リンダはチキンがたべたい!のレビュー・感想・評価
全38件中、1~20件目を表示
絵も登場人物の、気ままでわがままなのがいい。
『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』で省エネ手法とセンスを駆使し、たったひとりで長編アニメを作り上げるというコロンブスの卵を成し遂げたセバスチャン・ローデンバックが、妻で映画監督のキアラ・マルタと共同で監督と脚本を手がけ、『大人のためのグリム童話』の手法を集団作業に拡張して作りあげた創意工夫にあふれるアニメ。
絵の面白さだけでも素晴らしいが、大人も子どももどっか倫理のネジが吹っ飛んでいて、それでいて雑なまま下町(団地)の営みが成立してしまう世界観がとても好み。創作も人生も生活も、これくらい好き放題で気ままでいい、とテーマに掲げているわけではないが、そのイビツだけど風通しのいい人生感みたいなものがアニメーションの線の少ない隙間から風のように吹き抜ける感じがする。
キアラ・マルタは日本未公開だけどハル・ハートリーの『シンプルメン』に触発された『シンプルウイミン』という映画をエリナ・レーヴェンソン主演(本人役!)で撮っていて、ローデンバックは『大人のためのグリム童話』の女神役にエリナ・レーヴェンソンを起用したというハル・ハートリーとのつながりがあり、確かにハル・ハートリーのちょい斜めのヒューマニズムとちょっと通じるところある。
抽象的なタッチから生まれるリアルな感情と素っ頓狂なおかしみ
これはゼロからイチを生み出すタイプのアニメーション作品だ。絵のタッチは革命的なほど抽象的で、登場するキャラクターや背景なども単色で塗りつぶされていたりする。なのにどういうわけか、巻き起こるシュールで素っ頓狂なドタバタや心と心のすれ違いが痛いほど切実に、時としておかしく、リアルに伝わってくるのだから不思議なものだ。核となるのはリンダの「チキンがたべたい」という純粋で一途な思いと、無くなった指輪を娘が勝手に持ち出したものと一方的に決めつけてしまった母の申し訳ない気持ち。それらを巡って警察を巻き込んだデッドヒートが繰り広げられ、かと思えば、街では経済活動がストップするほどの大規模なストライキが広がっているのも実にフランスらしい。これら近景と遠景をオーバーラップさせながら、全てが一つの大切な感情と記憶へと集約されていく顛末がしみじみ胸を打つ。珍味ながらこの香りと食感と何とも言えない余韻が癖になる。
これぞフランスの自由への讃歌
そもそもポスターの配色が素晴らしくて観たくなったフランスのアニメ。まったく労力は違うだろうが、少し高畑勲のかぐや姫を思い出したりしながら見た。
しかし、さすがジャックタチの国、ジャンヴィゴの国、ルノワールの国、地下鉄のザジの国、というワンダーに溢れた世界での団地に暮らす女の子のパパのパプリカチキンが食いたい騒動。
観ていて楽しいのがやっぱりアンコントロールの世界。リンダもリンダの母もヤバいし、そもそもが世界がストライキで団地の人々もみんな好き勝手に生きてる感があっていい。冒頭の学校の授業でもフランス革命といかに国民が自由を手に入れたかを説明してるので、これは明確なテーマなんだと思う。
で、騒動のきっかけがお母さん間違ってた、ごめん、からはじまるのが素敵。
そしてみなでチキンを食うぞと団地はカオスになるのだけど、人の痛みなどわかりあえる世界が描かれている… やっぱりちょっとじゃりん子チエ的な理想郷を観てる気がする
分かりやすいけど
67本目。
アニメだけど、時間短いからと鑑賞。
チキンと言葉で出てくると、実物が思い浮かんでしまい、ちょっと頭が混乱。
ドタバタコメディで分かりやすいんだけど、盗んじゃいかんだろうってので、カラフルとは言え、画が単調に感じて、ちょっと持たない感じ。
自分の柔軟性が足りないだけとは思うんだけど。
手抜きのようなユニークな絵
小学生の女の子リンダは母と郊外の公営団地で暮らしていた。ある日、母の指輪が無くなり、リンダが疑われ母に叱られてしまった。しかし、指輪は飼っているネコが原因だとわかり、母はリンダに謝り、お詫びに何か欲しいものはないかと聞いた。すると、リンダは、亡き父の得意料理だったパプリカ・チキンが食べたいと言った。しかしその日はフランス中がストライキで、どの店も休業していたため、チキンを買うことが出来なかった。仕方なしに卵の販売所から生きた鶏を連れ帰ろうとしたが、鶏が逃げ出し、警察官、トラックの運転手、母の姉、団地の仲間たちを巻き込み大騒動となった。リンダはパプリカチキンを食べる事が出来るのか、という話。
手抜きのような人物を単色で描くユニークな絵に驚いた。ストーリー的には逃亡した鶏を巡ってのドタバタ騒動であり、コメディなんだろうが、ユニークな絵が気になりストーリーに入り込めなかった。それと、全体を通して、倫理観の無い行動が多く、問題だと思う。
