「ラ・コシーナ 厨房」どのような“リサーチ”を行った? アロンソ・ルイスパラシオス監督が製作秘話を明かす【NY発コラム】
2025年7月6日 11:00

ニューヨークで注目されている映画とは? 現地在住のライター・細木信宏が、スタッフやキャストのインタビュー、イベント取材を通じて、日本未公開作品や良質な独立系映画を紹介していきます。
ベルリン国際映画祭、トライベッカ映画祭になどに出品され、世界中の映画ファンから注目を浴びた「ラ・コシーナ 厨房」(日本公開中)。
同作の舞台は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」。いつも通りの忙しい朝、前日の売上金の一部が消えたことが判明し、従業員全員に盗難の疑いがかけられる。さらに新たなトラブルが次々と発生し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークを迎え、厨房はカオスと化していく。イギリスの劇作家アーノルド・ウェスカーによる1959年初演の戯曲「調理場」(1959年)が原作となっている。
今回は、同作のメガホンをとったアロンソ・ルイスパラシオス監督に話を聞いた。

本作の見どころは“厨房で起こっていることの雰囲気”をよくとらえていること。この雰囲気を作り出すために、どのようなリサーチを行ったのだろうか?

ルイスパラシオス監督は、学生時代にロンドンにあるレストランのキッチンでバイトをしていたそう。
さらに「このような映画を撮るときは、まずレストランをデザインしなければならない。私たちはシェフを雇い、デザインを手伝ってもらったんだ。リアルに感じられるようにしなければならなかった。シェフがメニューを作り上げ、それを基にして厨房を作り上げていく。“本物の厨房”を作ったうえで、カメラの配置を機能させるという二重のプロセスだった」と教えてくれた。

料理番組のように色とりどりの食材を撮るのではなく、本作ではモノクロ撮影をチョイス。これは美学的な選択だったのだろうか。
筆者は、かつてニューヨークの日本食レストランでバイトしていたことがある。当時も不法移民は働いていて、彼らは同じレストランで長期間働き、他のレストランではあまり働こうとはしなかった。そして、家族にしっかりと仕送りしている人々が多かったことを記憶している。

最も素晴らしいシークエンスのひとつに、厨房をワンショットで撮影するシーンがある。このショットを撮るために、キャストやスタッフとどのような準備をしたのか。

本作の魅力は、事務所から金が盗まれたことに端を発する群像劇であること。

では、ラウル・ブリオネス・カルモナ(主人公ペドロ役)、ルーニー・マーラ(ジュリア役)、アンナ・ディアス(エステラ役)のキャスティング経緯は?

一方、マーラについては「ルーニーについては、脚本を書いているときに頭に浮かんだキャラクターだった。彼女を思い浮かべた時点で、このキャラクターを演じられるのは彼女以外には考えられなかった。彼女には会ったこともなかったけど、手紙を書いて送ったら、ありがたいことにそれが彼女に届いたんだ。まるで瓶にメッセージを入れて海に送り、希望を託したような気分だったよ」と回答。マーラは、ルイスパラシオス監督の過去作を気に入ったことで、メキシコでの撮影に臨んでくれたそうだ。
ディアスに関しては「アンナは、私たちが多くの女の子を対象としたオーディションを経て起用している」と告白。
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