アイアンクローのレビュー・感想・評価
全213件中、41~60件目を表示
懐かしいアイアンクロー
伝説のプロレスラー家族の実話を基に描いたヒューマンドマ。鉄の爪と言われたアイアンクローは当時の日本でもかなり流行したので懐かしく感じました。兄弟が不慮の事故で次々に亡くなるという悲劇はまさに呪われた家族であり、主人公の心中を察すると痛たまれない気持ちになりました。
2024-67
真実だからこそ強い訴求力がある家族の物語、お薦めです。
その事実を知らず観て、衝撃の物語だった。
ジャイアント馬場さんやアントニオ猪木さんとも死闘を繰り返した史上に残るヒールプロレスラー、鉄の爪:フリッツ・フォン・エリック。
自身が果たせなかった世界チャンピオンの夢に6人の息子に恵まれる。
しかし、長男は感電溺死で6歳で他界、世界チャンピオン目前で3男が25歳で名古屋のホテルで心不全で急死。家族の夢、世界チャンピオンを果たした4男はバイク事故で右足首切断、33歳でピストル自殺。試合中に肩の負傷から発症した毒素性ショック症候群に悩まされ服薬自殺の5男、父の夢からレスラーとして喘息持ちで体格に恵まれずとも闘って21歳でピストル自殺。
厳格すぎる父の夢にけなげなまでに邁進する5人の兄弟愛とたった独り残った2男が築く本物の家族愛。
真実だからこそ強い訴求力がある家族の物語、お薦めです。
プロレスに全てを捧げた家族の物語
日本でもかなり愛されていたエリック一家の物語。前半はよくある子供たちの成長ストーリー。レスラーとして実力をつけ、有名になっていく過程が描かれいる。が、物語はケビンの結婚を機にこれでもか、というくらい兄弟の過酷な運命が描かれていく。本当に何かの呪いなのか、ただの負の偶然の連鎖なのか。
本作はその悲惨過ぎる兄弟たちの人生をベースにストーリーが作られているが、テーマは家族愛だろう。プロレスにかける情熱が家族の絆を強固にしている。特別に印象に残るシーンやセリフは無かったけど、プロレスに懸ける熱い想いや兄弟愛が伝わってくる。
これは決して「プロレスとは何ぞや」を伝える映画ではないけれど、随所にプロレスの裏側が描かれていて「プロレスって八百長なんでしょ」と思っている人たちにも是非観てもらいたい。
最後はアメリカ映画らしくベタな家族愛を描いたエンディングだったが、様々な苦難を乗り越えてきたケビン(ザックエフロン)の涙に、ジーンと込み上げてくるものがあった。
いい
父も母も兄も強いなあと思う。
幼少の長男の死、デビッドの急死、ここから続く自死は影響を受けてるんだろうなあと想像できる。ケビンの心中が充分伝わり悲しい。エンディングの実際のケビンで救われる気持ちになるのは良かった。
見て良かった映画。
フリッツvsジャイアント馬場の再現があったら良かったなあ。昔の映像でしか見たことありませんがアイアン・クローの痛さがものすごく伝わる絵だったと印象にあります。
男らしく生きるという幻想と…悲劇
実話に基づく、というエピグラムから始まる今作。
痛切な痛みと共に胸に迫る傑作。
家族論、ジェンダー論、家父長制、歪んだマチズモ、キリスト教..などの要素を入念にフィルムに刻み込んだプロレスラー一家の物語。
この話が現実にあったということに、まず驚かされる。
古代ギリシャ悲劇から、シェイクスピアの有名な3大悲劇などが根底に横たわる。
なぜ、ギリシャ悲劇やシェイクスピアの物語、また古代の神話などが現代にまで語り継がれ、書物が残り、映像化されるのか。現代の人間が生きる社会における、普遍性があるからだろう。
70年代、80年代のプロレス世界。アイアンクローという技で一世を風靡した父親フリッツフォンエリック。彼の息子たちもまた父親の強烈なプロレス教育によりレスラーの道に。
父の教えを純粋に純真に信じながら…。
しかし強烈なプレッシャーと共に。
息子たちを次々に襲う悲劇...
現実にこんなことがあったのか...
フリッツの息子たち6人のうち、サバイブするのは次男のケビン、弟たちは自ら命を絶ち、または病に倒れる...
次々に若い命を散らしていく。胸につまる。
人生を賭けて闘う、というのはこういうことなのか???
