レイ・ミランド : ウィキペディア(Wikipedia)
レイ・ミランド(Ray Milland, 出生名: Reginald Alfred Truscott-Jones, 1907年1月3日 - 1986年3月10日)は、イギリス・ウェールズ出身の俳優。主にハリウッドで活躍した。カンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞と米国アカデミー賞主演男優賞の両方を受賞した初めての俳優である。また、オスカーを受賞した最初のウェールズ出身の人間である。
来歴
父は溶鉱炉の設計士。ロンドンのキングズ・カレッジ卒業後、近衛騎兵連隊に入り3年務めた後に、たまたま映画スタジオにいる女友達のエステル・ブロディを訪れたところをスカウトされるMilland (1974) pp.75-78。1929年にスパイク・ミランドの芸名で英国映画界入り。数度芸名を変え、レイ・ミランドになった経緯は、諸説あり。数本を撮ったあと、脚本家のアニタ・ルースの勧めで1930年にハリウッドに進出。1931年にメトロ・ゴールドウィン・メイヤーと契約した。
1932年までに8本の映画に出演したが芽が出ずクビになり、一度英国に戻るが、もう一度ハリウッドで勝負しようと再び渡米して、本格的にデビューする。そして1934年に『ボレロ』に出演したことでついに認められる。1930年代から1940年代半ばまでは明るいロマンチックな役柄が多かった。1935年にクローデット・コルベール、フレッド・マクマレイと共演した『輝ける百合』でスターの足がかりを掴み、1940年の『French Without Tears』で大スターの仲間入りを果たす。
二枚目ながらもしばしば大根役者と揶揄されていたが、1945年、ビリー・ワイルダーの『失われた週末』でアルコール使用障害に苦しむ作家を演じ、アカデミー主演男優賞を獲得。ハリウッドでの地位を決定付けた。1954年にはアルフレッド・ヒッチコック監督の『ダイヤルMを廻せ!』に主演。自身の代表作の1つとなった。その後は1955年の『白昼の対決』を機に監督業にも乗り出している。1960年代以降はあまり作品に恵まれずB級映画とテレビ出演が主となっていったが、1970年の『ある愛の詩』で主役のライアン・オニールの父親を演じた。
1986年カリフォルニア州トーランスで肺癌のため死去。79歳だった。プライベートでは妻を愛し、養女を育て上げ、華美なハリウッドを嫌っていたという。
主な出演作品
公開年 | 邦題原題 | 役名 | 備考 |
---|---|---|---|
1934 | 恋と胃袋 We're Not Dressing | ||
ボレロBolero | |||
1935 | 輝ける百合 The Gilded Lily | チャールズ・グレイ | |
ガラスの鍵 The Glass Key | テイラー・ヘンリー | ||
1936 | 結婚設計図 Next Time We Love | トミー・アボット | |
宝石と女賊 The Return of Sophie Lang | ジミー | ||
天使の花園 Three Smart Girls | マイケル・スチュアート | ||
ジャングルの女王 The Jungle Princess | クリストファー・パウエル | ||
1937 | ホノルル航空隊 Wings Over Honolulu | サミュエル・ギルクリスト | |
街は春風 Easy Living | ジョン・ボール・Jr | ||
底抜けトップガール作戦 Wise Girl | ジョン | ||
1939 | ジャングルの恋 Her Jungle Love | ボブ・ミッチェル | |
セニョリタ Tropic Holiday | ケン・ウォレン | ||
翼の人々 Men with Wings | スコット・バーンズ | ||
ボー・ジェスト Beau Geste | ジョン・ジェスト | ||
1940 | 囁きの木陰 Arise, My Love | トム・マーティン | |
1941 | 空の要塞 I Wanted Wings | ジェフ・ヤング | |
ひばり Skylark | トニー・ケニヨン | ||
1942 | 絶海の嵐 Reap the Wild Wind | スティーブン | |
少佐と少女 The Major and the Minor | キルビー少佐 | ||
1943 | 提督の館 Forever and a Day | ビル | |
クリスタル・ボール The Crystal Ball | ブラッド・キャヴァナー | ||
1944 | 呪いの家 The Uninvited | ロデリック・フィッツジェラルド | |
恐怖省Ministry of Fear | スティーブン・ニール | ||
1945 | 失われた週末The Lost Weekend | ドン・バーナム | アカデミー主演男優賞 受賞カンヌ国際映画祭 男優賞 受賞ゴールデングローブ賞 男優賞 受賞 |
1947 | カリフォルニア California | ジョナサン | |
黄金の耳飾り Golden Earrings | ラルフ・デニストウン | ||
1948 | 大時計 The Big Clock | ジョージ | |
夜霧の誘惑 Alias Nick Beal | ニック・ビール | ||
1949 | 春の珍事 It Happens Every Spring | ヴァーノン・K・シンプソン/キング・ケリー | |
1950 | 特ダネ女史 A Woman of Distinction | アレクサンダー・スティーヴンソン教授 | |
銅の谷 Copper Canyon | ジョニー・カーター | ||
1951 | 黒い傷Circle of Danger | クレイ・ダグラス | |
生きるためのもの Something to Live For | アラン・ミラー | ||
