志村貴子 : ウィキペディア(Wikipedia)

志村 貴子(しむら たかこ、1973年10月23日 - )は、日本の漫画家、同人作家。女性。

1997年に『ぼくは、おんなのこ』でデビューし、幅広い作品を執筆。代表作『青い花』『放浪息子』はテレビアニメ化され、2015年には『淡島百景』で第19回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。2020年に『どうにかなる日々』がアニメ化され劇場公開され、2025年には『おとなになっても』が実写ドラマ化。その他、『敷居の住人』『こいいじ』『娘の家出』『オンリー・トーク』など著書多数。2025年現在、「週刊ビッグコミック スピリッツ 」にて『そういう家の子の話』、「Kiss」にて『ハツコイノツギ』、「週刊文春WOMAN」にて『ふたりでひとり暮らし』を連載中。

人物

1997年に『コミックビーム』(エンターブレイン)2月号掲載の『ぼくは、おんなのこ』でデビュー。その後、同誌で初連載『敷居の住人』を執筆。以後、徐々に活動の場を広げ、『マンガ・エロティクス・エフ』(太田出版)や『Kiss』(講談社)など、様々な雑誌で作品を発表している。代表作は『敷居の住人』『どうにかなる日々』『放浪息子』『青い花』『こいいじ』など。

『ぼくは、おんなのこ』掲載以前は、成人向け漫画雑誌『漫画スーパーエロス』1993年4月号(司書房)に、志村貴子名義の短編『LOVELY』が掲載されており、ほかにも「加藤マサイチ」や「東京堂えるえる」などの名義で『パピポ外伝』(フランス書院)などに、成人向けではない短編を散発的に発表していたが、これらの短編群は公式にはデビュー扱いとされておらず、すべて単行本未収録。単行本化の予定もない。

2012年に米国図書館協会の若者向けサービス部門(YALSA)が選出する「12歳から18歳向けの優秀なグラフィック・ノベル 2012年(2012 Great Graphic Novels for Teens)」のベスト10に、英訳版『放浪息子』1巻(『Wandering Son V. 1.』Fantagraphics Books、2011)が選ばれた(Top Ten list of titles)。

2023年6月現在、ハロー!プロジェクトのアイドルグループに興味を持っており、ファンクラブにも入会している。

2023年3月にSNSで自身が宗教2世であることを公表し、そのきっかけとして菊池真理子の『「神様」のいる家で育ちました 〜宗教2世な私たち〜』を読んだことを挙げている。2025年には『そういう家の子の話』を刊行し、自身が当事者として抱えてきた宗教2世の葛藤と日常を群像劇として描いた。公表以前の作品にも『青い花』では登場人物の母親が宗教に傾倒する描写があり、『淡島百景』には『そういう家の子の話』のプロトタイプともいえるエピソードが描かれていた。

作品リスト

漫画作品

連載

  • 敷居の住人(『コミックビーム』1997年12月号 - 2002年7月号)
  • どうにかなる日々(『マンガ・エロティクス・エフ』15号〈2002年〉 - 26号〈2004年〉)
  • ラヴ・バズ(『ヤングキング別冊キングダム』2002年11号 - 2004年10号、『ヤングキングアワーズ』2005年1月号 - 9月号)
  • 放浪息子(『コミックビーム』2002年12月号 - 2013年8月号)
  • 青い花(『マンガ・エロティクス・エフ』30号〈2004年〉 - 82号〈2013年〉)
  • ルート225(原作:藤野千夜、『月刊少年シリウス』2007年3月号 - 2008年3月号)
  • かわいい悪魔(『ヤングキングアワーズ増刊アワーズプラス』2006年6月号 - 2007年1月号) - 掲載誌休刊のため4話で中断、5話は単行本書き下ろし。
  • 淡島百景(WEBマガジン『ぽこぽこ』→『Ohta Web Comic』2011年6月7日 - 2024年3月15日) - 不定期。
  • 娘の家出(『ジャンプ改』2012年11月号 - 2013年1月号〈集中連載後〉、2014年4月号 - 〈本格連載〉) - 読み切り作品の連載化。
  • わがままちえちゃん(『コミックビーム』2014年4月号 - 2015年3月号)
  • こいいじ(『Kiss』2014年10月号 - 2019年1月号)
    • ハツコイノツギ(『Kiss』2024年6月号 - ) - 『こいいじ』のスピンオフ。
  • さよなら、おとこのこ(『MAGAZINE BE×BOY』2016年6月号 - )
  • おとなになっても(『Kiss』2019年5月号 - 2023年10月号)
  • ブルーム・ブラザーズ(『on BLUE』vol.36〈2018年〉 - vol.55〈2021年〉)
  • オンリー・トーク(原作:一穂ミチ、『on BLUE』vol.70〈2024年〉 - vol.75〈2025年〉)
  • そういう家の子の話(『ビッグコミックスピリッツ』2024年26号 - )

