香山滋 : ウィキペディア(Wikipedia)
は日本の小説家で、探険小説や幻想小説で活躍したほか、映画『ゴジラ』の原作者としても知られる。本名は。東京都出身。
経歴
東京神楽坂に生まれる。新宿区立牛込仲之小学校(当時は東京市牛込尋常小学校)卒香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P201。。東京府立第四中学時代に横山又次郎『前世界史』を読んだことをきっかけに、恐竜をはじめとした古生物に魅せられ、独学で地質学や古生物学を学ぶ。法政大学経済学部を中退し、1927年、祖父や父と同じく大蔵省に入省して預金部に勤める香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P201。。1933年に結婚し、一女をもうける。
1940年、北原白秋門下の歌人・筏井嘉一が創刊した短歌誌「蒼生」に参加し、歌人として文芸活動を開始。斎藤茂吉に傾倒する香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P201。。短歌の代表作は「月二つ空にかかれり今宵われ酔い痴れしとは思われなくに」。痩身であり、ガンジー、本因坊秀哉と並んで世界三ヤセと言われたこともある。戦後に筏井が立ち上げた短歌誌「定型律」にも参加しているhttps://karonyomu.hatenablog.com/entry/2017/01/03/132225#:~:text=%E5%B9%B8%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E9%A6%99%E5%B1%B1%E6%BB%8B%E3%81%AB%E3%81%AF。
1946年、雑誌『宝石』の第1回懸賞に応募した「オラン・ペンデクの復讐」が入選。以後同誌などで旺盛に創作活動を開始し、第2作『海鰻荘奇談』で日本探偵作家クラブ賞新人賞受賞。大蔵省勤務の二足の草鞋生活を送るも、徹夜続きの執筆活動で疲弊し、小説家だった城昌幸に相談の上で、1949年5月(1948年6月説あり)に大蔵省を退官し香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P202。、1年半ほど岩谷書店嘱託となる。ペンネームは、本名の山、鉀、治の字の音をとって、大蔵省を退官したのが「青葉香る五月」だったことから付けた。
山田風太郎、高木彬光、島田一男、香山、大坪砂男の5人で「探偵小説界の戦後派五人男」と呼ばれた。また、1950年、山田風太郎、高木彬光、島田一男らと若手探偵作家の会「鬼クラブ」を結成して、同人誌『鬼』を刊行した『ユリイカ』2001年12月号・特集山田風太郎P.188日下三蔵「山田風太郎執筆年譜」。
多くの空想小説、秘境探険小説で珍獣、怪獣を登場させていた。1954年には、香山のファンであった東宝プロデューサーの田中友幸に、『G作品』(ゴジラ)のストーリー作りを任され、400字詰めで40枚ほどの分量になる原案を提供香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P199。。映画化後に小説版『怪獣ゴジラ』を岩谷書店から刊行する。
1963年以降、作品の発表は散発的となった。
1966年には私家版歌集『十年』をまとめ、1997年後に出版された『香山滋全集』の別巻に初収録されたhttps://karonyomu.hatenablog.com/entry/2017/01/03/132225#:~:text=%E5%B9%B8%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E9%A6%99%E5%B1%B1%E6%BB%8B%E3%81%AB%E3%81%AF。
1975年2月7日午後1時30分に心不全のため、山口病院で死去(享年70)読売新聞1975年2月8日夕刊7面より。同年『幻影城』5月号の追悼特集で島田一男は「偉大な大人の童話作家」と評した。
人物
- 実家は祖父、父と代々大蔵省の官吏だったが、エリート官僚ではなく一般職員だった香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P201。https://karonyomu.hatenablog.com/entry/2017/01/03/132225#:~:text=%E5%B9%B8%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%A6%E9%A6%99%E5%B1%B1%E6%BB%8B%E3%81%AB%E3%81%AF
- 大学時代、内田百閒のドイツ語講義を受けた影響により、内田の著作物を収集するコレクターでもあった香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P201。。
作品
冒険家人見十吉(ひとみじゅうきち)を主人公にした秘境探険小説は、1946年『エル・ドラドオ』から1961年『十万弗の魚料理』まで19中短編と、1948-49年『恐怖島』、1951-52年『悪霊島』の2長編がある。
他に怪奇小説、幻想小説、少年向け冒険小説、SF小説などがある。
人見十吉シリーズ
- 『エル・ドラドオ』(『ダイヤ』1948年2月号)
- 『美しき獣』(『ホープ』1948年9月号)
