よこざわけい子 : ウィキペディア(Wikipedia)
よこざわ けい子(よこざわ けいこ、1952年9月2日 - )は、日本の声優、女優、ナレーター。新潟県新潟市中央区出身。芸能プロダクションゆーりんプロ代表取締役。旧芸名は横沢 啓子(読み同じ)。
経歴
中学校の英語教師であった横沢久八の娘として、新潟市に生まれる。
元々は声優志望ではなかったが、芸能界に入った切っ掛けは、両親が新潟方言で苦労した経験から娘には標準語を話してほしいと考え、児童劇団に入団させたため。劇団自体は入団後3年で解散したが、自身はその間に得た知遇でラジオドラマのレギュラーを担当していた安藤隆啓、『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』株式会社主婦の友社、2019年、96-99頁。
幼稚園の時、バレエ、ピアノ、図画を習っていたが、ピアノは嫌いでバレエもあまり好きではなく図画だけは好きであった。その頃から音楽は嫌いなものであったという。
中学、高校時代、役者を意識したことについては学芸会などで、舞台をふむと、快感があったが、その程度であった。容姿に自信があったら、女優になりたかったが、自信がなかったため、「別にそういう道は……」と思っていた。ただし、両親が、「せっかくそういうものをやってきたんだから、アナウンサーとか、そういうのになりなさい」と言っていたという。
中学時代に、タイムトンネルなどが流行していた頃で、そういうのに憧れて、白衣を着たく、科学者になりたかったという。その時、「なるなる」と言っていたところ、母が教師に言いつけてしまい、教師に呼ばれ、「キミはアナウンサーになった方がいいと思うよ」と言っていた。
新潟県立新潟高等学校卒業。「自分がやってきたことを生かせる声優になろうかな」と思い、幅広い役が演じられると考えて声優を志し、日本大学藝術学部放送学科に進学。声優の勝田久の勧めで俳協の「付属養成所」(現・俳協演劇研究所)に入り、養成所在籍中の1974年にNHK総合テレビドラマ『花ぐるま』でドラマデビュー河北新報 1982年8月9日夕刊 10面「登場」コーナー。収録のため1年間は大阪府との往復をしなくてはいけない状況だったため、同大学藝術学部放送学科を1974年に中退。当初は顔出しのテレビドラマ出演が中心であった。
声優の仕事にシフトするきっかけになったのは、アグネス・ラムのCMの吹き替えであった。その時は声のイメージが合う人物がいなかったようで最後の最後に呼ばれていたが、吹き替えを担当することになったという。その後は当時所属していた東京俳優生活協同組合にも「声の仕事もやるんだ」と思ってくれたようであったという。
顔出しのテレビドラマの仕事と声の仕事の仕事も半々で受けていた時期もあった。しかしテレビドラマにかかる時間が多くなってしまい、両立は少し難しいということになり、本来したかった声優の仕事を中心にしていくことにしていた。声優業を開始した当初はNHKで放映されていた洋画吹き替えが中心であったという。
1975年に『タイムボカン』で声優デビュー。初ヒロインは『ポールのミラクル大作戦』のニーナ役。
1979年からテレビ朝日版『ドラえもん』でドラミを演じ、2005年の声優陣一新まで務めた。1982年には『おかあさんといっしょ』の人形劇『にこにこぷん』のぴっころ役に抜擢され、10年に渡って演じた。この他、1980年代の数多くの作品で主役・ヒロイン役を担当した。
東京俳優生活協同組合を経て、1988年にゆーりんプロを設立。以後は声優活動の第一線からは退き、自身が経営するよこざわけい子 声優・ナレータースクールでの後進の指導に主軸を移す。
「ゆーりんプロ」の名は、自身の娘のために作った絵本「雪ん子ゆーりん」に由来しており、公式サイトの写真では過去に声をあてたぴっころの着ぐるみと共に写っている。「ゆーりんプロ」所属の俳優、養成所研究生らによって行われる演劇公演の脚本、演出も手がける。
人物・エピソード
声種はソプラノ。ちょっと甘ったるい声を持つ。
アニメでは明るくておきゃんな女の子役で知られる。
声優デビューした当初から「藤子アニメの主役を獲得する」「子供向け番組に出演する」ことを目標としていたが、30代までに希望が叶い、ゆーりんプロのスクール設立を機に自身で演じる機会は一区切りつけたと語っている。