監督ショーンダーキンの言葉から引用するが、この物語は苦しみや悲しみの物語ではない。むしろ、悲しみの欠如、人が自分の苦しみ悲しみから目を逸らした時に、何が起こりうるかを描いている、と。
7、80年代の時代の空気、プロレスシーン、特有の気だるい雰囲気、迫真の闘争場面、俳優のすさまじい肉体...。
改めてプロレスも過酷なものだと痛烈に感じる。
ケビン演じるザックエフロン、肉体改造でプロレスラーを名
演。
監督ショーンダーキンの抑制の効いた演出。
男らしく、または女らしく…現実でも使い古されている言葉だ。
親の夢を子供に託す。
それらが、どれだけの人達を苦しめているのだろうか。
子供たちが喜びを見出せるのなら、それはいいことに違いない。
そんなことにも思いを馳せる。
プロレスに無知な私だが、プロレスに詳しい必要はない。
多くの人に観ていただきたい。
ラスト、彼岸に旅立った子供たちの描写。
胸にせまる。
次男ケビンが選んだ生き方に一筋の光明を見出す。
2024年暫定Best
不運なプロレス家族の物語とまとめてしまえばそうかもしれないが、ザックエフロンとリリージェームズの20代から40代まで演じきった2人の愛が続いていたから…最後がグッと来ました
フォン・エリック家
なんかの記念作品なのかしら?
おそらくなら米国では根強い人気を誇るのであろう。小学生の頃だったか、俺も真似した事があるアイアンクロー。握力は130kgとかの記憶がある。
リング上の華々しい経歴の裏にあんな人生があったとは驚きだった。
…それだけだ。
フォン・エリック家の足跡を辿る作品ではあるのだけれど、プロレスファン以外には需要が無さそうな作品ではある。メッセージ性があるとか教訓が散りばめてあるって手合いの作品でもなく事象を羅列したような構成で脚本的な仕掛けがあるわけではない。プロレスに今尚熱中してるのならば面白いんじゃないかと思われる。
それにつけてもザック・エフロンよ…。
レスラーの体だった。
他の役出来ないんじゃないのと思う程、レスラーの体だった。もっと試合パートとかあるのかなと思ってたのだけど抑えめで、とは言え物足りないって感もなくいい塩梅ではあった。
一度動き出せば、もうレスラーなので説得力は半端ない。髪型といい体付きといい、案外リング上では顔が見えない事も多かったのだけど、吹替とか使うと言ってもあの身体付きなので、本人としか思えず…本人でないとするなら、そのWを担った演者も相当ストイック。あの身体を作り上げたのだから。
4兄弟はもうウェイトトレーニングが趣味でなけりゃ到底務まらない。この役の為にというのならば、恐ろしい程の役者魂である。
物語的にも悲劇色が強いので、しんどいっちゃあしんどい。父親に対し「yes sir」がデフォルトなのにも驚きだ。
プロレスの殿堂に入ったらしいので、やはり自国ではHEROであり色褪せない人気があるのだろう。
実は泣いていました。
フォン・エリックはテレビで普通に見ていたし、エリック兄弟の呪われた歴史もある程度知っていた。自分の子供も息子二人のため、兄弟愛の様子をみて嗚咽。ラストシーンでも声がでそうな程感動した。しかし妻はさほど感動しなかったとの事。プロレス愛は男に強いことを実感した。
人の生き方に関して考えさせられる
アイアンクロー=鉄の爪の異名で日本でも活躍した伝説的プロレスラー、フリッツ・フォン・エリックとその息子たちの真実の物語を描いた伝記ドラマ・・・・・・・・
何とも評価と言うのかな、この家族の物語、何とも言えません。お父さんの気持ちも分るし、子供たちの気持ちも分るし・・・
人が増えれば、多ければ多い程、想いもそうだし、行き方もそうだし、喜怒哀楽も多いのは当たり前・・・・
長男には、長男の宿命があり、兄弟それぞれ・・・・兄弟が数奇な運命をたどるけど、決して呪いではないと思うな・・・・
プロレスが好きな人にとっては、少し物足りなさがあると思いますが、お話的には、少しだらだら感があるかな・・・
ちょっとダレル部分もあるんだけど、しかし、最後は、長男に同情・・・・見ているこちらも何だか、涙が込み上げてくる。
強いてい言えば、亡くなった兄弟たちの妄想みたいなシーンがあるけど、あれはちょっと・・・私的には、何とも言えないかな・・・ちょっと変な解釈・・・・誰かの言葉(台詞)で表現した方がいいのかな・・・・
