チャン・ガンミョン : ウィキペディア(Wikipedia)
チャン・ガンミョン(장강명、張康明、1975年12月7日 - )は、韓国の小説家、元新聞記者。延世大学校都市工学科卒。
経歴
貿易業を営む父と雑誌記者兼作家の母との間に生まれ、弟が1人いる。大学1年生の時にパソコン通信のSF同好会サイトに短編を投稿したことを機に創作活動をはじめ、自らが運営するインターネット雑誌「月刊SFウェブジン」を創刊。1990年代には「」などの雑誌にSF短編とコラムを発表していた。1994年に大学を卒業後、建設会社に5カ月間勤めたのち、2002年に大手新聞社の東亜日報に転職し、2013年までの11年間記者として活躍。同社では社会部や産業部、政治部に配属されていた。2003年により今月の記者賞、2005年に、2006年に東亜日報大スクープ賞、2010年にシティ大韓民国ジャーナリスト賞大賞を受賞。2008年には韓国の中央選挙管理委員会の監査長も務めている。
2011年に長篇『漂白』でハンギョレ文学賞を受賞し作家デビュー。2014年に『熱狂禁止、エヴァロード』で、2015年に『コメント部隊』で済州四・三平和文学賞および(2016年)、同年『大晦日、あるいはあなたが世界を記憶する方法』で文学トンネ作家賞を受賞。短編では2016年に『バイトをクビに』で若い作家賞、2019年に『ヒョンス洞パン屋三国志』で李箱文学賞優秀賞、2021年に『あなたの見たい世界』でを受賞している。
日本においては邦訳がいくつか出版されている他、2023年に短編『アラスカのアイヒマン』が第54回星雲賞の海外短編部門にノミネートされている。
人物・私生活
- 両親の影響で読書に親しみ、高校時代は村上春樹の本を愛読していた。
- 記者を志すようになったのは徴兵により軍隊に入っていた時のことで、「部品のような存在ではなく、意味のある仕事をしながら人生を激しく生きたかった」というのがその理由である。また、東亜日報に転職する前は、英語教材を作る会社でアルバイトとして働いていた。
- 記者時代は毎日着実に記事を書くことを目標にし、本人曰く「ホームランよりヒットを打つ、出塁率の高い記者として働いた」とのこと。しかし新米の頃は生意気な態度を取っており、インタビューではその当時のことを後悔していると語っている。
- 2011年に『漂白』でデビューするまで、6年間に渡り毎晩1時間執筆作業をする日々を送っていた。
- 大学在学時に同じ学科の後輩だった女性と結婚しており、2022年には彼女と共同でオンライン読書会プラットフォーム「クムム(그믐)」を立ち上げている。
- 好きな作家はフョードル・ドストエフスキーで、長編『再捜査』にも物語の主要なアイテムとして『ドストエフスキー全集』を登場させている。また、自身の「人生の本」として彼の著作の一つである『悪霊』を挙げている。
- 尊敬する作家はジョージ・オーウェルで、自身と同じジャーナリストとしての側面もあることから、「その時代の現場を重視するジャーナリストとしての姿勢が好きだ」と語っている。
- 自身を「社会派作家」と定義しており、社会問題を提起する作品を執筆する際は、事前に様々な関係者に会って取材をする方法を取っている。
著作
長編
- 표백(漂白)(2011年)
- 열광금지, 에바로드(熱狂禁止、エヴァロード)(2014年)
- 호모도미난스: 지배하는 인간(ホモ・ドミナンス:支配する人間)(2014年)
- 한국이 싫어서(韓国が嫌いで)
- 邦訳:吉良佳奈江 訳、ころから、2020年1月、ISBN 978-4-907239-46-6
- 그믐, 또는 당신이 세계를 기억하는 방식(大晦日、またはあなたが世界を記憶する方法)(2015年)
- 댓글부대(コメント部隊)(2015年)
- 우리의 소원은 전쟁(我らが願いは戦争)(2016年)
- 邦訳:小西直子訳、新泉社〈韓国文学セレクション〉、2021年8月、ISBN 978-4-7877-2122-8
- 노라(ノラ)(2018年)노라교보문고、2025年11月16日閲覧。
- 재수사(再捜査)(2022年)
- 邦訳:『罰と罪』 オ・ファスン訳、カン・バンファ監修、早川書房、2025年1月
- 上巻:ISBN 978-4-15-186401-8、下巻:ISBN 978-4-15-186402-5
エッセイ・ルポルタージュ
- 5년 만에 신혼여행(5年ぶりの新婚旅行)(2016年)
- 당선, 합격, 계급(当選、合格、階級)(2018年)
- 책, 이게 뭐라고(本って、なんだ?)(2020年)
- 책 한번 써봅시다(本を書きませんか)(2020年)
- 아무튼, 현수동(とにかく、ヒョンス洞)(2023年)
- 소설가라는 이상한 직업(小説家というおかしな職業)(2023年)
- 미세 좌절의 시대(些細なイライラの時代)(2024年)
- 먼저 온 미래(真っ先に訪れた未来)(2025年)
短編
- 클론 프로젝트(クローン・プロジェクト)(執筆年不明)
- 뤼미에르 피플(リュミエール・ピープル)(2012年) ※連作短編集
- 801호 박쥐 인간(801号 コウモリ人間)
- 802호 모기(802号 蚊)
- 803호 명견 패스(803号 名犬ぺス)