そんなドタバタコメディの中にも2組の恋愛を絡めてくる所がフランスだなぁ、という感想。
とにかく変わった絵なので、一度経験しても良いとは思うが、自分勝手で自己中、人の迷惑お構いなしと、教育上良くないシーンの連続なので、子供向けにはおすすめ出来ない。
ジブリのアヌシー受賞作は狸と豚
背景とキャラの絵柄が一体感のある高畑勲的、かぐや姫のものがたり的表現を楽しむ仏アニメ。しゅるしゅるとしたゆるい輪郭の多数のキャラをカラフルなカラー1色で表わし、また同じ家族は同系色でまとめることで、関係性も見失わずにすむようになっているのがうまい。
やんちゃなガキどもに身勝手な大人、ゼネストにシングルマザーに権威的な警官に…と来て、最後はパプリカチキンでみんな連帯という、フランスっぽさ?のあるドタバタ話ではあるが、それがおもしろいかっつーと…? ただ、パパの料理を回想する歌のシーンではちょびっとじんわり。
最近よく耳にするようになったアヌシー映画祭、アニメ表現の新しさに重点が置かれてんのかと思いきや、2024年度は日本から窓際のトットちゃんとか屋根裏のラジャーなどもエントリーされてて、なんでもアリかよ!という気持ちに…。
絵のタッチは荒いけど そこに躍動感があーりん子
全く観るつもりは無かったのに 映画館有楽町と 渋谷を
間違えちまってさ。観たの 仕方無く そしたら
ヾ(((≧▽≦)))/♪♪♪きゅわわわぁーーーん!!
おもしれーぢゃんかぁー。(^Q^)/゜
やっぱしフランスアニメは いーわさ。
以前も デリリ....だったり その他も観てるし
日本のアニメは 戦いばかり こーゆー
あり得ない面白さも いいんでねーのけ??
やさしい話
児童文学だね。
リンダもお母さんも大変なんだよ。
「なるほど、それは確かに」という流れで亡き父の思い出のチキンを作らざるを得ない流れにして、でもストだから簡単じゃないのって入れてくるのがいいね。
色んな人が出てくるけど、みんな、最後のところで優しいよね。
そこが良かった。
いろんな意味でフランスっぽい?
フランスのアニメらしい色づかい。最初は違和感の方が強かったが、観ているうちに動くポップアートのようなその映像に慣れてしまった。こんなアニメもアリだ。
話の方もゼネラルストライキが実施される日が舞台になる等、民主主義を勝ち取った国民性が色濃く出た設定に思える。
そしてストーリー的には想像していた以上にカオスな展開だったことに驚いた。団地という舞台設定もまたカオスを生み出す要素だったわけだ。最後に噴水を囲んで集まっている住民たちが革命後のフランス市民のように見えたのは私だけだろうか。やはりフランスっぽい。
ドタバタコメディであり、家族愛を描いた物語として悪い印象ではないが、いろいろと受け容れがたいことも多い。母親にしても、リンダにしても、リンダの友人たちにしても。母親の犯罪行為もどうかと思うが、子どもたちの行動が特に嫌だった。子どもだからで許される範疇を大幅に越えてしまった気がする。これもフランスっぽさなんだろうか。
絵が特徴的なアニメ映画
評判がとっても良いフランスから上陸したアニメ。なんでも東京アニメアワードフェスティバル2024(TAAF2024)のコンペティション部門長編アニメーションのグランプリに輝いたとか。めっちゃんこ期待が膨らんで見てみたけど、あたし向きではなかったかな。
色彩の豊かさとか色遣いのセンスとかはさすがフランス!と脱帽。入場者特典のカードの裏に作中でリンダがずっと食べたがっていた思い出の味『パプリカチキン』のレシピが書いてあるのも嬉しい。今度作ってみよっ♬(丸々一羽のにわとりってどこで手に入れられるのかw)
あんまり入り込めなかった点としては、子供目線で描かれているのかと思いきや、大人の考え方とか人間の汚さとか個人的にはアニメであまりみたくないような内容がガッツリ。そして話題となっている作画手法、『クリプトキノグラフィ』(一枚一枚の絵を極端に簡略に描き、絵を並べて動画にすると人や動物が生き生きと動き出すという手法、らしい)がまったく自分にはハマらず...。な〜んかどこかでみたことあ?んだよな、このクリプトキノグラフィってやつ。どこでだろ。何でだろ。魚の小骨が引っ掛かるずっと取れないようなもどかしさを感じていたけど、やっとわかった!NHKの『みんなの歌』で見ていた映像でちょいちょい似てる作風の映像あった!子供心に『みんなの歌』って悲しげな歌と映像を見させられることが多かったと記憶してるからか、あの作画を見ると条件反射でもの悲しさが…。ま、それがわかっただけでも良かったか😂
チキンが食べたいのに、街中ストライキでお買い物ができず、食材をあち...
