山田栄子 : ウィキペディア(Wikipedia)

山田 栄子(やまだ えいこ、1953年6月13日『'76 日本タレント名鑑』1976年7月1日発行、VIPタイムス社。279頁。 - )は、日本の声優、歌手、舞台女優。81プロデュース所属。神奈川県横浜市神奈川区子安出身。

経歴

内田演劇研究所、劇団芸協、オフィス央、青二プロダクション、フリーランスを経て、81プロデュース所属。

中学、高校時代と女子校の演劇部に所属しており、ずっと男役だったという。

高校卒業後、家具のデザイナーになろうと専門学校東京デザイナー学院に入学。

学生時代に、文化庁後援の国際演劇センター制作の『逆賊ハロワイン・ゲルトロード』の公演のメンバーに偶々人数合わせで端役で参加。

2か月、東ヨーロッパに旅行していた時に、「芝居っていうのもいいなあ」と思っていたことから、役者を志し、帰国後、演劇の魅力の虜になっていた。それがなければ、インテリア・デザイン関係に進んでいたという。

大学生の時に舞台美術をしようと、偶々大学の近くにあった劇団芸協の研究生になる。

その劇団はあまり若い人物が所属しておらず、「お前、今度『赤ずきんちゃん』やってみろ」と言われて芝居もするようになったという。

オフィス央に所属後、アニメのオーディションの話が来たことで受けて合格し、1979年に『赤毛のアン』のアン・シャーリー役でデビュー「人気声優にがぶりより! 第9回 山田栄子さん」『アニメディア 1988年3月号』学習研究社、1988年3月1日、雑誌01579-3、86頁。。当初は少女役が多かったが、1980年の『太陽の使者 鉄人28号』(金田正太郎役)以降、少年役を演じる機会も増加。1983年から放送された『キャプテン翼(昭和版)』での岬太郎役は、特に高評価を受けた。

1985年の『小公女セーラ』では、主人公セーラのいじめ役・ラビニアを担当。以降、小悪魔的な要素も多く見られるようになる。また『小公女セーラ』以後、世界名作劇場シリーズへの出演がより増えてゆくこととなり、常連出演者として名前が挙がる存在となった。

1988年、出産・育児により短期間休業。これにより、『ビックリマン』のフッド役を途中降板している。またガリ犬役を担当していた『ビリ犬』では、休業中はガリ犬の出番を無くす対処がなされた。その後活動を再開し、1990年代前半頃まで活発な活動を行った。

2000年、ガンの治療を受けたことにより一時引退。青二プロダクションを退所している。

2007年のNHK教育の人形劇には、結婚後の本名である久村姓で出演。2008年には、復活版・世界名作劇場の第2作『ポルフィの長い旅』に数話ゲスト出演。山田姓での出演およびアニメ作品本編への出演は、2000年代ではこれが初となった。また、2009年放送開始の名作劇場の新作『こんにちは アン 〜Before Green Gables』の放映開始前、番宣CMにも出演した。

2015年3月1日、81プロデュースに所属。手術後10年を経過してガン再発の心配がなくなり、舞台出演をしていた時に事務所の社長に誘われたのがきっかけ。

2024年3月、第18回声優アワードで功労賞を受賞。

人物

声種はメゾソプラノからアルト。

2008年1月27日放送の『大胆MAP』(テレビ朝日系)の「人気アニメキャラの声やってる人の素顔全部見せます!ベスト20」(6位 アン・シャーリー)で顔出し出演。顔出しでのテレビ出演は約20年ぶり(ただし遠目を条件での出演だった)。

娘の久村夏里奈が、『ポルフィの長い旅』第24話で声優デビューを果たした。

趣味はスキー、ウインドサーフィン、バイクに乗ることなど。

世界名作劇場

世界名作劇場シリーズでは、地上波で放送された23作品中、全声優中最多となる11作品に出演している。このうち『赤毛のアン』、『愛の若草物語』の2作品で主人公を担当し、堀江美都子松尾佳子折笠愛と共に、シリーズにおいて複数の作品で単独主演を果たした声優の1人となった。

