映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

【「シンシン SING SING」評論】芸術がもたらす、悔悟を抱えた者たちの“自負心”

2025年4月19日 20:30

リンクをコピーしました。
画像1(C)2023 DIVINE FILM, LLC. All rights reserved.

米ニューヨーク州の最高警備刑務所である「シンシン収容施設」は、犯罪映画やサスペンスドラマなどにおける誇張された引用が遠因し、ネガティブな印象を自分は過去に抱いていた。手に負えない重罪人が投獄され、そこでは彼らの人権などいっさい保障されない、といったレベルのものだ。

その認識が和らいだのは、同施設の収監者たちが「Breakin' the Mummy's Code」という演劇に取り組んだネットニュース(出典は「エスクァイア」誌に掲載された記事)に由来する。抑圧的な場所で創造行為が勧奨されたことに、なんともアンビバレントな印象を覚えたのだ。

この「シンシン SING SING」は、そんな演目がいかにして生み出されたのかをヒントに、芸術を通して収監者の更生をうながすプログラム「RTA(Reform Through the Arts)」の存在と、そこに身を投じる者たちの挫折や再生を描いた、塀の中のヒューマンドラマだ。身に覚えのない罪でここに送られたディヴァインG(コールマン・ドミンゴ)を中心に、彼と共にRTAで自分自身を見つけようとする男たちの物語だ。

ディヴァインGはRTAで演目を作成し、それを上演する決定権を持つ服役人だが、新たな演劇参加者の非協調的な態度や、仮釈放を得るため法律と取り組まねばならない、受刑者としての両立がせめぎ合う。こうした事実がベースとなっているだけに、作品はあたかもドキュメンタリーを見るかのような迫真性をまとっている。16mmフィルムによる撮影も、そうした要素を視覚面からフォローする。

なにより、この映画を説得力あるものにしているのが、キャストの多くをRTAプログラムで学んだ元収監者が担っている点だろう。彼らは劇中で自身を演じ、更生プログラムの有効性を自分たちで立証していくのだ。このように登場人物の実体験が映画とシームレスにつながっていき、作品を熱い血の通ったものにしている。

刑務所という懲罰と孤独の空間で、収監者たちにもたらされる個々のつながりと友情、そして自負心。ああ、こうして称賛すればするほど、ますます「Breakin' the Mummy's Code」に思いが募る。本作が古代エジプトを舞台に、グラディエーターやロビンフッド、果てはシェイクスピアまでもが入り乱れる、タイムスリップコメディと知ってはなおさらだ。そこにはさらに深い何かがあるのか、それともあまり意味を追求してはいけないものなのか……。

(尾﨑一男)

コールマン・ドミンゴ の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

映画「F1(R) エフワン」の注目特集 注目特集

映画「F1(R) エフワン」 NEW

【語れば語るほど、より“傑作”になっていく】上がりきったハードルを超えてきた…胸アツをこえて胸炎上

提供:ワーナー・ブラザース映画

たった1秒のシーンが爆発的に話題になった映画の注目特集 注目特集

たった1秒のシーンが爆発的に話題になった映画 NEW

【この夏、絶対に観るやつ】全世界が瞬時に“観るリスト”に入れた…魅力を徹底検証!

提供:ワーナー・ブラザース映画

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男の注目特集 注目特集

でっちあげ 殺人教師と呼ばれた男

【あり得ないほど素晴らしい一作】この映画は心を撃ち抜く。刺すような冷たさと、雷のような感動で。

提供:東映

186億円の自腹で製作した狂気の一作の注目特集 注目特集

186億円の自腹で製作した狂気の一作

【100年後まで語り継がれるはず】この映画体験、生涯に一度あるかないか…

提供:ハーク、松竹

なんだこの映画は!?の注目特集 注目特集

なんだこの映画は!?

【異常な超高評価】観たくて観たくて仕方なかった“悪魔的超ヒット作”ついに日本上陸!

提供:ワーナー・ブラザース映画

すさまじい映画だった――の注目特集 注目特集

すさまじい映画だった――

【あまりにも早すぎる超最速レビュー】全身で感じる、圧倒的熱量の体験。

提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

“生涯ベスト”の絶賛!の注目特集 注目特集

“生涯ベスト”の絶賛!

「愛しくて涙が止まらない」…笑って泣いて前を向く、最高のエール贈る極上作【1人でも多くの人へ】

提供:KDDI

究極・至高の“昭和の角川映画”傑作選!の特別企画 特別企画

究極・至高の“昭和の角川映画”傑作選! NEW

「野獣死すべし」「探偵物語」「人間の証明」…傑作を一挙大放出!(提供:BS10 スターチャンネル)

関連コンテンツをチェック

おすすめ情報

映画.com注目特集 6月26日更新

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る