ステファン・サラザン : ウィキペディア(Wikipedia)

ステファン・ジャン=マルク・サラザンStéphane Jean-Marc Sarrazin, 1975年(一部1974年の記述あり)11月2日 - )は、フランス・ガール県バルジャック出身のレーシングドライバー。

FIA 世界耐久選手権(WEC)、世界ラリー選手権(WRC)、F1世界選手権への参戦歴がある。

フォーミュラカー

1993年、フランス・フォーミュラ・ルノーに参戦、5位。翌年にはチャンピオンに輝く。1995年から1997年には、フランスF3選手権に参戦し、それぞれ3位、9位、2位になった。1998年から2001年には国際F3000選手権に参戦し、ランキング6位、4位、4位、14位を記録。

1998年からはプロストGPのテストドライバー、1999年から2001年まではサードドライバーとして起用されていたが、1999年ブラジルGPではルカ・バドエルの代役としてミナルディから出走。チームメイトのマルク・ジェネを上回る予選17位を記録したが、決勝では31周目にスピン、リタイアとなった。これが唯一のF1出走となった。

2001年までプロストGPのサードドライバーを務めた後、2002年にトヨタのテストドライバーとして起用された。

耐久やラリーで活動(後述)した後の2014年に誕生したフォーミュラEにおいてヴェンチュリー・フォーミュラEチームより参戦。第二シーズンのロングビーチでは2位表彰台を獲得している。

第三シーズン途中からテチーター(DS)に移籍し、2度3位表彰台を獲得。第五シーズンは終盤にマヒンドラから数戦ドライブしたが、この時は入賞は果たせなかった。

2018年の第六シーズンではアンドレッティ・オートスポーツ(BMW)で4戦のみステアリングを握った。

スポーツカーレース

2001年にル・マン24時間レースにバイパー・チーム・オレカよりデビュー。ヤニック・ダルマス、フランク・モンタニーと組み、クライスラーのLMP900マシンをドライブするが、序盤でリタイアした。翌年はPlayStation・チーム・オレカよりダラーラのマシンでクラス5位完走を果たした。

2003年はペスカロロ・スポールでプジョーエンジンのクラージュ・C60をドライブした(クラス6位完走)。

2003年は出場せず、2004〜2005年はアストンマーティン・レーシングでDBR9をドライブ。2003年にペドロ・ラミー、ダレン・ターナーと共にGT1クラス3位を獲得した。

2006からル・マンに復帰したプジョーのワークスチームで、ディーゼルLMP1のプジョー・908 HDi FAPをドライブ。フランク・モンタニー、ペドロ・ラミー、アレクサンダー・ヴルツ、セバスチャン・ブルデーらと組み、2度2位表彰台を獲得するが、総合優勝は果たせなかった。他方、2007年と2010年にはル・マン・シリーズのタイトルを獲得した。サラザンはプジョーの復帰から2011年の撤退まで、レギュラーシートの座を守り続けた。

2012年に石浦宏明がマシンテスト中にクラッシュし背中を痛めたことから、トヨタ・モータースポーツ(TMG)が急遽石浦の代役としてサラザンを起用、WECやル・マン24時間レースに出場するトヨタ・TS030 HYBRIDのドライバーを務めた。石浦が怪我から回復したあとも交代することはなく、2013年から2016年まで経験豊富なレギュラードライバーとして活躍。マイク・コンウェイや小林可夢偉らの引っ張り役となった。

2017年はレギュラーからは外されたものの、三台体制となったトヨタでスパとル・マンに参戦した。スパとル・マンともに3台目からの出走が予定されていたが、ルーキーのホセ・マリア・ロペスの未熟さから可夢偉とコンウェイの駆るエースカーに復帰した。

トヨタLMP1とジョイントしていたオレカとの関係は続いており、オレカ・05ではマシン開発も担当した。

2018年、2019年にSMPレーシングで戦い、以後は活動を行っていない。

ラリーでの経歴

2004年、フランス自動車協会(Equipe de France FFSA)の推薦でWRC(世界ラリー選手権)にスバル・インプレッサのWRカーで参戦。ドイツ、フランス、スペインの3戦に出走し、8ポイントを得てランキング11位となった。