また、出演作品数だけでなく役柄も、シリーズ内だけで多くの系統を担当した。特に1985年の『小公女セーラ』から1988年の『小公子セディ』までは、4年連続レギュラー・準レギュラーとして登場し、その都度系統の異なるキャラクターを演じた。

これらから潘恵子堀江美都子吉田理保子中西妙子らと共に、名劇を代表する声優の1人に数えられ、その中でも最も繋がりが深いとされる。また、逆に山田の経歴が語られる際にも、シリーズはほぼ触れられる存在となっている。

同シリーズは、登場人物の生活をきちんと描写することを重視し、台詞も多いとされる。このため、自分をキャラクターの心情と完全に一致させようとする山田とは、相性が良かったとも言われている。

『愛の若草物語』でジョオ役、『小公女セーラ』でラビニア役を担当した縁から、後にはそれぞれの外画版吹き替えにおいても、役を引き継いでいる。ただし外画版『赤毛のアン』では、アンを演じる機会は無かった。

デビュー作『赤毛のアン』では、主役の最終候補に山田と島本須美が残っていた。この際、純粋に演技力とイメージの近さを評価されていたのは島本であり、山田は「演技が大げさ気味でたどたどしく、イメージとも少しずれている」という評価だったという。レイアウトなどを担当していた宮崎駿は、特に強く島本を支持したが、演出の高畑勲は「破天荒で空想がちなアンを演じるには、少しイメージを崩したほうが良い」と考え、あえて山田を起用。結果として水が合い、以後シリーズの常連となるに至ったというエピソードがある。

『小公女セーラ』では、前述の通りラビニアを担当。本放送当時、作中でラビニアとミンチンがセーラへのいじめをエスカレートさせていく中で視聴者からのクレームが相次いだ結果、それぞれを演じた声優までが恨みを買う事態にまで至り、山田とミンチン役の中西妙子宛てにカミソリ入りの手紙が送られることもあった。これらに加え、山田は執拗に陰湿な行為を行うラビニアの内面を理解出来ず、前述の信念とぶつかり、苦悩する結果となった。収録時、「涙を流しながらセーラをいじめていたほどだった」と島本は語っていた。これらの影響から、中西共々「こんな役は二度とやりたくない」と漏らすようになった一方で、ラビニアが演技の幅を更に広げる転換点にもなり、役者としては良い経験となったとも回想している。

出演

太字はメインキャラクター。

テレビアニメ

劇場アニメ

OVA

Webアニメ

  • スーパードラゴンボールヒーローズ 監獄地獄編プロモーションアニメ(マイ)

ゲーム

吹き替え

女優

  • ジョーン・キューザック
    • 9か月(ゲイル・ドワイアー)
    • ブロードキャスト・ニュース(ブレア・リットン)※TBS版(DVD収録)
    • ワーキング・ガール(シンシア)※テレビ朝日版

