超クレイジー。世界中の高層建築に上って自撮りを拡散する命知らずのカップル【映画.com編集長コラム】
2024年8月6日 10:00
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とんでもないドキュメンタリーを見ました。色んな意味で、実にとんでもない。タイトルは「スカイウォーカーズ ある愛の物語」、スタジオはネットフリックス。2024年7月19日から世界中で配信が始まっています。
主人公は、アンジェラとヴァーニャ(イワン)。2人はロシアのカップルです。彼らは「ルーフトッパー」といって、高層ビルや塔などに上って自撮りをし、その写真をSNSにアップするのが生きがいです。予告編を貼っておきましょう。2分09秒。
どうですか? 高所恐怖症の方はちょっと無理ですよね。でも、このカップルのセルフィーのクオリティーはとんでもなく高い。アートと呼んでいいレベル。アンジェラは自らの行いを「スカイウォーク」と称しています。
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「ミッション:インポッシブル」で、トム・クルーズがドバイに聳える世界一高いビル、ブルジュ・ハリファをよじ上るシークエンスを思い出します。ニューヨークのワールド・トレード・センターを綱渡りする「ザ・ウォーク」という映画もありました。しかし本作はドキュメンタリーです。ロープも、何の器具も使わずにリアルに上っているんです。
インスタグラムにエクストリームな写真を投稿して、数多くのエンゲージメントを集めるルーフトッパーの存在は、2015年頃から徐々に知られていきますが、誰も撮ったことのない「究極の1枚」をモノにするために命綱なしで無理な撮影を行うので、墜落する事例も少なくありません。当然ながら、彼らの行為には「落っこちるリスク」がある。そしてもう一つ「逮捕されるリスク」も当然あります。そもそも、彼らが行っているのは高層建築への「不法侵入」なわけですから。
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犯罪行為を記録した映画という意味では、見る側のマインドも微妙になります。私も途中から「ビジュアルはどれも凄いよ。でも、これって違法だよね」という感覚で見ていました。本作は、2024年のサンダンス映画祭やトライベッカ映画祭に出品されていますが、賞を授与されたという事実はありません。映画祭の審査員も、いくら面白い作品だとはいえ、犯罪を記録した映画に賞を与えるわけにはいかないだろうということは想像できます。
とは言え、ドキュメンタリーなのに映像のスペクタクル度合いが半端ないのは誰もが認めるところ。北米ではネットフリックス配信に先がけてIMAXでの公開も行われました。大きなカタルシスが随所にあり、2人の愛が深まる感動的な描写もありますが、既に述べたように手放しでは喜べない映画です。しかし、SNS時代のクレイジーな自撮り行為の重要なサンプルとして非常に貴重だと感じます。その自撮り行為は、主人公たちの承認欲求を満たす以外に、生活の糧(=何らかのビジネス)になるのか?という疑問への答も提示されています。
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最近のドキュメンタリーには、映画を見た後も楽しめる案件が意外に多いという面もあります。参考までに、主人公2人のインスタグラムのアカウントも貼っておきましょう。
このドキュメンタリーがリリースされたことで、もう十分な知名度を得たことでしょう。今後、2人には、法に触れないような合法的なアート活動を続けていって欲しいと思います。
執筆者紹介
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駒井尚文 (こまいなおふみ)
1962年青森県生まれ。東京外国語大学ロシヤ語学科中退。映画宣伝マンを経て、97年にガイエ(旧デジタルプラス)を設立。以後映画関連のWebサイトを製作したり、映画情報を発信したりが生業となる。98年に映画.comを立ち上げ、後に法人化。現在まで編集長を務める。
Twitter:@komainaofumi
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