アイアンクローのレビュー・感想・評価
全212件中、1~20件目を表示
ショーン・ダーキン監督から見たプロレスという天国と地獄
ダーレン・アロノフスキーの『レスラー』は、プロレスの暗黒面にフォーカスしすぎていてあまり好きではないのだが、これはプロレスの暗黒面と喜びや高揚感が背中合わせ、かつ、等価に描かれているのがいい。栄光も没落も幻滅もすべて、プロレスってこうですよ、というよりも、フォン・エリック兄弟の心の旅として描かれている。
実話がベースではあるが、調べれば調べるほど、ショーン・ダーキン監督が実話からつかみだしたひとつの物語であることがわかる。そして、強くあることに囚われた男たちの物語という意味でダーキンの前作『不都合な理想の夫婦』とダイレクトに繋がっているし、洗脳に近い価値観からの脱却ではカルト教団から抜け出した女性の葛藤を描いた『マーサ、あるいはマーシー・メイ』と連なる。つまり、強固な作家性を感じさせる’作品であるともいえる。
作家性といえば、今回は前作に続いて『サウルの息子』の撮影監督と組んでいるいて、美しくも不穏なビジュアルもダーキンのトレードマークとなっている。その中で、死んだ兄弟たちが集うあの世のシーンは不意打ちのような感動で、エモさに惚れ惚れとさせられた。
あと末っ子マイク(現実にはもうひとり弟がいたが)の、バンドのライブシーン。お前、歌じゃ絶対やってけないよ!って思うレベルなのに、兄たちがやるじゃん!ってなってるあの感じ、ほんと優しくて切ない。
予備知識は悪役レスラーの名「鉄の爪フォン・エリック」のみ。それがむしろ良い
子供の頃は毎週のようにテレビでプロレス中継があり、アニメ「タイガーマスク」も人気だったし、昭和のある時期まではプロレスが野球、相撲に次ぐスポーツ分野での国民的娯楽だったように思う。私自身プロレスファンではないが、鉄の爪フォン・エリックという悪役レスラーの名前は憶えていた。本作「アイアンクロー」は、そのように日本でもかつて知られていたフリッツ・フォン・エリックとその息子たちの実話に基づくドラマであり、米国プロレスのファンでもなければそんな一家に起きたことなど知る由もないし、そういった観客こそがこの尋常でない悲劇の連鎖に心が震えるほど驚かされることになる。この話がもし新人脚本家が書いたシナリオだとしたら、「そんな悲劇が家族に立て続けに起きるなんて創作が過ぎてリアリティに欠ける」などと即却下されるレベル。もちろんドキュメンタリーではなく劇映画なので、出来事の細部を少しばかり改変してドラマタイズしてはいるものの、根幹部分は実際にフリッツ家の兄弟レスラーたちに起きたことなのだ。
予備知識少なめで観て驚いてほしいので、筋にはあまり触れたくない。次男ケビン役ザック・エフロンのビルドアップされた体には目を疑い、特殊メイクのボディスーツを着ているのかと一瞬思ったほど。過去作の役で多かったスマートなイケメン好青年のイメージを覚えている人なら、エフロンの肉体改造も驚愕ポイントのひとつだろう。
家父長制や父権主義について。日本では昭和の一時期より前なら当たり前のようにあったものだが、個人の尊重や平等の意識が比較的強いイメージがある米国においても、プロスポーツ一家という事情もあってか父親フリッツと息子たちのような特殊な関係があり、それが悲劇の要因になったことにも深く考えさせられた。
“彼岸”を思わせる想像のシーンがある。それが優しくて美しくて、やるせない気持ちになった。
Get Ready to Be Sad
With no prior knowledge of the family this film chronicles, and little to no interest in wrestling in general, I was surprised that the story here proceeds into an increasingly heartbreaking all-American family tale. The father disclipines his sons to be the best in wrestling, a sport tough on the mind and body as it is. Zac Efron is unrecognizable in muscle and behind a stern quality performance.
