尾上菊之助 : ウィキペディア(Wikipedia)
五代目 尾上菊之助(ごだいめ おのえ きくのすけ、1977年〈昭和52年〉8月1日 - )は、日本の俳優、歌舞伎役者。屋号は音羽屋。定紋は重ね扇に抱き柏、替紋は四つ輪。歌舞伎名跡「尾上菊之助」の当代。 本名は寺嶋 和康(てらしま かずやす)。青山学院大学中退。公称身長173cm月刊演劇界発行『最新歌舞伎俳優名鑑』 ①2006年2月特別増刊のP.174には 身長173cm・体重60kg・血液型B型/②2015年9月号特別付録のP.28には 身長173cm・体重67kg・血液型B型 と各々掲載。
来歴・人物
松濤幼稚園、青山学院初等部、青山学院中等部、青山学院高等部を経て青山学院大学文学部中退。
可憐な美貌と清潔な色気で女方も二枚目も魅力的に演じる。現代の歌舞伎を担う若手スターのひとり。また、歌舞伎以外にも蜷川幸雄の舞台などにも積極的に出演している。その縁で、2005年にシェイクスピアの戯曲『十二夜』を歌舞伎演目として蜷川に演出を依頼している(2007年に再演、2009年には英国ロンドンで公演)。
市川崑監督のリメイク版『犬神家の一族』(2006年公開)では犬神松子の長男・犬神佐清役で出演したが、犬神松子役は実母である富司純子が演じ、スクリーン上での親子共演となった。
父は歌舞伎役者の七代目尾上菊五郎、母は女優の富司純子、姉は女優の寺島しのぶ。
生後2か月の時徹子の部屋に母親と共に「出演」している。2009年12月7日に菊之助が単独で出演した際には「最年少ゲスト」と呼ばれた。
2013年2月、二代目中村吉右衛門の四女・瓔子(ようこ、30歳)と結婚し、11月28日に第1子(長男)が誕生した。2015年7月14日には第2子(長女)、2017年9月4日には第3子(次女)が誕生。
2019年5月3日、令和元年5月大歌舞伎『團菊祭』の「絵本丑若丸」に於いて長男が初舞台を踏み、自身の前名である尾上丑之助を七代目として襲名した。
2025年5月、歌舞伎座五月大歌舞伎「京鹿子娘二人道成寺」の白拍子花子、「弁天娘女男白浪」の弁天小僧菊之助、六月大歌舞伎「菅原伝授手習鑑 寺子屋」の松王丸、「連獅子」の狂言師右近で八代目尾上菊五郎を襲名する予定。
年譜
- 1977年8月1日 - 東京都に生まれる。
- 1984年2月 - 東京・歌舞伎座『絵本牛若丸』の牛若丸で六代目尾上丑之助を襲名し初舞台。
- 1996年3月 - 青山学院高等部卒業。翌月青山学院大学文学部へ入学(後に中退)。
- 1996年5月 - 歌舞伎座『弁天娘女男白浪』の弁天小僧ほかで五代目尾上菊之助を襲名。
- 2000年 - 歌舞伎座『源氏物語』で紫の上をつとめ大人気となる。七代目市川新之助(現・十三代目團十郎)、二代目尾上辰之助(現・四代目松緑)と「平成の三之助」と呼ばれ、新たな歌舞伎ブームを起こす。
- 2004年10月 - パリのシャイヨー宮劇場で十一代目市川海老蔵襲名披露に出演。
- 2005年 - シェイクスピアの戯曲『十二夜』の歌舞伎版を企画。演出には蜷川幸雄を迎え、『NINAGAWA十二夜』として公演、主役の琵琶姫(ヴァイオラ)、獅子丸(シザーリオ)をつとめる。
- 2008年11月 - 東京・新橋演舞場の花形歌舞伎夜の部『伽羅先代萩』通し狂言で通常は立役がつとめる乳人・政岡を戦後では最年少の31歳3ヶ月で初役。
- 2009年3月 - ロンドンのバービカン・シアターで『NINAGAWA十二夜』公演。
- 2010年5月 - 大阪・松竹座の團菊祭 昼の部で、祖父・七代目尾上梅幸、父・七代目尾上菊五郎が当り役としてきた『摂州合邦辻』の玉手御前を初役。
- 2010年12月 - 東京・日生劇場『摂州合邦辻』通し狂言で玉手御前をつとめる。
- 2016年3月 - 『中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露 三月大歌舞伎』にて七代目尾上菊五郎が体調不良により休演したため、初日から11日まで「鎌倉三代記」の三浦之助義村 役の代役を務める。
受賞歴
- 歌舞伎・芸能活動
- 1985年 『京鹿子娘道成寺』の所化喜観坊で国立劇場特別賞
- 1987年 『実録先代萩』の千代松で国立劇場特別賞
- 1992年 歌舞伎座賞
- 1993年 『人情噺文七元結』の娘お久で国立劇場奨励賞
- 1996年 浅草芸能大賞新人賞・十三夜会奨励賞
- 1998年 『仮名手本忠臣蔵』「大序」の足利直義で松竹会長賞
- 1999年 『春輿鏡獅子』で松竹会長賞
- 2000年 『弁天娘女男白浪』の弁天小僧菊之助で松竹会長賞
- 2003年 第24回松尾芸能賞演劇賞・新人賞
- 2005年 『京鹿子娘二人道成寺』『児雷也豪傑譚話』『助六由縁江戸桜』ほかで読売演劇大賞杉村春子賞
- 2005年 『NINAGAWA十二夜』など歌舞伎の可能性を広げる活動で朝日舞台芸術賞寺山修司賞