チキンが食べたいのに、街中ストライキでお買い物ができず、食材をあちこち探して回る珍道中。
鶏農家さんから鶏を一羽持ち逃げしたり、警官の職務質問に答えず逃げたり、親戚や近所を巻き込んだり、など。
ドタバタコメディ的な出来事が連なりますが、
色遣いがキレイで、優しい絵本を読んでいるような、
なんとも暖かい気持ちになる物語でした。
色が目に染みる。
こんな手法のアニメがあったのか。ジブリの高畑勲監督が「かぐや姫の物語」で、墨絵のフリーハンドな描写でアニメ造形をして評判になった。この作品は、ペイントソフトで描いたようなベタ塗りの、今は無き?フラッシュアニメのような描写で見せきる。ストーリーは、主人公の少女リンダが、亡父の得意料理パプリカチキンを食べたいと願いが叶うまでの、スラップスティックコメディ。意表をつく展開が早く、ついストーリーに没頭してしまう。なかなかの拾い物の作品だ。
劇中の被害大きすぎる(笑)
崩壊する秩序と狂乱が伝搬する子供たちの暴動
無秩序の前にはまったくなすすべなく
その混乱の中に
リンダ母娘の気持ちを覆う靄
黒い闇がすーっとはれわたっていく
カラフルな画面に気持ちのいいアクション
清廉潔白ではない人々や子供たちそれぞれの動向を
軽妙に描く快作…ではあるのだけど
特定の個人に対する被害がちょっと酷すぎて
そこばかりが気になってしまった(苦笑)
…あれ、どうおとしまえ付けるんだよ…
あまりに混沌がエスカレートしていくので
これどうオチをつけるんだろうと思ってみてたら
予想以上にストンっと気持ちよく決着がついたのは驚き
挿入歌の使いどころもうまいし見せ方聞かせ方も良い
しかし、フランスアニメはちょっとアート方面に偏向しすぎだと思う
好きだけどさ。
どうでもいいけど、概ね猫の肛門に意識を持ってかれる(笑)
シルブプレシルブプレシルブプレ
油絵、走書きみたいな作画は楽しい
ただ食育にも教育的にも何にもなってない
ドリフみたいな懐かしいドタバタ
おばあさんが気の毒でした ネコさんは可愛い、オシリの穴は手抜きなし 団地の子供がやたらと出てくるのでイノセンツのフランス版パロディかと思った
お国柄だと一言では片付けられないギャップ
日本だと「人さまに迷惑をかけない」というのが社会道徳の基本なのだけど、フランスは個人の自由がなにより大切なんだと、この作品を観てつくづく思わされた。
だから本来はスラップスティックなコメディとして受容すべきなんだろうが、母娘ともに日本人的には正直どうよと思う行動ばかりで、ちょっとした嫌悪感すらああった。
あと本場のゼネストはやっぱりエグい。
登場キャラクターを不定形な線画に原色でザックリとした着色で描く手法はなかなか刺激的。さすがはアヌシーでグランプリを獲っただけある。
その行動力はすごいと思うが、善悪の判断基準が緩くて、気になる部分は多い
2024.4.18 字幕 MOVIX京都
2023年のフランスのアニメーション映画
父の味を求めて、ストライキ中のパリでチキンを探す母娘を描いたコメディ映画
監督&脚本はキアラ・マルタ&セバスチャン・ローゼンバーグ
原題は『Linda veut du poulet!』で「リンダはチキンが食べたい!」、英題は『Chicken for Linda!』で「リンダのためのチキン!」という意味
物語の舞台は、フランス・パリ郊外の集合住宅
そこで暮らすリンダ(メリネ・エクレール)は、幼い頃に父ジュリオ(ピエトロ・セルモンティ)を亡くしていて、多忙な母ポレット(クロチルド・エム)と一緒に過ごしていた
ある日、母から結婚指輪を借りて登校しようとしたリンダは、それを母に見つかってしまう
指輪を返し、仕方なく学校に向かったリンダは、そこで親友のアネット(スカーレット・ジョルトン)と出会い、彼女がかぶっていた黄色のベレー帽を借りることになった
リンダが帰宅すると、母は何か探し物をしているようで、母は黄色のベレー帽と指輪を交換してきたと思い込む
「交換したと白状すれば帽子は返す」と言い、リンダは不本意ながら「交換した」というものの、母は約束を守らずにベレー帽を没収してしまった
さらに「お仕置き」と称して、ポレットの姉アストリッド(レティシア・ドッシュ)の家にリンダを連れて行き、「監獄」に彼女を入れることになった
