執炎

劇場公開日:

解説

加茂菖子の同名小説を「暗殺」の山田信夫が脚色「黒い太陽」の蔵原惟繕が監督した女性ドラマ。撮影は「おんなの渦と淵と流れ」の間宮義雄。

1964年製作/120分/日本
原題:The Flame of Devotion
配給:日活
劇場公開日:1964年11月22日

ストーリー

日本海の波が打ち寄せる山陰の浜辺で、一人の女が命を断った。七年前種々にとりざたされた噂も、今では人々がその青春を讃え、美しい供養をいとなんでいる。浜の男拓治が初めてきよのに会ったのは、十三の時であった。やがて水産学校を卒業した拓治は山で再びめぐり会ったきよのに、神秘的な美しさを感じた。きよのは、山奥の一角にある平家集落の娘であったが、二人の愛情は古い因習を破って結ばれた。しかし、二人の結婚生活は、戦争のため中断をよぎなくされた。召集された拓治を送ったきよのの節操ある生活は、村人の賞讃の的であったがきよのの胸中は、空しいものがあった。戦局の激しさにつれて、戦死者もふえ、拓治も佐世保病院で傷病生活を送っていた。右脚の損傷により生命の危険にさらされた拓治は、きよのの看病で奇蹟的に回復した。水入らずで闘病生活をするため建てられた山小屋で、日増に笑い声が聞こえるようになった。そして漁師として逞しく働きだした拓治ときよのは、戦争の恐怖におののきながら、狂ったように愛を確かめあっていた。そんな時きよのは親友の泰子の夫が戦死したのを聞き、恐怖から拓治への独占欲は深まっていった。ついに、拓治のもとに赤紙が舞いこんだ。しかし、一途なきよのの姿に拓治は、言葉をのんだ。愛蔵の能面をつけて舞うきよのの姿は、きよのの執念の叫びであった。拓治は出征した。きよのは、拓治の思い出を抱いてさまよい、凍てついた山道にお百度を踏んだ。思いつめた疲労から倒れたきよのは、こんこんと眠りつづけた。六月の初め拓治は南の海に散華した。事実を知らされず、やがて意識を回復したきよのは、仏壇の拓治の写真を見て全てをさとり、黒髪を切り仏壇に供えて、拓治の命を奪った海に静かに身を沈めた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0召集令状

2023年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy

4.0とにかく浅丘ルリ子を美しく撮る この目的は十分に達しています

2020年6月17日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

浅丘ルリ子100本記念作品
それまで主演男優の添え物的な相手役ばかりでしたが、本作で初めて本格主演で彼女の実力を見せてくれました

日活にしては珍しい、芸術祭参加作品です
格調高い物語と演出、撮影も美しく、丁寧に撮られています

しかし監督が力み過ぎか、上滑りしてしてしまっています
冗長なシーンも多いです
構成ももう一工夫欲しいところです

しかし、とにかく浅丘ルリ子を美しく撮る
この目的は十分に達しています

冒頭に駅に降り立つのは芦川いづみ
彼女の美しさは相当なものです
その彼女をもってしても、始まって10分たってやっと浅丘ルリ子が登場したとき、段違いに美しい!と唖然とさせられます
もちろんメイクも髪も衣装も照明も撮影も、そうなるような計算での演出の上ですが、それでも別格の美しさです

比較対象にされた芦川いづみが少し気の毒です
なんとなく彼女不機嫌そうです

召集令状と戦死公報を配達する役場の役人が死神に見えるように、黒づくめの服装と帽子、そして白い大きいマスクをさせている演出は、良く出来ています
特に誰宛ての公報を持ってくるのか分からない中、どんどん自分に近づいてくるシーンは秀逸でした
もっと徹底してデフォルメした方が良かったように思いました

カメラは物凄く頑張っており、カラーで撮るべきだったと思います
この当時はまだ白黒で撮ってこそ芸術作品という風潮だったのかもしれません

浅丘ルリ子の美しさとカメラに星一個オマケです

劇中に何度も登場する高い鉄橋は余部鉄橋です
日本一高い鉄橋で有名な橋です
山陰本線の城之崎温泉駅と鳥取駅との間に掛かっています
近年架け替えられてコンクリート橋になったようです

きよのが乗る漁船が水揚げしているのはカニです
この近くがカニの街で有名な香住です
この街の料理民宿で食べたカニのフルコースは忘れられない最高の美味でした

城之崎温泉からは電車で40分程です
関西からはシーズンになるとカニグルメのバスツアーが沢山あります
余部鉄橋観光が含まれているツアーもきっとあると思います
車でも大阪や京都から3時間くらいでしょう

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