スティーブン・ピーコック : ウィキペディア(Wikipedia)
スティーヴン・ピーコック(英:Stephen Peacocke、1981年10月30日 - )は、オーストラリアの俳優。舞台に出演したほか、2006年公開のオーストラリア映画『Suburban Mayhem』やテレビドラマ「All Saints」に出演。その後、オーストラリアの放送局セブン・ネットワークのソープオペラ「Home and Away」(2011年~2016年)でダリル・ブラクストンを演じ、一躍注目を集めた。またこの役でピーコックは、オーストラリアのテレビ界で権威ある賞のロジー賞で「最も人気のある俳優賞」を2度受賞しており、作品の中でもファンから特に愛されたキャラクターのひとりとして知られている。
その後、映画『ヘラクレス』(2014年公開)、『アメリカン・レポーター』『世界一キライなあなたに』(2016年公開)に出演。その後、オーストラリアドラマ「ウォンテッド!ローラ&チェルシー」(2016年)にレギュラー出演しジョシュ・レヴィン刑事を演じた。その他、オーストラリアの放送局ネットワーク・テンのロマンティック・コメディ・ドラマシリーズ「Five Bedroom」(2019年~2023年)、ABCのドラマシリーズ「The Newsreader」(2021年~2025年)、セブン・ネットワークのドラマシリーズ「RFDS:航空救命医療チーム」(2021年~)に出演している。
生い立ち
ピーコックはオーストラリア・ニューサウスウェールズ州ダボで、元会計士の父ギャレス・ピーコックと母シルヴィアの間に生まれた。兄の勧めで演技に興味を持ち、南ダボーの学校を経て、ニューサウスウェールズ州の都市バサーストの寄宿学校で中等教育を修了した。その後、ニューカッスル大学(オーストラリア)でコミュニケーションを学び、俳優グレン・ヘイゼルダインの演劇クラスを受講したことがきっかけで、本格的に演技を志すようになった。
20代の頃は俳優活動を始める傍ら、貨物トラックの荷下ろしや時給3ドルの牧場労働者(ジャッカルー)など、さまざまな肉体労働に従事した。また地元チーム「ダボー・カンガルーズ」でラグビーをしていたが、度重なる怪我に見舞われた。ケガをしている間、演劇のオーディションを受けニューカッスル大学音楽院の数々の演劇作品に出演。2004年に舞台『A Property of the Clan』でリッコ役を演じ、ニューカッスル市ドラマ賞を受賞した。その後、俳優としてのキャリアを本格的に追及するためシドニーに移り、スタンモアのシェアハウスで暮らし生活費にも困るほどの状況だったが、2011年にテレビソープオペラ「Home and Away」への出演が決まった。
キャリア
ピーコックは、2008年オーストラリア女優ベル・デリア(Bel Deliá)と共に短編戯曲フェスティバル「Brand Spanking New」に出演し、劇作家・演出家 オーガスタ・サプル(Augusta Supple)の作品「Interrupting Grace(演出:ニック・カーノウ(Nick Curnow))に参加した。その後もサプルのプロジェクト「Stories from the 428」にも参加したほか、キット・ブルックマン(Kit Brookman)作「It Was Raining All Afternoon」にも出演した。
2006年に受賞歴もある映画『Suburban Mayhem』で端役を演じ、スクリーンでの俳優としてキャリアをスタートさせた。2007年に医療ドラマシリーズ「All Saints」にセブ・ホール役で出演。その他の出演作として、「Packed to the Rafters」「クリーバー・グリーン:型破りな弁護士(原題:Rake)」「East West 101」などがある。また、2008年にはジョージ―・パーカー主演のテレビ映画『Emerald Falls』や、リアーナの楽曲「Umbrella」を題材にしたパロディ映像『Drifting in my cappella』(1BUCK80制作)に出演。2011年には、ピーコックの出演2作目となる長編映画『Burning Man』でマシュー・グードやボヤナ・ノヴァコヴィッチと共演した。
2011年初頭、ピーコックはオーストラリアのソープオペラ「Home and Away」で、地元のリバー・ボーイズの一員ダリル”ブラックス”ブラントン役を得た。この作品でピーコックは人気を高め、2012年にはロジー賞で「最優秀新人男性タレント賞」を受賞し、翌2013年には「最も人気のある俳優賞」を受賞した。さらに、オーストラリアテレビ界で最も人気のある人物に贈られる「ゴールド・ロジー賞」にもノミネートされた。また、2011年に行われたインタビューでは、将来アメリカ映画に出演するのが目標だと明かしている。2015年2月に番組からの降板を発表し、同年6月10日の放送を最後に一度姿を消したが、その後8月に番組へ一時的に復帰し、同年後半のストーリーに出演した。
2016年、キム・バーカーの回想録「The Taliban Shuffle」を原作とする映画「アメリカン・レポーター(劇場未公開)』でニック役を演じ、映画『世界一キライなあなたに』でエミリア・クラーク、サム・クラフリンと共演した。また、テレビドラマ「ウォンテッド!ローラ&チェルシー」でジョシュ・レヴィン刑事を演じたほか、コメディ映画『Cooped Up』にも出演した。
2019年に結婚式で出会った5人が共同で家を購入する姿を描いたネットワーク・テンのロマンティック・コメディ・ドラマシリーズ「Five Bedrooms」でキャット・スチュワート、ヒュー・シェリダンと共演し主演を務める。同シリーズはCOVID-19パンデミックによる制作の遅れを経て、第2シーズンの放送が2021年8月に開始された。その他には、2020年に戦争映画『デンジャー・クロース 極限着弾』、コメディドラマ「Squinters」第2シーズン、ドラマ「Les Norton」にも出演した。さらにナイン・ネットワークのミニシリーズ「Informer 3838」で、ビクトリア州警察の麻薬捜査班を率いていたものの不当に逮捕・投獄される刑事ポール・デイルを演じた。
2021年に放送開始されたセブン・ネットワークのドラマシリーズ「RFDS:航空救命医療チーム」でフライトナースのピート・エマーソンを演じている。ピーコックはフライトナースを演じるために、役作りのため独自にRFDS関係者への取材や看護師との研修を行った。また、1986年のニュース番組の制作現場を舞台にしたABCのドラマシリーズ「The Newsreader」でスポーツ記者ロブ・リッカーズを演じ、この役でオーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞(AACATA Awards)のテレビドラマ部門助演男優賞にノミネートされた。