その後、帰宅したポレットは、日に日に酷くなる水漏れと奮闘しながら、愛猫のガッツァの奔放さに翻弄されてしまう
そして、ガッツァが吐いたものの中から指輪は見つかり、ポレットは罪滅ぼしとして、母はリンダに謝り、「なんでもしてあげる」と告げた
そこでリンダは、「父の得意料理だったパプリカ・チキンを食べたい」と言い、二人はそのまま買い物に出かけることになった
だが、ストライキの影響で店が開いておらず、お目当てのチキンを手に入れることができない
やむを得ずに帰宅しようとした時、道すがらに養鶏場を見つけた母は、生きた鶏を手に入れるために飼い主と交渉しようとするる
だが、そこには息子のケヴィン(アントワーヌ・モメイ)しかおらず買うことができない
そこで母は、ケヴィンの目を盗んで、鶏を一羽勝手に持ち帰ってしまうのである
物語は、その帰り道で「スマホのながら運転」にて警察に捕まる母を描き、荷物検査の際にせっかく捕まえた鶏が逃げ出してしまうところから動き出す
警官のセルジュ(エステバン)と巡査長(ジャン=マリー・フォボンヌ)に連行されそうになったポレットは、鶏が逃げ込んだトラックの荷台に駆け込み、リンダも一緒についていく
そして、警察によってトラックは止められてしまい、御用となってしまうのである
映画は、この母娘の何でもありの行動を受け入れられるかが鍵で、ストなのに今日にこだわるリンダ、娘の話を一切聞かずに犯人扱いする母などが描かれていく
色彩が特徴的な作品で、キャラクターはほぼ単色で塗られていて、動きもぬるぬるした感じになっている
子どもの落書きのようなテイストであるが、これが意外と味があるように感じられるところは面白い
最終的にはハッピーエンドっぽくなっていくし、ポレットとトラックの運転手ジャン=ミミ(パトリック・ピノー)は良い感じになるし、アストリッドと警官セルジュの仲も良くなってしまう
一歩間違えれば死人が出ていてもおかしくないような内容だが、これで誰もが無傷と言うところがファンタジーなのかもしれません
いずれにせよ、かなりDQN的な行動の母娘なので、このキャラに共感できるかはわからない
キャラはそれぞれ色が振り分けられていて、リンダは黄色、ポレットはオレンジという感じで、そこまで被らないので、見ている分に混乱することはない
少しだけ哲学的な部分があって、父の記憶がないリンダがそれを取り戻す過程も描かれているので、五感に残っている記憶と脳に残っている記憶との結合によって「存在証明」がなされるのは良かったと感じた
自分もたべたい
ストーリー自体は日常生活にちょっとのハプニングの平凡なものだが、表現方法がどことなく高畑勲的な感じがした。
キャラクターが原色系なのでちょっと目がチカチカする(笑)
パンフレットもオシャレな感じ。
チキンはおいしそう(*´ω`*)
簡素化した線と色ながら。
計算され尽くされたアニメなんだろーなー。この絵面で70分はあきるかなー、と思ったけど全然そんなことなかった。リンダやママや叔母さんやらいろんな人達を巻き込んだ展開が楽しい。追っかけっこも迫力あるしスピーディー。しっかりほっこりハッピーになるまとめ方も最高。楽しかった。
一見ふんわり。実はフランス人らしいスパイスの効いた映画
事前情報無しで見たので、お料理アニメなのかなと思いきや、良くも悪くも裏切られました。一見ふんわりした見た目の映画ですが、フランス人らしいシニカルな目線で現代社会を映し出す内容でした。フランス映画を見るたびに「自我が強いよな彼ら」と思うのですが、この映画の主人公リンダも行動原理が「チキンが食べたい」で、目的のためには手段は選ばず、まさにフランス人でした。ラジ・リの「レ・ミゼラブル」に出てくるまんまの雑居アパートメントの人々、サッカーで繋がる多様人種の悪ガキたちが警察を追い詰めるシーン、さらにここでは飼い犬ちゃんまで自我が強い。すぐに恋に落ちる大人たち。さような現代フランスをシニカルに、かつほのぼのと描いた視点には感心させられました。
映画館ではパプリカチキンのレシピを配っていたので、早速夜にチャレンジしました。腕のせいかレシピのせいか、もっさりした味に仕上がり、オリーブを刻んで入れたほうが良かったなと反省しました。みなさんもパプリカチキンを作る際は自分なりの工夫を加えてみてください!
全38件中、1~20件目を表示