しかし、プロレスって、ショーなんだけど、しかし、やっぱり、リングに立つ人にとっては命がけの仕事であり、ショーでもメインイベントに立つと言うのは、それなりの資格が存在する。
当時は、まだまだプロレスラーに人々は尊敬もあったけど、しかし、本作品で、プロレスラーの選手が、やっぱ凄いと言うのは、分かるのかな・・・・
個人的には、リックフレアーが出た時は、なんか笑ったかな・・・・
もう少しコンパクトにまとめてくれると、いい映画だったかな・・・・
「男だって泣いていいんだ。」
子供の頃はプロレスブームで、今では信じられないだろうけど週末の金曜のゴールデン枠で放送されていた。猪木や馬場が全盛期の時だ。
敵役として有名なのはアンドレ・ザ・ジャイアントやスタン・ハンセン、タイガージェット・シンなどなど。このフリッツ・フォン・エリックは名前は知ってたけど当時あまり見た記憶はなかった。
中盤まではスポコン一家の何気ない姿が描かれていて、長男の死も随分前の話。何が呪いなんだろうと思ってみていた。お父さんも星一徹や亀田の親父に比べるとずいぶん普通に見える。
だが、次男以外の兄弟たちがプロレスに参戦しだしたのを機に怒涛の展開を見せる。もう勘弁してくれ、どこまで行くんだよというくらい重い展開になり結末まで安心できなかった。全く前情報入れずに見たので、最後には会社を売られた父親がライフル片手にケビン一家を皆殺しかなとさえ思った。
体調がいまいちの時に見たのでかなり精神的に疲れた。内容が内容だけに気分が落ち込んでる人は見ない方がいいと思う。ヘヴィ級に重たい内容だった。
エリック家は一見家族愛にあふれた家庭。兄弟同士も愛し合っていたし、その兄弟たちは父を信頼していた。そんな家族がなぜこうも不幸に見舞われなければならなかったのか。
父のエリックはプロレス一本で家族を食わせてきた。家族のために自分を犠牲にしてプロレスをするのは自分一人で十分だと言いながら、彼は息子たちにプロレスを勧める。自分の果たせなかった世界チャンピオンの夢を果たしてもらいたいというエゴからだった。それはけして無理強いではない、お前の意思で決めろという。
しかし、この兄弟に自由意志などあったのだろうか。この父のもとで育てられた彼らは家族のため、そして尊敬する父のためなら何事もいとわない人間として育てられてきたのではないだろうか。
愛する家族のため、尊敬する父のため、それは一見すると美しいのかもしれない。しかしその愛情は本当の愛だったのか。幼い頃から植え付けられたものではなかったか。
家族同士が愛し合っていることは素晴らしいことだ、何が問題あるというのかという者もいるだろう。
しかし彼ら兄弟は自分を犠牲にして家族のためにその身をささげていた。これが国レベルなら愛国心のためにその身をささげるということになる。
今の世界は何かと愛国心を謳う。自分の生まれた国を愛するのは当然、愛する国のために自分の身をささげるという考えを刷り込まれた者たちがかつての大戦でどれだけ犠牲になっただろうか。
この国でも教育改革で愛国心を植え付けようとする動きがある。愛国心とはけして強制されたり、植えつけられるものではあってはならない。それは常に為政者に利用される危険性があるからだ。為政者が言う愛国心ほど危険なものはない。それは一見美しいものだからこそ、その罠にはまってしまえばこのエリック家の兄弟のような末路をたどることになる。
何よりも恐ろしいのは彼らが自分の意志でプロレスをすることを決意したかのようになっていたことだった。それは一見彼らの自由意思で決められたかのように見えるからこそ恐ろしいのだ。そして父親にも彼らに強制したという自覚は全くない。
父は言う、兄弟同士で解決しろと。お前たちは自分の意思で決めた道なのだから自分たちの人生は自分たちで何とかしろと。
これを言われた方はどうしようもない。すべての逃げ道をふさがれてしまったようになる。だからケリーとマイクは自死を選ぶことになる。父を責めるわけにもいかない、自分で決めた道だから、誰かのせいにすることで逃げることもできなかった。
ケビン以外の兄弟はこの世から去ることでしかこの家族愛という呪縛から逃れることは出来なかった。ケビンは自身の愛する家族を手に入れたからこそ、その呪縛から逃れられたのかもしれない。植え付けられた家族愛に縛られない彼自身の家族が彼を救ったんだろう。