2023年2月、ピーコックはナイン・ネットワークの犯罪ドラマ「Human Error」に刑事ディラン・マッケンジー役でリーアナ・ワルスマンやラーヘル・ローマンと共に出演することが発表され、同年2月からメルボルンで撮影が開始された。2024年公開の戦争映画『1918 戦争終結』にも出演している。
2025年8月24日、「Home and Away」の製作陣は、10年後のキャラクターたちを描くエピソードに、ピーコックとリッキー・シャープを演じたボニー・スビーンが2026年にゲスト出演することを発表した。撮影は2025年10月に西オーストラリアで行われる予定。
私生活
ピーコックは私生活を重視しており、2005年から女優ブリジェット・スネドンと交際していた。二人はウエスタンシドニー大学で出会い、2014年3月に婚約を発表し、同年に非公開の結婚式を挙げた。2023年には娘がいることが報じられている。
フィルモグラフィ―
映画
| 公開年 | 邦題原題 | 役名 | 声優 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2006 | Suburban Mayhem | 店員 | 劇場未公開 | |
| 2008 | Cue Howard | サー・ウィリアム・デラメア | 短編映画 | |
| 2010 | The Black Dog | スティーヴン | 短編映画 | |
| The Robbery | 取調官 | 短編映画 | ||
| 2011 | Burning Man | 救急隊員 | 劇場未公開 | |
| 2014 | ヘラクレス Hercules | ステファノス | ||
| 2016 | アメリカン・レポーター Whiskey Tango Foxtrot | ニック | 鶴岡聡 | |
| 世界一キライなあなたに Me Before You | ネイサン | 山口太郎 | ||
| Cooped Up | マイク | |||
| 2019 | デンジャー・クロース 極限着弾 Danger Close: The Battle of Long Tan | エイドリアン・ロバーツ中尉 | ||
| 2024 | 1918 戦争締結 Before Dawn | ビール伍長 |
テレビシリーズ
| 放送年 | 邦題原題 | 役名 | 声優 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2007 | All Saints | ゼブ・ホール | シーズン10 第13話「Balancing Act」(セブン・ネットワーク) | |
| 2007 | Emerald Falls | ハイカー | テレビ映画 | |
| 2009 | APacked to the Rafters | ウェイター | シーズン2 第7話「Belonging」(セブン・ネットワーク) | |
| 2010 | クリーバー・グリーン:型破りな弁護士Rake | マイケル・ワーナー | シーズン1 第1話「R v Murray」(ABC TV) | |
| 2011 | Telethon | 本人 | 2011年10月15日チャリティー番組 | |
| 2011–2016, 2026 | Home and Away | ダリル”ブラックス”ブラントン | メインキャスト(セブン・ネットワーク) | |
| 2016–2017 | ウォンテッド!ローラ&チェルシー Wanted | ジョシュ・レヴィン刑事 | 北田理道 | メインキャスト(セブン・ネットワーク) |
| 2019–2023 | Five Bedrooms | ベン・チグウェル | メインキャスト (シーズン1 :ネットワーク・テンシーズン2-4:Paramount+) | |
| 2019 | Squinters | ブレット | 6話出演(ABC TV) | |
| Les Norton | マレー "マッザ" ノートン | 3話出演(ABC TV) | ||
| 2020 | Informer 3838 | ポール・デイル | ミニシリーズ (ナイン・ネットワーク) | |
| 2021– | RFDS:航空救命医療チーム RFDS | ピート・エマーソン | メインキャスト(セブン・ネットワーク) | |
| 2021–2025 | The Newsreader | ロブ・リカード | メインキャスト (ABC TV) | |
| 2024 | Human Error | ディラン・マッケンジー | ミニシリーズ (ナイン・ネットワーク) |
受賞とノミネート
| 年 | 賞 | 部門 | 作品 | 結果 | 出典 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2012 | Inside Soap Awards | 最優秀デイタイムスター賞 | Home and Away | |||
| ロジー賞 | 最優秀新人男優賞 | |||||
| 2013 | Inside Soap Awards | 最優秀デイタイムスター賞 | ||||
| ロジー賞 | 最も人気のあるテレビパーソナリティ賞 | |||||
| 最も人気のある俳優賞 | ||||||
| 2014 | ロジー賞 | 最も人気のあるテレビパーソナリティ賞 | ||||
| 最も人気のある俳優賞 | ||||||
| 2015 | ロジー賞 | 最も人気のあるテレビパーソナリティ賞 | ||||
| 最も人気のある俳優賞 | ||||||
| 2016 | ロジー賞 | 最も人気のある俳優賞 | ||||
| 2021 | オーストラリア映画テレビ芸術アカデミー賞 | (AACATA Awards) | テレビドラマ部門 助演・ゲスト男優賞 | The Newsreader | ||
| 2022 | ロジー賞 | 最も人気のある俳優賞 | RFDS:航空救命医療チーム |
外部リンク
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出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2025/10/08 11:06 UTC (変更履歴)
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