、ある女性を見かけて愕然とした。女性はヘレンのアパートの管理人マリー(ラウラ・アントネッリ)だった。16年前の夏、マイケルがフランスの避暑地で遊んで棄てた女……。マリーを見かけたマイケルの脳裏にはつぎからつぎへと16年前の夏の情景が浮かんできた。マイケルはすれ違った女が紛れもないあのマリーであることを確かめたい衝動にかられ、ヘレンが旅行に出たあとすぐにマリーの部屋のベルを鳴らした。ドアが開き、現われた少女を見てマイケルは思わず息を呑んだ。16年前のあのマリーそっくりの少女がそこに立っていたからである。彼女の名はジェニーン。「母が中でお待ちしております」という彼女の言葉に誘われてマイケルは室内に。やはりジェニーンの母はマリーだった。暫くの沈黙のあと、ぽつりぽつりと昔の思い出を語りはじめた二人は、ジェニーンが外出すると激しくもとめ合った。マリーにとってそれは16年前の官能がひとつひとつ、体の芯を突きあげるような快感を伴なって甦ってきた。翌朝、ベッドルームで目を覚ましたマイケルは自分の信じ難い姿に気づいた。両手首をベッドに縛りつけられているのだ。はじめ、マリーの戯れだと気軽に考えていたマイケルもやがて、彼女の「もう二度と私を置いていかないで」という言葉にことの真相を感じはじめた。マリーは16年間、一度たりともマイケルのことを忘れたことがなかったのだ。そして、二人の再会が、彼女の仕掛けた恐るべき罠だったことにも。その日からマイケルの悪夢の日が始まった。彼が食事を拒むと身体中にいちごやスープ、ワインなどをなすりつけ、それをまるでもてあそぶように舌でなめまわすマリー。彼女の狂乱の愛欲は昼となく夜となく続いた。娘のジェニーンも母の忠実な下僕で、マリーが外出する時はかわりにマイケルを見張った。やがて肉体と精神の限界まで追いつめられたマイケルは、もはや娘のジェニーンを味方につける以外に脱出の方法はないと決心し彼女の誘惑にかかった。娘盛りのジェニーンは案の上、マイケルに身を委ねてきた。しかし、二人が愛し合っているところを発見したマリーは怒りと嫉妬に狂い、マイケルにさらに厳しく迫った。そんなある日、ちょっとしたスキに脱出を試みたマイケルとマリーが揉みあい、彼女の持っていたナイフがマイケルの腹にささった。マイケルの傷の手当てをしたのは娘のジェニーンだった。この事を境に母娘の立場が逆転し、マイケルに愛を感じはじめていたジェニーンが主導権を握り、マイケル同様にマリーもベッドに絞りつけられてしまった。一方、旅行先からマイケルに何度、電話しても行方がわからないヘレンは心配になり、アパートに戻ってきた。そして彼女の息子がマリー母娘の住む部屋に入り込み、マイケルの免許証を持って帰ってきた。おどろいたヘレンは、マリー母娘の部屋へ。戸口に出てきたジェニーンの腕にはヘレンがマイケルにプレゼントしたブレスレッドがあり、彼女はそれを見逃さなかった。自分の部屋に急ぎ戻ったヘレンは警察に電話するのであった。

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映画レビュー

2.0エロティック・サスペンス…なのかもよく解らない愛憎・監禁・復讐劇。

2024年4月9日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWの特集「イタリアのアモーレ ラウラ・アントネッリ」にて。

『青い体験』(’73)から12年、40代のラウラ・アントネッリが妖艶な色気を見せながらも、ピチピチの娘に負けちゃう役回り。
脚本家チームにルチオ・フルチの名があり、なるほど…な作品。
音楽はエンニオ・モリコーネだが、明らかに力は入っていない。

真っ赤なドレスの裾を捲りあげて自慰をしているアントネッリのスチールが刷り込まれたポスターに誘われて、日本公開当時劇場で観た記憶がある。

どうやら、事件の舞台はパリらしい。
だが、復讐のターゲットとなるマイケルという男(トニー・ムサンテ)は、イタリア人でもフランス人でもなくアメリカ人の設定らしい。細川俊之を思わせる風貌だが、特にイイ男だとは思えない。

マイケルには愛人がいて、愛人ヘレン(フロリンダ・ボルカン)には幼い男の子がいる。これがまたバカ息子で…。

事件が起きるのはヘレンのマンションの向かいの部屋。
そこにはマンションの大家マリーが娘と二人で暮らしていた。
大家のマリーを演じるのがラウラ・アントネッリで、マリーとマイケルの間には、マリーが少女時代に関係があったようだ。

マリーの少女時代を演じるのはクリスティーナ・マルシラク、マリーの娘ジャクリーヌを演じるのはブランカ・マルシラクという同じ姓の女優で、この二人が極めて魅力的だ。
二人とも十代の少女に見えるのだが、美しい肢体を曝して大胆に演じている。最初は同じ女優かと思ったが、よく見ると似ているわけでもない。
こういう幼く見える女優(実年齢は分からないが)にここまでやらせるのが、イタリアのお色気映画のすごいところ(褒めてない)でもある。

さて、ストーリーが目茶苦茶なら、演出もグダグダだ。

ドスケベ男マイケルは、マンションの大家がマリーだと知って彼女の部屋を訪ねないではいられなくなる。
マリーは、16年前に避暑地で出会って緊縛プレイを教えた可憐な少女なのだ。酷いことをする外道な男だ。
ただ、女優比較では25年くらいは離れていそうな気がする…。

マイケルが部屋を訪ね、ドアを開けてジャクリーヌが顔を出すと紗が掛かっている。グレース・ケリーやイングリッド・バーグマンじゃあるまいし…公開された当時においても廃れていた古い技術だ。が、ブランカ・マルシラクが美しいだけにインパクトはある。
マリーと再開したマイケルの下半身は当然に騒ぎだす。そこでも紗を掛けたりスローモーションを使ったりのお粗末な演出で、驚く。

ここでマイケルはマリーによって監禁されるという、思わぬ展開。
ジャクリーヌに助けを乞うも、母親を裏切れない。
マリーの動機は、かつて遊ばれたことへの恨みか、マイケルを独占したい長年の欲求か、なんだか解らないが、マイケルを監禁する。
映画の冒頭で、ヘレンの部屋で一夜を明かしたマイケルにヘレンはブレスレットをプレゼントしていた。マイケルが監禁される前、ジャクリーヌがマイケルのブレスレットを欲しがる場面があるので、これが最後にキーアイテムになることは予想どおり。

連絡が取れなくなったマイケルを心配して動き出すヘレンと、なんとか脱出を試みるマイケルが同時進行で描かれる。一応、サスペンスの体である。
が、外道マイケルのジャクリーヌをものにしたいスケベ心は衰えず、母親にとかく指図されるジャクリーヌの反抗心も助けて、ピチピチ娘を頂いてしまうのだ。

字幕が少ないので、本当はもっと説明されているのかもしれないが、いやいや、どう見ても登場人物の心理など全く描かれているとは思えない。

かくして、色に目覚めた娘の裏切りにあって、男とともに監禁されてしまう哀れな色情母を演じたアントネッリは、ある意味アッパレだ。

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kazz
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