「男だって泣いていいんだ。」彼の子供たちが発したこの言葉が彼を呪縛から解放したんだろう。
アイアンクローよりアイアンハートが必要
このお父さん、最初はいいお父さんに見えたけど、とんでもお父さんだわ!。息子を家業?のプロレスのコマみたいに思ってる。あっちがダメならこっちの、スペア扱い。他の道に進んでいた息子も、結局取り込まれて行く。兄弟は仲が良く、父親の希望を叶えようと頑張る息子ばかり。勝ち続けないといけない格闘技は心身ともに辛いだろうな。その上、まだ若い兄弟が1人欠け、2人欠け、そりゃーメンタル崩壊するわ。ケビンは良い奥さんにめぐり逢えて良かった。
夢とその先
プロレスの頂点を目指すエリック兄弟。栄光を掴むために、必死にもがき、あがき、努力を続けながらも、そんな日々を家族と楽しく過ごしている。誰よりも情熱的でひたむきな彼ら。。。だけど、観客は徐々に気付き始める。
『何か良くないことが起きる』
楽しそうな雰囲気は建前。兄弟の心と身体が悲鳴をあげていくのが見て取れ、全てが壊れてしまう様子が目に浮かんでくる。頂点に立てなかった自身の後悔の念を息子に押し付ける父親と、それが圧力だと思わず父を慕い続ける息子たち。愛のムチ。何のために彼らは戦い続けたのだろう。
息子たちが成長していく中で、衰えるどころか生気を取り戻したように顔に肉の付いた父親と、人生に疲れ果てたかのように酷く窶れた母親。この対極の状況になった夫婦から、この家族の異様さが伝わってくる。実話であることが信じられない。たった1人の力で、ここまで人は狂ってしまう。
エリック家を演じたキャストが全員アカデミー賞級。この冷たい空気感と爆裂ボディから、途中からドキュメンタリーかと錯覚してしまう。やるせない気持ちとどうしようもない怒りから、終盤は震えが止まらなかった。
2024年、最も辛く悲しい物語。伝記映画としては、「オッペンハイマー」をも超越する傑作だと思う。
面白かった。生きる苦しみから解放されるところに感動
父親の期待に応える一瞬の喜びと、プロレスラーとして生きていく長期的な苦しみ。
これかうまく描かれていて面白かった。
自分が成しえなかったことを子供に託す父親。
それが幸せだと信じている父親。
悪ではないが呪いになってしまった。
人生における幸せとはなにか
幸せとは何なのかを考えさせる作品で、プロレスに詳しくない方でも観てほしい。レスラーとして活躍した父が、息子たちを威厳で支配し、世界情勢さらには死さえも利用して次々とレスラーとして育てていく。自身よりも弟達に期待されていることを感じつつも嫉妬せず、必死に鼓舞するケビンが健気。なお劇中には登場しないが、6男のクリスもレスラーとなったが、21歳の若さで拳銃自殺をしている。唯一存命であるケビンには妻の存在があったのも大きいと思う。
ラストのケビンが遊んでいる子供達を見て涙ぐむシーンがあるが、レスラー時代の弟たちとの交流はトレーニングの指導くらいで遊ぶことなんてなかったと思う。そういう意味では真に父に支配されていたのはケビンだったのではないだろうか。
余談だがパンフレットにはフォン・エリック家の年表や知識人による解説もあり読み物として面白い。またAbemaプレミアムにてケビンがキラーカーンにアイアンクローをお見舞いしている当時の映像が公開されている。
シンプルな伝記映画として─
特別な人生をシンプルに─といった印象の作品でした。内容自体が数奇で、だからこそ淡々と語られていたのかなと─。もとの出来事がショウビズ要素が強く、しかも事実がかなり衝撃的であるので、淡々としていた割りにかなり感傷的になってしまいました。極力抑えられていたからこそ尚更そうなったのかもしれません。
カメラワークとか編集とか実に見事だったと思います。ドラマティックな映像が結構挟み込まれているわりにリアリティを相当に感じたのは、そのカメラと編集のなせる技かなと─。
分かりやすいタイトル、分かりやすい伝記、でも人生はそんな生やさしいものではない─、そう感じさせてくれる良作でした。
父の呪われた夢
相手の顔を鷲掴みにする必殺技「アイアンクロー」で一斉を風靡した名レスラー、フリッツ・フォン・エリック。
