本田雄 : ウィキペディア(Wikipedia)

本田 雄(ほんだ たけし、1968年3月12日 - )は、日本のアニメーター、キャラクターデザイナー、イラストレーター。石川県出身。スタジオカラーを経て、スタジオジブリ所属。ニックネームは「師匠」。

来歴

1987年に東京デザイナー学院(現・東京ネットウエイブ)中退後、北爪宏幸のアトリエ戯雅に入社。1987年のOVA『レリックアーマーLEGACIAM』で動画デビューを果たす。しかし、アトリエ戯雅が倒産したため、すぐにフリーとなる。

その後、ガイナックスに入社。1990年、ガイナックスにおける最年少記録である22歳の若さでテレビアニメ『ふしぎの海のナディア』の作画監督を務める。

1994年、『メタルファイター♥MIKU』で初めてキャラクターデザインを手掛ける。

1995年、一大ブームとなったテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』でOP作画や重要な回の作画監督や原画を担当。また同作の劇場版『Air』では、メカニック作画監督やEVA弐号機の再デザインとEVA量産機のデザインを担当。

『エヴァンゲリオン』以降はガイナックスを離れ、「リアル系」アニメーターとして今敏監督の『パーフェクトブルー』や沖浦啓之監督の『人狼 JIN-ROH』などの作品に参加。劇場作品を活動の中心に置くようになる。

2002年、今敏監督の『千年女優』で劇場作品では初となるキャラクターデザインと作画監督を務める。その後、同じく今監督の映画『東京ゴッドファーザーズ』とテレビアニメ『妄想代理人』にも原画で参加している。

2007年、磯光雄監督のテレビアニメ『電脳コイル』でキャラクターデザインと総作画監督などを務める。しかし、磯と衝突して制作途中で降板した。クレジット上では最終回まで総作画監督として表記された。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズへの参加を機に、スタジオカラーに入社して旧『エヴァンゲリオン』スタッフと合流。『』(2007年)でメカニック作画監督、『』(2009年)で作画監督、『』(2012年)では総作画監督を務めた。

2008年、スタジオジブリの『崖の上のポニョ』で宮崎駿監督作品に初めて参加し、宮崎から高い評価を受ける。続く2013年公開の『風立ちぬ』では、宮崎の強い要望により原画として参加し、二郎と菜穂子の駅での再会シーンを担当した。本田は本作の完成後、「もし次に機会があればガッツリ組んでやってみたい」とコメントを残している。

2017年、引き続きカラーで映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の総作画監督を務めることが決まっていたが、引退宣言していた宮崎が現役復帰して再び映画を制作することになったため、スタジオジブリは作画の核となるアニメーターが必要となった。ジブリとカラーとの交渉の結果、本田はジブリへ貸与されることになった。

2023年現在、スタジオジブリ所属。作画監督を務める宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』が2023年7月14日に公開された。6年がかりとなった本作で特に苦労したカットに、夏子の産屋に眞人が向かうシーンと魚の解体シーンを挙げている。完成した映画を観た本田は「良い作品に巡り合えた」と述べている『SWITCH Vol.41 No.9 特集 ジブリをめぐる冒険』「本田雄 [報われた6年間]」スイッチ・パブリッシング、2023年8月、p.57。。

作風

圧倒的な画力で知られ、同業者からも尊敬される"アニメーターズ・アニメーター"。力強いアクションアニメーションと感情豊かな繊細なキャラクターの芝居の両方をマスターしている。止め絵で見せるよりも出来るだけ動かしたいタイプ。

アニメファンからは、人物の動きと衣服のしわや生地の流れ方といった布の動きへのこだわりを評価されている。

「リアル系」アニメーターとして多くの作品に参加する一方、キャッチーな美少女キャラクターも得意としている。

作品に参加する際の選ぶ基準は、依頼主が自身の好む人かということと作品の絵の傾向。

人物

『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズや『千年女優』『電脳コイル』『君たちはどう生きるか』のキャラクターデザイン・作画監督などで知られる日本を代表するアニメーター。

ルパン三世、宇宙戦艦ヤマト、機動戦士ガンダムなどのアニメーションの社会的ブームの洗礼を受けた世代。もともと絵を描くのが好きだったので、アニメーターになりたいと思うようになった。

ニックネームの「師匠」は、アニメーターの岸田隆宏が名付け、広めたもの。その後、アニメ業界では、今敏押井守沖浦啓之、前田真宏など、本田より年長の同業者たちもこのニックネームで彼を呼ぶようになった。

スタジオジブリの『崖の上のポニョ』に参加した際、宮崎駿から全てのキャラクターの個性が動きで表現されていると評され、「カリオストロの頃のような古典的で実に良い原画」と絶賛された。また、同じくジブリの『君たちはどう生きるか』は宮崎が描いた絵コンテを作画監督として本田が具体化していくという形で作られているが、プロデューサーの鈴木敏夫は「本田の表現力があまりにも凄かったため、宮崎も絵コンテの内容をどんどん変えていった」と語っている。

参加作品

テレビアニメ

映画

OVA

WEBアニメ

ゲーム

ミュージック・ビデオ

パイロットフィルム

CM

その他

偽講師被害

2009年、「本田健(ほんだたけし)」なる人物が、本田雄の名を騙って大学の非常勤講師として勤務していたことが発覚した。大学や専門学校等で講師を務めたことがない本田にアニメーションの講義を受けたとする情報が流布していたため、所属先の株式会社カラーが調査を行ったところ、当該人物が本田雄の名前と経歴を自らのものと偽り、女子美術大学、尚美学園大学、東京工芸大学で10年近く働いていたことが判明した。その後、当該人物と女子美術大学が本田雄に謝罪を行っている株式会社カラー最新情報:弊社所属のアニメーター・本田雄に関しまして 2009年5月1日 2009年5月1日閲覧。

関連項目

  • 株式会社カラー
  • ガイナックス
  • アニメ関係者一覧

注釈

出典

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/08/18 11:36 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「本田雄」の人物情報へ