⭐︎3.0 / 5.0
4月12日(金) @映画館
アイアンクロー
---
「毒親が子供を支配し不幸にする物語」としか思えず、、、😱
久しぶりの洋画でしたが、前半の方で寝てもーた😪ごめーんw
---
#movie 🎬2024
#備忘録
#アイアンクロー
#映画
#映画鑑賞
#映画レビュー
#映画好き
#映画好きと繋がりたい
#映画好きな人と繋がりたい
これが実話ベースとは・・・ いい映画です
プロレスのことは、あまりわかりませんが、父親を尊敬し、父親が叶えられなかった夢を追う息子たち、その栄光と挫折の物語。それが実話ベースというのが、まず、凄いです。ですが、決して、特別な家族ではなく、大きな存在である父親中心の一昔前の典型的なアメリカのファミリーという感じがします。
次男(でいいのかな?)が、一番真剣にプロレスに取り組んできたのに、世界チャンピオンを目指す息子として、父親から指名されたのは、次男ではなく、若く才能のある弟たち。自分が選ばれなかったことへの心の葛藤と、弟たちを思う気持ち、そして弟たちの悲劇への悲しみ、傷ついた心が、すごく良く描けていると思います。
ただ、もう本当に悲劇でしかない状況で終わるのではなく、映画の最後に、家族のその後について触れられています。それを知ることが出来て、本当に良かったと思いました。いい映画です。
呪われたエリック一家
必殺技の「アイアンクロー」を武器にプロレス界で活躍した往年の名レスラー フリッツ・フォン・エリック。
彼とその4人の息子たち家族を描いた作品。
父エリックは自らの力でプロレス界でのしあがり家族を養い、
彼の4人の息子たちにも時に彼らの夢をあきらめさせプロレスの道に導いていった。
兄弟チームとしてテキサスでの興行で成功を収め、世界チャンピオンに手が届きかけた中で彼らを不幸が襲う……
実際に彼の家族に起きた事実を基にした映画で本当に「呪われた」一家と言われるのもうなずけるぐらいに不幸が襲いかかる為、物語後半は特に重苦しい展開が続く。
プロレスの為に家族を振り回す父と何よりも家族を大事に想う次男の思いが対照的で妙味がある。
呪縛
タイミングが色々合わなくて、もういいかなと思ってましたが…今日見に行けました。
とても良かったです。
今のところ、自分的には今年の上位に入ります。
やはり、時系列に描かれる方が普通に楽しめますね( ̄▽ ̄;)
プロレスラーだった父が息子たちにもプロレスを継承する(亀田家みたいね)が、うまくいかない実話ベースの話。
確かに呪われているかもしれない。が、呪術の呪いではなく、夢をあきらめない父の力に捕らわれているのだと感じました。
この家は特殊だけど兄弟仲も良いし、芸術分野でも世襲する家庭は沢山あるし、父は厳しい部分があるけれど、一見、この時代のアメリカの平均的なお父さんに見えました。
しかし、息子が次々失くなっても他の兄弟に夢を託す、これがつらいというのがわからないんだこの父は。
息子ばかりだけど、女の子がいたらどう接していたんだろう。
マイクが音楽の道にそのまま進んでいたら。。。
なんかきょうだいが次々亡くなる点は「ヴァージン・スーサイズ」を思い出しました。
ちなみに、ケリーの亡くなるシーン、銃が出てきた時点で嫌な予感はありましたが、銃声に同じ列(かな?)で見てた方から「ワッ」という驚きの声が。(←その声に驚いたけど劇場ならでは。)
母(モーラ・ティアニー)が、雰囲気が倍賞美津子さんに似てると思いました。
息子を計4人亡くす…とてもじゃないが耐えられない。
実在のケビンが、現在幸せに暮らしてらっしゃることが救いです。
アイアンクローという技は知らなかったですが、すごいですね。(レビュー読むと皆さん子ども時代に経験されてますね)それがあっても父はベルトを取れなかったんだ、厳しい世界。
プロレスは見ないから詳しくないのですが、ちょうどこの時代(80年代)は、クラッシュギャルズと極悪同盟による女子プロが大人気で、私もよくテレビで試合見てました。その程度です。
悲しい話
こどもの頃、父親にアイアンクローを喰らっていたので気になって見に行きました。(父親はフリッツ・フォン・エリックが好きだったようです)
なので、その人の話だと思って見に行ったのですが、その息子さんたちの話でしたね。しかもロッキーみたいなかっこいい話でもなく…予想と違いブルーな展開でした。
悲しい泣ける話なんですが、兄弟が多いからか一つ一つの話がやや深みが足りなかったかなと思いました。決してつまらなくはないのですが話が期待と違ったのも大きいかも。
あと何気に男ばっかりの兄弟で確率すごくない?
