「トワイライト・ウォリアーズ」王九役が話題のフィリップ・ン、過酷な撮影でも身を投じる理由は「痛みは瞬間、映画は永遠」
2025年3月15日 10:00

アジア全域版アカデミー賞「第18回アジア・フィルム・アワード」(以下AFA)の関連イベント「Spotlight on the Wings」が3月14日、香港・西九龍(ウエストカオルーン)文化地区の戯曲センター(Xiqu Centre)で行われ、助演男優賞にノミネートされているリー・カンション(李康生/「黙視録」)、チュー・パクホン(朱栢康/「ラスト・ダンス」)、フィリップ・ン(伍允龍/「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」)が登壇した。
同イベントでは、3人が観客の質問に答えながら、それぞれが考える役との向き合い方や撮影秘話をたっぷりと明かしていた。役作りの一歩として、フィリップ・ンは「まずは脚本を読んで、自分の演じるキャラクターがストーリーに対してどのように機能しているか確認する」と話しつつ、“助演”として「主演の“目標”を把握することが大事」だと語る。その発言にチュー・パクホンは「助演は主演の“サポート”がなによりも大事。やはり主役の目標をしっかりと理解していないといけません」と賛同を示した。

フィリップ・ンといえば、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦」(ソイ・チェン監督)の悪役・王九(ウォンガウ)役が日本でも人気を博している。王九の独特の“笑い声”については「これは監督のアイデアがベース。監督は役者たちに一言だけ指示をしていきました。自分が受けた指示は『笑ってみてください』というもの。何度もNGをうけて決まったのが、あのような形です。それが決まった時点で、自分は王九をどのように演じればいいのかわかったんです」と振り返った。
そして「劇中のセリフの半分は自分が思いついたものです。監督の自由度はものすごく高かった。毎回撮影現場に行くと、4パターンほどの演技をさせてくれ、その中から最も反応が良かったものを撮影時に使用していました」と告白。MCから「今回の作品での“挑戦”は?」と聞かれ「それが全くなかったんですよ」とジョークを飛ばして笑いを誘った後は「仕草やセリフはかなり大袈裟なので、自分でも『やりすぎかな?』と心配することも。でも、それを克服するために監督を信じました。監督を信頼していれば怖くはないですから」と語っていた。

観客からは「今回の撮影はアクションシーンがたくさんありましたから、傷が絶えなかったのでは? 痛くはなかったですか?」と質問が飛んだ。フィリップ・ンは「もちろん痛かったです。でも映画は撮影時に“瞬間”をキャッチすることが大事なんです。ですから同じことを何度も繰り返すことが必要です。他の作品を撮影している時に酷い怪我を負ったこともあります。でも、今はもう治りました。つまり、痛みは“瞬間”的なものですが、映画は“永遠”です」と回答していた。
やがて3人に対して「現在は役者として“成功”を収めていますが、有名になる前には“困難”があったのでしょうか?」という問いかけがあった。フィリップ・ンは「役者だけではなく、さまざまな業界の人にとっても“困難”は生じるはずです。でも“今日の自分”がいるのは“過去の自分”のおかげです。何があっても、その“困難”には意味があるんです」と述べた。

一方、チュー・パクホンは「自分は今でもそんなに成功したとは思っていません。もし選べるのであれば、役者をする前に一定の困難を乗り越えて成功の果実を味わうことができれば楽しいと思います」と話す。独特のトークで何度も観客を笑わせていたリー・カンションは、ここでも「成功は、自分にとってもっとも遠いものでしょう」と発言し、場内を沸かす。そして「成功があるとしたら、その過程で失敗も起こる。それがちょっと怖いですね。自分はただの役者であり、スターではありません」と話しつつ、過去のエピソードを披露した。


AFAの授賞式は、香港・西九龍(ウエストカオルーン)文化地区の戯曲センター(Xiqu Centre)にて、3月16日に開催予定。
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