読み切り

  • ぼくは、おんなのこ(『コミックビーム』1997年2月号) - 『ぼくは、おんなのこ』に収録。
  • NEVER MIND(『月刊少年エース1998年1月号増刊 エースダッシュ』Vol.2)
  • 楽園に行こう(『まんがタイムファミリー2000年4月号増刊 まんがタイムナチュラル』) - 『ぼくは、おんなのこ』に収録。
  • 少年の娘(『まんがタイムスペシャル2001年4月号増刊 まんがタイムDash!』) - 『ぼくは、おんなのこ』に収録。
  • アケミのテーマ テルオ編(『まんがライフオリジナル』2001年9月号) - 『ぼくは、おんなのこ』に収録。
  • ハッピーなエンド(『麗人』2001年11月号) - 『どうにかなる日々』1巻に併録。
  • 花(『まんがタイムスペシャル2001年11月号増刊 まんがタイムDash!』竹書房) - 『ぼくは、おんなのこ』に収録。
  • 無毛信仰(『マンガ・エロティクス・エフ』14号〈2002年〉) - 『どうにかなる日々』1巻に併録。
  • 先生のくせに(『麗人』2002年11月号) - 『どうにかなる日々』1巻に併録。
  • 生活維持省(原作:星新一、『ミステリーボニータ』2003年4月号) - 『コミック☆星新一 午後の恐竜』に収録、同書の表紙イラストも担当。
  • すてきなあのこ(『コミックブレイド増刊 ZEBEL』1号〈2004年〉) - 『かわいい悪魔』に併録。
  • とあるひ(『ease』1号〈2004年〉) - 『かわいい悪魔』に併録。
  • アケミのテーマ ヨシオ編(『ぼくは、おんなのこ』2004年) - 単行本描き下ろし。
  • アケミのテーマ ハルオ編(『ぼくは、おんなのこ』2004年) - 単行本描き下ろし。
  • sweet16(『ぼくは、おんなのこ』2004年) - 単行本描き下ろし。
  • 変身(『ease』2号〈2005年〉) - 『かわいい悪魔』に併録。
  • あたいの夏休み(『コミックハイ!』15号〈2006年〉) - 『かわいい悪魔』に併録。
  • 猫びより(『MELODY』2008年4月号)- 『めろねこ』白泉社〈花とゆめコミックススペシャル〉2012年、、A5判に収録。
  • 中学生(『季刊GELATIN』2009年なつ号) - 『かわいい悪魔』に併録。
  • 不肖の息子(『ジャンプスクエア』2009年8月号) - 『かわいい悪魔』に併録。
  • 隣人(『シンカン』Vol.2〈2010年〉)
  • 娘の家出(『ジャンプ改特別編集ガールズジャンプ 2012』)
  • ビューティフル・マンデー(『FEEL YOUNG』2016年7月号)
  • ビューティフル・チューズデー(『FEEL YOUNG』2016年12月号)
  • ふたりでひとり暮らし(『週刊文春WOMAN』Vol.20)
  •  まじわる中央感情線(『ビッグコミックスピリッツ』2024年8号)
    1. 異世界オバサン #転生課のマチコさん(『JOUR』2024年11月号) - 『#アンソロジー #レンアイ離婚 #異世界オバサン』に収録。
  • 11歳になってしまう(『少年ジャンプ+』2025年10月11日)

書籍

詳細は各リンク先を参照。

  • 『敷居の住人』、アスキー〈アスペクトコミックス〉1998年 - 1999年、全3巻(未完)、B6判
    • (改定版)エンターブレイン〈ビームコミックス〉2000年 - 2002年、全7巻、B6判、1巻から3巻が出版社・レーベル変更による改訂版
    • (新装版)エンターブレイン〈ビームコミックス〉2009年、全6巻、A5判
  • 『どうにかなる日々』、太田出版〈Fコミックス〉2003年 - 2004年、全2巻、A5判
    • (新装版)太田出版、2015年、全2巻
  • 『ラヴ・バズ』、少年画報社〈YKコミックス〉2003年 - 2005年、全3巻、コミック版
    • (新装版)エンターブレイン〈ビームコミックス〉2011年、全3巻、A5判
  • 『放浪息子』、エンターブレイン〈ビームコミックス〉2003年 - 2013年、全15巻、B6判
  • 『ぼくは、おんなのこ』、エンターブレイン〈ビームコミックス〉2004年、全1巻、B6判
  • 『青い花』、太田出版〈Fコミックス〉2006年 - 2013年、全8巻、A5判
  • 『ルート225』、講談社〈シリウスKC〉2008年、全1巻、コミック版、原作:藤野千夜
  • 『かわいい悪魔』、太田出版〈Fコミックス〉2010年、全1巻、B6判
  • 『娘の家出』、集英社〈ヤングジャンプコミックス〉2014年 - 2017年、全6巻、コミック版
  • 『わがままちえちゃん』、KADOKAWA/エンターブレイン〈ビームコミックス〉2015年、全1巻、B6判
  • 『淡島百景』、太田出版〈Fコミックス〉2015年 - 2024年、全5巻、コミック版
  • 『こいいじ』、講談社、2015年 - 2019年、全10巻、コミック版
  • 『起きて最初にすることは』、リブレ出版〈シトロンコミックス〉2015年、全1巻、B6判
  • 『さよなら、おとこのこ』、リブレ出版〈ビーボーイコミックスデラックス〉2017年 - 2020年、全3巻
  • 『ビューティフル・エブリデイ』、祥伝社〈フィールコミックス〉2018年 - 2021年、全3巻
  • 『おとなになっても』、講談社〈KC KISS〉2019年 - 2023年、全10巻
  • 『ブルーム・ブラザーズ』、祥伝社〈on BLUEコミックス〉2020年 - 2022年、全2巻
  • 『ストリートファイターIII―4コマ決定版』、新声社 〈ゲーメストコミックス〉1997年
  • 『ハツコイノツギ』、講談社〈KC Kiss〉2024年 - 、既刊2巻(2025年6月13日現在)
    1. 2024年12月13日発売、
    2. 2025年6月13日発売、
  • 『オンリー・トーク』祥伝社〈on BLUE comics〉、2025年4月25日発売、
  • 『そういう家の子の話』、小学館〈ビッグコミックス〉2025年 - 、既刊1巻(2025年5月30日現在)
    1. 2025年5月30日発売、

