シチリア!シチリア!

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シチリア!シチリア!

解説

「ニュー・シネマ・パラダイス」の名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、自身の生まれ育ったシチリアの村バゲーリアを舞台にした自伝的作品。トルナトーレの父親をモデルにした主人公ペッピーノとその父親、息子という3世代の人生を通し、1930年代から1980年代へと至るシチリアの激動の現代史を描き出す。音楽にはトルナトーレ作品には欠かせない存在となったエンニオ・モリコーネ。2009年・第22回東京国際映画祭「WORLD CINEMA」部門では「バーリア」のタイトルで上映された。

2009年製作/151分/PG12/イタリア
原題または英題:Baaria
配給:角川映画
劇場公開日:2010年12月18日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第67回 ゴールデングローブ賞(2010年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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(C) Medusa Film 2009

映画レビュー

4.5人生賛歌

2011年6月1日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

幸せ

良い映画でした。2時間40分の長編ですが、場面展開が軽快で時に詩的に時にユーモラスに人生のもろもろを映し出してくれます。失ったり得たり、成し遂げたり徒労に終わったり、大切だったのに忘れてしまうことや、どうでもいいことなのにいつまでも覚えていること…色々なものが常に流れ去っていく人生の美しさが愛しく思える作品。
音楽も美しく、気落ちしていたけれど、少し元気になれました。

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キサラギ

5.0天ぷらにしては、安過ぎる

2011年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

幸せ

「海の上のピアニスト」などの作品で知られるジュゼッペ・トルナトーレ監督が、自身の故郷であるイタリアを舞台に描く、壮大な家族絵巻。

伝票を見て、我が目を疑った。千円と書いてある。「・・高い。」午後からの用事を前に急いで入ったうどん屋で頼んだ天ぷらうどん。六百円商品が書かれたお品書き列の真ん中に「天ぷら」とあったので、安いと喜び頼んだ。旨い、安い、早い。

満足して伝票を見たらこれである。お品書きには、ぽつんと小さく「天ぷら 千円」。してやられたと思ったが、余りに潔く、当たり前のように仕組む格好良さ。「てやんでい!やられちまったよ、べらぼうめ」と手の甲で鼻をこすりたくなる爽快感である。

本作を観賞した後に感じた想いもまた、これに似通っている。「二代に渡る愛と感動の家族物語」という宣伝文句に喰いついて物語を追いかける。親との死別、娘の結婚、破綻・・・家族ものと聞くと、自然と「挫折」と「困惑」という負の感情が軸に置かれていると考えてしまう。

だが、本作はそうはいかない。「罵声」に「怒声」。ついでに「衝突」。とにかく身体に満ち満ちるエネルギーを事あるごとに爆発させ、人生の「悲しみ」に行き着きそうなイベントを徹底的にお祭り騒ぎに変えていく。暴動も、デモも、死別も、皮肉と笑顔で軽やかに乗り切ろうとする姿勢がある。

もちろん、トルナトーレ監督が「負」に対して耐久力が強い訳ではない。むしろ、常に傷つき悩んでいるかもしれない。それでも、「悩んでどうするんでい!」と江戸っ子の如き強者のプライドが顔を出し、喜劇へと強引に持ち込んでいく。だから、観客も心が弾む。楽しい・・というより、安心する。

毎日の生活に起こりそうな些細な寸劇を、絶妙なタイミングと順番で繋ぎ合わせる作劇から見えてくるのは、観客に対して、登場する家族をしっかりと愛し、信頼し、一緒に人生の楽しみ方を感じて欲しいと考える作り手の信念、そして愛嬌だ。

「暗そう」「辛気臭そう」そんなイメージが先行してしてしまう家族の一代記映画。しかし、よくよく見れば人生をとことん楽しみ、肯定するあっけらかんとした世界が広がっている。先入観は、結構怖い。

「天ぷら 千円」も、今後の私の人生さえも豊かにしてくれるものになるかもしれない。良かった、良かった・・でも、やっぱり高い。

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ダックス奮闘{ふんとう}

3.0雄大でホンワカした気分になりました。

2011年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

シチリアの風景がすごく印象的です。荒涼として岩だらけで、雄大な風景なんだけど、土地の生産性はすごく低そう。
そんなシチリアの田舎町「バーリア」で生まれた少年の人生を描いた物語。
一生のすべてのエッセンスを詰め込んでみました、みたいな。

第2次世界大戦前後の時代の、貧しくとも明るいシチリアの人々とその生活を描くことがこの映画の目的なのかなぁ~という印象です。
搾取やマフィアの横行などでなかなか可哀想な環境なのですが、イタリア人あるいはシチリアの人々って、やっぱり人生を喜劇にしてしまう才能があるというか、とても救われます。

何かと疲れてホッとしたい時におすすめ。

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検非違使

5.0これぞ映画!冒頭とラスト必見!

2010年12月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

幸せ

 『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品。シリアスな問題を描きながらも、監督の温かいまなざしが常に感じられる映画だった。

 主人公のペッピーノの父、チッコ・トッレヌオヴァから、ペッピーノの息子、ピエトロまでの親子三代の50年間にわたる家族のドラマ。冒頭のシーンとラストシーンが圧巻。映画という表現の自由さを満喫できる。

 ストーリーはネタバレにならないように、公式ホームページのイントロダクションを引用する。

<シチリアを愛し、シチリアに愛され、激動の時代を生き抜いた家族の物語>
 豊かな自然にあふれたシチリアの町バーリアで、たくましく生きる牛飼いの一家。次男のペッピーノは、幼い頃から大人たちに交じって働き、学校に行く暇もなかったが、毎日が冒険だった。
 やがて時代は第二次世界大戦に突入し、ペッピーノはそのつぶらな瞳で、激変する時代を見つめる。戦争は終わり、成長したペッピーノは、今度は自らの激動の人生へと分け入っていく。
 希望に輝く瞳が美しいマンニーナとの許されぬ恋と駆け落ち、正義感に燃えて入った政治の世界、そこで見た世の中の闇、マフィアと結びついた権力との闘い、老いてゆく父との絆、子供たちへの愛──幸せな時も悲しみの日も、いつも抱きしめてくれるのは家族だった──。

 パンフレットにある監督インタビューが良いガイドになった。
「この作品は、人の一生を追ったとてもリアリスティックな物語です。だから観客はどうしてもストーリーを追うことに集中してしまう。でも私は、それだけの要素で映画を観てもらいたくないという思いもありました。それがああいう詩的なショットの形となって表れたのです。ある意味息抜きというか、ほかの現実的な描写から観客をふっと解放するよぅな瞬間をもたらしたかったのです」
「時間の不在というものを描きたかったのです。たしかに50年にわたる歴史ではありますが、私にとってその時間の観念は、子供が煙草を買いに行く時間に等しい。つまり時間はないに等しいというのがこの映画で言わんとしている哲学です。1世紀などという時間はツバを吐くような瞬間で終わってしまうものですよ」

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温故知新