草彅剛「『ミッドナイトスワン』を愛してくれてありがとう」TOHOシネマズ日比谷での“185週”ロングラン上映にピリオド
2024年6月27日 14:00
2020年に公開され、第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を受賞した「ミッドナイトスワン」は、毎週水曜日にTOHOシネマズ日比谷での上映が続き、異例のロングラン上映となっていた。昨年9月25日には公開から4年目を迎え、185週目となる6月26日、遂にTOHOシネマズでの最終上映を迎えた。同日には御礼舞台挨拶が実施され、主演の草彅剛のほか、共演の服部樹咲、内田英治監督が登壇した。
トランスジェンダーとして日々身体と心の葛藤を抱え新宿を舞台に生きる凪沙(草彅)と、親から愛を注がれず生きるもバレエダンサーを夢見る少女・一果(服部樹咲)の姿を通して“切なくも美しい現代の愛の形”を描いた作品。水川あさみ、田口トモロヲ、真飛聖、田中俊介、吉村界人、真田怜臣らも共演している。
満員の客席を見た草彅は「こんなに満員御礼、僕満足、1本満足なんですけれども」と笑いを誘いつつ「185週も経っているのにこんなに満員の映画というのは稀にみないですよね(笑)。今日は楽しんでください!」と挨拶。服部は「お久しぶりです。公開から約4年経ってまだ愛されていることを満席の劇場を見て実感しています。当時はこんなにも長く愛されるものになるとは思っていなかったのですごく嬉しく思います」と語った。内田監督は「撮影からは5年経ったのですが、皆さんに約4年間も応援していただいて、こんなに愛されて感無量です。本当にありがとうございます」と感謝の気持ちを示していた。
「撮影を振り返ってみてどうだったか?」と問われた草彅は「頭のシーンから最後までほんとに全部覚えています。トランスジェンダーというのは初挑戦だったんですが、監督の熱い思いがつかめたので、いい経験が出来ました」と述懐。内田監督が「とても覚えているのが、衣裳合わせの時から既に凪沙になっていたんです。とてもびっくりしました」と伝えると、草彅も「そうなんですよね、最初に脚本を読んだ時に涙があふれてきて、何の涙かわからなかったけど、自分が流した涙を観客の方に伝えたいと思いました」と当時の気持ちを感慨深く語っていた。
本作は服部の女優デビュー作。「樹咲ちゃんも大人になられて、本当に嬉しいですよ」と草彅が話すと、服部は「来月18歳、成人になります」と当時の中学1年生から約4年の歳月が流れたことを実感。内田監督は「初めはオーディションでしたが覚えてますよ、中学1年生で。オーディションのドアを開けて“一歩目”で決まりました」と裏話を披露した。
「観客からの反応を見てどんな気持ちだったか?」と聞かれた内田監督は「いろんな方からお手紙いただいたりして嬉しかったですね、あとは、香取(慎吾)さんとお会いした時に現場の時の草彅さんの様子を目をキラキラさせながら聞いてくれました」と明かす。すると、草彅も「そうなんですよね、慎吾ちゃんこの作品見て感銘を受けてくれて“自分が演技をするのをやめようかと思うくらいつよぽんがよかった”と話してくれたんです」と打ち明けた。
服部は当時のことを思い出しながら、「あの時は自分のことでいっぱいだったので、現場での監督の動きやスタッフさんの動きがあまり覚えられていないのがもったいなかったなと思います。大人になった今、また内田監督の作品にも出たいですし、草彅さんとも演技がしたいです。そして、当時は夢みたいな気持ちで、実感もわかずに頑張っていました。先日少し思ったのですが、今となると女優としてはこの作品はデビュー作でしたが、バレエで言うと集大成的な存在でした」と言葉を並べると、大粒の涙を流した。
その涙に、草彅は「樹咲ちゃんはバレエの話をすると泣いてしまうんだよね。思い入れが強いんだよね」と優しくフォロー。服部は「幼い頃からバレエをやってきたのですが、この作品に出て『素敵だった』とか『キレイだった』という感想を聞くたびに、このためにバレエをやってきたんだなと思えるし救われていました」と熱い思いを口にした。
最後に、草彅は観客に以下のメッセージをおくった。
草彅「自分でも信じられないんです、凪沙という役を自分がやったんだと思って。自分の中に自分の知らない何かがあるのかもしれない。それはとても素敵なことで。みなさんも、自分の可能性や未来を諦めないでもらいたいなと、そんなことを凪沙を通じて思いました。今困っていることとか大変なことがある方も、自分すら知らない良い自分が必ず眠っている、乗り切れるチャンスはあると思うので、前向きになってもらえたらいいなと思います。今日まで『ミッドナイトスワン』を愛していただいて、ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いいたします」
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