『天空の城ラピュタ』のシータ役を担当した際、監督の宮崎駿から演技について苦言を呈された一方、『エスパー魔美』の佐倉魔美を担当した際は作者の藤子・F・不二雄から「(声や演技が)健康的で良い」と評されたという『ドラえもんぴあ』より。
中学時代は軟式テニス部に所属。大学時代はフィギュアスケートクラブに所属していたが、足を少し上げて滑べる程度と述べている。
妹がいる。夫はテトラポットをどのように設置すれば侵食しないかを分析するほか、人工海浜を作ったり、設計、コンサルタントを行う企業に勤めているサラリーマンである。前述の通り、娘がいる。
演じたキャラクターについて
- 『にこにこぷん』のぴっころは10年間演じているうちに、声が地声だということもあり、イコールになったと語っている主婦の友社『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』よこざわけい子「天才じゃなくていい。努力の積み重ねが実を結ぶ」P97。。
- 『THE かぼちゃワイン』のエルは自身とは全く異なる見た目の大きな女の子だったため、役をものにするのにかなり苦労したが、それだけ印象の深い作品になったと語っている。
- 『はいからさんが通る』の花村紅緒は、個人的に強く志望していた役だったが、同局の同時間帯で放映していた『若草のシャルロット』でヒロインを演じていたため、2作品連続でのヒロイン役は前例が無いということでオーディションを受かったものの落選してしまった。しかし再オーディションをしてもイメージに合う声優がいなかったので、最終的に自身が演じさせてもらえることになったと語っている主婦の友社『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』よこざわけい子「天才じゃなくていい。努力の積み重ねが実を結ぶ」P97-98。。
- 『エスパー魔美』の佐倉魔美役に選ばれた時は本当に嬉しかったと語っている。藤子不二雄作品と言えば自身の中でステータスであり、その主役に至ってはベテランの声優しか選ばれないと思っていたので、出演することが自身にとっての目標の1つだった。それまでは自身の実力よりも1歩先の演技を振られることが多かったが、様々な経験を繰り返してきたことによりちょうど演技に自信がもてるようになった時期に得た役なので、「本当に楽しく演じさせていただいた」と述べている主婦の友社『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』よこざわけい子「天才じゃなくていい。努力の積み重ねが実を結ぶ」P98。。
- 同じく藤子作品の『ドラえもん』のドラミちゃんは、優等生で可愛らしいが1歩間違うと嫌味な役になると憂慮していた。しかし設定変えることはできないので、極力鼻に付かないように可愛らしさを強調して演じたと述べている。
- 『天空の城ラピュタ』も自身にとっては代表作であるが、時間をかけて次第に役を自身のものにできたテレビシリーズとは異なり、映画作品だと演じるのは単発のみであり、基本的に思い出としては浅くなってしまうが、日本を代表する宮崎駿作品に出演できたことは、現在でも自身の財産であると述べていた。
出演
太字はメインキャラクター。
テレビアニメ
劇場アニメ
OVA
- 軽井沢シンドローム(1985年、久野縁)
- ジャスティ(1985年、ジェルナ・フレアスター)
- New Story of Aura Battler DUNBINE(1988年、シルキー・マウ)
- 極黒の翼バルキサス(1989年、リアン)
- 機動警察パトレイバー(1990年、熊耳武緒)
- プラスチックリトル(1994年、メイ・リン・ジョーンズ)
ゲーム
吹き替え
映画
- エアポート'75(ジャニス・アボット〈リンダ・ブレア〉)
- 怪奇!吸血人間スネーク(キティ・スチュワート〈キャスリーン・キング〉)
- 華麗なる大泥棒 ※日本テレビ版
- がんばれ!ベアーズ(アマンダ〈テータム・オニール〉)※テレビ朝日版
- 黒馬物語
- サウンド・オブ・ミュージック(リーズル)※テレビ朝日版・フジテレビ版
- サスペリアPART2(オルガ〈ニコレッタ・エルミ〉)※TBS版
- 13日の金曜日(マーシー)※テレビ朝日版
