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アカデミー賞最多ノミネート「エミリア・ペレス」の魅力は? オーディアール監督「矛盾に満ちた映画を作りたかった」

2025年2月13日 12:00

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「エミリア・ペレス」(3月28日全国公開)
「エミリア・ペレス」(3月28日全国公開)
(C)2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C)Shanna Besson

カンヌ国際映画祭で審査員賞・女優賞を受賞し、第97回アカデミー賞では作品賞を含む最多13ノミネートを果たしている映画「エミリア・ペレス」。このほど記者会見が開催され、ゾーイ・サルダナセレーナ・ゴメスカルラ・ソフィア・ガスコンと、ジャック・オーディアール監督が登壇。サスペンス、アクション、ミュージカル、ヒューマンドラマを見事に融合させた本作について語った。

本作は、メキシコの麻薬カルテルのボス・マニタスが「女性として新たな人生を用意してほしい」と極秘の依頼を弁護士のリタに託し、エミリア・ペレスとして生まれ変わる物語。自己アイデンティティ、後悔、贖罪、悲しみといった重いテーマを、ミュージカルシーンを織り交ぜながら描く意欲作だ。

画像2(C)2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C)Shanna Besson

エミリア・ペレス役のガスコンは、二面性を持つキャラクターについて深く語った。

ガスコン「このキャラクターを作り上げる素晴らしいプロセスは、マニタスとエミリアの両方を作り上げることでした。最も重要だったのは、エミリアがなぜこの変容を望んだのか、それは司法から逃れるためだったのか、それとも彼女の真実だったのかということです。これは映画の意味を大きく変える要素でした」
画像3(C)2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C)Shanna Besson

弁護士のリタを演じたサルダナは、自身のキャラクターを「彼女は自分のために声を上げる勇気も強さも持ち合わせていない女性です。他人のために立ち上がることはできても、自分のためには声を上げられない。それは私の目には非常に見覚えのある女性でした」と役への理解を示す。

そして、彼女の内面を表す手段としての見事なダンスを披露している。「ダンススタジオに入るのは20年以上ぶりで、とても緊張していました。平均して5~7週間のリハーサルがあり、撮影中でも『バジノプラスティア』や『エル・マル』の振付けを常に学んでいました。素晴らしい経験でしたが、決して簡単な道のりではありませんでした」と、その準備の過程を語った。

画像4(C)2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C)Shanna Besson

共演のガスコンは「ゾーイのような素晴らしいダンスの才能があればよかったのですが(笑)。テーブルの上で踊って後ろを向いたりするようなことをしなくて良かったことに感謝しています。そんなことをしていたら、死んでいたか背骨を折っていたでしょう。私はロボコップのように踊るので」と、ユーモアを交えながら称賛した。

さらにサルダナは本作の意義について「これまでの映画界では、会議室や撮影現場で唯一の女性であることが、むしろチャンスだと思い込んでいました。若い頃は、他の女性たちと競争することで自分の価値を証明しようとしていたんです」と振り返り、「しかし、時を経て明らかになってきたのは、女性たちが団結する時、私たちは止められない存在になるということです。この環境は、私たちは女性による、女性のための物語に投資しなければならないという事実と、私を再びつなげてくれました」と、作品を通じて感じた女性の連帯の重要性を語った。

画像5(C)2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C)Shanna Besson

ゴメスは、マニタスの妻ジェシー・デル・モンテを演じた。「ディズニーチャンネルのオーディションに参加した時、まさかその後のキャリアがジェシーと『エミリア・ペレス』につながるとは想像もしていませんでしたが、本当に感謝しています。これは私が長い間待ち望んでいた役だったからです」と、役との出会いを振り返る。

ゴメス「何かに本気で取り組める機会を得られたのは素晴らしかったですし、これは始まりに過ぎないという感じがしています」

ジェシーは、自分を抑え、妻として、母として生きてきた女性だ。ゴメスは「このキャラクターを通じて、抑圧された感情や解放への願いを表現できたことは、私にとって大きな挑戦であり、成長の機会となりました」と、女優としての新たな一歩への期待を語った。

画像6(C)2024 PAGE 114 – WHY NOT PRODUCTIONS – PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA COPYRIGHT PHOTO : (C)Shanna Besson

オーディアール監督は、キャスティングを通じて作品が進化していった過程を明かす。「最初の脚本では、リタは25歳、エミリアは30歳でした。カルラ・ソフィアとゾーイに出会い、彼女たちが私がキャラクターの年齢について犯していた間違いを指摘してくれました。25歳の女性には、まだ人生と呼べるものがありません。本当のドラマや悲劇を経験していません。一方、40歳で、メキシコの弁護士事務所の暗い片隅にいる黒人女性なら、人生は基本的に終わっています。人生を変えることには大きな代償が伴うでしょう」と語り、「私は複雑な映画ではなく、矛盾に満ちた映画を作りたかったのです。人は何人分の人生を送る権利があるのか、そして別の人生を送るためにはどれだけの代償を払わなければならないのか」と本作のテーマを語った。

記者会見の場でも、オーディアール監督は「私は俳優たちの知性に圧倒されています。彼女たちのこの映画の解釈から、私自身知らなかったことを学んでいます。4年前に脚本を書き始めた時とは全く異なる発見があり、この映画について、新しいことが次々と明らかになってきます」と語り、作品への理解が今なお深まり続けていることを明かした。

エミリア・ペレス」は、3月28日より全国公開される。

(取材・文/小西未来

執筆者紹介

小西未来 (こにし・みらい)

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1971年生まれ。ゴールデングローブ賞を運営するゴールデングローブ協会に所属する、米LA在住のフィルムメイカー/映画ジャーナリスト。「ガール・クレイジー」(ジェン・バンブリィ著)、「ウォールフラワー」(スティーブン・チョボウスキー著)、「ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたのか」(エド・キャットマル著)などの翻訳を担当。2015年に日本酒ドキュメンタリー「カンパイ!世界が恋する日本酒」を監督、16年7月に日本公開された。ブログ「STOLEN MOMENTS」では、最新のハリウッド映画やお気に入りの海外ドラマ、取材の裏話などを紹介。

Twitter:@miraikonishi


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