映画

  • 愛と野望のナイル(イザベル・アルンデル〈フィオナ・ショウ〉)
  • アニー・ホール(パム〈シェリー・デュヴァル〉)※TBS版(ソフト収録)
  • アニマル・ハウス(シェリー)※テレビ朝日版
  • アメリカン・グラフィティ ※TBS版
  • インナースペース(ウェンディ〈ウェンディ・シャール〉)※ソフト版
  • 宇宙からのツタンカーメン(リンダ・フローレス)
  • エーゲ海に捧ぐ(グロリア〈ステファニア・カッシーニ〉)※日本テレビ版
  • エイリアン2(ジェニット・バスケス〈ジェニット・ゴールドスタイン〉)※TBS版
  • XYZマーダーズ(ナンシー)
  • 親指こぞう ニルス・カールソン(お母さん)
  • ガールズ(カトリーヌ〈アンヌ・パリロー〉)※テレビ東京版
  • 彼と彼女の第2章(リズ〈シンシア・スティーヴンソン〉)
  • ガントレット
  • がんばれ!ベアーズ 特訓中(ミゲル・アギラー〈ジョージ・ゴンザレス〉)※日本テレビ版
  • キャリー(ノーマ・ワトソン〈P・J・ソールズ〉)
  • 恐怖の人食い魚群(ガブリエル〈マーゴ・ヘミングウェイ〉)
  • キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2(ズーラ〈グレイス・ジョーンズ〉)※テレビ朝日版
  • グリース2(ロンダ・リッター)
  • グリニッチ・ビレッジの青春(エレン)
  • サスペリア(パット・ヒングル)※テレビ東京版
  • ザ・フライ(トニー)
  • シー・オブ・ラブ(ジーナ・ギャラガー〈クリスティン・エスタブルック〉)※テレビ朝日版
  • 潮風のいたずら(グレッグ〈ジェイミー・ワイルド〉)※機内上映版
  • シザーハンズ(マージ〈キャロライン・アーロン〉)※ソフト版
  • ジミー さよならのキスもしてくれない(ジミーの母)
  • シャイニング(ウェンディ・トランス〈シェリー・デュヴァル〉)
  • 少林寺2(十龍)※日本テレビ版
  • ジングル・オール・ザ・ウェイ(リズ・ラングストン〈リタ・ウィルソン〉)※ソフト版
  • スリーピング・モンキー/睡拳(ラ・チュウチャイ〈ハン・イルン〉)
  • 続・赤毛のアン アンの青春(ポーリーン)
  • ダイヤモンド・スカル/華麗なる殺意(エドワード〈アレクサンダー・クレンプソン〉)
  • 007 美しき獲物たち(メイデイ〈グレイス・ジョーンズ〉)※TBS版
  • ダンス・ウィズ・ウルブズ(拳を握って立つ女〈メアリー・マクドネル〉)※ソフト版
  • 地獄の黙示録(ブレット)※テレビ東京版
  • テキーラ・サンライズ(コーディ・マキュージック〈ガブリエル・デーモン〉、シャリーン・マキュージック〈アン・マグナソン〉)※ソフト版
  • ドラゴン特攻隊(リリー〈ブリジット・リン〉)※日本テレビ版
  • 2010年(SAL9000〈キャンディス・バーゲン〉)※テレビ朝日版
  • ハードカバー/黒衣の使者(モナ〈ステファニー・ホッジ〉)
  • ハード・トゥ・キル(ソニー・ストーム)※ソフト版
  • ハイランダー 悪魔の戦士(ヘザー・マクラウド〈ビーティ・エドニー〉)
  • バックマン家の人々(カレン〈メアリー・スティーンバージェン〉)※テレビ東京版
  • パパ/ずれてるゥ!(ジニー・タイン)
  • ピラニア(バーバラ)※TBS版(DVD収録)
  • フォード・フェアレーンの冒険(ジャズ〈ローレン・ホリー〉)
  • フューリー
  • プロムナイト(キム・ハモンド〈ジェイミー・リー・カーティス〉)
  • ヘルショック 戦慄の蘇生実験(イルゼ)
  • ポセイドン・アドベンチャー(ノニー・パリー〈キャロル・リンレイ〉)※LD版
  • 山猫(アンジェリカ〈クラウディア・カルディナーレ〉)※テレビ朝日新録版
  • 48時間 ※日本テレビ旧録版
  • リトル・ロマンス(ローレン〈ダイアン・レイン〉)※VHS版
  • ロッキー3(ロッキー・ジュニア)※TBS版
  • ワーロック ※テレビ朝日版
  • ロイ・ビーン(マリー〈ヴィクトリア・プリンシパル〉)※フジテレビ版
  • 若草物語(ジョー〈ジューン・アリソン〉)※NHK版

テレビドラマ

  • がんばれ!ベアーズ(ミゲル、ホセ)
    • シーズン1 #11(リンディ)
    • シーズン2 #5(キムヤ)#11・12(マーシャ)
  • 私立探偵マグナム シーズン2 #11(ヴァージニア・ファウラー)
  • スカーレット/続・風と共に去りぬ(インディア・ウィルクス)
  • 特捜刑事マイアミ・バイス シーズン3 #11 (ドナ〈テレサ・ブレイク〉)、19(ヴィッキー〈アネット・ベニング〉)
  • 特攻野郎Aチーム シーズン3 #7(カラニ)
  • ファミリータイズ(エレン・リード〈トレイシー・ポラン〉)
  • ミス・マープル「スリーピング・マーダー」(リリー・キンブル)
  • モンスターズ シーズン1 #5(ドッティ)