- ザ・カンニング/アルバイト情報(クロディーヌ/エレーヌ)
- ピンク・キャデラック(ルー・アン・マクグイン〈バーナデット・ピーターズ〉)※テレビ版
- Mr.Boo!ギャンブル大将(プウ)
- ラストコンサート(ステラ)※テレビ版、DVD収録
- リトル・モー(モーリーン・コノリー)
- リベンジ(ミリア・メンデス〈マデリーン・ストウ〉)
- レ・ミゼラブル(コゼット〈キャロライン・ラングリッシュ〉)
ドラマ
- ウルトラマンG
- サラの夏休み(ワンダ〈ベティ・アン・カー〉)
- 新黒馬物語(ジェニー〈スティシー・ドーニング〉)
- ナイトライダー シーズン2 #13(キャサリン・グレンジャー〈ダフネ・リー・アッシュブルック〉)
- パイパー農園SOS!(ヘレン〈ルーシー・ゴレル・バーンズ〉)
アニメ
- イウォーク物語(ラターラ)※VHS版
- スヌーピーとチャーリーブラウン(ライナス・ヴァンペルト)
- タンタンの長編アニメーション映画 湖底のひみつ基地(ニコ)
- ファン・アンド・ファンシー・フリー(ハープ(台詞)、ルアナ・パットン)※TBS版
特撮
- バトルフィーバーJ 第15・16話(1975年、ダイアン・マーチン / ミスアメリカの声)※小牧リサの代役
テレビドラマ
- 花ぐるま(1974年 NHK) - 養成所に入って最初の仕事。島田陽子が演じる主役の妹役。月刊アニメージュ 1979年5月号 pp.134-135「声優24時」第11回 横沢啓子
- 伝七捕物帳 第83話「母と名乗れぬ忍ぶ草」(1975年、日本テレビ / ユニオン映画)(お咲)
- 特別機動捜査隊 第750話「家出の季節」(1976年、NET / 東映)(ナオミ)
- 絹の家(1976年 TBS ポーラテレビ小説)
テレビ番組
- にこにこぷん(おかあさんといっしょ内)(ぴっころ)
- ビデオ おかあさんといっしょ
- ビデオ にこにこ・ぷんのこうつうあんぜん
- ビデオ にこにこ、ぷんの英語教室
- ビデオ にこにこ、ぷんのかずとあそぼう
- ヒデオ にこにこ、ぷんのことばあそび
- おかあさんといっしょのコンサート
- 紅白歌合戦(1987年、1999年)
- 母と子のテレビタイム(1992年)
- ひらけ!ポンキッキ(1992年)
- クイズ百点満点(1993年)
- あさごはんだいすき!
- にこにこぷんがやってきた!
- あつまれ!キッズソング50〜スプー・ワンワン 宇宙の旅〜
- ワンワンパッコロ!キャラともワールド
- おかあさんといっしょスペシャルステージ2012 みんないっしょに!ファンファンスマイル
- クイズタイムショック(1984年) - 1984年3月29日放送で回答者として出場
- クイズ面白ゼミナール(NHK総合、1985年11月10日放送) - パネラー
CM
- エメロンミンキーリンス(ライオン油脂 1975年) - 宣伝タレントのアグネス・ラムの吹き替え(二代目)。
- ポケットザウルスプレゼント(ライオン・1986年、ハミガキ・ハブラシ製品の懸賞)
- タカラ本みりん(宝ホールディングス)
- マクドナルド(バーディの声 1980年代頃)
- 東芝かくれんぼ換気扇(東芝 1984年)
- LEVORG(SUBARU×金曜ロードショー 2022年08月12日)
その他のコンテンツ
- 愛の戦士ヘッドロココイメージアルバム(愛然かぐや)
- ドラえもん&キテレツ大百科「コロ助のはじめてのおつかい」(O次郎)
- 東京ディズニーランド
- ピーターパン空の旅(ナナ)
- YouTube
- ぴっころちゃんねる(ぴっころ)
関連人物
以下の人物は同郷かつ同じ大学の学科の卒業生である。
- 高井正憲 - 元テレビ朝日アナウンサー、現サンミュージックプロダクション所属フリーアナウンサー。
- 高坂元巳 - 新潟放送元アナウンサー、新潟市北区文化会館館長。
- 石塚かおり - 新潟放送アナウンサー。
参考文献
- 311頁より
注釈
出典
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/12/14 18:47 UTC (変更履歴)
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