江口憲一 : ウィキペディア(Wikipedia)

は、日本の特撮映画の撮影監督。東京都出身。東宝映像美術所属。

経歴

東京写真大学を卒業後、日テレ報道部のカメラマンとして入社。しかし、政府関係の会議が中心であったため面白みを感じられず、自身の写真について考えるため半年間インドを旅する。1973年に退社しフリーとなり、テレビドラマの撮影助手として活動を始める。1974年に東宝映像に入社。

映画『ノストラダムスの大予言』(1974年)で特撮作品に初参加したのち、映画『大空のサムライ』(1976年)より特撮監督の川北紘一の下で特撮班チーフカメラマンを務める。ゴジラシリーズでは、川北が離れた後も『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』(2003年)まで参加した。

撮影手法

川北紘一が特撮監督を務めた怪獣映画では怪獣の目線に合わせた主観撮影が多用されるが、江口は怪獣の歩行にあわせて自身も大きく踏み歩いてカメラを振動させたり、独自に開発した振動装置を用いて地響きを表現するなど独特な手法を駆使していた。

またゴンドラやクレーンを用いての危険なカメラワークも果敢に挑戦しており、大プールにカメラごと落ちても撮影を再開しようとしたことから「ダイハード・江口」とあだ名された。『ゴジラvsビオランテ』では、大プールでの撮影に用いていたイカダが急停止し水没している。

ミニチュアセットの撮影では、造形物が多いために照明が狙った影がうまく作れないこともあり、照明を強調するため黒のスプレー塗料を用いて影を描くという手法を考案した。

本格的にデジタル合成が導入された平成モスラシリーズでは、操演のピアノ線を消す作業もフォトショップを用いて自ら行っていた。

デジタル技術の発展によりカメラで映した映像をモニターで確認できるようになったことについて、カメラマン以外のスタッフでも現場で画を確認できるため合成作業などが効率的になったと評している一方で、様々な部署から意見が出るようになったことから現場の効率ため江口自身は一度OKを出したものについては再チェックはしないと述べている。

代表作

テレビ

期間番組名制作(放送局)役職
1972年4月7日 - 1973年3月30日ウルトラマンA円谷プロダクション(TBS)撮影助手(本編班)

映画

公開年月日作品名制作(配給)役職
1974年12月28日エスパイ東宝映像(東宝)撮影助手
1984年3月17日さよならジュピター東宝映画東宝映像イオ(東宝)撮影
8月11日零戦燃ゆ東宝映画東宝映像(東宝)
1985年1月26日愛・旅立ちフィルムリンクインターナショナル(東宝)
1987年1月17日首都消失徳間書店関西テレビ大映映画(東宝)
9月26日竹取物語フジテレビ東宝映画東宝映像(東宝)
1988年9月17日アナザーウェイ D機関情報タキエンタープライズ(東宝東和)
1989年7月22日ガンヘッド東宝映画東宝映像美術サンライズBANDAI角川書店IMAGICA(東宝)
12月16日ゴジラvsビオランテ東宝映画東宝映像美術(東宝)
1991年12月14日ゴジラvsキングギドラ東宝映画東宝映像美術ファーストウッド・エンターテインメント(東宝)
1992年12月12日ゴジラvsモスラ東宝映画東宝映像美術(東宝)
1993年12月11日ゴジラvsメカゴジラ
1994年7月9日ヤマトタケル東宝映画東宝映像美術ASATSUライトヴィジョンエンタテイメント(東宝)
12月10日ゴジラvsスペースゴジラ東宝映画東宝映像美術(東宝)
1995年12月9日ゴジラvsデストロイア
1996年12月14日モスラ
1997年6月7日誘拐協力撮影
12月13日モスラ2 海底の大決戦撮影
1998年12月12日モスラ3 キングギドラ来襲
1999年12月11日ゴジラ2000 ミレニアム
2000年7月22日プルガサリ 伝説の大怪獣朝鮮芸術映画撮影所(レイジング・サンダー)
12月16日ゴジラ×メガギラス G消滅作戦東宝映画東宝映像美術(東宝)
2001年12月15日ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃B班撮影
2002年12月14日ゴジラ×メカゴジラ撮影
2003年12月13日ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

受賞歴

  • 1988年 第11回日本アカデミー賞 :特別賞特殊技術賞『首都消失』『竹取物語』
  • 1993年 第47回映像技術賞:特殊技術賞『ゴジラvsメカゴジラ』

注釈

出典

参考文献

  • Gakken MOOK(学習研究社)
  • ファンタスティックコレクション(朝日ソノラマ)

外部リンク

出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 | 最終更新:2024/09/20 12:31 UTC (変更履歴
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