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「ホウセンカ」戸塚純貴&満島ひかり 声で表現するあいまいなふたりの関係、平凡な日常の幸せ

2025年10月18日 10:00

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アニメ映画で共演した戸塚純貴と満島ひかり
アニメ映画で共演した戸塚純貴と満島ひかり

アニメーション映画「ホウセンカ」が公開された。独房で死をむかえようとしていた無期懲役囚の老人・阿久津が、人の言葉をあやつるホウセンカに話しかけられ、自身の半生を振り返る……という物語。若き日の主人公・阿久津の声を演じた戸塚純貴、阿久津のパートナー・那奈の若き日の声を演じた満島ひかりによる対談インタビューを映画.comが入手した。

2021年のオリジナルテレビアニメ「オッドタクシー」のクリエイター、木下麦(監督・キャラクターデザイン)と此元和津也(原作・脚本)が再タッグ、制作を手がけるのは「映画大好きポンポさん」のアニメーションスタジオCLAP。

戸塚、満島のほか、主人公・阿久津の現在の声を小林薫、阿久津のパートナー・那奈の現在を宮崎美子、言葉を話すホウセンカ役でピエール瀧が共演。さらに声優の安元洋貴斉藤壮馬、お笑い芸人の村田秀亮(とろサーモン)、中山功太が参加。3人組のバンド「cero」が音楽を担当する。

<あらすじ>
独房で孤独な死を迎えようとしていた無期懲役囚の老人・阿久津に、人の言葉を話すホウセンカが声をかける。ホウセンカとの会話の中で、阿久津は自身の過去を思い起こしていく。1987年、夏。ヤクザの阿久津は兄貴分である堤の世話で、6歳年下の那奈とその息子・健介とともに、庭にホウセンカが咲くアパートで暮らしはじめる。幸せな日々を過ごす阿久津だったが、ある日突然、大金を用意しなければならなくなり、堤と共に組の金庫から3億円の強奪を企てる。
画像6(C)此元和津也/ホウセンカ製作委員会

小林薫とともにダブル主演を務めている戸塚は、今回が声優初挑戦。新たなフィールドでの挑戦について、こう語る。

戸塚「声優という仕事に対する憧れと、知らない世界へ飛び込むという緊張感をもって現場に臨んだのですが、実際に体験してみても芝居とはまったく違う世界だと感じることがたくさんありましたね。

僕がこれまで取り組んできた芝居だと、姿や声なども含め、自分自身をフルに使って表現していくわけですが、アニメーションにはキャラクターがいます。その、自分自身ではない、目の前にすでに存在しているキャラクターに入っていくというのは、どこか二重に演技しているような感覚がありました。

それに、芝居の場合は、共演者との掛け合いの中で自然と熱量やリズムが生まれていくのですが、そういうことをすべて声で表現するわけです。登場人物の間にある空気感や温度感、距離感みたいなものを。そういった部分に、難しさを感じたこともありました」

やくざ者ではあるけれど、まっすぐな心を持ちどこか不器用でもある。戸塚は、自身が取り組んだ阿久津の人物像を、そう分析していたという。

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戸塚「そして、どこか可愛げがあるというか、人に愛される一面も持っているんですよね。収録の前に、小林さんが先に録った音声を聴かせていただいたのですが、それも大きなヒントになりました。阿久津のこれまでの経緯や何があってこういう今があるのか、そういう人物像の厚みが感じられて、役作りのイメージを導いてくださった気がしています」

充実の表情を見せながらも、さまざまなチャレンジがあったことを語る戸塚。そんな彼にとって、収録現場を共にした満島は頼もしい存在だったようだ。

戸塚「作業の途中で、腑に落ちないというか、どう言葉にしていいのか分からなくなることもあったのですが、満島さんがそういうことを自然と汲み取ってくださって。現場で監督と3人で話をする時などにフォローを入れてくださったり、些細なことでも声をかけていただいたり。それがとても心強くて、自分自身の緊張もほぐれていくのを感じていました。

だから、阿久津の人物像というのも、そういう流れで徐々に見出していったというか。自分が考えて作り上げたというよりは、共同作業の中で自然と生まれていったと思っています。収録は、小さな断片をひたすら積み重ねるようなプロセスでした。それが、最終的にひとつの作品になるわけですよね。絵があり、声が入り、音楽が加わり……。そうやって完成した作品を目にした時、思わず幸福な気分になりましたし、そこにアニメーションの力を感じました」

▼満島「那奈は結果を急いで求めない人」収録では戸塚ならではのテンポに一緒に乗ったところも

戸塚と満島が演じた、若かりし頃の阿久津と那奈。共同生活を送る2人だが、スクリーンに映し出されるその関係性は、どこかはっきりしない。満島は、そのあいまいな2人をどう表現するのか、木下監督と戸塚と語り合うことが多かったと語ってくれた。

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満島「私が担当した那奈は、自分の人生に答えを出そうとはしていない人。目の前にあることの結果を、急いで求めたりはしないというか。彼女のそういう部分は大事にしたいと考えていました。阿久津さんと那奈がなぜ一緒に暮らしているのか、どういう関係なのか。そういったことがよく分からない2人の間にある空気をいかに表現するのかについては、監督と戸塚さんと積極的に話し合いました。

戸塚さんには、彼ならではの速度のようなものがあって。多分、どんなところに行っても変わらない人なんだろうなと感じていました。それで、そのテンポに私自身も一緒に乗ってしまえばいいと思うところがあったんです。これは大きかったですね。そういう自分たちの関わり方が、劇中の2人の関係にも繋がっていたように思います。

さまざまな要素で構成されているアニメーション作品の中で、声は最も揺らぎや水分を感じさせる部分。そもそも、人の体を楽器のようにして出てくるものですしね。その声が吹き込まれることで、作品に水が流れ始める。そんなイメージを抱いています。しかも、声のみの表現には、独特のさじ加減があると。実写の演技と同じように発声すると、何か違う。うまくいかない。もっと、体を開くように使う必要があるというか……。そういった違いも含めて、声優の仕事は面白いと感じています」

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この作品のオファーを受けた際、すでにその内容に惹かれていたという満島。彼女の心を打ったのはどういうところなのだろうか。

満島「オファーの段階の資料を見て、すでに素敵な作品だと感じました。冒頭に打ち上げ花火のシーンがあるのですが、私自身、花火が好きということもあってとても印象的だったんです。花火の儚さがこの作品のロマンティックな部分を映し出していて、そこに音楽が乗ってオープニングが始まっていって……。そこが特に気に入りました。

ストーリーは、一見すると刺激的でもなく、平凡な日常の物語のように見えるかもしれません。でも、刺激もない毎日でも、続いていること自体にロマンティックがあり、日常の本当に静かな、ただただ繰り返しのように生きている日々の中に、小さな奇跡があったりする。私はそんなふうに思っています。今のような目まぐるしい時代には、特にそう感じるのかもしれません。

そんな普通の毎日を暮らしている登場人物たちですが、ひとりひとりはとても濃いものを内側に抱えていたりする。そんな彼らの姿を見つめながら、じっくりとストーリーを楽しんでいただきたいですね」(文/河内すばる)

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