- 804호 마법매미(804号 魔法のセミ)
- 805호 돈다발로 때려라(805号 札束で殴れ)
- 806호 삶어녀 죽이기(806号 茹で女殺し)
- 807호 피 흘리는 고양이 눈(807号 血を流す猫の目)
- 808호 쥐들의 지하 왕국(808号 ネズミたちの地下王国)
- 809호 동시성의 과학(809号 同時の科学)
- 810호 되살아나는 섬(810号 よみがえる島)
- 유리 최 이야기(ユーリ・チェの物語)(2014年)
- 산 자들(生きていく人々)(2019年)산 자들RIDI、2025年11月16日閲覧。 ※短編集
- 邦訳:『鳥は飛ぶのが楽しいか』吉良佳奈江 訳、堀之内出版、2022年3月、ISBN 978-4-909237-55-2
- バイトをクビに(알바생 자르기) ※若い作家賞受賞作
- 待機命令(대기발령)
- 工場の外で(공장 밖에서)
- ヒョンス洞パン屋三国志(현수동 빵집 삼국지) ※李箱文学賞優秀賞受賞作
- 人の住む家(사람 사는 집)
- カメラテスト(카메라 테스트)
- 対外活動の神(대외 활동의 신)
- みんな、親切だ(모두, 친절하다)
- 音楽の価格(음악의 가격)
- 鳥は飛ぶのが楽しいか(새들은 나는 게 재미있을까)
- 邦訳:『鳥は飛ぶのが楽しいか』吉良佳奈江 訳、堀之内出版、2022年3月、ISBN 978-4-909237-55-2
- 지극히 사적인 초능력(極めて私的な超能力)(2019年)지극히 사적인 초능력교보문고、2025年11月16日閲覧。※短編集
- 邦訳:吉良佳奈江 訳、早川書房〈新☆ハヤカワ・SF・シリーズ〉、2022年6月、ISBN 978-4-15-335057-1
- 定時に服用してください(정시에 복용하십시오)
- アラスカのアイヒマン(알래스카의 아이히맨) ※第54回星雲賞海外短編部門候補作
- 極めて私的な超能力(지극히 사적인 초능력)
- あなたは灼熱の星に(당신은 뜨거운 별에)
- センサス・コムニス(센서스 코무니스)
- アスタチン(아스타틴)
- 女神を愛するということ(여신을 사랑한다는 것)
- アルゴル(알골)
- あなた、その川を渡らないで(님이여, 물을 건너지 마오)
- データの時代の愛〈サラン〉(데이터 시대의 사랑)
- 邦訳:吉良佳奈江 訳、早川書房〈新☆ハヤカワ・SF・シリーズ〉、2022年6月、ISBN 978-4-15-335057-1
- 일은 놀이처럼, 놀이는……(仕事は遊びに、遊びは……)(2021年)놀이터는 24시RIDI、2025年11月16日閲覧。
- 당신이 보고 싶어하는 세상(あなたの見たい世界)(2023年)당신이 보고 싶어하는 세상RIDI、2025年11月16日閲覧。
- 당신이 보고 싶어하는 세상(あなたの見たい世界)※沈薫文学賞受賞
- あなたは灼熱の星に
- アラスカのアイヒマン
- 나무가 됩시다(木になりましょう)
- 사이보그의 글쓰기(サイボーグの物書き)
- アスタチン
- データの時代の愛
- 간장에 독(醤油に毒)(2023年)귀하의 노고에 감사드립니다RIDI、2025年11月16日閲覧。
- 소설 2034 (小説 2034)(2024年)소설, 한국을 말하다RIDI、2025年11月16日閲覧。
- 종말까지 다섯 걸음(終末に至るまでの5つのステップ)(2025年)
- 종말을 부정하고(終末を否定して)
- 엘리제를 위하지 않으며(エリーゼのためにあらず)
- 마녀재판(魔女裁判)
- 은혜를 갚지 마세요, 어머니(礼ならいいよ、母さん)
- 女神を愛するということ
- 종말에 절망하고(終末に絶望して)
- 미래의 괴수(未来の怪獣)
- あなた、その川を渡らないで
- 육식성(肉食性)
- 종말과 타협하고(終末と妥協して)
- 민주주의의 위기(民主主義の危機)
- 소설, 한국을 말하다(小説、韓国を語る)
- 極めて私的な超能力
- 잘 가요, 시리우스 친구들(さらば、シリウスの友よ)
- 종말을 수용하고(終末を受け入れて)
- 현수동의 아침(ヒョンス洞の朝)
- 定時に服用してください
- 승인할까요(承認しますか)
- アルゴル
- 마침내, 종말을 사랑하고(そして、終末を愛する)
- 투란도트의 집(トゥーランドットの家)(2025年)
- 동물+친구×로봇(動物+友達×ロボット)(2025年)
外部リンク
- Book Trailer: Waning Crescent, or the Way You Remember the World
- Chang Kang-myoung, Because I Hate Korea, translation by Stephen J. Epstein and Mi Young Kim with an introduction by Stephen J. Epstein, <i>The Asia Pacific Journal. Japan Focus</i> Volume 16, Issue 11, Number 4 (May 21, 2018)
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