しかし彼のレスラー人生は恵まれたものではなかったらしい。
彼は息子たちに世界の頂点に立つという夢を託す。
そして息子たちもまた父の夢を叶えるために最強への道を目指すことになる。
特に一番年長のケビンの視点でストーリーが進んでいくのだが、エリック家の華々しい快進撃が描かれていくにも関わらずそこに爽快感はない。
フリッツは最強の一家となるべく厳格に息子たちを指導するのだが、彼の息子たちへの愛情は決して平等ではない。
兄弟の中で先陣を切って道を拓いたケビンに対しては、求めるものがあまりにも多すぎるのか、称賛の言葉はとても少ない。
それでも息子たちは父親から認めてもらいたい一心で文字通り身を削って期待に応えようとする。
その結果、無理がたたった三男のデビッドは、遠征先の日本で命を落とす。
そしてデビッドの弔い合戦のために立ち上がった四男のケリーは事故により大怪我を負う。
兄弟の中で唯一毛色の違うマイクも、レスラーとして生きる道を選ぶが、試合中の怪我により後遺症を負い、自ら命を断ってしまう。
ケビンもまた度重なる兄弟たちの不運によって心に傷を負い、妻のパムに対して距離を取ってしまう。
いつしかフリッツ家は呪われた一家と呼ばれるようになってしまう。
悲惨なのはどれだけ息子たちが悲劇に見舞われても、生き方をまったく改めようとしないフリッツの姿だ。
もはや彼は世の中に自分たちの存在を認めさせるという執着に縋って生きているため、目の前の家族を直視することが出来ない。
タイトルマッチで反則をし、失格するということで父の夢に抗ったケビンは、既にフリッツの中では用無しの存在だ。
一方、再起不能の怪我を負いながらも、執念でケリーは復活を果たす。
フリッツにとって希望はケリーの存在だけだが、それでも彼はまともにケリーと向き合おうとはしていない。
心身ともに限界を迎えたケリーはケビンに助けを求める。
しかしケビンには彼を助けられるのは父だけだと分かっていた。
だから彼は父に助けを求める。
しかしフリッツの口から出たのは「兄弟同士で解決しろ」という衝撃の言葉だ。
結果的にケリーはケビンの前で自ら命を断ってしまう。
最後までフリッツは自分の夢に縋るだけで現実に目を向けない。
妻のドリスもまた最後には現実逃避をしてしまう。
フリッツは自分に、そして息子たちに言い聞かせ続ける。
「世界の頂点に立てば、成功して怖いものなしになれる」と。
言い換えれば世界の頂点に立ち、世界に認められることが彼にとっては幸せだと思いたかったのだろう。
そこには自分を認めなかった世界への復讐心がある。
しかし復讐心の先には幸せなどない。
事実、彼は息子たちがどれほど快進撃を続け、タイトルを手にしても満たされることはなかった。
本当の幸せとは手に入れるものではなく、そこにあることに気づくことだ。
そしてケビンは愛する妻と子供たちが側にいるだけで幸せであることに気づく。
悲惨な物語ではあるが、ケビンの家族が幸せになれただけでもそこに救いがあると感じる作品だった。
スポ根家族のホラーストーリー
やばいやばいやばいやばい。
まさかのオッペンハイマー超えてきたww
A24作品とはいっても「伝記ものでお得意の尖らせとか流石のA24さんも出来ないでしょ??」なーんて思って観ていたけど、ストーリーはね。そりゃトッキントッキンになんて出来ないよ。
でも、『あ〜これがA24の威力なのかな〜』と思い知らされたのは、劇場を出てからのこと。なんかやたらと脳内リプレイが多過ぎる。呪われた一族に次から次へと起きるセンセーショナルな出来事はもちろんだけど、記憶にこびりつく絵面が多いんだよね。スポ根ストーリーかと思いきや割と強度強めなヒューマンホラー作品ね😅💦
エンドロールのいっちゃん最後に出てくる“Chris”って誰?って思ってたら映画の中では触れてないもう一人の自殺した弟がいるとか……マジで凄い家族。
家族のあり方ってそれぞれ違うし、違っていていいし、違って当然。だけど、このフォン・エリック家は『ファミリー』という名の軍隊。♬〜言いたいことも言えないこんな〜家族ぢゃ〜……poison〜♬ですよ。
大好きだったドラマ『シェイムレス』のリップ役だったジェレミー・アレン・ホワイトが出ててめちゃテンション上がった✨✨
全213件中、41~60件目を表示