キャラクター 孤独な人の肖像

劇場公開日:

解説

悪評高い執政官の父と息子との長年に渡る確執と愛憎を描く人間ドラマ。97年度アカデミー外国語映画賞受賞作品。監督は本作が長編デビューのマイケ・ファン・ディム。原作はF・ボルデバイクの小説『キャラクター』と「ドレイブルハーブンとカタロドーフ」で、オランダ今世紀文学の古典。脚本はディム監督、製作のローレンス・ヘールス、ルット・ファン・メーヘンの共同。撮影はこれがデビューのロヒール・ストッフェルス。音楽はブン宮殿楽団が担当。出演は本作でジュネーヴ映画祭で最優秀男優賞を受賞したフェジャ・ファン・フエット、「アントニア」のヤン・デクレールほか。撮影は1920年代の街並みを再現するため、オランダ、ベルギー、ドイツ、ポーランドの4カ国9都市でロケ撮影された。

1997年製作/122分/オランダ
原題:Karakter
配給:アルシネテラン
劇場公開日:1998年9月12日

ストーリー

港町ロッテルダム。ヤコブ=ヴィレム・カタロドーフ青年(フェジャ・ファン・フエット)が警察で取り調べを受ける。アレント・バレント・ドレイブルハーブン(ヤン・デクレール)殺害の容疑者としてだ。ヤコブは彼との関係を振り返る--。ドレイブルハーブンは貧民の資産を容赦なく差し押さえる執政官。彼は家政婦のヨバ(ベティ・スヒュールマン)と一度限りの関係を持ち、彼女は妊娠したことを告げて去る。結婚を求められるが、彼女は拒否。生まれたのがヤコブだ。成長したヤコブは母から独立を決意し、国民信用銀行から借り入れて煙草屋を買い取るが、藁くずを掴まされて借金だけが残る。破産管財人のデ・ハンクラー弁護士(ヴィクトー・ロウ)は、ヤコブが無収入であることを理由に裁判所に執行停止を提案し、同時にヤコブを書記に採用してくれる。定収入のできたヤコブに再度の破産請求があった。国民信用銀行はドレイブルハーブンのものだったのだ。結局給料天引きで負債を返却することになり、全額返済の直後にヤコブは勉学のため、ドレイブルハーブンより再度多額の借金をする。ただし、いつでも全額の返済を要求できるという条件だった。一方、ヤコブは事務所の秘書ローナ・テ・ジョージ(タマル・ファン・デン・ドップ)に秘かに思いを寄せていた。だが、海岸で見知らぬ男といるところで会ったヤコブは、彼女を避けるようになる。前任者の使い込みで事務局長に任命されたヤコブだったが、直後にドレイブルハーブンから借金の全額返済を要求される。が、レンスタインの弁護により勝訴。その後ヤコブは国家試験に合格、母の死を経て、弁護士に就任した。彼はドレイブルハーブンを訪ね、数々の妨害に対する憎しみをぶつけて格闘になる。身体を痛めつけただけでヤコブは去った。実はドレイブルハーブンの死は自殺だったことが分かる。しかも、彼はヤコブのために遺産の相続について遺書を残していた。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第70回 アカデミー賞(1998年)

受賞

外国語映画賞  
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映画レビュー

3.5生き抜く人間の執念

2020年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1920年代のオランダを舞台に、両親と子の凄まじい愛憎を深みのある映像で描いた非常に地味で強固な映画文体。主人公が弁護士になる立身出世と家族愛の無情感の狭間で苦闘する生き様は、稀に見る特殊さ。リアリズムと深刻な物語のドライな融合。北ヨーロッパ映画に共通する、冷徹ながらも内に秘めた情熱の表出力を思い知った印象を持つ。

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Gustav

4.0父と息子

2019年8月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 寡黙な母、息子を苦しめ続ける父。ライオンのように子を崖から突き落とすような態度をとることが父親の愛情だった。貧困層に対して強制退去命令を下すことにも罪悪感を覚えていると、良いように解釈も可能だ。

 かなり特異な男の愛情を描く映画ではあるが、それよりも記憶に残るのは息子ヤコブの半生であろう。スラム街の母子家庭のためイジメにも遭い、職がないためタバコ屋を起業する。担保がないため銀行は金を貸してくれないが、唯一貸してくれたところが父の銀行(あとでわかった)という物語。弁護士になるヤコブだが、それほど目的意識があったわけでもない。不思議、とにかく不思議だ。多分ずっと童貞だったんだろうなぁ、と想像もできる。

 恋愛部分(しかも相手には恋人がいた)も薄いのだが、ラスト近くで再会する公園のシーンは、最近観た『ネバーランド』を思い起こすほど綺麗だった。

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kossy

4.5孤独だけど孤独じゃない。

2013年11月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

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rocko
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