ジャン=クロード・カリエール : ウィキペディア(Wikipedia)

ジャン=クロード・カリエールJean-Claude Carrière、1931年9月17日 - 2021年2月8日)は、フランスの脚本家、俳優、著作家。

来歴・人物

フランス、エロー県ベジエ生まれ。

大学在学中に作家を志し、ジャック・タチ監督の作品、『ぼくの伯父さんの休暇』『ぼくの伯父さん』のノベライゼーション(小柳帝訳)を執筆。

同書のイラストを描いた、タチの助監督でもあるピエール・エテックスと意気投合し、大学を中退し、1961年、エテックスと共同で脚本を執筆し、エテックスが監督した短編映画『Rupture(破壊)』で脚本家デビュー。1962年には『幸福な結婚記念日』でアカデミー短編映画賞を受賞する。続いて、『女はコワイです』(1962年)そして『ヨーヨー』(1964年)と、カリエールの監督作で共同脚本を行う。

1963年には、ルイス・ブニュエル監督と出会い、没するまでの約20年間に、『小間使の日記』の脚本を始め、ブニュエルの後期傑作群『昼顔』、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』、『欲望のあいまいな対象』などの脚本を手がける。『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』ではアカデミー脚本賞にノミネートされた。

他に、ルイ・マルの『ビバ!マリア』、フォルカー・シュレンドルフの『ブリキの太鼓』、ミロス・フォアマンの『パパ/ずれてるゥ!』と『宮廷画家ゴヤは見た』、アンジェイ・ワイダの『ダントン』、大島渚の『マックス、モン・アムール』、フィリップ・カウフマンの『存在の耐えられない軽さ』、ジャン=ポール・ラプノーの『シラノ・ド・ベルジュラック』などの100本以上の脚本を執筆。

イギリスの演出家、ピーター・ブルックのため、約30年間にわたり舞台台本を執筆。1980年代にインドの長大な叙事詩『マハーバーラタ』(笈田勝弘・木下長宏共訳)を脚色し、9時間上演版を作った事も著名。1989年に映画化された。

2007年にはコペンハーゲン国際映画祭において、生涯功労賞を授与された。2014年、アカデミー名誉賞を受賞。

2009年にはイタリアの作家・哲学者のウンベルト・エーコと共著『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(工藤妙子訳)を刊行。

2021年2月8日、パリの自宅で死去した。。

フィルモグラフィー

映画

  • 破局 1961 監督脚本
  • 幸福な結婚記念日 1961 製作
  • 女はコワイです 1962 脚本
  • ヨーヨー 1964 脚本
  • 小間使の日記 1964 脚本
  • 健康でさえあれば 1965 脚本
  • ビバ!マリア 1965 脚本
  • ホテル・パラディソ 1966 脚本
  • 昼顔(1967年) - 脚本
  • 大恋愛 1968 脚本
  • はるかなる愛のかなたに 1968 脚本
  • 銀河 1968 脚本
  • パリの大泥棒 1967 脚本
  • 太陽が知っている(1969年) - 脚本
  • ボルサリーノ(1970年) - 脚本
  • パパ/ずれてるゥ!(1971年) - 脚本
  • ひきしお(1972年) - 脚本
  • 水の中の小さな太陽 1971 脚本
  • フランコ・ネロとナタリー・ドロンのサタンの誘惑 1972 脚本
  • ブルジョワジーの秘かな愉しみ(1972年) - 脚本
  • パリから来た殺し屋 1973 脚本
  • 赤いブーツの女 1974 脚本
  • 自由の幻想 1974 監督脚本
  • 蘭の肉体 1974 脚本
  • 呪われた女 1975 脚本
  • 友よ静かに死ね 1976 脚本
  • 欲望のあいまいな対象(1977年) - 脚本
  • 怒れる男 1978 脚本
  • ブリキの太鼓(1979年) - 脚本
  • 勝手に逃げろ/人生(1980年) - 脚本
  • アントニエッタ 1982 脚本
  • ダントン(1983年) - 脚本
  • スワンの恋 1983 脚本
  • 欲望の青い花びら 1984 脚本
  • シーデビル 1985 脚本
  • 蒼い衝動 1985 脚本
  • マックス、モン・アムール(1986年) - 脚本・原案
  • 黄金の肉体 ゴーギャンの夢 1986 原案
  • 悪霊 1987 脚本
  • 存在の耐えられない軽さ(1988年) - 脚本
  • マハーバーラタ 1989 脚本
  • 五月のミル 1989 脚本
  • 恋の掟(1989年) - 脚本
  • 惑星アルカナル/宇宙からの使者 1990 脚本
  • シラノ・ド・ベルジュラック(1990年) - 脚本
  • カサノヴァ最後の恋(1992年) - 脚本
  • 欲望の華(1994年) - 脚本・出演
  • プロヴァンスの恋 1995 脚本
  • 魔王(1996年) - 脚本
  • チャイニーズ・ボックス(1997年) - 脚本
  • ブニュエル ~ソロモン王の秘宝~ 2001 出演
  • 記憶の棘(2004年) - 脚本
  • 宮廷画家ゴヤは見た(2006年) - 脚本
  • トスカーナの贋作(2010年) - 出演
  • わが悲しき娼婦たちの思い出 2011 脚本
  • ふたりのアトリエ ~ある彫刻家とモデル 2012 脚本
  • 胸騒ぎのシチリア 2015 オリジナル脚本
  • パリ、恋人たちの影 2015 脚本
  • パリが愛した写真家/ロベール・ドアノー 2016 出演
  • コレクション 2017 出演
  • つかのまの愛人 2017 脚本
  • 永遠の門 ゴッホの見た未来 (2018年) - 脚本
  • パリの恋人たち 2018 脚本
  • シチリアを征服したクマ王国の物語 2019 声の出演:洞窟の老クマ(アニメーション)

テレビ映画

  • チボー家の人々 2003 TV 脚本
  • ゴリオ爺さん 2004 TVM 脚色
  • 王妃マリー・アントワネット(2006年) - 脚本

日本語訳一覧

  • 「恋のメモランダム」 浜文敏 訳、白水社 1984
  • 「マハーバーラタ」 笈田勝弘・木下長宏 共訳、白水社 1987
  • 「ぼくの伯父さんの休暇」ジャック・タチ 原案、ピエール・エテックス
    • 小柳帝 訳、リブロポート 1995、中央出版アノニマ・スタジオ 2004、中公文庫 2008
  • 「万国奇人博覧館」 ギィ・ベシュテル 共著、守能信次 訳、筑摩書房 1996、ちくま文庫 2014
  • 「ダライ・ラマが語る:母なる地球の子どもたちへ」ダライ・ラマ14世との対話、新谷淳一 訳、紀伊國屋書店 2000
  • 「珍説愚説辞典」 ギィ・ベシュテル 共編、高遠弘美 訳、国書刊行会 2003
  • 「教えて!! Mr.アインシュタイン」南條郁子 訳、紀伊國屋書店 2006
  • 「記憶の棘」ジョナサン・グレイザー、マイロ・アディカ共著、富永和子 訳、ランダムハウス・講談社文庫 2006
  • 「もうすぐ絶滅するという紙の書物について」ウンベルト・エーコとの対話、工藤妙子 訳、阪急コミュニケーションズ 2010
  • 「ぼくの伯父さん」ジャック・タチ原案、ピエール・エテックス 絵・小柳帝訳、中央出版 2022

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/01/03 04:47 UTC (変更履歴
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike and/or GNU Free Documentation License.

「ジャン=クロード・カリエール」の人物情報へ