2005年にはスバルのワークス・チーム(プロドライブ)に加入、8戦に出走し6ポイントを獲得し年間17位。2006年はターマックを中心に4戦に出走し6ポイントを獲得し18位となった。

2009年、インターコンチネンタル・ラリー・チャレンジ(IRC)にプジョー・207 S2000でモンテカルロに出場。総合3位表彰台を獲得した。

2010年、2011年とプジョー・フランスからモンテカルロに参戦し連続で4位入賞を果たす。

ヨーロッパラリー選手権(ERC)として開催された地元コルシカにミニ・ジョンクーパー・ワークス S2000で出場。3位表彰台を獲得した。2014年にもコルシカにフォード・フィエスタRRCで参戦し、優勝を挙げているサラザンが今季初V トーチュウF1 Express

2016年にヒュンダイ・i20 R5のデビュー戦であるツール・ド・コルスにWRC2からスポット参戦。以降2020年まで、モンテカルロを中心に同車両でのスポット参戦を続ける。また同年トヨタ・ヤリスWRCの開発ドライバーとしても活動した。

2017年にオレカとKCMGの支援を受けて自身のラリーチームであるサラザン・モータースポーツを創設。WRC2に自らマシンを駆ってスポット参戦した。またオレカの開発するR4キットカーのテストドライバーにも選ばれたオレカ、R4キットの開発ドライバーにスニネン、サラザン、アスティアの3人を起用。2018年ラリーGBからはヒュンダイのR5マシンによる若手育成プログラムを委託されることが決まったヒュンダイ若手育成プログラムのチーム運営をサラザン・モータースポーツが受託

2021年からはマシンをフォルクスワーゲン・ポロ GTI R5に切り替え、国内戦やラリー・カタルーニャに参戦しているステファン・サラザン

その他

2006年7月27日・28日、SUPER GT GT300クラスのクスコレーシングのインプレッサのテストを行うため、ツインリンクもてぎの合同テストに参加。 27日のテスト終了後には、スバルの宇都宮工場を表敬訪問したSWRTのステファン・サラザンが、GT300インプレッサの開発テストに参加 7月27日・28日 ツインリンクもてぎ

2011・2012年に豪州V8スーパーカーへホールデンのマシンでスポット参戦した。

2021年にはフォーミュラE王者ジャン=エリック・ベルニュや天才F1デザイナーエイドリアン・ニューウェイらにより設立されたベローチェ・レーシングからエクストリームEにも参戦。コドライバーはWシリーズチャンピオンのジェイミー・チャドウィック。セネガルのラックローズで開催されたオーシャンX-prixで2位となったのが最高成績だった。

レース戦績

フォーミュラ

国際F3000選手権

チーム シャシー エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 順位 ポイント
1998年 アポマトックス ローラ・T96/50 ザイテック OSC1 IMO24 CAT15 SIL24 MON4 PAURet A1R8 HOCRet HUN2 SPARet PERRet NÜR19 6位 19
1999年 ゴロワーズ・ジュニア ローラ・B99/50 IMO4 MON14 CAT5 MAG5 SIL7 A1R6 HOC3 HUN1 SPARet NÜR17 4位 22
2000年 My Sap.com IMO7 SIL19 CAT9 NÜR5 MONRet MAG6 A1R HOC HUN SPA 22位 3
2001年 F3000 プロスト・ジュニアチーム INT IMO CAT A1R MON3 NÜR MAG SIL HOC HUN SPA MNZ 14位 4
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)

F1世界選手権

チーム シャシー エンジン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 WDC ポイント
1999年 ミナルディ M01 フォード・VJM1 ZETEC-R 3.0L V10 AUS BRARet SMR MON ESP CAN FRA GBR AUT GER HUN BEL ITA EUR MAL JPN NC 0

(key)