家族のかたち
史実を知らないまま観賞。
フォン・エリック家は「呪われた一家」と呼ばれたとのことですが、確かに悲劇の連続。その根源にあるのは父親からの抑圧や男らしさの押し付けであるという描かれ方でしたが、確かに原因の一つではあるのだと思います。
一方で父親も家族や息子を想ってのことであるのは感じるし、兄弟たちも互いを思い合っていて、愛情に溢れた家族であることも事実で。
もっと違う未来があったのにと、ラストシーンは切なくなりました。
脚色されているとはいえ驚きの実話。俳優陣の役作りは皆素晴らしかったです。
プロレスファンじゃないからかな
世代的にはこのアイアンクローで有名な父親、フリッツを知っている世代だ。実際プロレスは全く興味ないけれど,鉄の爪アイアンクローは聞いたことがあった。でも息子たちがこんなに有名なプロレス選手として活躍してたのは知らなかった。それにしても、これは子育ての悪い見本じゃないのかと思うほど,父親の夢,ヘビー級チャンピオンの夢に息子たちは呪縛されていた。これこそ呪いだよね。
こんなに仲の良い兄弟で家族思いだったのにどうして最後は一人になってしまったのか。
あの音楽好きでキラキラしていた彼をプロレスの世界に引き摺り込む必要があったのか。片足をなくした彼にはもっと生かせる道があったのではないか、親の気持ちで思わず見てしまった。あの悲惨な電話で父親に一緒に救おうと言ったのに、兄弟で解決しろって、なんだそれ。
プロレスファンじゃない私にはこの話は家族の物語だった。悲しい家族の物語だけれど,最後に呪縛を解いて幸せになった次男に救われた。
マッチョイズムの美しさと苦しさ
史実を元にした映画ということで、フォン・エリック・ファミリーのwikipediaを読んでから見に行きました。物語の理解に必要なことはちゃんと映画の中で説明してくれるので不要ではありましたが、心の準備という意味では読んでおいてよかったと思います。
プロレスの試合そのものよりもフォン・エリック・ファミリーの家族のやりとりを中心に描いているので、プロレスの知識がない方でも楽しめる作品だと思います。もちろんプロレスの知識があるとより楽しる要素もいっぱいあります。
物語としては、プロレスで成功するため、家族の期待に答えるため、強い男であるため、精一杯に努力したり助け合ったりする美しさは描きつつも、様々な不運に見舞われて苦しむ中で、いわゆる男らしさ、マッチョイズムとどのように折り合いをつけるかを模索する話だと思いました。
キャストの方々の肉体美や迫力のプロレスシーンだけでも迫力がありますが、それらを期待して見に行くのは内容が暗いので見るときの気分を選ぶ作品だとは思います。
何故クリスがいない?
これだけ事実に基づいて家族の団結と兄弟の絆をテーマにして、幼少時に亡くなった長男まで出してるのに、一番下のクリスはいないことになってるんだ??俳優さんは素晴らしかった。特に、ハリーレイスの役者さんの再現度は凄かった。
ケビンと共に絶望と希望を見出せる
呪われた一家と言われたフォンエリック一家、
その栄光と転落を描いた作品。
実話をベースにする場合、過激な方に脚色しがちだが
本作の場合、事実をマイルドにそして悲劇を間引いていた。
そこにファンエリック家へのリスペクトを感じた。
美しいエンディングで結ぶための見事な手腕だと思った。
リスペクトは随所に見受けられる。
これまでイケメンで活躍していたザックエフロンは
本物のレスラーかと思うほどの肉体を仕上げ、
劇中のプロレス技はどれもリアルな迫力。
手に汗握り、ケビンと共に絶望した。
A24配給作はハズレが無さすぎてビビるレベル。
プロレスラーの一家。 子供をレスラーにした父親。 子供は不幸に見舞...
プロレスラーの一家。
子供をレスラーにした父親。
子供は不幸に見舞われる。
病死、事故、自死、、、
見ていて 辛くなる。
最後はハッピーエンドっぽくて 救われた。
米国のプロレス興行の様子。
1970年~1980年代のアメリカ南部 テキサスの暮らしぶり。
車で、街のプロレススタジアムに行って観戦。
葬式で、黒の上下で黒ネクタイ、
シャツはカーボーイ風の両ポケット、肩から胸の縫い合わせでグレー。
黒いテンガロンハット。。
南部の雄大な平野、牧場の風景。。
ハンドガンをコレクションしている親父。
切ない
お父さんや兄弟達のことは名前は知っていましたが、ようやく映画を見ることが出来ました。
息子達の悲劇は本当に悲しいし、交通事故などもさることながら、皆心を病んでいくのも辛い。
*****
まるで長男のように頑張っていて、生き残ったケビンさえ本当は次男。彼の「生きてるけど苦労が絶えなく苦悩している」姿も辛い。
お父さんをサポートし期待を背負い、弟達のことも支えてきたのに、とにかく家族を養うには家業のプロレスの会社を売却しなくては、とお父さんに相談しても「会社を手放すなら実家に出入り禁止だ、仕事は40歳手前なんだからもう自分でちゃんとやれ」って。。
