ニコール・キッドマン、女性監督の脚本にほれ込んだ「ベイビーガール」は「エモーショナルでセクシュアルな冒険旅行」
2025年3月20日 17:30

A24が製作し、ニコール・キッドマンが2024年・第81回ベネチア国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した、すべてを手に入れたはずの女性CEOが満たされない欲望をインターンの青年に暴かれていく姿をスリリングに描いたエロティックスリラー「ベイビーガール」が3月28日公開される。
ポール・バーホーベン監督作「ブラックブック」などに出演経験のある女優であり、監督のハリナ・ラインの脚本にほれ込んだというキッドマンのインタビューを映画.comが入手した。
ハリナのことは「Instinct」という一風変わった大胆な映画で知ったの。それをきっかけに話すようになり、テキストメッセージも交換するようになりました。「ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ」の制作中にリモート会議を行ったのよね。その後、彼女は「ベイビーガール」を書いたんだけど、単独で手掛けた脚本はこれが初めてだと知らなかったの。脚本が送られてきて、読み終えた瞬間、私は“イエス”と返答したわ。本当よ。それだけ力強い脚本だった。あれはまだ初稿中の初稿だったとか?だから彼女は、“ここを直したい、こうしたい”と言っていたけど、私にとっては十分素晴らしいストーリーだったから、“絶対にあなたと組みたい”と伝えたの。

自分の真の力は何なのか分からず、危機感を抱いているのだと思う。多くのことを達成しつつも、本当に求めているものは違うから、葛藤が生じている。今持っている力で何でもできてしまうけど、それは自分に正直と言えるのか分からないのよ。それがこの物語の出発点ね。キャリアも私生活も頂点を極めているものの、人生の岐路に立っていて、すべてを犠牲にしようとしている。これは一種のオデッセイ(冒険旅行)だと思う。エモーショナルでセクシュアルなオデッセイよ。
興味深いのはサミュエルがロミーの満たされない部分に勘づくことよ。ロミーと波長が合っているから、彼女の夫でさえ気づかない点に鼻が利くの。面白いわ。会った瞬間に彼女の心が読める。そこに年齢は関係ない。二人の間にはケミストリーがあり、互いを感じ取ることができるの。普通とはレベルの違う感性ね。知的なものではなく感覚的なもの。だから力関係は入れ替わり、押して引いての関係が続く。ゲームではあるけど、危険なゲームだと言える。

大切かは分からないけど、リアルで人間味があると感じたのは確かよ。せめて私はそのように感じた。過去に見たことがないような作品だったから、出演を決めたの。作品の中で描かれている“パワー”は、常に二人の間を行き来していて、定まることがない。女性が、“私は力を持っているけど、今だけは力あるポジションに立ちたくない、支配されたい”と言うことは許されるべきだわ。それについて語ろうとすると必然的に複雑になってしまうけど、監督はニュアンスと繊細さをもって描くことに成功したわ。
私も作品全体を誇りに思っているわ。分解することはできない。本能的に訴えかけてくるものがあれば本作を楽しめるだろうし、とにかく何かを感じて劇場をあとにしてほしいと思う。怒りや興奮を感じてもいいし、魅了されてもいい。どんな反応にせよ、そこから会話が生まれることを願っている。そう考えるとワクワクするわ。
「ベイビーガール」は、3月28日から全国公開。
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