ワールドシリーズ・バイ・ニッサン

エントラント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 順位 ポイント
2003年 レーシング・エンジニアリング JAR17 JAR211 ZOL115 ZOL2Ret MAG1Ret MAG22 'MNZ1'2 MNZ21 LAU13 LAU2Ret SPL12 SPL27 CAT111 CAT26 VAL110 VAL27 JAR15 JAR2Ret 7位 110
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)

フォーミュラE

チーム シャシー パワートレイン 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 順位 ポイント
2014-15年 ヴェンチュリー・グランプリ SRT 01E SRT 01E BEI9 PUT12 PDERet BNA10 MIARet LBH10 MON7 BER6 MOS14 LON10 LON15 14位 22
2015-16年 ヴェンチュリー・VM200-FE-01 BEI9 PUT4 PDE9+ BNA4 MEX9 LBH2 PAR5 BER10+ LON10 LON5+ 6位 70
2016-17年 ヴェンチュリー・VM200-FE-02 HKG10 MAR12 BNA12 MEX15 MON15+ PAR10 10位 36
テチーター・フォーミュラEチーム ルノー・Z.E 16 BER11 BER14 NYC3 NYC12 MTL3 MTL8
2017-18年 MS&AD・アンドレッティ・フォーミュラE アンドレッティ・ATEC-03 HKG HKG MAR STI MEX PDE ROM PAR BER20 ZUR14 NYC12 NYC12 22位 0
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)
  • + : ファンブースト。

スポーツカー

ル・マン・シリーズ/ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ

チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 順位 ポイント
2007年 プジョー・スポール・トタル プジョー・908 HDi FAP LMP1 MNZ3 VAL1 NÜR1 SPA1 SILNC SAO2†1位40
2008年 'CAT'8 MNZ1 SPARet NÜR1 'SIL'11 7位 21
2010年 チーム・オレカ・マットムート LEC4 ARG1 HUN4 SIL21位78
プジョー・スポール・トタル SPA2
2011年 プジョー・908 LEC SPA2 IMO2 SIL8 EST NC 0
2012年 セバスチャン・ローブ・レーシング オレカ・03 LMP2 LEC2 DON4 PET 6位 30
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)
  • † : 参加車両が5台以下であったため2分の1のポイントが与えられた。

インターコンチネンタル・ル・マン・カップ

チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7
2010年 チーム・オレカ・マットムート プジョー・908 HDi FAP LMP1 SIL2
プジョー・スポール・トタル PET1 'ZHU'1
2011年 プジョー・908 SEB3 SPA2 LMN3 IMO2 SIL8 PET1 ZHU2
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)

FIA 世界耐久選手権

チーム 使用車両 クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 9 順位 ポイント
2012年 スターワークス・モータースポーツ HPD・ARX-03b LMP2 SEB1 SPA8 SIL2 SAO1 BHR3 FSW2 SHA2 15位 37.5
トヨタ・レーシング トヨタ・TS030 HYBRID LMP1 LMNRet
2013年 SIL3 SPA4 LMN2 SAORet COA2 FSW27 SHARet BHR13位106.25
2014年 トヨタ・TS040 HYBRID LMP1 SIL2 SPA3 LMNRet COA6 FSW2 SHA2 BHR1 SÃO4 5位 116
2015年 LMP1 SIL4 SPA5 LMN6 NÜR6 COARet FSW6 SHA5 BHR3 6位 79
2016年 トヨタ・ガズー・レーシング トヨタ・TS050 HYBRID LMP1 SIL2 SPARet LMN2 NÜR6 MEX3 COA3 FSW1 SHA2 BHR53位145
2017年 LMP1 SIL SPA5 LMNRet NÜR MEX COA3 FSW SHA BHR 17位 26
2018-19年 SMPレーシング BRエンジニアリング・BR1 LMP1 SPARet LMNRet SIL3 FSWRet SHARet SEBNC SPA4 LMNRet 14位 27
  • 太字はポールポジション、斜字はファステストラップ。(key)