アニメ

  • 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー(エイリアル)
  • 戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010(ベータ)
  • スヌーピー&チャーリーブラウン(ペパーミント パティ)
  • ミッキーマウスとドナルドダック(1984年 - 1985年)(ミッキーマウス、ナレーション 他)

日本映画

  • 帝都物語(声の吹き替え)

舞台

  • 飛べ!京浜ドラキュラ - マリン役 (1982年 / シアターアプル、81プロデュース)
  • トウキョウ演劇倶楽部プロデュース公演Vol.1 「Live in toRAIN No.A-h」(2013年2月9日 - 17日)新宿シアターモリエール
  • トウキョウ演劇倶楽部プロデュース公演Vol.2 「Moonlight Rambler(ムーンライト・ランブラー)〜月夜の散歩人〜」(2013年7月19日 - 22日、俳優座劇場、2013年8月8日 - 11日、きゅりあん小ホール)
  • トウキョウ演劇倶楽部プロデュース公演Vol.5 「to U」(2014年4月)あうるすぽっと
  • トウキョウ演劇倶楽部プロデュース公演Vol.7 「ブラックジャックによろしく〜がん患者編〜」(2014年9月、六行会ホール)
  • 劇団エンゼル主催「赤毛のアン-みどりやねの朝-」(2014年3月23日から全国で上演。うち一部は団体向け公演〈一般販売なし〉、マリラ・カスバート
  • 新宿フィールドミュージアム 2017参加「三島由紀夫の世界vol.1」(2017年10月3日 - 4日、近江楽堂)

ラジオ

  • ライドオンオートバックス(ハマラジ)

CD・カセット

  • 雨ふり花さいた(花坊河童)
  • 央華封神・星の娘、目覚める(伯工命)
  • お洒落小僧は花マルッ(積木湊)
  • 音盤突然最終回(東芝満、森田徹生)
  • 貝の火・よだかの星(ホモイ)
  • ガイア・ギア(マリーサ・ナジス)
  • 3時のおやつに毒薬を(舞せりか)
  • 聖エルザクルセイダーズ(乙島恵利)
  • 聖エルザクルセイダーズ 番外編 ELZAデビュー!?(乙島恵利)
  • ドラゴンランス戦記(キティアラ)
  • 人間倶楽部(エレーン)
  • ビックリマン 新たなる出発(ディッセ・フッド)
  • ペ天使がゆく(キャロライン)
  • アリーズ〜神話の星座宮〜(レア)
  • らんま1/2 歌暦(紅つばさ)
  • 鬼のずんぼらぶー 〜そこのけもののけ事件帖番外編(しぶむし)

人形劇

  • あつまれ!じゃんけんぽん(ひつじはらムク、ラルフ、コンちゃん、カラス・メテング 他)
  • ざわざわ森のがんこちゃん(お母さん、学校オバケ、キノコ魔女、ギャオくんのお母さん、テレビノじいさん)
    • 新・ざわざわ森のがんこちゃん
    • ざわざわえんのがんぺーちゃん
  • バケルノ小学校 ヒュードロ組(カラス・メテング、冬田雪之進)

その他コンテンツ

  • NHK教育 理科教室小学校3年生(1984年)(ゴー君)
  • フジテレビ 7人のHOTめだま(ナレーション)
  • クラフトフーズジャパンCM 赤毛のアン(2010年) 「アンの赤いクリームパスタ」(アン・シャーリー)
  • NHK総合 NHKスペシャル 新・映像の世紀 第1集「百年の悲劇はここから始まった」(元軍需工場の労働者 リリアン・マイルズ)
  • ウメ星デンカ&ドラえもん「パンパロパンのスッパッパ!」(デンカ

注釈

出典

外部リンク

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