山下賢章 : ウィキペディア(Wikipedia)

は、日本の映画監督。東宝所属。鹿児島県出身。長男は政治運動家の山下万葉。

経歴

、1969年に東宝に入社。岡本喜八を筆頭に師事。1975年、本多猪四郎が監督を務めた『メカゴジラの逆襲』でチーフ助監督に就任。同作品への参加には、岡本からの後押しもあったという。

1979年に映画『トラブルマン 笑うと殺すゾ』で監督デビュー。東宝映画では監督を3本務めたらフリー契約をするという暗黙のルールがあったため、監督作を3本は撮りたいと考えていたが、邦画斜陽の時代では実現が難しく、その後も東宝社員のまま助監督時代が長く続いた。

2016年8月16日、急性心不全のため逝去。72歳没。同年11月27日には、東宝スタジオで「山下賢章監督を送る会」が開催された。

人物

映画業界を目指したきっかけは、学生時代に岡本喜八が監督を務めた映画『肉弾』(1968年)を観て感銘を受けたことであった。助監督時代に岡本へ師事したのも本人のたっての希望であった。東宝の富山省吾は、山下は岡本組の長男のような存在であったと述べている。

山下について、『ゴジラvsスペースゴジラ』に出演した橋爪淳は、俳優の自由に演じさせてくれたといい、話し合いでも自身の意見を押し付けてくることはなかったと証言している。同作品に出演した小高恵美は、山下からは抽象的なニュアンスで伝えられたといい、また山下を「すごくねばる監督」であったと述懐している。同じく出演者の吉川十和子は、山下を落ち着いていて穏やかな監督という印象であったといい、登場人物の心を大事にしており、心理的な描写が緻密であったと評している。監督助手の島田充は、山下は温和な人物であったが、撮影ではエネルギッシュにのめり込んでいたと証言している。撮影監督の岸本正広は、山下はあまり喋らないため誤解されることもあったが、頭の中ではいつも演出的に面白いことを考えていたと語っている。音楽を担当した服部隆之も、山下から要望を出すことはなかったが、キャラクターを深掘りする要素を教えられ、作曲がやりやすかったと述べている。

作品

公開年作品名製作(配給)役職
1969年9月27日奇々怪々 俺は誰だ?!東宝渡辺プロダクション(東宝)監督助手
1970年1月15日クレージーの殴り込み清水港
6月13日喜劇 負けてたまるか!
9月12日ひらヒラ社員 夕日くん東宝(東宝)
11月28日ひらヒラ社員夕日くん ガールハントの巻
1971年7月3日愛ふたたび
8月14日激動の昭和史 沖縄決戦
1972年2月26日制服の胸のここには
1974年5月15日喜劇 だましの仁義東宝映画(東宝)
9月21日青葉繁れる
11月2日沖田総司
1975年3月15日吶喊喜八プロ日本アート・シアター・ギルド(日本アート・シアター・ギルド)
メカゴジラの逆襲東宝映像(東宝)チーフ助監督
7月12日東京湾炎上東宝映画東宝映像(東宝)監督助手
11月1日陽のあたる坂道東宝映画(東宝)チーフ助監督
1976年1月17日妻と女の間
10月2日喜劇 百点満点
1977年2月11日青春の門 自立篇監督助手
4月29日青年の樹
10月29日姿三四郎チーフ助監督
1978年10月7日ダイナマイトどんどん大映(東映)監督助手
11月23日ブルークリスマス東宝映画(東宝)
1979年4月28日乱れからくり
8月4日トラブルマン 笑うと殺すゾ監督
12月1日英霊たちの応援歌 最後の早慶戦東京12チャンネル(東宝)別班監督
1980年8月30日地震列島東宝映画(東宝)監督助手
1981年11月7日駅 STATIONチーフ助監督
12月19日近頃なぜかチャールストン喜八プロATG(ATG)監督助手
1983年5月21日細雪東宝映画(東宝)
1984年7月7日夏服のイヴチーフ助監督
12月15日ゴジラ監督助手・B班監督
1985年11月9日春の鐘チーフ助監督
1986年12月13日恋する女たち監督補
1987年8月1日19ナインティーン東宝映画ジャニーズ事務所(東宝)監督
1989年4月15日YAWARA!東宝映画ハミングバード(東宝)チーフ助監督
1991年1月15日大誘拐 RAINBOW KIDS「大誘拐」製作委員会(東宝)監督補
1994年2月5日ラストソングフジテレビジョン東宝映画(東宝)チーフ助監督
12月10日ゴジラvsスペースゴジラ東宝映画(東宝)監督

出典(リンク)

参考文献

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/05/05 08:11 UTC (変更履歴
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