1952 | 午後の喇叭 Bugles in the Afternoon | Kern Shafter | |
1953 | 炎の館 Jamaica Run | パトリック | |
1953-1955 | Meet Mr. McNutley | テレビシリーズ、77エピソードに出演 | |
1954 | ダイヤルMを廻せ! Dial M for Murder | トニー | |
白昼の対決A Man Alone | ウェス・スティール | 監督/出演/製作 | |
1955 | 夢去りぬ The Girl in the Red Velvet Swing | スタンフォード・ホワイト | |
1956 | 陰謀のリスボンLisbon | ロバート・ジョン・エヴァンス | 監督/出演/製作 |
1957 | 舞い散った札束/断崖の河 The River's Edge | ナード・デニング | |
朝やけ雲 High Flight | |||
1959-1960 | Markham | ロイ・マーカム | テレビシリーズ、59エピソードに出演 |
1962 | 姦婦の生き埋葬 Premature Burial | ガイ・キャロル | |
性本能と原爆戦 Panic in Year Zero! | ハリー・ボールドウィン | 監督・出演 | |
1963 | X線の眼を持つ男 X | ジェームズ・エグザビア博士 | |
1970 | ある愛の詩 Love Story | オリバー・バーレット3世 | |
1971 | 刑事コロンボ 指輪の爪あとColumbo: Death Lends a Hand | アーサー・ケニカット | テレビ映画、被害者の夫(新聞社主)役 |
1972 | 吸血の群れFrogs | ジェイソン・クロケット | |
Mr.オセロマン/2つの顔を持つ男 The Thing with Two Heads | マックスウェル・カーシュナー | ||
刑事コロンボ 悪の温室 Columbo: The Greenhouse Jungle | ジャーヴィス・グッドランド日本語吹替では「グッドイン」の呼称 | テレビ映画、犯人(植物栽培家)役 | |
1973 | 蝋人形館の恐怖 Terror in the Wax Museum | ハリー・フレクスナー | |
1974 | ゴールド Gold | ハリー・ハーシュフェルド | |
1975 | 星の国から来た仲間 Escape to Witch Mountain | アリストトル・ボトル | |
1976 | スイス・コネクション The Swiss Conspiracy | ジョナサン | |
続・ローズマリーの赤ちゃん/悪魔の子が生まれて8年が経った… Look What's Happened to Rosemary's Baby | |||
メイデイ40.000フィート Mayday at 40,000 Feet! | ジョセフ・マンハイム博士 | テレビ映画 | |
ラスト・タイクーン The Last Tycoon | フライシャッカー | ||
1977 | オイル・パニック Cuibul salamandrelor | 上司 | |
地獄のキャッツ・アイ/呪いの爪 The Uncanny | フランク・リチャーズ | ||
1978 | 呪われた航海/悪魔の連続殺人!死を呼ぶ黄金の棺 Cruise Into Terror | イザイア・バクン博士 | |
スレイバーズ/自由への旅立ち Slavers | ハッサン | ||
ニューヨーク・インフェルノ/戦慄の12時間 Blackout | リチャード | ||
宇宙空母ギャラクティカ Battlestar Galactica | テレビシリーズ、2エピソードに出演 | ||
続ある愛の詩 Oliver's Story | オリバー・バーレット3世 | ||
1979 | SFクローン人間の復讐 The Darker Side of Terror | メレディス教授 | |
バイオレンス・チェイサー/無法砂漠の殺人遊戯 Survival Run | 教授 | ||
ブラック・バトル Game for Vultures | ブレットル | ||
1980 | ドリーム・マーチャント/夢を売る男 The Dream Merchants | ローレンス・ラドフォード | テレビ映画 |
1982 | ロイヤル・ロマンス/ダイアナ世紀の恋 The Royal Romance of Charles and Diana | グリフィス氏 | テレビ映画 |
1983 | SFスターフライトI Starflight: The Plane That Couldn't Land | Q.T.ソーンウェル | テレビ映画 |
洞窟探検 Cave In! | ハリソン | テレビ映画 | |
受賞歴
賞 | 年 | 部門 | 作品名 | 結果 |
---|---|---|---|---|
アカデミー賞 | 1945年 | 主演男優賞 | 『失われた週末』 | |
ゴールデングローブ賞 | 1946年 | 男優賞 | 『失われた週末』 | |
1952年 | 主演男優賞(ドラマ部門) | 『The Thief』 | ||
ニューヨーク映画批評家協会賞 | 1945年 | 男優賞 | 『失われた週末』 | |
カンヌ国際映画祭 | 1946年 | 男優賞 | 『失われた週末』 |
参照
関連書籍
- Milland, Ray. (1974). Wide-Eyed in Babylon. New York: Morrow. ISBN 0-688-00257-9
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/18 16:12 UTC (変更履歴)
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