- 2005年 重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。
- 2005年 芸術選奨新人賞
- 2011年 『摂州合邦辻』通し狂言で読売演劇大賞優秀男優賞
- 2023年 第44回松尾芸能賞優秀賞
- 2023年 第73回芸術選奨文部科学大臣賞(演劇部門)令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について
- その他
- 2017年 第46回ベストドレッサー賞芸能部門
主な出演作
歌舞伎の当り役
- 『白浪五人男』の弁天小僧菊之助
- 『鏡獅子』の小姓弥生
- 『京鹿子娘二人道成寺』の白拍子花子
- 『助六由縁江戸桜』の揚巻
- 『伽羅先代萩』の政岡
- 『摂州合邦辻』の玉手御前
新作歌舞伎
- 『NINAGAWA十二夜』の琵琶姫/獅子丸
- 『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』の迦楼奈/シヴァ神
- 『風の谷のナウシカ』のナウシカ
- 『ファイナルファンタジーX』のティーダ
その他の舞台
- 『ライル』(1990年) - ジョッシュ役
- 『グリークス』(2000年) - オレステス役
- 『疾風のごとく』(2002年) - 日野小太郎役
- 『若き日のゴッホ』(2003年) - フィンセント・ファン・ゴッホ役
- 『わが魂は輝く水なり』(2008年) - 斎藤五郎役
映画
- 『水の旅人 侍KIDS』(1993年) - 一寸法師役
- 『四十七人の刺客』(1994年) - 大石主税役
- 『犬神家の一族』(2006年) - 犬神佐清役
- シネマ歌舞伎『日高川入相花王』(2006年) - 人形遣い役
- シネマ歌舞伎『京鹿子娘二人道成寺』(2007年) - 白拍子花子役
- 『怪談』(2007年) - 新吉役
- 『』(2008年) - カスピアン王子役(吹き替え)
- 『THE CODE/暗号』(2009年) - 探偵507役
- 『』(2011年) - カスピアン王子役(吹き替え)
- 『映画 イチケイのカラス』(2023年) - 三田村武晴 役
テレビドラマ
- 大河ドラマ(NHK総合)
- 葵 徳川三代(2000年) - 豊臣秀頼 役
- 西郷どん(2018年) - 月照 役
- 坂の上の雲(2009年 - 2011年、NHK総合) - 明治天皇 役
- 鬼平犯科帳 THE FINAL(2016年12月2日・3日、フジテレビ) - 石動虎太郎 役
- オリガミの魔女と博士の四角い時間(2017年3月12日 - 、NHK教育) - オリガミの魔女 役(声の出演)
- 下町ロケット2(2018年10月 - 12月、TBS) - 伊丹大 役
- 下町ロケット 特別編(2019年1月2日)
- グランメゾン東京(2019年10月20日 - 12月29日、TBS) - 丹後学 役
- スペシャルドラマ グランメゾン東京(2024年12月29日、TBS)
- 刑事アフター5(2020年10月1日、テレビ朝日) - 主演・広橋航 役
- 連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ(2021年11月1日 - 2022年4月8日、NHK総合) - 桃山剣之介、桃山団五郎 役(一人二役)
- 家電侍スペシャル ストップ! 忠臣蔵(2023年1月4日、BS松竹東急) - 大石内蔵助良雄 役
- 探偵ロマンス(2023年1月21日 - 2月11日、NHK総合) - 住良木平吉 役
CM
- ライオン 「ホワイト&ホワイトライオン」(1983年 - 1987年) ※両親・姉と出演
- ペリエ・ジャポン
- 日本総合信用
- ソニー
- ハウス食品
- アサヒビール「アサヒスーパードライ」
- ヤクルト「ヤクルト1000」
ナレーション
- 再春館製薬所・ドモホルンリンクル(TV-CM)
- Audible・国宝 上・下-吉田修一(オーディオブック読み上げ)
注釈
出典
関連項目
- 尾上丑之助(名跡)
- 尾上菊之助(名跡)
- 尾上菊五郎(名跡)
- 尾上梅幸(名跡)
外部リンク
- 音羽屋 尾上菊五郎・菊之助 公式サイト - 2023年10月、菊五郎・菊之助両名の名前により「音羽屋Official Home Pageは休止いたします。長きにわたりご覧いただきありがとうございました。」の言葉を残し、公式サイトが閉鎖された(2023年10月30日閲覧にて確認)。
- 歌舞伎俳優名鑑 現在の俳優篇 / 尾上菊之助(五代目) - 歌舞伎 on the web
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/12/29 12:00 UTC (変更履歴)
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