ロレックス・スポーツカー・シリーズ

チーム シャシー エンジン クラス 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 順位 ポイント
2013年 8スター・モータースポーツ コヨーテ・コルベット DP シボレー DP DAY10 TXS4 BAR10 ATL9 DET10 MDO WGL2 IMS8 ELK12 KAN9 LGA12 LRP10 12位 252

()

ル・マン24時間レース

ル・マン24時間レース 結果
チーム コ・ドライバー 使用車両 クラス 周回 順位 クラス順位
2001年 FRA バイパー・チーム・オレカ FRA ヤニック・ダルマスFRA フランク・モンタニー クライスラー・LMP LMP900 126 DNF DNF
2002年 FRA PlayStation・チーム・オレカ FRA フランク・モンタニーFRA ニコラ・ミナシアン ダラーラ・SP1-ジャッド LMP900 359 6位 5位
2003年 FRA ペスカロロ・スポール FRA ジャン=クリストフ・ブイヨンFRA フランク・ラゴルス クラージュ・C60-プジョー LMP900 356 8位 6位
2005年 GBR アストンマーティン・レーシング AUS デビッド・ブラバムGBR ダレン・ターナー アストンマーティン・DBR9 GT1 333 9位 3位
2006年 POR ペドロ・ラミーMON ステファン・オルテリ GT1 342 10位 5位
2007年 FRA プジョー・スポール・トタル POR ペドロ・ラミーFRA セバスチャン・ボーデ プジョー・908 HDi FAP LMP1 359 2位 2位
2008年 POR ペドロ・ラミーAUT アレクサンダー・ヴルツ LMP1 368 5位 5位
2009年 FRA フランク・モンタニーFRA セバスチャン・ボーデ LMP1 381 2位 2位
2010年 FRA フランク・モンタニーFRA ニコラ・ミナシアン LMP1 264 DNF DNF
2011年 FRA フランク・モンタニーFRA ニコラ・ミナシアン プジョー・908 LMP1 353 3位 3位
2012年 JPN トヨタ・レーシング GBR アンソニー・デビッドソンCHE セバスチャン・ブエミ トヨタ・TS030 HYBRID LMP1 82 DNF DNF
2013年 GBR アンソニー・デビッドソンCHE セバスチャン・ブエミ LMP1 347 2位 2位
2014年 AUT アレクサンダー・ヴルツJPN 中嶋一貴 トヨタ・TS040 HYBRID LMP1-H 219 DNF DNF
2015年 AUT アレクサンダー・ヴルツGBR マイク・コンウェイ LMP1 387 6位 6位
2016年 JPN トヨタ・ガズー・レーシング GBR マイク・コンウェイJPN 小林可夢偉 トヨタ・TS050 HYBRID LMP1 381 2位 2位
2017年 GBR マイク・コンウェイJPN 小林可夢偉 LMP1 154 DNF DNF
2018年 RUS SMPレーシング RUS マテヴォス・イサーキャンRUS イゴール・オルトツェフ BRエンジニアリング・BR1 LMP1 123 DNF DNF
2019年 RUS セルゲイ・シロトキンRUS イゴール・オルトツェフ LMP1 163 DNF DNF

セブリング12時間レース

セブリング12時間レース 結果
チーム コ・ドライバー 使用車両 クラス 周回 順位 クラス順位
2005年 GBR アストンマーティン・レーシング NED ピーター・コックスPOR ペドロ・ラミー アストンマーティン・DBR9 GT1 303 15位 5位
2006年 POR ペドロ・ラミーAUS ジェイソン・ブライト GT1 337 4位 2位
2008年 FRA プジョー・スポール・トタル FRA ニコラ・ミナシアンPOR ペドロ・ラミー プジョー・908 HDi FAP LMP1 318 11位 4位
2009年 FRA フランク・モンタニーFRA セバスチャン・ボーデ LMP1 383 2位 2位
2011年 POR ペドロ・ラミーFRA フランク・モンタニー プジョー・908 LMP1 332 3位 3位
2012年 USA スターワークス・モータースポーツ GBR ライアン・ダルジールVEN エンツォ・ポトリッチオ HPD・ARX-03b LMP2 319 3位 1位

外部リンク

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