それはないよお父さん。17歳からお父さんについて巡業に出て試合ばっかりしてたら他の仕事の経験あるわけないんだし。ケビンにはしっかり者の奥さんがいてくれて良かった。。
*****
亡くなった兄弟達があの世で再会してるのも救いでもあり辛くもあり。長男のお兄ちゃんは天国では亡くなった時の子どもの姿のまま。。
大きくなった弟に守られてる様子が切なく、でもせめて天国では兄弟で一緒にいられて良かった。そしてマイクはギターを持ったまま天国に居た(涙)今度こそゆっくり音楽活動してね。
デビッドは来日前にあんなに病魔に侵されていたとは知らなかったし、彼が亡くなるとその期待がマイクに降りかかり、悲劇の連鎖。。切ないしか言いようがないです。
*****
そして他の方のレビューにもあり、エンドロールにも記述がありましたが、本当はさらにもう一人亡くなった兄弟がいて、彼の名前も含めてエンドロールにあったのを確認してやはり切なく。
ケビンの願いが「プロレスの世界王者になること」ではなく「家族と一緒に居たい」だったことから、
ケビンには兄弟が皆いなくなってしまって悲しかったけれど自分の子孫が4人の子どもと13人の孫、、という大家族になれていたことがせめてもの救いでした。
*****
俳優の皆さん達、よくぞここまで身体を鍛えて撮影された!と再現の苦労を想いました。
あ、あとブロディさんは懐かしかったです。
長髪で毛皮のブーツみたいなの履いて長い鎖を振り回す兄貴は怖い(笑)でも本当にあんなふうに試合前、敵味方一緒に打ち合わせってしていたんだろうか。。?
ガチバトルかエンタメか。。まぁここはオブラートに包んでおきます。
Live That Way Forever
toho池袋、早朝の回を鑑賞
結構入ってました
めちゃくちゃ良作
ありがとう木下グループ、A24!
都内でも公開館数、本数少なくなってます
映画館で見られてよかった
プロレスシーンに興奮
中盤からはかなりキツい展開
ザックエフロンの特訓シーン、
タイトル戦で涙
そしてラストシーンの美しさ
震えた!
フォン・エリック・ブラザーズ‼️
伝説的なプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックと5人の子供たちの物語‼️ヘビー級王者の夢破れた父と、父から夢託された息子たちの悲劇的な物語‼️「呪われた一家」と呼ばれただけあって、長男は幼い頃に死亡、三男はバイクの事故で片足となり自殺、四男は日本でのツアー中に急死、末っ子も薬物依存で自殺‼️残された次男は兄弟たちへの劣等感と、父親からの過度な期待に苦悩する‼️とんでもなく不幸なドラマ‼️そんな呪われた物語を正攻法なドラマで描き切り、ズシリと見応えのある作品になっております‼️「オッペンハイマー」のように時間軸を交錯させることもないので安心して観られますが、それ故、あまりに正攻法すぎて面白みに欠けるかも‼️出演者では、これまでのキラキラしたイメージを封印したザック・エフロンが次男のケビン役を好演‼️増量して筋肉をつけた見事な肉体で、プロレスラーになりきってスゴいの一言‼️そして冒頭に父の若かりし頃がモノクロで語られるのですが、是非ジャイアント馬場とアントニオ猪木にも出て欲しかった‼️
映画と事実、両方に驚き
まず、映画は素晴らしかった。
キャスト、脚本、演出、音楽、全てがベスト。
特にザック・エフロンの肉体改造と、その演技には恐れ入った。
筋肉パッツパツではちきれそう!
映画始まってから数分、彼とは確信がもてなかった。
アカデミー賞ノミネートされてもおかしくない程、役にはまっていた。
父母役、他の兄弟、ケビンの奥さんの演技も素晴らしかった。
あの内容がほぼ事実だとするならば、父はもちろん毒親だが
母も信仰深いだけで息子たちを特に助けない。
二人とも話の通じないしょうもない親。
息子たちは仲が良いのに、同じプロレスラーという職業に就いて
家族内でもライバルになってしまったおかげで
家でも外でもプレッシャーに苦しんだ。
ドラッグやアルコール、ステロイドの影響もあっただろう。
悲劇はもはや必然だった。
映画の中で一番ほっとしたシーンが、ケビンを除いた兄弟達が天国で再会するシーンなのだから皮肉なものだ。
救いのないストーリーだが、最後のケビンと妻と子供達が幸せそうな姿で締めてくれたので
観客は最悪な気持ちで取り残されなくてすんだ。
監督ありがとう。
映画の内容に驚きの連続だったが
事実の方が映画より酷いことをこの後知り、また衝撃。
長男の不慮の死、
映画では存在がカットされた末っ子クリスのプロレス入りと自○(!)、
ケビンとケリーの子供のプロレス入り。
映画を越える事実があるのだ、と考えさせられた。
全212件中、1~20件目を表示