イラスト

  • 今夜は眠れない・夢にも思わない(2002年、宮部みゆき著、角川書店)表紙イラスト
  • はさんではさんで(2008年、甘木つゆこ著、マガジンハウス)表紙イラスト
  • なのはなフラワーズ 第1巻(2009年、青木俊直著、芳文社)帯イラスト&コメント寄稿
  • 哄う合戦屋(2009年、北沢秋著、双葉社)表紙イラスト
  • マイナークラブハウスシリーズ(2009年、木地雅映子著、ジャイブ)表紙イラスト
  • 龍馬伝(2010年、蒔田陽平著、角川つばさ文庫)表紙イラスト&挿絵
  • ありがとう、さようなら(2010年、瀬尾まいこ著、MF文庫ダ・ヴィンチ)表紙イラスト
  • カンナ道のむこうへ(2012年、くぼひでき著、小峰書店) - 表紙イラスト&挿絵
  • 夏のバスプール(2012年、畑野智美著、集英社)表紙イラスト
  • 晴追町には、ひまりさんがいる。(2015年、野村美月著、講談社タイガ)表紙イラスト
  • 青年のための読書クラブ(2017年、桜庭一樹著、新潮文庫nex)表紙イラスト
  • 君と星の話をしよう(2017年、相川真著、集英社オレンジ文庫)表紙イラスト
  • The MANZAI(2018年、あさのあつこ著、角川文庫)表紙イラスト
  • リトルガールズ(2018年、錦見映理子著、筑摩書房)表紙イラスト
  • あこがれ(2018年、川上未映子著、新潮文庫)表紙イラスト
  • 東京パパ友ラブストーリー(2019年、樋口毅宏著、講談社)表紙イラスト
  • はんぶんこの、おぼろくん(2019年、犬飼鯛音著、KADOKAWA)表紙イラスト
  • ギブミー・チョコレート(2019年、飯島敏宏著、KADOKAWA)表紙イラスト
  • 金木犀とメテオラ(2020年、安壇美緒著、集英社)表紙イラスト
  • 水槽の中(2022年、畑野智美著、KADOKAWA)表紙イラスト
  • 懺・さよなら絶望先生(テレビアニメ、2009年)第7話エンドカード

その他

  • アルドノア・ゼロ(テレビアニメ、2014年)キャラクター原案
  • バッテリー(テレビアニメ、2016年)キャラクター原案
  • オーバーテイク!(テレビアニメ、2023年)キャラクター原案
  • 『ユリイカ 詩と批評 総特集 志村貴子 『敷居の住人』『放浪息子』『青い花』から『淡島百景』、そして『こいいじ』へ』(2017年11月臨時増刊号、青土社)
  • センチメンタルトレイン(AKB48の楽曲、2018年)ミュージック・ビデオのイラスト
  • 東京放課後サモナーズ(ゲーム、2019年)一部キャラクターデザイン

備考

過去に「青い花」(2009年)、「放浪息子」(2011年)がテレビアニメ化されているが、いずれの作品にも作中で別の志村作品のキャラクターがカメオ出演している。アニメ版「青い花」の第4話ではプラットホームで電車を待つモブの中に「放浪息子」の二鳥修一が登場している他、アニメ版「放浪息子」の最終話では、文化祭のお客に混ざって「敷居の住人」の本田千暁と菊池ナナコが登場し、「放浪息子」と「敷居の住人」の両方に登場している兼田健太郎に「珍しい」と声をかけられるシーンがある。

関連項目

  • イシデ電 - 志村貴子のアシスタントを務めた経験があり、親交が深い。

出典

外部リンク

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