- 『恐怖島』東方社、1955年(『Gメン』1948年11・12月,『X』1949年1-11・12月、長編)
- 『海蛇の島』(『ホープ』1948年12月号)
- 『沈黙の復讐』(『講談倶楽部』1949年4月号)
- 『美しき山猫』(『婦人画報』1949年4月-9月)
- 『人魚』(『講談倶楽部』1949年6月号)
- 『緑の蜘蛛魚』(『週刊朝日』1949年7月増刊号)
- 『爬虫邸奇譚』(『小説の泉』1949年11月号)
- 『タヒチの情火』(『新青年』1950年11月号)
- 『心臓花』(『宝石』1950年4月号)
- 『魔林の美女』(『富士』1950年7月号)
- 『不死の女王』(『富士別冊』1950年8月号)
- 『悪霊島』春陽堂書店、1955年(『探偵実話』1951年8月-1952年4月号、長編)
- 『シャト・エル・アラブ』(『宝石』1952年8月号)
- 『有翼人を尋ねて』(『探偵倶楽部』1954年1月号)
- 『熱砂の涯』(『読切小説集』1954年8月号)
- 『沙漠の魔術師』(『キング』1955年2月増刊号)
- 『ソロモンの秘宝』(『読切小説集』1955年8月号)
- 『マンドラカーリカ』(『宝石』1959年10月)
- 『十万弗の魚料理』(『宝石』1961年3月)
長編小説
- 『火星への道』(『宝石』1950年6月-1951年4月)スパイ小説
- 『怪異馬霊教』岩谷書店、1948年(書き下ろし、付録に「白蛾」)
- 『ソロモンの桃』(『宝石』1948年9月-1949年5月)
- 『海底牢獄』偕成社、1949年
- 『半爬虫人』(『夕刊北海道新聞』1950年7月30日-9月1日)
- 『Z・9』光文社、1949年(『少年世界』1949年1-7月、後半部書き下ろし)
- 『怪龍島』愛文社、1953年(『探偵少年』1948年6月-)
- 『怪獣ゴジラ』岩谷書店、1954年10月25日香山滋、『怪獣ゴジラ』、大和書房、1983年10月30日発行、P198。
- 『ジャングルと砂漠』大蔵出版、1955年
- 『科学と冒険』大蔵出版、1955年
- 『剥製人間』東方社、1955年
- 『悪霊島』春陽堂書店、1955年(『探偵実話』1951年8月-1952年4月)
- 『魔婦の足音』講談社、1955年
- 『獣人雪男』1955年(『小説サロン』1955年8-10月)
- 『魔婦の足跡』講談社、1955年(書き下ろし)
- 『悲恋の魔術師』(『小節と読物』1956年1月-5月)
- 『地球喪失』(『宝石』1956年1月-12月)
- 『秘島X13号』東光出版社、1958年
- 『悪魔の教科書』文芸評論新社、1958年
- 『魔境原人』同光出版、1959年
- 『霊魂は訴える』桃源社、1960年(書き下ろし)
- 『臨海亭奇譚』講談社、1960年(書き下ろし)
- 『魔女のいる町』(『時の窓』1960年8月-1961年7月)
- 『ペットショップ・R』(『ミステリー』1962年1-12月)
- 『狂夢の記録』(『ニュース特報』1964年2-7月)
- 『怪物ジオラ』毎日新聞社、1969年(『よみうり少年少女新聞』1957年10月22日-1958年4月2日)
短編小説
- 「オラン・ペンデクの復讐」(『宝石』1947年4月)
- 「海鰻荘奇談」(『宝石』1947年5-7月)
- 「蜥蜴の島」(『宝石』1948年1月)
- 「オラン・ペンデク後日譚」(『別冊宝石』1948年1月)
- 「金鶏」(『新探偵小説』1948年6月)
- 「月ぞ悪魔」(『別冊宝石』1949年1月)
- 「情死」(『読物界』1949年1月)
- 「北京原人」(『宝石』1952年4月)
- 「キキモラ」(『宝石』1952年7月)
- 「妖蝶記」(『宝石』1958年1月)
- 「オラン・ペンデク射殺事件」(『宝石』1959年1月)
- 「マグノリア」(『推理界』1968年4月)
- 「ガブラ」(『別冊小説宝石』1971年8月)最後の作品
作品集
- 『剥製師Mの秘密』江戸書院、1948年
- 『オラン・ペンデク奇譚』岩谷書店、1948年
- 『木乃伊の恋』岩谷書店、1948年
- 『蜥蜴夫人』扶桑書房、1948年
- 『悪魔の星』ポプラ社、1949年
- 『美しき山猫』春陽文庫 1954年
- 『遊星人M他』春陽堂書店、1956年
- 『女食人族』東西文明社、1956年
- 『秘境の女』 小壷天書房 1958年
- 『妖蝶記』講談社、1959年
- 『魔境原人』同光社 1959年
- 『海鰻荘奇談』桃源社、1969年
- 『月ぞ悪魔』出版芸術社 1993年
- 竹内博編『香山滋全集(全14巻、別巻1)』三一書房 1993年 - 1997年
- 香山滋傑作選『ソロモンの桃』『オラン・ペンデクの復讐』『妖蝶記』 社会思想社(現代教養文庫) 1977年
- 『怪奇探偵小説名作選10 香山滋集 魔境原人』筑摩書房(ちくま文庫) 2003年
その他
- 映画『地球防衛軍』(1957年) - 潤色
受賞歴
- 1948年 - 第1回日本探偵作家クラブ賞新人賞
注釈
出典
参考文献
- Gakken MOOK(Gakken)
- 中島河太郎「解題」「香山滋作品目録」(『妖蝶記』)
関連項目
- 日本の小説家一覧
- 推理作家一覧
- SF作家一覧
外部リンク
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/11/21 11:28 UTC (変更履歴)
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